うる星やつら総評
21〜25話

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第21話 あたる源氏平安京にゆく(前編)
第11回Aパート 小島多美子:絵コンテ・演出 金子修介:脚本
1982年1月7日放送
あらすじ  お正月。カルタ取りをするあたる、ラム、しのぶ、サクラ、錯乱坊。あたるはカルタを取り損ねたふりをして、いつものようにしのぶやサクラに抱きついたりしていた。そこへ天井から謎の笑い声。床下から現れたのは「僕は近々レギュラーで登場する面堂終太郎だ」った。今日は新春特別番組だと宣言する。ここで話はいきなり平安時代へ。正月で皆が浮かれ騒いでいる中、謎の宇宙船が子供達を誘拐する。これに対応するため平安京防衛軍が結成され、平安大飯店にて会議が開かれる(ここでの議題は中華料理と和食の優劣について)。何故か現代から紛れ込んでしまったラムとテンはUFOで上空からあたるを探していた。しのぶの局の居室へ夜這いをかけようとしていたあたるを見つけ、ラムはUFOへあたるを吸い上げる。だがこのあたるは現代とは別人のあたる源氏で、当然ラムを覚えていない。地上では防衛軍が集結し、ラムのUFOに対し面堂が投降を呼びかけ始める。そこへ子供を誘拐していたUFOが現れ、ラムのUFOを取り込んでしまう。中にいたのは純和風の鬼、彼らは23世紀から桃太郎を捜しにやって来て、子供達をさらっていたのだという。子供達と引き替えに桃太郎を差し出せとラムに要求する鬼。それを聞いた防衛軍はさっそく桃太郎を捜し始める。ラムも逃がすため桃太郎を捜す。だがラムが出会った桃太郎は瓶底メガネの超エリートだった。負けるはずがないと鬼に挑む桃太郎だが、一撃で粉砕され、平安の街は鬼に占領されてしまった。
カラス  脚本、演出のメンツがすごい回。原作では8巻6、7、8話なのだが、一応元ネタではあるものの内容は全く違うものになっている。連載時期は桜の季節。
甘崎  暴走に続く暴走。原作のストーリーを換骨奪胎して、全く違う作品に仕上げている。初登場の面堂終太郎の凛々しい姿も一つのトピックではある。
第22話 あたる源氏平安京にゆく(後編)
第11回Bパート 小島多美子:絵コンテ・演出 金子修介:脚本
1982年1月7日放送
あらすじ  占領された街ではあたるが鬼に取り入って大臣になっていた。まさに道化のようなあたる。ラムは鬼達を23世紀に返すべく、テンに頼みUFOに時限爆弾を仕掛けさせる。宴会をしている鬼達。そこへ打ち込まれる無数の矢。ひるんだ所へ面堂指揮下の防衛隊が攻め込み、鬼達はUFOを応援に呼んで混戦に。その時、テンの落とした時限爆弾がUFOのコクピットで爆発。その衝撃で平安時代と現代の街が混ざってしまい大混乱に。
カラス  鬼達のUFOの名が「流星号」。おもちゃ箱をひっくり返したような内容だが、それなりに面白い。
甘崎  はっきり言って収拾がついてないが、それが実にうる星やつららしい作品に仕上がっている。19・20話で吹っ切れたのが、ここでも遺憾なく発揮されている。本格的に暴走が始まるまではまだ少し時間が必要だが、その萌芽的存在と言っても良いだろう。
第23話 恋のバトルロイヤル
第12回Aパート 早川啓二:絵コンテ・演出 小山高男:脚本
1982年1月13日放送
