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MM9-MONSTER MAGNITUDE-

MM9-MONSTER MAGNITUDE-事典

 

主な登場人物
藤澤 さくら (役)石橋杏奈。特撮でのメインは本作のみ。
 
話数 タイトル コメント DVD
第1話 M確認ス、気特対出動セヨ!

  監督:古厩智之
  脚本:伊藤和典
 怪獣が出没する日本。ここで怪獣災害の警告および予防を行う気特対(気象庁特異生物対策部)に勤める朏万里に新人の女性隊員藤澤さくらが付くこととなった。その着任前日に海から怪獣が上陸したという連絡が入り、出動する気特対。
 フルドネラ登場。コードネームはM7号。海から上陸してしばらくとどまったが、そこで卵を産んで帰って行った。卵は確認できたが本体の姿は全く出てこない。
 怪獣という存在を前にした、人間ドラマを描く話で、第1話となる本話は気特対の女性職員である朏の日常をベースに、気特対のあり方を描く。どことなく「機動警察パトレイバー」の特車二課を思わせる描写はやはり脚本の伊藤和典のお陰だろう。待機任務状態での雑談なども良い具合。
 気特対は相当特殊な部署なので、その存在をどう明かすかとか、結構微妙な立場であることがしっかり描かれるのが面白い。怪獣の発見者が不倫の真っ最中だから通報をわざと遅らせたとかもリアリティある。
 今回の中心となる尾野真千子を含め、ブレイク前とは言え、高橋一生や重松清とかが普通に出ているのが今からするととても豪華だ。ちなみに本作の主人公である藤澤さくらは最後にちょっとだけ登場したのみ。
<待機任務での雑談は80年代のポップミュージックについて。ストライク世代には懐かしい話題だ。>
第2話 マイルール

  監督:古厩智之
  脚本:伊藤和典
 新しく気特対員となった藤澤さくらは先輩の朏万里について研修が始まった。だが誰に対してもため口で喋るさくらに対し、万里はいらつきを隠せない。挨拶のために研究所に着いた二人だが、そこではMが逃げたと言われる。研究所内にいるはずのMを探すよう頼まれる二人。
 前回ラストで登場した主人公が登場。同僚に対してはため口で喋るというマイルールを持っており、しかも勝手な物言いのため、周囲の人間を苛つかせるキャラ。そんな彼女とバディを組まされた朏万里の苦労が忍ばれる。それでもやるときはやるキャラ。
 今回ははっきりMが登場してるが、CGでの粘液みたいなもので、不定形生物。
 気特対の妙に際立ったキャラ付けと言い、少ない予算でやりくりしなければならない状況と言い、責任のなすりつけあいと言い、やっぱり「機動警察パトレイバー」だなこれ。世間一般の人に嫌われる職業だが、時折理解してくれる人が出てくるのもそれっぽい。
 色々人間側で努力してMを退治しようとしたら、Mの方が勝手に死んでしまったというパターンも伊藤脚本の醍醐味。応援に来た灰田が結局何の役にも立たずにすごすご引き下がるのもそうだな。
<ネタではあるが、常々「機動警察パトレイバー」後藤隊長役は松重豊が一番合うと思ってたが、思った以上にほんとに後藤隊長だった。>
第3話 守ります 人と自然と この地球。

  監督:及川 中
  脚本:伊藤和典
 複数の団体から取材を受ける気特対。だが中学生の取材中に気象庁から異常事態が起こったと報告がある。色めき立つ中学生たち。一方女性誌の取材を受けていたさくらは遅れて現場に向かう。

 基本的にこの作品は特殊業務の組織の日常が描かれる事になる。特殊な任務だけに通常はあんまりすることがなく、ネットで怪しい事件を探すこととか、広報でインタビューを受けるとか、やっぱり特車二課だなあ。取材はストレスが溜まるため、内部の押し付け合い合戦も起こってる。気特対内部も結構ギスギスした雰囲気あるが、仕事はきっちり行ってる。
 そんな中、部長事案ではないとされて報告が上がってこないため、まったりと過ごす久里浜部長の姿もあるが、頭の中にはいろんな情報が詰まってるようで、漏れ聞いた情報から可能性を導き出してる姿もある。あくまで可能性だけで話は終わってしまったけど。
 さくらは取材中九州弁が出てしまってる。
 ちなみに最後に久里浜部長が言った「神、すべてをしろしめす。すべて世は事もなし」はブラウニングの死の一部だが、有名な「赤毛のアン」の最後の台詞で、こういうところが伊藤脚本の面白さだ。
 取材に来た中学生の中に橋本愛がいた。ちょい役っぽいが、さらりとこんなキャラ出せるのが凄いな。
第4話 脱出!禁忌ノ森

