押井守作品(書籍)

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立喰師、かく語り
2006
徳間書店
 映画立喰師列伝(2006)の舞台裏と、「立喰師」を通しての対談で、監督の過去の体験と、今の社会に対する思いを綴っていく。尚、対談相手は鈴木敏夫、笠井潔、沖方丁。
 立喰師列伝(2006)の公開記念で刊行された作品であるが、内容はかなり凄い。
 これを読んでると、まるで監督が出演者を選び抜いているように見えたりするが、実際はかなりいい加減なんじゃ無かろうか?大体物語で酷い目に遭うキャラは決まってプロデューサーなんだけど、これは狙ったとしか思えないんだけどねえ。
 対談になると、完全に60年代後半の全共闘時代の思い出話ばかりで、もはやついて行けないレベルなんだけど、これはこれでなかなか笑えるぞ。

 

雷轟rolling thunder PAX JAPONICA
2006
エンターブレイン
 押井守監督が主導する仮想戦記「PAX JAPONICA」の第一作目。第二次世界大戦で日本が覇権を得た後、日本はどう戦っていくかを真面目に考えている。
 前に出た「勝つために戦え」でも勝負論が描かれているが、ここではその実践と言った感じだろう。日本がもし覇権国家だったら、どのような義務を得るのか。そして世界に対しどう責任を取っていくのか。その辺のことがこれから語られることを期待していこう。
 ところで押井氏は南北戦争で本当にアメリカが南北に分かれる事を想定していたけど、これはちょっと無理がある気もするんだけどね。日本を覇権国家にするためには必要だった措置とはいえ…
 小説としても面白いけど、設定マニアと微量の軍オタとして、本作は完全に支持。

 

紅い足痕
2005
角川書店
(著)杉浦守
 押井守監督が作り上げた「ケルベロスサーガ」の一編となる作品で、具体的には藤原カムイによる犬狼伝説(上)(下)の後日譚に当たる話。映画で言えばケルベロス 地獄の番犬(1991)を包含する物語の全体像だろう。押井守は原作とあるのだが、実は本作のフローストーリーはそもそも紅い眼鏡(1987)で没稿となった物語で、妄執を抱いた二人の男の精神的な戦いが描かれている。
 読み応えはあるし、著者は長いこと藤原カムイのアシスタントをやってた人なので、タッチは見慣れている。このサーガが好きな人は楽しめるだろう(1970年代の感性を未だに引きずってる人とも)

 

「イノセンス」methods押井守演出ノート
From layouts of “Innocence”
2005
角川書店
 2004年公開の『イノセンス』(2004)の演出ノート。『機動警察パトレイバー2 THE MOVIE』(1993)版に続く2冊目の演出ノートとなるが、前の作品は基本的に動かさない事を前提とした作品だったため、主に描写はフレームと画面構成についてだったが、今回は動的なものが主体となっているのが大きな特徴となっている。是非絵コンテと見較べながら(あるいは映像を流しながら)読んで欲しいところ。
 ところで、本作にはかなりの数の結構有名な映画の画面描写について書かれていて、私も観たことがある作品が多かったのだが、逆にそれで「ああ、あれはそう言う意味があったのか!」と思わされることが多かった。映画は数観りゃ良いってもんじゃないことを痛感。

 

すべての映画はアニメになる
2004
徳間書店
 押井氏の初監督作品『うる星やつら オンリー・ユー』(1983)から最新作『イノセンス』(2004)に至るまで20年に及ぶアニメージュ誌上における様々な対談を集めた作品。
 私が映画を観始めたのは1980年代になってから。丁度邦画の最悪の低迷期にあり、私自身当時の邦画には見向きもしなかったが、その当時から監督としていかに映画を作るのかと言う姿勢や、すっかり円熟味を増して、現在に至るまでの押井氏の考えの変遷を知るには最適の一冊。
 私は特に『人狼 JIN-ROH』(1999)でのスタンスがとても面白く思えた。

 

押井守・映像機械論
メカフィリア
2004
大日本絵画
 かつてMODELGRAPHICS誌上にて連載された「妄想ガジェットファイル」を加筆訂正し、竹内淳志氏のカラー絵を挿入して描かれる作品で、これまで押井作品に登場した数々の機械を監督自ら徹底分析した(こき下ろしたとも言う)作品。
 これは私にとって多分一番単行本かされることを望んでいた作品で、言いたい放題言ってくれることが実に小気味良い…改めて読んでみると、ちょっとやり過ぎって感じもするけど(笑)
 押井守を認めてる人からもあんまり評価されることがない『ミニパト』(2002)が大好きなのは、多分本作のお陰だろうと思う。

 

