第20話 |
ときめきの聖夜(後編) |
第10回Bパート 押井守:絵コンテ・演出 山本優:脚本
1981年12月23日放送 |
あらすじ |
メガネは仏滅女学院のナンバー3女子生徒と一時間\5,000で「組野おと子」を演じてくれるよう交渉していた。襲いかかるあたるに肘鉄をかまし、公衆の面前で完膚無き前に恥をかかせるよう依頼する。「もし相手が私好みだったら」と問う彼女に、「その心配はない」とキッパリ。喜んで引き受ける女生徒。彼女と入れ替わるようにしてカクガリが、先勝高校プロレス研究会代表350パウンド1/2ミスターヒポポタマスを連れてくる。ラムの大ファンでもあるという彼には、あたるが女生徒に襲いかかったとき、徹底的に痛めつけるように依頼する。次にパーマが連れてきたのは同じくラムの大ファン赤口高校で新聞部部長をやっているという怪しげな男。彼には今回のスキャンダルをきっかけに、あたる撲滅キャンペーンを展開するように依頼する。そこへラム親衛隊最高幹部会議長(メガネ)宛に突撃隊長(チビ)から電話が入り、ラムが行方不明になったことが知らされる。しかしジャリテンが協力し、4時までに見つけてくると言う。作戦は動き出した。クリスマスムード一杯の街をあてど無くさまよい歩くラムだったが、偶然から四人組の陰謀を知る。更に公園で「組野おと子」とキスできるかどうかお互いの全財産を賭けるというメガネとあたるの姿をラムは時計の上で見る。それに対しラムは「たまには痛い目にあった方が良い」と呟く。4時。時計の上でまだ思い悩んでいたラムはついに結論を出した。「ダーリンを馬鹿にするとウチが許さないっちゃ」その頃、支度に手間取り時間に遅れた自称「組野おと子」が、現場へと急いでいた。その前に現れるラム。そして電撃。「組野おと子」登場を待つ喫茶ピグモンの一同。そこへ現れた「組野おと子」、実は髪型を変えたラム。抱きついたあたるはその事に気付くが「罠にはまって恥をかきたくなかったら、芝居を続けるっちゃ」と言われ、しぶしぶ調子を合わせる。ラムはあたるにキスし、二人は喫茶店を立ち去る。後に残されたのは、ショックのあまり白髪になったメガネ達。事情を聞いたあたるは怒るが、ラムに諫められる。ふと、あたるは髪型を変えたラムの美しさに気付く。マフラーをプレゼントし、先に帰るというラムをあたるは思わず引き留め、しばらく一緒に歩こうと誘う。 |
カラス |
原作では「組野おと子」を演じるのは、白井コースケの恋人として後に紹介されるセントストマックと思われる女生徒。前半、喫茶店での密談のシーンが面白い。人気投票などでは常に上位に来るエピソードだが、見ればそれは納得できる。初の前後編ドラマであることによる厚み、立ち食い、密談、策謀という要素と、どちらかというと原作寄りなメロドラマ要素がうまく両立している。これで戦車でも出てくれば完璧だが。(笑) 余談ながら原作ではラムは髪型ばかりでなく髪の色まで黒ベタになっており、読者もすぐにはラムだとは気づけない(なんとなくわかるが)。これで気付いたあたるはさすがなのだが、アニメ版では髪の色がそのままなので誰でも分かる。 |
甘崎 |
ABパート合わせて、うる星やつらTVシリーズ中でも最高の出来の内の一本。これによって、うる星やつらが単なるスラップスティックではないことを世に知らしめた。更におそらく、好きなようにやっても面白い作品が出来ると言う確信をスタッフにもたらしたのではないかと思われる。原作を大幅に変えつつ、原作以上の良い雰囲気を醸すことに成功した、当時ではかなり珍しい作品。見所は兎に角多い一本である。押井氏にラブロマンスを求めるのは無理だという声もあるが、実際にこういう良質作品も作っている。ラムの格好も多彩。蛇足ながら、ピグモンとはウルトラマンに登場する怪獣の名前で、ファンも多い。 |