読書日誌
2012’4〜6月

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12'06'29 ようこそ地球さん
星新一(検索) <amazon> <楽天>
 著者によるショートショート。
 何年かに一回位読み返したくなる著者のショートショートだが、そう言えばもう10年以上も読んでなかったのか。引っ越しで本を整理してたら出てきたので読んでみたけど、やっぱ面白いわ。
 ところで確かこれは読み返しのはずなんだが、半分位記憶がなかった。人間の記憶なんてそんなもんか。30年以上も昔に読んだという事実はさておき。
12'06'24 君に訣別の時を (著)北方謙三 <amazon>
 元F2ドライバー立花新太郎は、半年前に突然失踪した池田悠子から受け取った手紙を手に東北の寒村へと向かった。そこで出会ったのは、悠子を知っていると思しき一組のカップル。いつの間にかその二人のやっかい事にまで巻き込まれてしまう立花だったが…
 和製ハードボイルドの第一人者と言える著者だけに、本作は本当に上手にハードボイルドを取り込んだ作品となっている。こういう作品は貴重だと思うんだが、それが残らない日本の文壇に寂しさを感じるものだ。
12'06'22 バクマン。18 (原作)大場つぐみ (画)小畑健 <amazon>
 亜城木夢叶の新連載「リバーシ」は読み切りがジャンプ記録に残るほどのヒットを記録し、そのまま週間連載が決まる。折しも同時期に新連載が始まったエイジの新連載と人気を二分するようになっていくのだが…
 完全なヒットメーカーとなった主人公たちの活躍が描かれる話で、いよいよ最終回に向かってのカウントダウンが始まった感じでもある。読んでいてとても心地が良い話ではあったが、しかしこの話で一番面白いのは平丸の恋愛話ではあろう。何だかんだ言って良い編集者と巡り会った作家は幸せだな。
12'06'19 眉山 (著)さだまさし <amazon>
 徳島で小料理屋を営んでいた母龍子がパーキンソン病にかかったとの報を受け、急いで故郷へと帰ってきた娘の咲子。しかしそこにいたのは、自らケアハウスの入所から、死ぬまでの全てを自ら采配しようとしている気丈な母の姿だった。そんな母を何も出来ずに見守るしかない咲子だが…
 一人の女性の毅然とした生き様を娘の目を通して描いた作品で、著者の小説家としての力量をはっきり示している。歌手である著者がここまでの小説を描けるという事実が凄い。その内映画も観ておかねばな。
12'06'15 ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹 戯言シリーズ5
西尾維新(検索) <amazon> <楽天>
 ある日“ぼく”は拘束着を着込んだ行き倒れ少女に出会ってしまう。匂宮理澄と名乗る彼女とは、何故か事ある毎に再会することとなり、更に彼女の第一人格を名乗る同じ姿をした“殺人鬼”匂宮出夢も現れる。二人との出会いが“ぼく”の周囲に又しても不穏な殺戮を呼び込んでしまう…
 死んではおかしい人物があっけないほどに簡単に死んでしまい、新しく登場する人物達。様々な事が行われているのだが、最早話は何が何だかという感じになってきている。更にこれだけ長い作品なのに、この巻単体では話は終わってないし、消化不良の感は否めず。面白い事は面白いけど。
12'06'14 バクマン。17 (原作)大場つぐみ (画)小畑健 <amazon>
 突然ジャンプにベテラン作家が次々と復帰してくる。どれも画力はあってもストーリーを作る力を持っていない人ばかりだが、復帰した彼らは読者に訴えかける物語を手に入れていた。そんな時、サイコーとシュージンの元に、七峰から連絡が入ってくる…
 前回で新妻エイジの「クロウ」が終了という大イベントがあったが、前に亜城木夢叶に挑戦してきた七峰が復活するという話。又か。と言う感じと、前巻の盛り上がりと較べてしまうとどうしても落ちる感じの物語展開に、少々中だるみを感じてしまう。面白いけどね。
12'06'12 チーム・バチスタの栄光 下 (著)海堂尊 <amazon>
