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銀行のローンデスクで働くクリスティン・ブラウン(ローマン)は、ある日立ち退きを命じられた老婆ガーナッシュ夫人(レイヴァー)のローン延長の申し出を受けた。だがその朝丁度上司から、昇進したくば冷徹になれ。と言い渡されていた彼女は、本来受理可能な申請を拒絶してしまう。その夜、ガーナッシュ夫人の待ち伏せにあったクリスティンは呪いの呪文を受けてしまう。そして翌日から、恐ろしい怪現象がクリスティンを襲う…
インディーズ出身ながら、「スパイダーマン」の大ヒットにより、今やハリウッドのドル箱監督となったサム・ライミ監督。今は専らプロデューサーとして活動中だが、本人が純粋なホラー作品を監督するのは本当に久々のこと。「死霊のはらわた」の大ファンとしては、諸手を上げて歓迎したくなる作品である。お陰で普通なら敬遠してるホラーを劇場に観に行ってしまった。
ただし、私の場合は、基本的に恐がりなので、精神的に逃げられない劇場でホラー観るのは苦手。そのため本作も劇場内では半ば後悔させられた。ホラー・コメディと聞いていて、「死霊のはらわた2」のようなものを期待していたのに、作りが本物のホラー作品だったため、ちょっと(かなり?)きつかった。この作品だったら友人を集めてわいわい騒ぎながらビデオで観たならば、コメディとして観られるだろうけど、静かな劇場で観てると辛い。
だいたいこの作品、確信的に「来るぞ来るぞ」と雰囲気を盛り上げて、そのクライマックスに本当に怖いのが来るお陰で、集中できなかった。
とはいえ、本当に久々の劇場ホラーは、これはこれで又、楽しい経験だった。特に「ソウ」以来、最近のホラーは怖がらせるよりも痛がらせる方向に持っていく傾向にあるが、こういうストレートなびっくり箱形式っぽいホラーは妙に懐かしかったし、「ああ、80年代ってこんな感じだったなあ」と妙にしみじみもさせてくれる。本当にライミの原点を感じさせる作品だなあ。と改めてしみじみと思わせる。
基本的に本作は80年代ベースではあるものの、細かいところでそれ以前、60年代から70年代のホラーのオマージュも詰まっているし(わざわざ雰囲気たっぷりの洋館を出して見せたり、普通都会生活にこんなの必要か?という木造りの納屋を出して見せたりと、敢えて60〜70年代のホラーの小道具を持ち出してくるあたりは、やっぱりホラーマニアの作った作品だと思える。それに「スパイダーマン」で培った演出力にものを言わせ、物語の展開も疾走感あふれるものとして仕上げているし、本当に巧さってものを感じさせてくれる作りだ。
ホラーにとって重要なのがSQ(スクリーミング・クイーン)の存在。今回主役を張った??は、存分に叫びまくり、マニア心にも大満足。かつて「死霊のはらわた2」でやった絶叫中の喉に目玉が飛び込むのもあり。グロだけど、実に楽しい演出を見せてもくれる。絶叫シーン一つを取っても、とことん楽しませてくれよう。という姿勢には頭が下がるし、ちゃんとマニアが観たいものを見せようと言うサービス精神も良し。
それになんと言っても、パワフルなおばあちゃん。これに尽きる。これは本作の売りだったが、別段悪霊化してなくても、それだけで充分怖い。というか、あのパワフルさは怖さを通り越して笑えてしまう。
ストーリーはキング原作の『痩せゆく男』の焼き直しというか、ほぼ完璧にそのまんまなんだが(著作権大丈夫かいな?)、物語なんてもはやどうでもいいから、描写だけで押し切ってしまった感があり。でも、それこそが本作のねらいであり、売りなんだから、それはそれで良しだろう。
ホラー好きにとっては大満足の一本だ。
しかし、観てるときは後悔するほど怖かったのに、改めてこうやってレビューすると、笑えるところしか思い出せない。なんか不思議な作品だ。
前述の通り、本作はDVDあたりで、友達とワイワイ言い合って笑いながら観るのが正しい観方なんだろう(日本と違ってアメリカの劇場ではきっと劇場内でそう言った”正しい”観方ができてるんだろうな。基本劇場では静かに。というのが私のスタンスだが、これに関しては大声出しながら観たかった気がするよ。
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