読書日誌
2006’10〜12月

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06'12'27 模倣犯 二 (著)宮部みゆき <amazon>
 一連の連続殺人事件が起こる数年前にさかのぼる。栗橋浩美は過ちから二人の女性を殺してしまった。その遺体をどうするのか、パニックに陥った浩美は思わず親友“ピース”に連絡を取るのだが、頭の切れる“ピース”はそんな時にも慌てず、二人分の死体を見事隠しおおせてみせるのだった。そして、それに味をしめた二人は、それから遊び半分に殺人を続けることとなる。だがそんな浩美を心配し、彼を見つめる目が…
 一巻目とはうって代わり、今度は犯人の側から事件を見るという倒叙ミステリーへと話は展開する。しかしここまでネタ晴らしをしておいて、一体どうやって話を作って行くやら。ぐいぐい読ませるのは流石だけど。
模倣犯2
06'12'23 金色のガッシュ25 (著)雷句誠 <amazon>
 テッドの参戦のお陰でギャロンを倒し、チェリッシュを正気に戻すことが出来たガッシュ達。だが、次なる階層には、先にガッシュ達を散々に苦しめたキースが待っていた。その時、ガッシュ達の前に現れたのは…
 このところ盛り上げ方もパターンになってきたか?と思われたが、まだ著者には引き出しがあったようだ。短いながら、バリーの登場と退場は大変優れた話となっている。更に前半にはテッドの退場もあるし、清麿不在が逆に上手く機能した作品と言えるか?
金色のガッシュ!! (25)
06'12'21 模倣犯 一 (著)宮部みゆき <amazon>
 かつて強盗殺人犯に家族を殺された少年塚田真一は、朝のジョギング中、なんとゴミ箱に捨てられた女性の手首を見つけてしまう。警察は早速これまでに失踪した若い女性の家族にそれを連絡するのだが、その中には半年前に孫娘が失踪したという、豆腐店を営む有馬義男がいた。そしてたまたま連続女性失踪事件を追っていたフリールポライターの前畑滋子…この事件を契機に複雑に人間関係が絡み合うなか、なんと当の犯人から犯行声明がテレビ局に送られてくる…
 前々から気になっていたのだが、つい読みそびれてしまった作品だった。ようやく読むことが出来たよ。
 人間関係が絡み合う中で知能犯を追うという形式の作品で、読ませ方も上手い。未だ姿は見せていないものの、犯人の方の描写もなかなか魅力あり。力作だけに楽しませてもらえそう
模倣犯1
06'12'19 餓狼伝19
板垣恵介 (検索) <amazon> <楽天>
 北辰館トーナメント準々決勝で純粋な空手家片岡輝夫に対し、プロレスラーの鞍馬彦一は戦いの直前「片岡にプロレスをさせる」と豪語する。対する片岡は鞍馬の体を使い、「試し割りを行いたい」と発言。水と油の二人の対決の行方は?

 これまでの中でも最大に“痛み”の描写が映えた作品で、片岡の拳にヒビを入れられた身体のまま強がりの表情で戦い続ける鞍馬と、鞍馬の締めに耐え続ける片岡の対比的な痛みが強調された話となった。まあ、結果は大体分かってたんだけどね。
<A> <楽>
06'12'17 ダ・ヴィンチ・コード 下 (著)ダン・ブラウン <amazon>
 ソニエールの残したメッセージ、引いてはダ・ヴィンチの謎とは何か。真実を求めついにイギリスへとやってきたラングトンとソフィ。そこで二人は刺客と数多くの裏切りに遭いつつ、それでも真実へと肉薄していく。ダ・ヴィンチのメッセージとは?そしてソフィに秘められた秘密とは?
 通して読んでみて、文字のトリックとして考えるなら、なるほど面白い作品と言えるだろう。ただ、物語そのものがいい加減且つご都合主義過ぎて、ちょっと読んでいて首を傾げることばかり。結局陰謀の黒幕が彼だったら、簡単に毒殺もできたし、あんな回りくどいことする必要が感じられないのだけどねえ。つーか、あんまりにもお手軽すぎるだろ?