  監督:及川 中
  脚本:伊藤和典
 山梨の山中で案件の調査に向かった気特対の案野悠里と藤澤さくらが行方不明となった。山中を彷徨う内に案件のSと遭遇するが、それは不思議な姿をしていた。一方バックアップなしにその行方を追う灰田涼と朏万里。

 主人公藤澤さくらと気特対の科学者藤澤さくらの二人が調査に向かう話になる。女人禁制の山に女性が入るとどうなるか。このテーマは昔から特撮では使われていた。大概何も知らない軽いノリで山に入って酷い目に遭う。本話も基本はそれだが、山に入っているのが主人公で、更に多少の事前知識を持っているという違いがあって、それが上手い具合に働いている。
 相棒に対して、ため口というより見下したような物言いをするのはこのキャラの味だが、会話にちょっとイラッとする。ただ度胸だけは人一倍あるので、ちょっとしたところで機転を利かせるということで、単なるギャルではないのも本作らしさだ。
 尚、さくらは同僚にため口を使うのは、完全に屈服させられるまでは、仲間は対等に扱うというマイルールを持っているからと説明された。ちなみに自分でも「面倒くさい性格」と言っているので自覚はあるようだ。
 隊からの行方不明者が出ると、単に身柄が心配と言うだけでなく、組織としての体面というのも出たりして意外に面倒なのを描くのも本作の味。部長に言わせると「それも給料の内」だとか。伊藤脚本の特徴的な台詞だ。
第5話 吠谷町M防衛線

  監督:田口清隆
  脚本:田口清隆
      樋口真嗣
      伊藤和典
 山梨県にある吠谷町に巨大Mが現れたM−8と認定されたそのMに自衛隊が出動したが、そのMが吐く臭い液体で近寄ることができなかった。調査のため気特対が出動することとなる。

 噴射怪獣シッポン登場。M−8に認定された怪獣。豚のような頭部を持つ四足歩行の怪獣。体液を付けて山にマーキングを行っていたが、その体液は可燃性で、自衛隊の攻撃を受けて大爆発を起こした。ちなみにネーミングは久里浜部長が適当に取ったメモから。
 初めて駆除対象となる怪獣が出現した。この場合駆除対象となり、気象庁管轄の気特対ではなく自衛隊の出番となる。Mが出たのに気特対は出動対象外となり、ずっと本部で詰めているだけの話だった。
 自衛隊出動だと気特対は待機業務になるが、何もしない訳にはいかないため、全部のテレビ番組を流して一人一人がチェック。更にネットの情報を目で追うという非効率極まりない調査をしてる。全員でカップラーメン食いながらテレビ見てるのはなかなかシュールだ。
 一応気特対の方ではMが爆発する可能性を自衛隊に通達してるのと、犬と似た修正を持つ事を通達してる。結局その情報だけは受け取ったものの、自衛隊の意地で攻撃して大爆発を起こすというオチがついたけど。
 それで「我々に責任はない」ということで決着。
<テレビの中で12チャンネルだけは通常放送でアニメを流していたとか。どことは言わんが。
 シッポンの日本の触手は尻尾ではなく生殖器。これを画面に出すのはまずい…と思ったら黒丸で隠してた。う〜ん。>
第6話 O mio babbino caro

  監督:樋口真嗣
  脚本:伊藤和典
 帰宅途中の案野悠里は踏切で自分を見つめてる女の子の視線に気づき、その直後に気絶してしまう。起き上がった時、そこは昭和25年の鎌倉で、祖母の園子の精神に転移してしまっていたことを知る。

 4話に続き案野悠里の中心回。祖母になってしまったのだが、なんとなくそれを受け入れてしまうあたりが面白い。何故この時代に精神が来てしまったのかを探るのが目的だったが、なんとなく終わってしまった。
 ただ、鎌倉に現れるはずのないMが一瞬現れ、そのまま消えてしまったことから、この誕生を阻止するために悠里は過去に送り込まれたことが推測される。
 悠里の曾祖父十宮宗吉役は國村隼。さらっと有名な役者持ってくるのが本作の凄いところだ。あと、気絶した悠里を助け起こす通行人役が庵野秀明だったのと、悠里がタイムスリップするきっかけを作った少女役で橋本愛が再登場。3話の時点ではちょい役かと思ったのだが、なんかもう少し物語に関わってくるのかな?
 昭和25年にもMは出てくるが、それを「怪獣」とちゃんと呼んでる。最初の「か」にイントネーションが置かれているので、そこに違和感を作り出してる。
<劇中で『禁断の惑星』が言及されているが、この映画は1956年に公開だから、1950年のこの時代には合わない。それともなんかの伏線なのか?>
第7話 山、動く