あらすじ  あたる、ラム、しのぶ、メガネ達はサクラの誘いでディスコに出かける。途中、電柱の影から登場した怪しいマント男ツバメを加え、やってきたディスコ(こ、この踊りはツイスト?)では錯乱坊が待っていた。実はツバメはサクラの婚約者であり、今日は正式にその仲を認めてもらうため、サクラの伯父である錯乱坊に霊力の見せに来たのであった。人間が興奮しやすく精霊が集まってくるディスコをその場所に選び、更に、不運の固まりであるあたるを連れてくることでお膳立ては整った。踊っているあたる達の中にサタンを出す、と大見得を切るツバメ。だが出てきたのは何故かサンタだった。横文字を使ったのがいけない、日本語でやってみいとサクラに言われ、今度は「悪魔」を呼び出そうとする。ところが今度はあたるを熊に変えてしまう。錯乱坊に、あれに勝るものをを出せと言われ、ツバメはサバトの雄山羊を呼び出すが、出てきたのは何とレイ。レイはラムを捕まえ、ツバメはサクラとの婚約承認を迫るが、錯乱坊は「あれは只の牛じゃ」と認めない。そこへ混乱から抜け出したあたるが襲いかかり、大騒ぎに。最後にツバメが訳の分からないものを大量に呼び出し、収拾着かず。
カラス  原作の方がなんかもっと無茶苦茶出てきている。ところでディスコ=クラブという認識で正しいのでしょうか? さてつまらん蘊蓄ですが、通常使われるであろう「召還」という単語がこの話では使われていません。それは何故かと言うと、これらの儀式魔術用語を日本語で何と翻訳するか決められたのが1983年、ちょうどこの翌年だったからです。
甘崎  当時の雰囲気が多少なりとも分かる。しかしあのディスコの踊りは確か既に時代遅れっぽかったような…。踊りのパターンは動画枚数が少なく、悲しいほど動きがぎこちない。原作では、サクラの台詞「わたしとてなうなぎゃるじゃ」とひらがな表記で、違和感を醸していたが、普通に話している限り、それもあまり目立っていなかったのが残念。言うまでもないことだが悪魔を呼び出すはずが熊が出てしまったのは「あ、熊」の引っかけ。「アクマの人形」と言うのを小学校時代に聞かされた記憶を思い出す。
第24話 父よあなたは強かった
第12回Bパート 高橋資祐:絵コンテ・演出 小山高男:脚本
1982年1月13日放送
あらすじ  諸星家では今日も不出来な息子を理由に夫婦喧嘩が勃発していた。喧嘩の仲裁に登場したが、まったくもって自覚のないあたる。その現場をカメラで覗いていたクラマは、再教育のためあたるをクラマの理想の男に会わせる事を決心する。その頃、母星から帰ったラムはあたるがカラス天狗に連れられていった事実を知り、クラマの基地で1173年の鞍馬山へ向かったことを知る。なんと牛若丸こそがクラマの父だったのだ。カラス天狗に化けて牛若丸に弟子入りしようとするあたる。しかし簡単には受け入れて貰えない。そこへラムが現れ、その半裸の姿に牛若丸はショックを受け、あたるに不意打ちを食らう。「好き者」「好き者ではなく隙ありというのだ」バタリ。しばらくしてクラマが様子を見に来ると、庵ではあたるが牛若丸に女のイロハを抗議していた。激怒しクラマはあたるを張り倒すが、「明日は京の街へ女見物に行くのだ」と、あたるは全然めげていなかった。日は変わって京の街でガールハントにいそしむ二人。それを後目にラムはクラマの存在を消すべく橋の上に佇む怪僧に牛若丸の写真を見せ、「こいつが通りがかったら、子供を作れない身体にして欲しいっちゃ」と依頼する。その美男子ぶりに、てっきり女と思った怪僧は快諾し、現れた牛若とあたる襲いかかる。あたるがしがみついて動けない牛若の姿を見たクラマが風を起こし、牛若だけがひらりと風に乗る。弁慶の攻撃をひらりひらりと避ける牛若。ついに弁慶は牛若が男と知って攻撃を止める。弁慶は顔が不細工なため女にもてず逆恨みし、千人の女をどぎつく虐めようと心に決めていたのだった。牛若がちょうど千人目になるはずだったという。そのエネルギーを私の平家打倒のために貸してくれと頼み、牛若は弁慶を家来にする。私はやはり平家打倒に生きるとあたるに言い残し、牛若は去っていった。感激するあたる。「俺もでっかい目標を作るのだ」現代へ戻ったあたるは女千人切りを目標とするのだった。
カラス  無理してキリッとした顔を作ったあたるの崩れッぷりが良い。なお、原作では牛若が元服したらCROW義経と名乗ろうという英語ギャグと、予定調和ネタがあった。英語ネタはアニメにもあるが、セリフだけなのでわかりにくい。