 “俺”田口が調査したチーム・バチスタの面々にはなんら怪しいところがないようだった。だが脅威の成功率を誇っていたバチスタ手術が連続で失敗してしまう。そんな時、“俺”の前に現れたのは、厚生労働省の役員白鳥だった。医院長直々の依頼と称し、あたかも自分の部下のように“俺”を使う白鳥。だが白鳥によって行われた聞き取り調査によって次々と真実が明らかにされていく…
 上巻からがらっと作風が変わってしまった感がある下巻。白鳥があまりに圧倒的な存在のため、全部見せ場をかっさらっていった感じ。なるほどこんな濃いのが最初から出ていたら主人公の意味が無くなってしまう。それで上巻はあくまで引っ張る形を取った訳だな。巧い構成だ。
12'06'09 チーム・バチスタの栄光 上 (著)海堂尊 <amazon>
 東城大学医学部付属病院の万年講師で不定愁訴外来の“俺”田口に医院長直々の呼び出しがかかった。それはこの病院で最高に脚光を浴びている心臓手術チーム通称“チーム・バチスタ”の内部調査を行うように命じられた“俺”は医院長命令には逆らえず、嫌々調査を開始するのだが…
 映画の方を先に観ており、オチは分かっている作品だったのだが、どっちが面白かったかと言えば明らかに原作の方だった。ただ、その分いかに映画が頑張って作ってるのかも原作読んで分かっても来た。ぐいぐい読ませる力を持った作品だ。
12'06'07 これは懺悔ではなく (著)高樹のぶ子 <amazon>
 著者による短編集「これは懺悔ではなく」「トマトの木を焼く」「パラパラザザザー」「風の白刃」「月への翼」の5編を収録する。
 女性の側から性の問題を描く、著者特有の感性によって描かれる特殊な恋愛模様。これが好みか?と問われると微妙なものではあるが。
 しかしなんでこんな作品が私の蔵書の中にあったんだろう?買ったとは思わないので、どこかでもらったのだろうな。「マイマイ新子」とはえらく違うな。
12'06'02 のだめカンタービレ14 (著)二ノ宮知子 <amazon>
 最初のマルレでのコンサートは散々な目に遭ってしまった千秋。逃げるわけにもいかず、このオーケストラで何とかしようと奮闘中。一方ののだめは相変わらず課題曲に対しムラっ気をもった演奏しか出来ておらず。二人の出会う試練はまだ終わっていない。
とりあえず主人公二人ともが苦労してるって話で、お互いになかなか大変そう。こういうタメが物語には必要なのだが、その分あまり書くべきことがない話。
12'05'31 下弦の月 (著)吉村昭 <amazon>
 著者による短編集。「海の奇跡」「鷺」「探す」「十点鐘」「動物園」「炎と桜の記憶」「下弦の月」の7編を収録する。
 戦争の影響を強く持ったドキュメンタリー風作品や、人の残酷社を強調したまさしく日本風の週刊を描いたもの、様々な著者流の面白さが詰まった作品といえる作品群だった。たまにはこういうのを読みたくなる性分。
12'05'29 ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 下 (著)スティーグ・ラーソン <amazon>
 リスベットの裁判が近づいてきた。彼女を救うために出来るだけのことをしようと援助するミカエルら“狂卓の騎士”の面々。一方、リスベットの父ザラチェンコのことを公表したくない公安の組織はリスベットを精神異常として収監しようともくろむ。
 上巻読み終えてから随分時間が経ってしまったが、なんとか全部読み切ることが出来た。終わりの分かっているものをいかにうまく見せて読ませるか。著者はその事をよく分かっている。これまで登場した人物にそれぞれ見せ場と危機を演出して緊張感が途切れさせず、読み応えも高い。ただ人が多くなりすぎた感じがあり、人間関係を頭の中で整理するのに時間がかかり、結果読むのに時間かかってしまった。
12'05'26 はじめの一歩99
森川ジョージ (検索) <amazon> <楽天>
 スピード勝負となった板垣と冴木。同じ境地を観る事が出来る二人だが、キャリアの差で冴木有利で試合は展開していく。圧倒された板垣は、手を出すことも出来なくなってしまったが…