  監督:登坂琢磨
  脚本:伊藤和典
 友人に無理矢理頼まれて合コンに参加させられた万里は、そこで知り合った男性と飲み比べをすることになった。飲み勝った万里だが、翌日激しい二日酔いを抱えて出勤したところ、なんと防衛省から出向してきた役人氷室真琴こそ、その男だったことを知らされる。

 ようやく主人公?の朏万里に話が戻ってきた。恋人とも会えず、無理矢理出席させられた飲み会で泥酔するという、いかにも独身女性といった感じだが、そこで知り合った男が実は防衛省の役人で、気特対に出向してきたというオチ。
 昨日知り合った男が職場に来たので、なんだよラブコメか。と呟いたら、灰田がまんま呟いてた。外さない脚本だな。
 気特対と防衛省との駆け引きが存在。M災害を未然に防ぐのが気特対の役割だが、それは誰からも評価されない。いっそM災害を起こしてしまって、それを防衛省に丸投げできればと部長がぼやいてた。
 それで防衛省からやってきた氷室真琴という男だが、当然のように気特対からは浮きまくってしまう。
 それでなんと、本作は前後編だった。
<気特対のPCがハッキングされ、画面に文字列がひたすら流れるのはまさしく『機動警察パトレイバー the movie』まんま。これも外さない脚本だ。>
第8話 認定

  監督:登坂琢磨
  脚本:伊藤和典
 気特対のやり方にいちいち口を出す氷室に気特対の面々は反発を覚えていた。全く交わらないまま出向の最終日を迎える。

 出向してきた氷室によって職場がギスギスし始めている。前回氷室に口説かれた万里はそれで調子が狂ってしまい、誰に対してもつっけんどんなしゃべり方をしてしまう。それで職場がますますギスギスしてしまうと言う悪循環。組織の中では結構あるパターン。
 そんな中、一人でみんなと仲良くしようと奮闘するさくらの姿あり。さくらって一匹狼タイプだったが、妙なところで空気を読んでしまうらしい。
 それで万里を口説くのかと思われた氷室は結局ただそこにいるだけで誰とも会話せずそのまま去ってしまった。これで終わり?と思ったら、最後に万里にちょっとだけちょっかい出していった…と、思ったら最後に帰ってきてしまった。これもよくあること。
 部長から気特対の存在意義がちょっと語られてる。本来防衛省の役割を気象庁に押しつけたのは、Mの出現を待っている勢力が防衛省にいるからだとか。
第9話 密着!気象庁特異生物対策課24時

  監督:田口清隆
  脚本:田口清隆
 気特対のドキュメンタリー番組が放映されることとなった。特に女性隊員を中心にドラマが進み、さくらと万里、悠里が出ずっぱり。

 テレビドラマの主人公にされてしまった気特対の活躍について描く話。広報と予算獲得のためと割り切って脚本棒読みでドラマに参加してるのが泣かせる。
 雪男の目撃情報で出動したら、着ぐるみを着た愉快犯だったとか、幽霊情報で出動したら「恐いビデオ」と区別が付かなくなったとか、仕事って大変なことがよく分かる。
 気特対はM専門の調査隊だが、幽霊情報でSかMか分からない時は確認するまでは出動となることも分かる。
 結局取材は終わったものの、映像は全回収。
<気象庁の意向によってドラマは放映中止。「これだからお役人は」とぼやくさくらだが、あなたも役人だよ…と、見事なツッコミが入っていた。>
第10話 新世界

  監督:及川 中
  脚本:伊藤和典
 久里浜部長と室町課長が前に藤澤さくらから紹介されたという店にちょっとだけ飲みに来た。そこはサービス満点で、何かあるとすぐにスタッフの踊りが入る店だった。そこで一応打ち合わせを始める二人。

