セラフィム

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第2話
 前話がバルタザルの話であったのに対し、今話はメルキオルの話となる。
 彼はオーストラリアで天使病の治療方法を模索していた。しかし、その成果は芳しくなく、天使病のキャリアの判定基準さえ割り出せない。このままでは「ヘロデの所行」を繰り返すWHOに施設を接収されかねない状態だった。
 そんな彼の元に当のWHOの職員が訪ねてくる。申し出はバルタザルの時と同じ。彼をこれからはメルキオルと呼び、ユーラシア大陸へと向かってくれ。と言うもの。拒否は許されないその依頼を受けることになる。

 彼が向かうシンセン(シェンチェン)は1980年代に中華人民共和国により経済特区に指定された近代都市。南側をながれるシェンチェン河(幅20m)を境に、ホンコン(香港)のシンチェ(新界)と接する。

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