ダ・ヴィンチ・コード(下)
06'12'15 ダ・ヴィンチ・コード 中 (著)ダン・ブラウン <amazon>
 パリ警察から終われることになったラングトンとソフィだが、彼らの背後には謎の殺人者が迫っていた。そのなか、ソニエールの残した謎を探し求める。手がかりを求め、彼らが行き着いたのは聖杯探索者として有名なイギリス人ティービングだった。彼が明かすダ・ヴィンチの秘密とは…
 いよいよ謎に拍車がかかり、主題であるダ・ヴィンチの秘密へと話がつながってきた。ただ、先に映画観ていただけに、ビジュアル的にはやっぱり弱い。これだけでも映画化の意味はあったのかな?
ダ・ヴィンチ・コード(中)
06'12'14 ダ・ヴィンチ・コード 上 (著)ダン・ブラウン <amazon>
 旅行でパリへとやってきた文書学者のラングトンは、そこで会うはずだったルーブル美術館長のソニエールが殺された事を聞かされる。パリ警察からはその捜査の協力を求められるのだが、そこに現れた暗号解読官のソフィは、何故かラングトンに一緒に逃げようと持ちかけてきた…
 これまで何かと話は聞いていたし、映画も観た。しかし、本作が優れているか?と聞かれると、疑問。それで原作の本作だが、やっぱり微妙かな?暗号解読の部分は面白いけど、やっぱり肝心の設定がなあ。
ダ・ヴィンチ・コード(上)
06'12'11 死者のいる中世 (著)小池寿子 <amazon>
 ヨーロッパ各地に点在する“死”をモティーフとした数々の芸術作品を求め、著者が旅した町の雰囲気を合わせて描く、半紀行文的芸術論。
 表紙に戸口からドクロが覗いているという構図の面白さに惹かれて購入。随分長いこと積ん読になってたが、ようやく読むことが出来た(最近ライトノベルが多かったので、バランスを取るため)。もっと中世の死の概念を深く突っ込んで考察する作品を期待したのだが…残念ながら芸術の方は疎いので、出てくる芸術家の名前のほとんどが分からず。結果として「久々に重いものを読んだ」という以上の感想は得られなかった。もうちょっと勉強するべきかな? 
06'12'10 仮面ライダーspirits11
村枝賢一 (検索) <amazon> <楽天>
 四国は月面にある!更に四国を覆う暗雲のお陰でその力の大部分を失ったゼクロスと変身能力を失った風見志郎にデストロン軍団が襲いかかる。一方、spirits部隊を率い、山口へと向かった滝だが、そこではキング・ダーク復活を阻止すべくXライダーと三影との死闘が始まっていた。

 これまでのようにゼクロスがそれぞれのライダーの元で転戦するというパターンとはやや異なり、ゼクロスは四国に釘付け。その代わりにspirits部隊が個性を見せ始めている。相変わらずではあるが、大変燃える展開には満足。
 更に今回はあの印象的なヒトデ・ヒットラーも登場。
仮面ライダーSPIRITS 11
06'12'08 審判 (著)フランツ・カフカ <amazon>
 ある朝、銀行家のヨーゼフ・Kは何の理由も聞かされないまま突然逮捕されてしまう。解放され、そのまま元の生活に戻るのだが、常に自分の行動は監視されていることを知らされる。一体何の罪かも分からないまま、無罪を証明しようとするのだが…
 社会と自分の繋がりは不可解極まりない。その事を文章化することに成功したのがカフカという著者だが、本作は同時に「自由とは何か」という思いを抱かせる。法律に守られていると言うことを「自由」というのなら、同時にどんなに下らないことでも法によって裁かれることを受け入れなければならない…ソクラテスのジレンマだな。
 20年ぶりくらいに読み直してみたが、やっぱり良いなあ。改めて色々考えさせてくれたよ。
審判
06'12'06 映画検定公式テキストブック (編)キネマ旬報 <amazon>
