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フランケンシュタイン対地底怪獣

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フランケンシュタイン対地底怪獣
1965年
本多猪四郎(監) 水野久美、ニック=アダムス、高島忠夫
 ドイツの化学者リーゼントロフ博士の手によって保存されていたフランケンシュタインの(怪物の)心臓が潜水艦により日本に運び込まれた。ところが、その研究所は広島の原爆で破壊されてしまう。15年後、原爆研究所で働く女性戸上李子(水野久美)は、不思議な少年を見かける。不審に思い助け出すが、彼は充分な栄養の元、どんどんと成長していく。実は彼はフランケンシュタインの心臓から生まれた怪物であったのである。巨大化を続ける怪物に、人は恐れをなしていく。心ない人間の刺激で怪物は病院を脱走。日本中を逃げ回る。その時、富士山麓に突如現れた地底怪獣。人間を食料とするその地底怪獣にフランケンシュタインの怪物は立ち向かっていく。
 冒頭、流石怪獣もの!と言う具合にマッド・サイエンティストが登場。これが結構凄まじい性格をしているのが実に良い。
 そして、流石円谷!特撮技術は最高。この年代にここまでの特撮技術があったことに驚かされる。撮影もよく練り込まれているし、今の何でもCGでやってしまおうと言う風潮の映画家に見せてやりたいくらい質が高い。更に伊福部昭の音楽がよくマッチしている。
 ストーリーの方も、人間に追われ、やむなく逃げ回る怪人が、人間のために戦うシーンが涙を誘う。敵役として登場した地底怪獣バラゴンの残忍さもよく表されていた(マイナーな怪獣ではあるが、ゴジラに次ぐインパクトがある)。
 ちなみにこの作品、日本公開版とインターナショナル版の二種類がある。インターナショナル版は残酷描写を避け、ラストも変化しているのだが、このラストはどうしても首を捻る。バラゴンをやっとの思いで倒したフランケンシュタインの怪物の前に突如、なんの脈絡もなく
巨大タコが現れ、湖に引きずり込んでお終い…
 次回作の
『サンダ対ガイラ』(1966)の伏線なのだろうが、ちょっとこれはないんじゃない?

 

大ダコ
【おお-だこ】
 インターナショナル版の最後に登場する怪獣で、湖(!)から現れ、バラゴンに勝利したフランケンシュタイン(の怪物)を湖に引き込んでしまう。次回作の『サンダ対ガイラ』(1966)の伏線なのだろうが、ちょっとこれはないんじゃない?  甘崎
河井大尉
【かわい-たいい】
 ドイツから移送されてきたフランケンシュタイン(の怪物)の心臓を広島に送り届けた元軍人。役は土屋嘉男。 甘崎
川地堅一郎
【かわち-けんいちろう】
 ボーエン博士の下で働く研究助手。復活したフランケンシュタイン(の怪物)を単なる研究材料としか見ていない傾向にある。役は高島忠夫。 甘崎
戸上李子
【とがみ-りこ】
 広島にある原爆研究所で働く女性職員。町で不思議な少年を見かけて保護するが、その少年こそが心臓から再生したフランケンシュタイン(の怪物)だった。皆がフランケンシュタインを殺そうとする中、ボーエン博士と共に、彼を保護しようと奔走する。役は水野久美。 甘崎
バラゴン フランケンシュタイン、パゴス、ネロンガ、ガボラ、マグラ
【ばらごん】
 東宝フランケンシュタインの対戦怪獣として登場した怪獣。狛犬のような愛嬌のある顔と、意外なスピードで動く俊敏性で人気を博した。しかしながら、家畜や人を食うあからさまな残虐性はその小柄さゆえにクローズアップされたとも言える。怪獣として非常にオーソドックスな形態は使い勝手が良く、ウルトラシリーズのパゴス、ネロンガ、ガボラ、マグラに次々に改造され続けた。その後『怪獣総進撃』で東宝へ里帰りしたが、登場場面をゴロザウルスに奪われてしまうなど不遇とも言えたため、本格的な再登場は『大怪獣総攻撃』を待つことになる。ここでは立場を一転して「護国聖獣」の一匹となり、小柄な体でゴジラに立ち向かってゆく健気な役割を演じた。 水那岐
フランケンシュタイン
【ふらんけんしゅたいん】
 正確には“フランケンシュタインの怪物”。ドイツで心臓が保存され、研究されていたのだが、ドイツの敗戦に伴い、その心臓は日本に運び込まれる。そしてその心臓から生まれ、巨大化する。性格は意外にも穏和で、人間が襲われている事を知ると、バラゴンと戦う。 甘崎
ボーエン
【ぼーえん】
 ジェームズ=ボーエン博士。生物学の博士で、かつて広島で行われていた再生細胞の研究を続行している。当初研究材料としてフランケンシュタイン(の怪物)を研究していたが、後に戸上李子と共に保護に奔走する。役はニック=アダムス。 甘崎
リーゼントロフ
【りーぜんとろふ】
 ドイツの生化学研究博士。保存してあったフランケンシュタイン(の怪物)の心臓から、細胞再生研究を行っていたが、ドイツの敗戦に伴い、その心臓を日本に輸送する。 甘崎