 気特対のトップ二人の飲み会を描く作品。ほぼ密室劇で、そこで男二人が額付き合わせてぐだぐだと話をしてるだけの話。本作だから許される話だろう。
 打ち合わせを始める度に料理屋の踊りが入って中断するというのが面白い。こう言うのを押井守に作らせたら嬉々としてやるだろうなと思える内容。
 サービスで現れる踊りというのが多彩。花笠とか佐渡おけさとかねぶたはともかく、リオのカーニバルとか鎧武者とか花魁とか、更にはよく分からない七夕のコスプレとか藁苞姿とかカオスすぎる。
 後に「孤独のグルメ」でブレイクする重松清が蘊蓄を垂れながら料理を平らげるシーンが、今となってみると不思議とハマってる。あと皆川猿時のアップが結構多い。圧力あるなあ。
第11話 それぞれの聖夜

  監督:古厩智之
  脚本:伊藤和典
 12月24日。勤務中のさくらはトイレで万里が泣いているのを見てしまう。それを気特対に告げたため、みんな気を遣っていたが、そんな事を知らない悠里が万里に1999年にスカイウォーカーを目撃したかと尋ねる。過去自分が目撃したスカイウォーカーを思い出した万里は、それが再び日本に来るのではないかと疑う。

 四翼怪獣スカイウォーカー登場。M1号。四枚の翼を持った翼竜のようなMで神戸を火の海に変えた。、近年に発見されたMの第一号だという。そのまま消息不明になっている。
 万里がふられた?という疑惑から始まる話。本人曰く「あくび」だそうだが、それが強がりなのか本当なのかは不明。
 万里が子どもの頃にMと出会っていたことが分かった。神戸を火の海にしたと言うが、それは阪神淡路大震災のメタファーだろう(本作では1999年になっているが)。万里にとってはトラウマの出来事で、その時のショックを今も引きずっている。自分の手でスカイウォーカーを葬りたいという思いが気特対入所のモチベーションになってることが分かる。
 それが再び来たら?と考えたのだが、皮肉なことにこの放映の半年後。東日本大震災として実際に起こってしまう。
 灰田涼のデート姿が見られる。ベッドインまで描くのはなかなか大胆だ。万里のことが気になってしまったらしく、デート切り上げて万里の部屋にやってきてた。ちょっとだけ良い雰囲気。
 気特対の面々の家族も登場してる。
<スカイウォーカーは見た目もやってることもほぼギャオス。あの時の神戸はガメラが来なかった渋谷なんだろうか?>
第12話 M、胎動

  監督:樋口真嗣
  脚本:伊藤和典
 かつて沼津の海岸で産み落とされたフルドネラの卵が孵化間近となり、政府の対応が厳しくなっていた。そんな折、卵を探しにフルドネラが再上陸する可能性もあると、気特対は沼津を見張っていたが、悠里は本栖湖近くの鳴瀬氷穴に起こっている変動が関係しているのではと通告する。

 フルドネラ登場。1話で沼津沖から現れたのとは別個体で、本栖湖から現れた巨大M。海棲フルドネラの産み落とした卵を守るために現れたと推測されている。巨大な樹木で出来た馬のような姿をしている。
 第1話に現れたフルドネラの卵を巡る話。海から上がってきたフルドネラが産み落とした卵だが、何故か生まれる子どもは全く姿が異なる淡水系の爬虫類に似たMだった。卵の孵化に合わせるように次に現れたフルドネラは本栖湖からで、気特対の独自判断で本栖湖に卵を連れて行った。
 話がだいぶ拡大していることから、分かりづらいのが難点。
 これまで度々現れた橋本愛演じる二田良秋津が登場。悠里におかしな忠告を与えている。
第13話 終わりと始まり

  監督:樋口真嗣
  脚本:伊藤和典
 本栖湖に現れたフルドネラの元へと向かった気特対の面々。さくらが持ってきた卵が鳴動をはじめ、ついには孵化した。

 フルドネラの二体目が登場。1話で保護した卵が孵化したもので、本栖湖に現れたフルドネラを食い殺して自身が本栖湖の主となった。
 最終回。1話目から引っ張ってきた話の決着が付いた。このフルドネラは世代交代のために現れたものだと分かった。本栖湖の主が寿命を迎えたため、それを取り込んで自らが本栖湖の主へと成長する。人間の常識とは異なる世代交代だが、記憶の継承のためにフルドネラにとってはこれが常識となるのだろう。
 あと、もう一つ後日譚として、気特対のミニエピソードも入ってる。気特対に送りつけられた荷物の中に何故かスズメバチの巣が入っていたと言う物語。室町によれば、フルドネラの卵を奪われた筑波の研究所からの嫌がらせだろうとのこと。
<話自体は全く問題ないのだが、夕陽をバックにするのは目が痛いから止めて欲しい。>
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