 2006年に行われることとなった映画検定のテキストブック。内外の映画の数々のデータベースを編集したもの。
 別段検定を受けるつもりはないのだが(と言うか、終わってるし)、ちょっと興味があったので読んでみた。データベースとしてはちょっと中途半端。映画史はあまりに駆け足過ぎたし、キャラクタのデータベースもちょっと端折りすぎな感じ。でも印象的な映画についてのデータは色々手に入れることが出来たし、お陰で書くべき映画の数もぐんと増えた。これはこれで結構面白い作品とも言える。
映画検定
06'12'03 はじめの一歩78
森川ジョージ (検索) <amazon> <楽天>
 タイの国内チャンピオンで“JOLT”の使い手ジミー・シスファーとの対戦で、破壊力のあるJOLTブローに圧倒される一歩。そんな中、一歩と鴨川が選択したのは、ジミーに対し打ち合いを挑むというもの。命の危険さえ伴うこの選択に、一歩は正面から挑む。その結果は…

 久々に(笑)一歩の試合が描かれたが、絶体絶命かと思われたピンチに…と言ういつもの展開。試合内容はパターン通りなのだが、それをしっかりと読ませてくれるのがこの作品の醍醐味だろう。それに新しい武器を得た一歩の活躍がこれから始まる訳だから、全体的な物語としても重要な位置づけにある。
<A> <楽>
06'11'30 BSアニメ夜話VOL.03 機動警察パトレイバー <amazon>
 2004年10月にBSアニメ夜話で放映された劇場版『機動警察パトレイバー』の回の会話録と、原作者ゆうきまさみとのロングインタビュー、ゲスト(大森望、国生さゆり、宮台真司)の「言い足りなかったこと」のインタビューを収録した作品。
 勿論この回は観たし、DVDにも焼いてあるが、改めてこれを読んでみると、放映出来なかった部分が大変面白かったんだなあ。と思える。そりゃ放映されなかったのは、メーカー名とか個人名を出しての裏話だから当たり前と言えば当たり前。
 ゆうきまさみはそれこそOUT時代から知ってるし、「ヤマトタケルの冒険」「マジカルルシィ」も持ってたんだけど、あれ?「ルシィ」にパトレイバーのプロトタイプが一コマ入ってたというのは初耳…もう持ってないから確認のしようがないんだけど。
06'11'28 新・魔獣狩り10 空海編 サイコダイバー22
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 徐福が日本に持ち込んだとされる卑弥呼の黄金の在処がついに判明する。その地を目指し、魔人空海と腐鬼一族とがぶつかり合う。結果的にそれに巻き込まれた形となった九文鳳介、毒島獣太たち。彼らそれぞれの行動を描く。
 キャラが多くなり過ぎ、それが独自に動いているため、把握がとても難しくなってきた。更に唐突に空海の話が挿入されたりするため、話の収拾がつかなくなってる。それでも読ませるものを描くのが著者らしいところだ。著者本人は「終わらせる」と言っているけど、果たしてどこまでかかるやら。
<A> <楽>
06'11'26 ジパング25 (著)かわぐちかいじ <amazon>
 首尾良くみらいの奪取に成功する角松と乗員の面々。だが、日本軍からの離脱は、即ち属するべき場所を失うことになってしまった。一方、草加は虎の子の原爆を用い、起死回生の作戦に出ようとしていた。二つの運命が交錯し、そして再び別れていく。
 これまで迷ってばかりだった角松が、いよいよ新しい国家に向けての思いを口にし始めた。原爆自体が最終兵器となるのであれば、いよいよ風呂敷を畳み始めたのだろうか。いずれにせよ読んでる側はまだ着地地点が見えていないから、まだまだ楽しませていただけそうだ。
ジパング (25)
06'11'25 ボクのセカイをまもるヒト 2 (著)谷川流 <amazon>
