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ケルベロス

ケルベロス 鋼鉄の猟犬
2010
徳間書店
 1944年。“総統”暗殺後の独ソ戦線の前線に向かうドイツPK(宣伝部隊)の一団があった。隊長はこれがデビューとなる女性監督のマキ・シュタウフェンベルク。それにカメラマンのホラーバッハと助手のラウトというたった3人の部隊である。“総統”暗殺者を伯父に持つマキのごり押しで構成されたこの部隊が狙うのは、かつて親衛隊肝煎りで結成され、総統の玩具とも言われた特殊部隊。 それは、装甲猟兵。別名“ケルベロス”と言った。最前線で戦っている彼らの最後をカメラに写し取るため、彼女達は前線へと向かう。

 いつの間にか独自展開を続けていくようになったケルベロス・サーガ。その歪んだ歴史はどのように形作られたか。ケルベロスを出汁に使い、現在とは違う歴史を描こうとする野心作。中身は兵器の蘊蓄と戦術理論が「これでもか!」とばかり書かれている。はっきり言って一般人には絶対お勧めしないけど、やや兵器マニアあるいは戦争マニアの気が少しでもある人には、絶対的にお薦め。とにかくにやにやしながら読めること請け合い。

 ちなみに、ケルベロス動乱が起こった歴史というのは、第二次世界大戦でドイツが勝利を得た世界とされている。そんな歴史をどう可能にするかの挑戦がここには語られている。
 まず前提条件として、アメリカは南北戦争の結果、分断国家となり、未だに戦争は継続中のためヨーロッパ戦線に手出しできず。そしてドイツは総統の暗殺によって、国家形態が変えられ、戦いの相手もソ連に限られるようになった。そして、その勝利を確定したのは…という話になってる。そのオチは読んでください。

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