 どうせ消化試合なのだが、それを1巻丸ごと使ってしまう意味があるのやら。もうどうなっても良いって感じ。いい加減一歩の世界での戦いを描いて欲しいもんだ。
<A> <楽>
12'05'24 天地無用!GPX7
梶島正樹 (検索) <amazon> <楽天>
 海賊タラントに狙われた積み荷を無事樹雷まで送り届けるという命令を受けた西南の守蛇化は海賊の攻撃から逃げ回っていた。その中で徐々に大人としての責任を身につけつつある西南。そしてその姿は彼を取り巻く女性達にも変化を与えていく…

 既にキャラはオーバーフローを起こしているというのにますますキャラを増やし続ける本作。最早風呂敷を畳むとか言うレベルではなくなってきた気がするのだが、まだアニメ版の半分にたどり着いたところ。まだまだ続きは長い。
12'05'20 傷物語 化物語3
西尾維新(検索) <amazon> <楽天>
 “僕”阿羅々木暦が戦場ヶ原ひたぎと出会うもっと前。新学期が始まった頃。最初の怪異と出会った。それは暦にとって、普通の生活どころか人間としての生を失いほどの大きな出来事。“僕”と吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードとの出会いの物語。
 化物語の前日譚として、何故阿羅々木暦が、いわゆる“吸血鬼の出来損ない”となってしまった出来事を描く話。流れるように話は展開しているため、明らかに著者がノッて描いているのが分かる。特に会話劇が楽しい。その分内容が低いのは愛嬌とも言えるか。
12'05'17 巨娘2
木村紺 (検索) <amazon> <楽天>
 池袋でチェーン店の焼鳥屋の店長を任されている巨娘(巨大な娘)ジョーさんの、パワフルに何でもかんでも解決していく豪快な活躍を描く第2巻。

 相変わらず面白い作品。毒を含んだコミカルさのバランスが絶妙且つその活躍がとても心地良い。読んでいるだけですっきりするという、とても貴重な作品でもある。
 この巻だと、やっぱり凄いのがアニメの制作現場にジョーさんが突入する回で、昔のアニメを知っている人だったらニヤニヤ出来るような小ネタが満載。「チクワ天体での波動砲」なんて、「やられた!」ってな感じだ。
12'05'14 伝説の「どりこの」 (著)宮島英紀 <amazon>
 大正時代に突然発売され、日本中が愛飲したという伝説の飲料「どりこの」。今や田園調布の坂の一つの名前としてのみ名前が残るその飲料。現代では製造不可能とされるこの飲み物の存在を知った著者が、その歴史から製造までを追った「どりこの」の軌跡。
 たまたまこの坂のことを知っていて、そこに住む人から薦められて読んでみた。角川で出している本なのに、内容は大正時代の講談社についてがほとんどだった。しかし歴史に埋もれてはいるが、こう言うのも世の中にはあるものだな。素直に感心したよ。
12'05'12 黄金の羅針盤 下 ライラの冒険1 (著)フィリップ・プルマン <amazon>
 捕らわれたアスリエル卿を救うため、ライラはジプシャンと共に北極に向かう。そのライラを追うマリサ・コールターの姿もあった…その中で戦闘熊のイオレクを助けたことによって、力強い味方を仲間にすることも出来た。ライラが追いかけるアスリエル卿は…
 惰性で読んでしまった感のある下巻。私には残念ながら全然面白いとは思えないのだが、とにかく売れてはいるようだ。続刊を読むかどうかはかなり疑問。
12'05'11 KEYMAN2
わらいなく(検索) <amazon> <楽天>
 ドクター・ネクロと共にKEYMAN狩りの犯人捜しを始めるアレックスだが、実はそれ自体がネクロを引っ張り出そうという何者かの罠だった。その罠にかかり、囚われの身となってしまうネクロ。一方、突然やって来たロンドン市警のアーロンからネクロの恐ろしさを聞かされるアレックスだが…