 度々魔術師の襲撃を受け、更にこの世の常識に全くとらわれない紬と猫子に振り回され続ける巽だが、それでも日常は続いていく。一体何故自分が守られたり、あるいは狩られたりする事も分からないままだが…
 奥の深い設定に軽い話。ライトノベルの定式というのがあるのならば、これがその典型とも言えるだろう。とりあえず底の見えない設定だから、それだけでも結構楽しめるのは確か。
 ところでこの話って、『超時空世紀オーガス』そのものなんじゃないかな?すると主人公の巽は特異点?ま、話が進んでみないとなんとも言えないけど。
ボクのセカイをまもるヒト〈2〉
06'11'22 ボクのセカイをまもるヒト (著)谷川流 <amazon>
 独自の価値観のまま行動する姉という存在を除けば、平和主義のごく普通の高校生朝凪巽の日常は、ある日を境に全く変わってしまった。突然現れ、巽を「守護する」と称して町中で殺人兵器をぶっ放す幼女や、その攻撃を全くものともせず素手で渡り合う“妖精”の少女…お陰で家は全壊し、二人の女の子にまとわりつかれる羽目に陥った巽の、それでも新しく構築される日常を描く。
 一応著者のシリーズは本シリーズで終わるはず。出来は完全にベタベタで、「電撃!!イージス5」系統の次なるシリーズであることは分かる。それでもこっちの方は結構好感を持ってる。
 思うに、私の好みは世界観が先にあって、それに合わせてキャラを作ってる作品は好きなんだが、その逆には拒否感を覚えてしまうのではないか?と思うのだが…
ボクのセカイをまもるヒト
06'11'19 少女探偵金田はじめの事件簿
あさりよしとお (検索) <amazon> <楽天>
 何かと事件が勃発する鵺高校で、今日も又殺人事件が起こる。警察にもお手上げのその事件を解決するため、颯爽と現れる少女がいた。金田はじめは持ち前の推理力を駆使し、ますます事件をややこしくしていく(?)。更に永遠の少年探偵小林、歩くセクハラ探偵エロキュール=ポルノを加え、探偵達の冒険が始まる。
 やっぱこの時代の著者作品は素晴らしい。様々な小説からのパクリや余計な知識やらをとにかくぶち込み、オチも何も無い変な物語を作ってくれている。思えば、こういう作品が多くなってきたからこそ、今の著者作品は埋もれてしまってるのかな?又こういう物語に戻って欲しいものである。
<A> <楽>
06'11'18 電撃!!イージス5 Act.II (著)谷川流 <amazon>
 次元の裂け目から現れるEOSの攻撃は続き、その度ごとに出撃を余儀なくされる秀明たち。ぎくしゃくしていたメンバーの仲も同居生活が続く内にうちとけていく。そんな時、不意に秀明の妹季里が家を訪ねてくるのだが…
 話自体前巻からほぼ変わってないけど、出てくるキャラ全員を等分して描くのではなく、特定のキャラをちゃんと立たせている事がここから分かる。終わり方も結構すっきりとしているし、これで良いんじゃないかな?二巻で終わらせたのも良し…これ以上続いてたら私の精神が保たなかったかも知れないし(笑)
 これまでに著者のシリーズは「涼宮ハルヒ」「学校を出よう」と読んできたけど、著者の好みというか、好きなキャラというのはよく分かるね。
電撃!!イージス5〈Act.2〉
06'11'15 電撃!!イージス5 (著)谷川流 <amazon>
 奇行で知られる科学者の祖父のお目付役として下宿することになった“僕”逆瀬川秀明が、祖父宅に付いた途端、目にしたのは女の子の群れ…佐々巴、掛川あろえ、三隅埜々香、鴻池琴梨、雪崎凌央という5人だった。家のコンピュータ端末ガニメーデスによれば、彼女たちこそがこの地球を守っているという。そして次元の彼方に消えた祖父の代わりに彼女を指揮することになってしまった秀明だったが…
