近未来のニューヨーク。ストリックラー病と呼ばれる死の伝染病が蔓延していた。昆虫学者スーザン(ソルヴィーノ)は、病原菌がある種の虫によって介在されることに着目し、その虫のみを殺す新種の虫を遺伝子操作によって生み出すことに成功した。「ユダの血統」と名付けられたこの新生物の威力はすばらしく、瞬く間にストリックラー病は根絶させられた。さらに「ユダの血統」には自殺遺伝子が組み込まれており、ストリックラー病の根絶とともに全部死んでしまったはずだった。しかし3年後、ニューヨーク地下で行方不明が続発。生き帰った人間の証言から、それは「ユダの血統」によるものと推測された…
最近のハリウッドは外国人監督の躍進が目立つが、その中で最も躍進しているのはラテンアメリカ出身の監督たちであろう。その中でも独特の映像表現を確立しているデル・トロ監督の名を一躍有名にさせたのが本作。
話そのものはまったく語ることがないほどの典型的B級SFサスペンスで、地上波の映画放映ではいかにも喜ばれそうな素材としか言いようがないのだが、映像表現は実にすばらしい。モンスターの見せ方や緊張感の演出もそうだが、それらは光の使い方がとても巧いことから来ている。地下の世界が舞台だけに、全面にわたって暗い画面がメインなのだが、その中でキャラをぶれることなく見せ、闇の中から飛びかかってくるモンスターに当てられる一瞬の光でしっかりメリハリがついてる。中でもタイトルデザインは秀逸。これは『セブン』(1995)で名を博したカイル=クーパーによるものとのこと。道理でオープニングシーンが良く似ている。
ただ、いくら演出が良いとは言っても、物語の設定があまりにもありきたりで、既知感ありまくりの物語展開。終わり方も不自然なまま。燃焼不良。それに丁度同じ時期に『レリック』もやっており、物語展開がありきたり。
ちょっと残念な感じかな? |