うる星やつら総評
11〜15話

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第11話 恋の三角ブラックホール
第6回Aパート 小山高男:脚本
1981年11月25日放送
あらすじ  密かにしのぶに電話をかけるあたる。テンの密告によりそれを嗅ぎつけたラムは電話を妨害し、あること無いこと後ろで叫ぶ。キレたしのぶに電話越しに引っかかれ、ついに限界を超えたあたるは、ラムを追い出してしまう。最大級の電撃を喰らい、半死になりながら再びしのぶに電話をかけるが、なぜかラムの声が混信する。その頃巷のニュースでは自衛隊機の消失事件が報じられる。家から追い出され、UFOからふりそそぐ電撃をかいくぐりつつ町に出たあたるは公衆電話からしのぶへ電話する。しかしここでもラムによる妨害が行われる。その上空ではヘリコプターが消失。ニュースの解説により、何とラムのUFO、あたる、しのぶ間の三角形がブラックホールが発生していることが明かされる。パニックの町の中、雷をかいくぐり、駆け寄るあたるとしのぶの上へラムがUFOで特攻。煙の中、しのぶと思ってラムに抱きついた現場をしのぶに目撃され、殴られる。
カラス  ガヤに千葉繁。ほぼまったく原作通り。
甘崎  ニュースの解説者が何故か相撲の親方だったりするが、これも原作通り。交わされる会話は修羅場そのものなので、その手のが好きな人にはお勧め(笑)。ただし、当時のレベルのアニメ用の声はとことんそう言うのに向いてないのでご注意を。最後まで明かされることのない消えた自衛隊機の所在も気にはなる。この辺のフォローは本来付けるべき。この作品、後年の押井監督作品「迷宮物件」に設定は似ている。
第12話 ホレホレ小悪魔だっきゃ!
第6回Bパート 星山博之:脚本
1981年11月25日放送
あらすじ  あたるを巡るしのぶとラムとの争いに巻き込まれ、当のあたるは怪我をして帰宅する。深夜12時、あたるは合わせ鏡でこぶの出来た後頭部を確認しようとする。途端に鏡の中から小悪魔が現れ、諸星家は大騒ぎに。小悪魔に生理的嫌悪感を覚えたラムがUFOへ逃げ出した事に気をよくしたあたるは、ずっと家にいるように勧め、小悪魔は感激する。しかし小悪魔は母やしのぶにまで手を出し、あたると反目するようになった。困り果てた父とあたるは錯乱坊を頼る。錯乱坊は合わせ鏡の間に四次元通路を作り、小悪魔を送り返す術を敢行する。しかし案の定術は見事に失敗し、小悪魔は増殖し、諸星家にあふれる。
カラス  ほぼまったく原作通り。11話もそうだが原作の方が面白いかもしれない。というのは原作における漫画的表現のギャグは削られているのだが、アニメ的表現によるそれの代替品が挿入されていないからである。
甘崎  原作では第2話にあたる作品。鬼、宇宙人、そして悪魔に関わってしまうあたるの不幸の方が強調されていた作品だった。アニメ版の方は折角主役にもう一人ラムを加えていながら、それを活かせきれなかったのは残念。この作品と次回の13話において錯乱坊は意外にも強い法力を持つことが分かる。決して口だけの坊主ではないことの証左でもある。BDでもさくらは錯乱坊を頼ろうとしていたことからも、実は結構役に立つキャラであることが分かる。ただし役には立つが、余計混乱を増すと言うのも又事実。
第13話 電気ショックが怖い!
