第二次世界大戦時に紛失したと思われていた北京原人の頭蓋骨の化石が、2001年になって東シナ海の海底で発見された。その化石を秘密裏に持ち帰った日本の生命科学研究所は、そのDNAから北京原人そのものを甦らせようという実験に着手するのだった。佐倉竜彦(緒方直人)と竹井桃子(片岡礼子)の二人の科学者によってついに実験は成功する。三人の親子として蘇った北京原人をそれぞれフジタカシ、ヤマモトハナコ、ケンジと名付け、生態研究が始まった。しかしこの実験に対し、本来の所有者である中国政府と生命工学の先陣であるアメリカが動き出していた。そして中国側のスパイ美々(ジョイ・ウォン)によって三人は連れ去られてしまう。同じ頃中国では北京原人が発掘された同じ場所から発見されたマンモスの復元が成功しようとしていた…
日本の誇る1900年代最も凄い作品!こう言って多分ある意味では間違いではない。これが全国公開されたと言うだけで奇跡に近い。
かくいう私は劇場公開の際には観に行くことがなかったのだが、色々と本作の噂は聞いていたので、トンデモ映画が割と好きな私としては、本作を観る時を大変楽しみにしていたものだ。それでたまたま近くのレンタルビデオ屋が潰れることになって一本250円という安価で売られていたのを手に入れ、早速拝見。
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うむ。確かにこれは凄いわ。これを真面目に観ることは私にはほぼ不可能な所行。『デビルマン』(2004)先に観てなかったらビデオでも耐えるのは困難だっただろう。この時ばかりは『デビルマン』に感謝した。あれを観て以降、変な映画を目の当たりにした際は、なるだけ笑って変な所を楽しめるようになってくれたお陰で無事早送りもすることなく全部観ることができた。が、約2時間の時間を凍り付いたように笑みの形を作っていなければ耐えきれなかった。
内容がどうこうではない。これを全部観た!と言うだけで充分褒められてしかりだ。ここまで想像を絶する作品が出来たと言うことに日本の映画の力強さというものを感じられる。秒単位でツッこめるのだが、ツッこむこと自体がナンセンスという恐るべき作品に仕上がってしまった。
ストーリー、人物描写、設定、無駄なCG合成、そして感動させようとする姿勢。全てが見事なほどに空回り…いや、これこそが目的だったとすれば、素晴らしすぎる。少なくともこれは狙って出来ることではない。
これがあの『新幹線大爆破』(1975)という傑作を作った佐藤純彌監督と同じとは到底思えない。いや、少なくともこの二作を監督したと言う事実だけで佐藤監督は日本における大いなる足跡を残したと言えよう(事実佐藤監督、この作品作ったことで相当干されたようで、次の作品作るまでに8年の時間が必要だった)。
この作品は映画好き用の試金石として位置づけるのが一番正しいのではないだろうか?この時間を耐え、そしてこれを貴重な体験といえるならば、それは相当な映画好きといえよう。もし映画の話をしている時、唐突に「うぱー」と言ってみよう。それで反応できるなら、それは相当な通だ(笑)
少なくとも一つ、「ウパー」という叫び声を一度は使いたくなるのが本作の最大の利点だろう。うぱー。 |