 戦う女の子に翻弄される主人公。という、まるでゲームのような設定だが、実際元々はゲーム用の企画だったのだとか。あまりにベタベタなひねりのない作品で、はっきり言って読んでるだけで苦痛だった。何でもこれが著者の初めての活字になった作品だそうだが、一作目に読んでなくて良かった。
電撃!!イージス5
06'11'11 金色のガッシュ24 (著)雷句誠 <amazon>
 日本に向けて高速移動を開始したファウード。ガッシュ達は二手に分かれ、エリー=アースとサウザー=カルディオはファウードを魔界に返す装置を守りに、残りの面々はファウードの脳にいるゼオンの元へと向かう。未だ目覚めぬ清麿を守りつつも、ファウードの力を受けて強力となった魔物達の群れに突っ込んでいく。
 本巻で又三体の魔物が消え、いよいよ残った魔物の数も少なくなってきた。流れとしてはこのファウード編で地上の物語は終わってしまいそうな感じ。やっぱりガッシュが目立たないと今ひとつって感じかな?いずれにせよ燃える展開ではあるので、これから注目していこう。
金色のガッシュ!! (24)
06'11'09 快楽の都 グインサーガ110
栗本薫 (検索) <amazon> <楽天>
 クムの各地で大好評を博したマリウス一座の噂を聞きつけた、快楽と悪徳の都タイスの支配者タイ・ソン伯爵からお呼びがかかってしまう。逃げることは出来ず、その招待に応じることとなるが、タイスは聞きしにまさるとんでもない場所だった。そこで彼らが見ることになるのは…

 前巻が明るく楽しい話で、本巻もそれに準じているが、少々きな臭い感じになってきた。実際これが本シリーズの本来の味だ。しかし、よく考えてみると、丸々一巻使って、ストーリーはほとんど進んでないという恐ろしい事実。だからこそ100巻を超えて続けられるんだけどね。
 都市の微に入り細にいたり徹底的に書くのは著者の好む所だけど、これこそが実は私が一番好きな部分。もの凄く楽しめたよ。
<A> <楽>
06'11'08 ジェシーの背骨 (著)山田詠美 <amazon>
 遊び慣れているココは子連れのリックと同棲を始めた。だがリックは仕事で出かけてしまい、どうしてもココに懐こうとしないリックの息子ジェシーと二人きりで家に取り残されてしまう。まるで挑発するかのような言動を繰り返すジェシーに、徐々に心の均衡を失っていくココだったが…
 “多分”アメリカを舞台にした奇妙な三角関係を描いた作品。感情を描くことにかけては著者の独特なタッチが良く映えた作品だった。
06'11'06 金色のガッシュ23 (著)雷句誠 <amazon>
 ついに復活したファウード。強大な力を手にして勝ち誇るリオウの前にガッシュそっくりな風貌をした魔物ゼオンが現れる。一方、ファウードを魔界に帰すまでの時間を稼がねばならないガッシュたちは、清麿を失ってしまい、更に強大なファウードの体内魔物との絶望的な戦いを強いられる事になってしまった。
 最初に清麿の死!と言うインパクトを与えつつ、話は妙な方向へと転回していく。ゼオンが現れるのはもっと後かと思っていたが、どうやらこのファウード編のラストはゼオンとの戦いとなりそう。残った魔物の数も少ないし、実質的に地上での戦いはこれで終結していくのだろうか?
金色のガッシュ!! (23)
06'11'04 邪魅の雫
京極夏彦 (検索) <amazon> <楽天>
 江戸川、大磯、平塚と次々と殺人事件が起こった。被害者に関わりはなし。だが凶器はいずれも青酸毒物ということだけが共通していた。警視庁はこれを連続殺人事件として調査を始めるが、警視庁と地方警察の足並みは揃っているとは言えず、更に公安までが出張ってくるにあたり、今は左遷中の身である青木は独自の調査を開始した。この事件の真相は?そして使用された薬物とは?