甘崎  ご存じの通り牛若丸は源義経の幼名。兄である源頼朝に疎んじられ、お供の弁慶ら共々奥州で殺害されるが、生き残って蒙古に渡りジンギスカンになったと言う伝承がある(余談だがBDでの校長の台詞だと、ジンギスカンになったのは桃太郎だそうである)。これを踏まえ、実は義経を救ったのがクラマの母であったという歴史の歪曲がミソとなる。ただし、こういう壮大なタイムパラドクスものは15分でやるのはあまりに時間が足りない。しかし女千人切りとは、アニメで良くやったものだ、と妙なところで感心できる。
第25話 ハワイアン水着泥棒
第13回Aパート 原田益次:絵コンテ・演出 星山博之:脚本
1982年1月20日放送
あらすじ  あたる、ラム、しのぶ、四人組は商店街の福引きでハワイ旅行を当て、海水浴をしていた(もっぱら目の保養ばかりだが)。何処であろうとやることは変わらない一行。しかしそれを制止する聞き慣れた声があった。近くでサクラが日光浴していたのだ。どうしてハワイに来たのかと聞く一同に「私とてなうなぎゃるじゃ、海外旅行ぐらいするわ。それに・・・叔父上は海が好きだったからのう」と、ぽつりと語らうサクラに錯乱坊が死んで傷心旅行、と一同が思ったのもつかの間。大波の向こうからサーフボードに乗って錯乱坊が現れあたるを踏みつぶす。死んだ筈だと詰め寄るあたるに「叔父上は海が好きだったが、今でも好きだと言ったのじゃ」と返すさくらに全員コケる。夜、ホテルでくつろぐ一同。お目付の錯乱坊をごまかし、サクラの下着ドロを相談する男達。その頃、女性陣が部屋を覗く人影に気づき、悲鳴を上げる。翌朝、女性陣の水着が盗まれていた。「手っ取り早く犯人を締め上げて、取り返した方が早いだろう」というサクラの判断で、あたるが締め上げられる。あくまで無実を訴えるあたるの次に締め上げられたのはメガネ。が、仲間割れ密告しあい、男達全員が容疑者になってしまう。男達の部屋が捜索されるが水着は見つからず、証拠不十分で男達はとりあえず釈放となった。その後、ラムが海に浮かぶ錯乱坊の頭らしきものを目撃、サクラに報告する。次々と錯乱坊に関する状況証拠が現れる。「ありえない、叔父上はあれでも修行を積んだ聖職者じゃ。食い気ならともかく色気には・・・」と取り合わず、沖へ泳ぎ出すサクラだが、水中で何者かに襲われ水着をはぎ取られる。それを知ったあたる達に追いかけられ泣き出してしまうサクラ。初めて見せたサクラの女らしさに感動するあたる達(しかしその後当然ボコボコにされる)直後、双眼鏡で海を捜索していたメガネが、沖へ行く錯乱坊らしき人影を発見。一同はボートで後を追う。沖合の岩場の洞窟に追いつめるとその奥には女性の水着が点々と。最奥にはタコがいたが、一同はそれが錯乱坊ではないと気付かずに文字通りタコ殴りに。最後はタコと錯乱坊のそっくりな鉢合わせで終わる。
カラス  原作での5巻6、7話のミックス。特に6話が内容の薄い回だったので、合体したのだろう。また、原作では面堂の別荘が舞台だが未登場のため商店街の福引きで来たことになっている。余談ながら原作でのサクラさんが水着を奪われるシーンには、連載当時、小学生ながら非常に興奮した記憶がある(笑)。
甘崎  この話は原作を元に割合コンパクトにまとまっているが、短いながら内容は詰まっており、見て楽しめる内容となっている。特にサクラの姿が良い(^ ^;。この回の放映は冬。海を舞台とするにはハワイにでも行かせねばならなかったのだろうが、こんな時期に海の話を作ろうと言うスタッフは何を考えているのだろうか?これまた余談だが、原作でサクラが涙を流すのはここだけと思われているが、実はもう一箇所ある。興味のある方は探してみられると良い。そう言えば、原作ではこの話の中で、コミック中唯一(と思われる)ラムのネグリジェ姿が描かれていた事も思い出す。