 ネットで公開されていたというKEYMANの続きだが、やっぱり面白かった。特にアレックスの元カミさんの存在が強烈すぎて、そこだけでも大変楽しませていただいた。
 後、デビュー作の「孫市がいくさ」が収録されていたが、これ読んでいたものの、著者の作品だとは知らなかった。あの時は結構面白い新人がいると思ってたんだがな。
12'05'08 黄金の羅針盤 上 ライラの冒険1 (著)フィリップ・プルマン <amazon>
 人間は誰しも魂の片割れとも言える“ダイモン”と呼ばれる小動物を持つ世界。ジョーダン学寮に住む孤児のライラは、ある日偶然学長室に忍び込んだ時、叔父であるアスリエス卿の暗殺計画を聞いてしまう。機転によって暗殺計画を未然に防ぐことが出来たのだが、その日以来ライラの生活は大きく変わってしまった…
 映画がとても下らない内容だったのだが、それ以前に買ってしまったので、読んでみた。とても売れた童話らしいのだが、実際に読んでみると、やっぱりあんまり面白くない。何故これがそんなに売れるのかが目下一番の不思議。
12'05'04 続・格闘的日常生活
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 力一杯仕事をし、力一杯遊ぶ著者の日常生活を綴るエッセイ集の続巻。ここでは主に釣りと旅についてが描かれていく。
 前巻はかなりのウエイトを格闘が占めていたが、ここでは大部分は紀行文と釣りの楽しみについてだった。アメリカやシルクロードの旅が叙情的に描かれており、これはこれで紀行文としてもきちんと読ませるように出来ていた。
<A> <楽>
12'05'03 月光条例17
藤田和日郎 (検索) <amazon> <楽天>
 月打され、自分の物語に帰ったチルチルだが、戻ろうとした彼の前に、そこには彼そっくりのチルチルが存在した。物語に戻ることが出来なかったチルチルは何故か日本に飛ばされてしまった。そこで出会ったセンセイと呼ばれる人物の家に寄宿することとなり、名前もサンキチと変え、農夫の生活を送ることになるのだが…
 本編の方は少しお休みとなり、チルチル=月光の昔話。100年近くも昔。センセイ=宮沢賢治との邂逅と、そこでの彼の活動を手伝う月光=サンキチの活躍が描かれていく。そういや宮沢賢治は出てきて然りの人物だったか。
<A> <楽>
12'04'30 化物語 下 (著)西尾維新 <amazon>
 撫子スネーク:町にある神社にお札を貼るという忍野の奇妙な依頼を果たそうとした“僕”阿良々木暦は、その神社で知り合いの妹の同級生千石撫子を見かける。状況から何かまずいことが怒っているのではないかと思い、声をかけてみる
 翼キャット:ゴールデン・ウィーク開けに暦を悩ましたクラスメイトの羽川の様子が夏休み前に又おかしくなり始めた。彼女の中に眠っていた化け猫が再び活動し始めたと推測する暦。だが頼りの忍野は町から消えてしまっていた。
 “物語”シリーズ第2巻。上巻からの続きで新しいキャラが出てくることとなるが、相変わらず言葉のキャッチボールが楽しい作品。
12'04'28 わがタイプライターの物語 (著)ポール・オースター <amazon>
 著者が20年以上も愛用している中古のタイプライター。単なる執筆の共であったこのタイプライターに惚れ込んだ画家のサム・メッサーが著者の似顔絵と共に描いたタイプライターの絵の数々を挿絵に著者のタイプライターの愛を綴ったエッセイ。
 個人的にタイプライターというのは一種の憧れがあって、こう言うのを書かれてしまうと、なんかつい欲しくなってしまう気がする。例えばインテリアとして買ってみたくもなる。
12'04'25 中国嫁日記2 (著)井上純一 <amazon>
 40歳オタクな“私”ことジンサンと、その妻となった月の生活を描く作品の第二弾。Webにも出ていた東日本大震災と、書き下ろしで月と著者が結婚に至るまでの婚約期間の出来事を描く。
 丁度東日本大震災の時は、この人のtwitterも見ていたもんだが、これを読んでいると、その時のことをまざまざまと思い出してくる。
12'04'23 不眠症 下
スティーヴン・キング(検索) <amazon> <楽天>
 不眠症が進み、人のオーラが見えるようになったラルフ。しかし同じ症状を持っているのは彼だけではなかった。近くに住む老女ルイスも又同じ悩みを抱えていたのだ。そんな二人が出会った医者の姿をした超自然の存在は、二人に氏名があることを告げる。これからデリーで起ころうとしている大量殺人を防ぐため。とりわけその中に含まれる“運命の子”を救うため…

 結果として言えば、老人版「デッドゾーン」のような話になっていた。後半の疾走感は流石に著者と言った感じ。この作品の時点ではやはり「暗黒の塔」の影響は強いらしく、「暗黒の塔」ラスト近くと重なっている部分もあり。
12'04'21 不眠症 上
スティーヴン・キング(検索) <amazon> <楽天>
 メイン州デリーに住む老人ラルフは妻キャロラインの死を看取った後、不眠症に悩まされ始めた。折しもデリーは女性の中絶を認めるかどうかで大揺れで、ひょんなことからラルフは中絶反対論者のエド・ディープノーから目を付けられてしまった。どんどん不眠症が悪化するラルフは、ある時から人間を取り巻く不思議な光を見るようになるのだが…

 著者在住のメイン州を舞台にした話。内容がとにかく詰まっている感じで、読むのに非常に労力がかかってしまった。
 そう言えば本作の舞台はメイン州ではあるがキング得意のキャッスル・ロックではなく「IT」の舞台となるデリー。これが書かれていたのは、確かキングが事故に遭った頃。「暗黒の塔」と並行して書かれているんだよな。
12'04'19 修羅の門 第弐門4 (著)川原正敏 <amazon>
 毅波秀明に勝利を収め、次の対戦相手として“皇帝”と呼ばれる最強の闘志が予定されていた。だが当の“皇帝”は呂奉先という無名の対戦相手に敗北を喫してしまう。中国由来の陸奥とも言われる暗殺集団が表舞台に出てきた事に、危機感を覚える者もいるが…
 第一部の時と較べると展開がかなり遅くなってしまった感があるが、ようやく本当に強敵と言えるキャラが登場してきた。まあ、それでも戦いそのものが少し間延びしてしまってる感じもあるんだが。