 本編のシリーズだけは読み続けているが、相変わらずとにかく長い。何で分冊にしないのか?と言うレベル。更に本作は「鉄鼠の檻」や「陰摩羅鬼の瑕」、「塗仏の宴」と言った既刊からの人間関係が山のように出てくるため、あらかじめ読んでないと人物の関係性が分かりづらい(分からなくても大丈夫だけど)。一応本作も推理小説になるんだろうけど、実は犯人はほぼ全員分かっているため、本格推理の観点からすれば異色。型破りな方法ではあるが、物語としては結構面白い。特に本作はタイトルが全てを言い表してるって意味では完成度が高い。
<A> <楽>
06'11'01 るくるく6
あさりよしとお (検索) <amazon> <楽天>
 リフォームが済んだ六文の家でのるくとの、相変わらずまったりとした日常を描く悪魔的ホームドラマ。
 取り立てて何か言うことが無くなってしまった。ストーリーはほとんど動いておらず、日常描写も馴れてしまった。このままずっと進むとなると、読み続ける意味が感じられなくなってくる。まさか著者作品に対し、こう思う時が来ようとは。
<A> <楽>
06'10'29 学校を出よう!6 VAMPIRE SYNDROME (著)谷川流 <amazon>
 第三EMP学園にはびこる吸血鬼の群れ。次々と吸血鬼化していく学園メンバーは、ついには佳由季の妹若菜と最強のテレパシスト真琴までもが吸血鬼の仲間入りしてしまった…残された面々は決死の覚悟をもって吸血鬼の群れへと戦いを挑むことになるのだが…
 前後編の後編。これだけ壮大な伏線を張っておいて、終わり方がえらくあっさりしていたのは多少気になるのだが、物語自体はすっきりしているし、色々と面白い事実も分かってきた。特にこれまで上層から彼らを見下ろすだけだったキャラクタが実際に姿を現してみたりと、これからの展開も期待出来そうな物語へと仕上げられている。伏線が実に多いのも気に入った。
 ただ、ラストは“すっきりしている”と書いたが、とんでもない描写まであり。いつの間にやらこの作品、メタフィクションになってるよ。登場人物が、自分たちは小説の中の人物であることを自覚してるなんて、こういう設定好きだなあ。
06'10'28 学校を出よう!5 NOT DEAD OR NOT ALIVE (著)谷川流 <amazon>
 突如第三EMP学園を襲った吸血鬼化現象。吸血鬼に血を吸われた人間はEMP能力を失う代わり、不死者の吸血鬼となってしまう。EMP能力を持たない人間は吸血鬼にはならないと真琴の言葉によって駆り出される高崎佳由季。一方、相変わらずの宮野は茉依子や類を巻き込みながら独自に捜査を開始していた…
 初めての前後編になった話で、これだけの長さがあれば、いくら脇道のような伏線を張っていても、色々遊びが入れられるね。後編も楽しませていただこう。
 ところで著者の作品って、元ネタがかなり分かりやすいのだが(例えば「涼宮ハルヒの憂鬱」なんかの場合、「ハイペリオン」からの引用が多い)、本作はなるほど「宇宙船ヴィークル号」とクラークの諸作品、そして「銀河帝国衰亡史」からの影響が強いのがよく分かる。
06'10'26 地獄の季節 (著)アルチュール・ランボー <amazon>
 ヴェルレーヌと共に漂白していた若き天才詩人ランボーが19歳の時に描いたという詩集。
 これを文学界に叩きつけた絶縁状と言う人もいる。
 確かに挑戦的な詩で、一つ所に止まることの出来ない自分自身が持つ苛立ちや、人から与えられる自分の人物評、あるいは既存の文学に対し、全てをストレートに叩きつけたような詩になっている。
 この作品が受け入れられるのは、結局人にはこういう何もかもに対して苛立ち、暴力的になる時というのがあるから、それを思い出して。と言うことになるのだろう。もし15年前にこれ読んでいたら、傾倒していたかも知れない。そんなことを思わせる作品だった。
 しかし、これを書いている時の著者、本当に全然幸せを感じることが出来なかったんだろうな。それだけは本当に思うよ。
地獄の季節
06'10'24 金色のガッシュ22 (著)雷句誠 <amazon>
 リオウによってかけられた呪いの刻限が刻一刻と迫る。呪いをかけられた人たちを全員救い、更に復活したファウードを止めるべく清麿たちは活動を開始する。そんな清麿たちの前に現れたのは、かつてガッシュやウマゴンと戦ったアースとカルディオだった。果たして清麿の作戦は成功するのか?
 ファウード編の見せ場で、ついにファウードの復活が描かれる。かなり盛り上がる展開には違いないのだが、前の千年の魔物編と較べると、そこまで盛り上がったかどうか?と言った所。面白いのは面白いのだが、展開に慣れが入ってきてしまったかな?
