ロス市警の刑事トーマス(コティーズ)は不可解な殺人事件に遭遇する。人間業とは思われない殺され方と、しかも殺されたのは人間ではないという死亡診断書。疑問を抱えつつ捜査を続行するが、実はこれは人間界、天上界、地獄の三つの世界を揺るがす大事件だったのだ。神に対する疑問を持った堕天使ガブリエル(ウォーケン)は、この地上を抹殺しようとしているのだ。天使長というミカエルからその事を知らされたトーマスだが…
「バックドラフト」の脚本家として知られるワイデンの初監督作。
堕天使と天使と悪魔が単にどつき合うという設定はいかにもC級。やってる物語は馬鹿馬鹿しいB級。世界の危機!と言う割には局地的すぎる戦いで終わってしまうというしょっぱさの漂う作品ではあるのだが、実は物語のテンポとキャラクタのはまり具合が良いので、結構楽しんで観ることが出来る。最初から「馬鹿馬鹿しい」と思って観ると、意外な楽しさもありだろう。
結果的に本作の面白さというのはキャラを観る事に尽きるのだが、それにしても今から考えるととても豪華だ。1983年に「ブレイン・ストーム」と「デッドゾーン」をやって以降、主人公よりは悪役を好んで演じるようになったウォーケンだが、本作では一応の主人公のコティーズを完全に食ってしまう悪役主役ぶり。この作品での立ち居振る舞いが実は一番よくはまっていたんじゃないかと思う。ポーカーフェイスで何を考えているのか今ひとつ分からないが、凶悪な笑みを絶やさないなんて、やっぱウォーケンならでは。対する天使役がストルツやモーテンセンだから、一癖も二癖もある奴らがぐっちゃんぐっちゃんになって戦ってるので、それを笑って観られるなら楽しい作品。とくにモーテンセンは今でこそブレイクしたが、当時はほとんど無名。だからこそ、最初小物だとしか思わなかったのが実は…という意表を突く展開でも違和感なかった。彼のフィルモグラフィでは一番はまった時代の役柄。
演出に関してはかなり無茶苦茶。なんせ天使や悪魔の戦いが何故か終始素手での殴り合いだけで終わってしまうと言う…馬鹿馬鹿しすぎて、いっそここまでやるとすがすがしいぞ。
物語自体は本気でどうしようもない。と思ってたら、ちゃんとラストで意外性も出していたし、それなりに個性を出せた作品だと思う。
当然ながら、こういったそこそこヒットした作品というのは得てして続編という奴が出てくる訳だが…当然の如くその出来は… |