孤児院で寂しく過ごしていた小百合は、突然自分が南条家の娘であることを聞かされ、両親の待つ家に行くことになった。だが、そこにいたのは自分を娘と思ってくれない母夕子と、それを助長するかのようなお手伝いさんのしげだった。唯一彼女に優しくしてくれた父吾郎は毒蛇の研究のために、アフリカへ出かけねばならず、小百合は孤独なまま屋敷に残される。その中で健気に母に接する小百合だったが、どうもこの屋敷には秘密があるらしいことを知るようになる。案の定、この屋敷には秘密の部屋があり、そこには小百合の姉、タマミが住まわされていたのだ。タマミは幼少の頃に毒蛇に噛まれたことが原因で、体中に鱗が生えてしまうようになったのだ。そして吾郎がいなくなったことで屋敷にでることができるようになったタマミは事あるごとに小百合に意地悪をしてくる。しかも夜な夜な小百合の前には真っ白い髪をした鬼面の女性の姿が…
楳図かずお原作の漫画の映画化作品。『妖怪大戦争』との併映のため急遽作られた作品で、予算の都合上、モノクロ映画となってしまったが、実際の話、『妖怪大戦争』と合わせて考えてみると、こちらの方が怖いのは事実。
楳図かずおの漫画は怖いながら読んでると引き込まれてしまう感じがして、子供の頃は読みたくない読みたくないとか思いつつも、ついつい読んでしまって、夜眠られなくなってしまうということを繰り返したものだ(小学校で流行ったもので、色々貸してもらった)。その辺が楳図作品の醍醐味というやつなのだが、今から考えてみると、この人の作品はお化けが出てくるのが怖いのではない。主人公が追いつめられていく課程が丹念に描かれているところが一番怖いのだと思う。つまり、ここでの怖さというのは、人間の本性に関わることであり、就中一番怖いのは人間に他ならないという結論が一番の醍醐味なのだろう。
本作も一応特撮部分が多用された作品ではあったが、実際の怖さはやっぱり追いつめられていく主人公小百合の過程に他ならない。しかも小百合が健気なだけに、とても可哀想になってしまう…そうなんだよな。この作品の場合、怖いより、痛々しいというべきなんだろう。
ホラーの怖さの演出というのは、こういう方法もある。
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