金色のガッシュ!! (22)
06'10'22 学校を出よう!4 Final Destination (著)谷川流 <amazon>
 自分の居場所に微妙な違和感を覚え、今の場所にいられないと感じて家を出た仲嶋数花。だが旅を続けるに従い、ますます違和感は大きくなっていく。そんな彼女を保護せよと命令を受けた第三EMP学園の退魔士コンビ宮野と光明寺茉依子。これには第一と第二EMP学園も絡んでおり、あたかも競争のような様相を呈してきたが…
 同じ著者の「涼宮ハルヒの憂鬱」シリーズははっきり言って第1巻が頂点で後はキャラクタの魅力で持っていったようなものだったが、妙なことに本シリーズは第1巻こそこなれてない印象を受けたものだが、巻数が進むに従いどんどん面白くなってくる。今回は特に並行世界。しかも並ぶ世界を巻き込んでの爆弾騒ぎという、SFでもかなり高度な部類に入るやつをシンプルな内容と、強引な見せ方で展開してくれた。
 正直驚いたのは、昔私自身小説を書きたいと思っていた時期があり、それで考えていたのが、まさにこの並行世界の爆弾という設定だった。それでほんと驚いたが、流石はこの辺商売作家。上手くまとまっていて、はっきり言って小説家を目指さなくて良かった。と思う次第。この作品の高評価は結局個人的なもの。
06'10'19 強殖装甲ガイバー24 (著)高屋良樹 <amazon>
 速水の死を経てついにギガンティックを再び殖装する精神力を得たガイバー1=晶。その晶とアプトムの前についに姿を現したカブラールの真の姿は、なんと身の丈100メートルを超える巨大な怪物だった。一方、三人のゾアロードを前に勝利目前だったガイバー3=巻島は突然ギガンティックを剥ぎ取られてしまう…二つの戦いの行方は…
 話としてはなるほど王道を突っ走る展開であり、なかなか盛り上げ方も良いが、相変わらず展開はのんびり。一体いつになったらこの物語は終わるんだろう?むしろそっちの方が心配だよ。多分最後までつきあうだろうけどね。
強殖装甲ガイバー (24)
06'10'17 学校を出よう!3 The Laughing Bootleg (著)谷川流 <amazon>
 第三EMP学園では一月前の事件以来めっきり想念体の発生が減り、保安部の仕事も少なくなった。そんな時に、光明寺茉依子の元に、生徒会から推薦されたと言って蒼木類という少女がやってきた。実は彼女のルームメイトが密室から突然消えてしまったというのだ。何の手がかりもないこの事件を追う茉依子。一方、男子部では何故か逆に入寮者が増え続けているという事態に、高崎佳由季は頭を悩ませていた…
 再び学園に戻り、今度は茉依子が主人公となって話が展開していく。割と話自体は長目だが、物語そのものはインターミッション的な感じが強い。非常事態が日常という学園を良く表した作品と言えよう。
 一つ思うのだが、これってイラストでかなり損をしてるんじゃ無かろうか?物語自体がかなりハードSFを指向しているため、いかにも萌え要素を強調したイラストには違和感を感じ続けて仕方がない。
学校を出よう!〈3〉
06'10'14 学校を出よう!2 I-My-Me (著)谷川流 <amazon>
 突然雨の路上に、しかも片手には血の付いたナイフを握りしめて立っている自分に気付いた神田健一郎。訳も分からずに家に帰ると、自分の部屋にはなんともう一人の自分が…一体自分はどうなってしまったのか。二人が思いついたクラスの変人である星名サナエの元に身を寄せ、これからの対策を考える三人だったが…
 同じくEMP能力を主題としているものの、主人公も違うしほとんど1巻と関わりのない物語が展開(ラストにほんのちょっと1巻の登場人物である宮野と光明寺茉依子が登場する程度)。更に時間のつじつま合わせという、「涼宮ハルヒの憂鬱」のメインストーリーと通じる作品となっている。
 わざわざこんな作品を書いた理由を好意的に考えると、ここに登場した星名サナエという女の子が後々の物語に関わってくるため…と思うのだが、どうなんだろうね?
