突然の事故で母を失った岩本サトル(本当奏多)は、ショックのあまりリハビリも拒否し車椅子で自分の部屋に閉じこもったままだった。サトルの父薫((中村雅俊)は自分が勤める会社で開発された遠隔操作ロボット<H-603>をサトルに与えた。これを使い代理登校することとなるサトル。物珍しさも手伝い、ヒノキオという渾名が付けられたロボットは人気者となるが、早速ガキ大将のジュン(多部未華子)らはヒノキオにちょっかいを出し始める。その頃こども達の間では「パーガトリー」というゲームが流行っていた。煉獄から脱出し、天国へと向かう超難度のゲームに、自宅にこもるサトルも興味を持ち始める…
正直この設定を見た時は「なんだこりゃ?」と思ったし、個人的に言えば、こどもの引きこもりとか不登校を主題とするのはあんまり好みじゃない。
そんなもんでてっきり痛々しいだけの作品だろうと思ってスルーしていたのだが良い意味で裏切られた感じ。古いジュブナイルを巧く現代的にまとめたような作品で、設定とかはともかく、本当に起こりえる物語が展開されていた。
それになんだかんだ言って、あくまで人間に主体を置いた作品展開もよろしい。監督はCGデザイナーとのことなので、もっとメカメカ下ものとなるのかと思ったが、思った以上に自然な作品になっていたし、結局機械がどのように関わっても、結局は人間のつながりによって物語が展開しているのは好感度高し。ゲームの話は蛇足っぽい感じもするんだが、物語の組み込み方も決して悪くない。
中性的な多部未華子の魅力もしっかり演出。この年代だけにしか出来ない演技ではあったけどね。二年後の『夜のピクニック』ではしっかり女の子してたし。
強いて言うなら、監督の経験不足で物語のつなぎがあんまり良くなく、多少強引な展開にしてしまったことか。特に後半部分のゲーム画面はあんまりにもやっつけ仕事な感じ。現実部分があんなに自然だったのだから、ゲーム画面ももう一工夫欲しかった。CGデザイナーのくせに、CGのみで作られた画面が下手ってのは問題ありじゃない?
軽い毒が嫌味に感じる程度入ってるので、万人向けではないけど、結構面白い作品なので、幅広い人に観て欲しい作品ではある。 |