第7回Aパート 中原朗:脚本
1981年12月2日放送
あらすじ  今日も諸星家から聞こえるあたるの悲鳴。勿論ラムの電撃による浮気の制裁を受けているのだ。悩んだ挙げ句あたるは錯乱坊に相談を持ちかける。しばらくして錯乱坊から荷物を託されたメガネが諸星家を訪ねてきた。荷物の中身はラムの超能力を封じるリボン。それをプレゼントと偽り、あたるはラムに付けさせる。するとラムは空を飛ぶことも、電撃を出すこともできなくなり、能力を失ったラムは空き地で泣き崩れる。あたるはわざとらしく慰めるが、そこへしのぶが現れ、いちゃいちゃする二人に嫉妬の炎を燃やす。立場上ラムをかばわざるおえないあたるにしのぶは激怒、土管を投げつけ走り去る。それを優しさと勘違いし、喜んだラムは、飛べないからUFOにも帰れない、ずっと一緒にいると宣言。今度はリボンを外そうと躍起となるあたるともみ合ううちにそこへメガネ達が乱入。あたるのたくらみがばれてしまう。
カラス  アニメ版ではもみ合いのうちにリボンが取れるが、原作では事実が判明し、引っ掻きやかみつきで攻撃されたあたるが脅迫されて取らされ、直後に電撃制裁を受けている。
甘崎  原作でのこの話は自分さえ良ければ他人のことはどうだって良い。と言う退廃的な雰囲気にあふれており、筆者好みの話だった(アニメ版でもメガネと母の会話やラムに対するあたるの態度などに現れている)。それは拡大もされず、縮小もされず。もう少しこの辺を突っ込んだら相当面白い作品になったと思うのだが…
第14話 念力ウラミのあやつり人形
第7回Bパート 小島多美子:絵コンテ・演出 小山高男:脚本
1981年12月2日放送
あらすじ  久々の家族団らんの夕食の席で突如あたるの身体が不可解に踊りだす。それはラムの星で流行っている「念動力ゲーム」のためだった(テンによれば、今では欲求不満のダサイおばさんしかやらないそうな)。これは操り人形を作り、そこに当事者の髪の毛を混入すると、その人形の通り本人もそのままに動いてしまうものだ。今までの復讐とばかりにあたるは友引町の住人の人形を続々と作り始め(真っ先に考えたのは錯乱坊だが、髪の毛がないので断念)、ラムに協力させて入手した髪の毛をその中に入れる。あたるの行動に触発され、ラムはしのぶの人形を作り、髪の毛入手のためしのぶ宅へと向かう。あたるは慌てて止めようとするが、留守中部屋に忍び込んだ猫によりあたる本人の人形が錯乱坊の手に渡ってしまう。何も知らない錯乱坊が人形を放り投げる度、あたるはあらぬ方向に飛び交う(丁度入浴中のしのぶの元に飛び込んだりもする)。その後あたるの両親があたるの部屋で発見した人形遊びにより町は大騒ぎに。
カラス  冒頭のあたるのセリフが、まんま御先祖様万々歳のよう。「諸星家のつかの間の幸せは一体どこへ行ってしまったんだ(父)」「少なくともこの町内からは逃げてっちゃったみたい(あ)」演出の小島多美子は押井作品によく出てくるタミコの元ネタ。最後の騒ぎで戦車と「御徒町の又八」と名乗る千葉繁登場。人形を取り合うところのラムの挑発的なセリフがいやらしい。特にあらすじの書きにくい回でした(笑)。
甘崎  オチを除き、ほぼ原作通り。最後の嬉々として人形遊びに興じる父と母の浅ましい姿は妙な余韻を残す。Aパートの13話と合わせ、人間の本性についての考察がなされているかのよう。
第15話 おし入れの向こうは海王星
第8回Aパート 押井守:絵コンテ・演出 雨宮雄児:脚本
1981年12月9日放送
あらすじ  風邪を引いたあたるの見舞いに諸星家を訪れる四人組。勿論ラムに対し、ポイント稼ぎをするためである。ところが諸星家では両親とラムが出かけており、風邪を押してあたるはしのぶに襲いかかっていた。その時押入から謎の冷気が漂い、強引にふすまを開けるとそこから大量の雪があふれ出てきた。中からの色っぽい誘い声に、先を争って押入へ飛び込むあたると四人組。その向こうでは謎の美女、お雪が待っていた。さらにはラムも。何とそこはラムが遊びに行っているはずの海王星だったのだ。雪を捨てる四次元の穴がたまたま諸星家につながってしまったらしい。例によって美女お雪に熱を上げるあたる。それを察したラムとしのぶに責められ、飛び込んだお雪の部屋であたるはお雪を押し倒す。しかしそれに腹を立てたペットのB坊が床を割って襲いかかり、今度は四次元トンネルに逃げ込まざるを得なくなる。その頃地球では両親が旅行から帰宅しようとしていた。その横を追い抜いていく戦車。嫌な予感にとらわれる二人の元へ東京のど真ん中に雪男が現れ、諸星あたるが関わっているという号外が配られた。あたるを放置し、再び温泉旅行へと二人は向かうのであった。
カラス  「参った参った隣の神社」初登場?あたるに襲われたお雪さんが「いいところだったのに」と名残惜しそうで、ちょっと団地妻(死語)っぽい。
甘崎  お雪のCVは小原乃梨子。艶っぽい声を出す当時の声優の第一人者であった(彼女の役で最も有名なものが「のび太」であるところが面白いところ)。それだけにお雪も相当色っぽく設定されている。後年のシリーズでは色っぽさよりクールさの方が強調されていたが、この変更は少々悲しい。あたるの両親が、自分たちの息子のことをどの程度想っているのか、よく分かる話でもある。