学校を出よう!〈2〉
06'10'13 金色のガッシュ21 (著)雷句誠 <amazon>
 ファウードに到達した清麿たち一行だったが、分断させられ、更に強力な魔物キースとブザライがガッシュとキャンチョメを襲う。絶体絶命の戦いを強いられた二人だったが、もう仲間を消させないというキャンチョメの強い意志が新しい呪文を…
 残った魔物が一気に出始めた話で、全体的に見るなら、ほとんどの魔物はこの話で登場することになるだろう。キャンチョメの新しい呪文がなかなか面白いのと、ファウードに入り込んで、真っ先に試練を出す強烈なネーミングを持つウンコティンティンというキャラがなんとも良い味出していた…アニメ放映中だったはずだけど、よくこんなネーミング付けようと思ったもんだ。
金色のガッシュ!! (21)
06'10'12 学校を出よう! Escape from The School (著)谷川流 <amazon>
 超能力者を集め、隔離することを目的に作られた第三EMP学園。この中に自分自身は何の能力も使えないものの、春菜という妹の幽霊をまといつかせているために学園に入れさせられている高崎佳由季という少年がいた。非常事態が日常という学園生活を送る彼の元に生徒会からの呼び出しがかかる。学園を超えて町中にまで蔓延し始めた怪事件を調査せよ。と依頼されるのだが…
 著者の「涼宮ハルヒの憂鬱」とパターンは似ており、キャラの中にはかぶっているのも何人か登場してる。更にかなり読みにくいものになってしまったが、ラストの盛り上げ方はなかなかなもの。
学校を出よう!
06'10'08 責任 ラバウルの将軍今村均 (著)角田房子 <amazon>
 旧日本陸軍の良心と言われた人格者で、飢えに苦しんだ太平洋戦線の中、唯一餓死者を出さなかったラバウルの司令官今村均<wiki>の、戦中、戦後の生き方を通して描く太平洋戦史。
 著者作品は結構な数読んでいたが、それも10年以上も前の話(実は私のHNの一部は著者の作品から取ってる)。まだ読んでない作品が結構積ん読の中に置いてあるのを見て、とりあえず一冊。と言う感じで読み始め。名前こそ色々な所で見ることがあったものの、こんな人が陸軍にもいたんだ。とちょっと感心。
 生きている限り、人間には責任ってものが生じる。それをどう取るかは人それぞれだが、これは重要じゃないかな?骨太な作品で大変面白かった。
責任
06'10'05 げんしけん8 (著)木尾士目 <amazon>
 現視研合宿でついに笹原は荻上に告白。だが荻上は自分の過去を恥じて、その申し出を素直に受けられない。荻上は条件として自分の書いた漫画を読んでもらい、それで判断してもらおうとするが…
 ついに笹原と荻上が結ばれる話。色々な意味でかなり痛々しい作品に仕上がり、特に最初の一話はとても読み切れなかった。恐るべき作品である。実際つきあってしまうと、初々しいカップルと言った感じなんだが。ところで、これで終わると思ったのだが、もう一巻続くという。これだってかなりの加筆があったが、次巻は半分以上は加筆になるんじゃないのか?
げんしけん(8)
06'10'04 涼宮ハルヒの憤慨 涼宮ハルヒの憂鬱8 (著)谷川流 <amazon>
 「編集長☆一直線」ついに生徒会がSOS団に目を付けた。潰されたくなくば、本来の部室である文芸部として会報を出すようにと命令される。受けて立つハルヒだが、当然それに巻き込まれるのは“俺”たちSOS団という訳で…
 「ワンダリング・シャドウ」年度末になり、SOS団に二つ目の依頼が舞い込んできた。同じクラスの阪中という女子が近所に幽霊らしきものが出たと言っていたのだ。
 年度末の2つの事件を描いた作品で、一年分の総括と言った感じ。次のステップに進むためのネタ仕込みも含んでいるものと見られるが、久々にハルヒが中心にやりたい放題やってるので、結構楽しく仕上がっている。
涼宮ハルヒの憤慨
06'10'01 ジパング24 (著)かわぐちかいじ <amazon>
 ついに原爆は完成した。それを手にした草加を阻止するため、角松は“みらい”奪還を決意する。四面楚歌の中、しかも“みらい”には燃料もない状態で彼らに勝機は?そして原爆を手にした草加が打つ次の手とは?
 これまでどうにもすっきりしなかった“みらい”の位置づけが、ようやくはっきりしだした。ようやく風呂敷が畳まれ始めたと言った所だろうか。政治的な駆け引きも含め、又面白くなってきた所。
 ただ、著者の懐の深さだけじゃなく、実際著者自身が迷いつつ描いてるのかも知れない。そんなことを感じさせられもする。
ジパング (24)