文藝春秋別冊
押井守
2004
河出書房
 文藝別冊の、一人の監督にスポットを当てて監督について語る作品の一作。押井守と佐藤大輔の対談の他、何人もの作家が対談や自分の思いを語り合った作品。
 日本の映画監督の中でこの人ほど書き手に想像を喚起される人も少ないようで、色々言われてる。
 私自身も某サークルで同じようなことを書いていたのだが、しかし、なんか読んでいて違和感が抜けず。押井守という人物の周辺世界でうろついてるだけの話が多すぎる感じがする。この中には確かにいくつか大変面白い論評もあるし、手で膝を打つようなものもあったのはあったが…
 そうそう。何故私がうる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984)と同時期に大藪春彦にはまったのかが氷解した(笑)
 ただ本作で凄く面白かったのもある。そう言うサイトに出入りして、自分自身も映画のレビューを書いていたのだが、この本の巻末に書かれている映画レビューは素晴らしい。限られた文章の中でここまで映画を的確に表せるとは。久々に
本気で自分にもっと文章力が欲しい!と思わされた。

 

イノセンス創作ノート
2004
徳間書店
 監督が映画『イノセンス』(2004)を作るに至った動機や、そのために行った取材の事、それに対する著者なりの考えなどをまとめたもの。後半は養老孟司氏、四谷シモン氏、そして鈴木敏夫氏との対談も収録する。
 かなりの読み応えがあるし、押井氏がどんな経緯で今の考えを持つに至ったかがよく分かる作品。幻となった押井版ルパン三世の顛末も書かれている。そう言うオチにするつもりだったのか!というか、『天使のたまご』(1985)じゃないか?それって。

 

イノセンス 絵コンテ集
2004
徳間書店
 映画『イノセンス』(2004)の絵コンテ集(フィギュア付き)。
 これを読むとより『イノセンス』の世界観が分かるが、同時に押井氏がどれだけ好きなものを一生懸命描こうとしてるか、そして手を抜く部分をどれだけ手を抜いてるのかがよく分かる。
 解説が細かいので、資料には絶好の作品ながら、値段がやや高いのがネック。

 

立喰師列伝
2004
角川書店
 押井守のライフ・ワークとも言える20年来の思いの丈を詰め込んだ、立喰師についての考察。勿論内容はフィクションながら、特有の蘊蓄と思いに溢れた内容となっている。
 そもそも立喰師なるものは監督自身がタツノコ時代から思い入れがあったテーマらしいが、その後、『紅い眼鏡』(1987)『御先祖様万々歳』(1990)と言った映像作品、
「犬狼伝説」の中の一エピソードなど、様々な場所で言及されていた。それらもちゃんと入っているところが心憎いところ。
 ところでこの表紙だけど、出てくるキャラが面白い。
 月見の銀二に吉祥寺怪人(生きていれば絶対に天本英世が使われていただろうけど)
 ケツネコロッケのお銀に兵藤まこ。
 哭きの犬丸に石川光久。
 冷やしタヌキの政に鈴木敏夫。
 牛丼の牛五郎に樋口真嗣。
 ハンバーガーの哲に川井憲次。
 フランクフルトの辰に寺田克也。
 中辛のサブに河森正治。
 全員押井氏と浅からぬ縁を持つ人ばかり。
 すでになかなか手に入らないけど、お勧め。

 

押井守論 MEMEMT MORI
2004
日本テレビ
 『イノセンス』(2004)公開に合わせ、数多くの識者が押井守の作品について語り明かす作品。
 本作読んで分かったのは、近年になってフランスで評価が急激に高まっていると言うこと。
 今年のカンヌコンペは、実は『イノセンス』単体よりも、押井守作品全体に関わるものなのかもしれない。

 

これが僕の回答である
2004
インフォバーン
 1995年から著者がかつてwiredという雑誌で書いていた映像論と、その後、サイゾーへと舞台を移して書かれた映像論をまとめた作品。
 これは嬉しい。wiredの時は、買うかどうか迷って結局立ち読みで済ましていたし(しかも確認したら、半分くらいしか読んでない)、サイゾーに至っては全く読んでないので、こういったエッセイ集は大変ありがたい。
 それに、内容が実に良いんだよね。色々参考にもなった。

 後、関係ないけど、はてなでの私のサイト名は「甘崎の映像つれづれ」となってるけど、サイゾーで先日まで連載していた題が
「ツレヅレ鑑賞日記」…なんか近似性を感じ…ないか?(笑)

 

TVをつけたらやっていた
2004
徳間書店
 著者による横目で観たテレビで放映していた映画について、実にいい加減に感想を述べた作品…
 正直、私自身がこのサイトでやってることを見事に否定された気分なんだが、読んでて面白いのがなんとも…
ちなみにここで紹介された映画は『蛇女』、『聾者の楽園』、『チェックポイント』、『ウィッカーマン』、『スター毒殺事件』、『タイタス』、『ザ・リバイバル』、『うずまき』、『ウェルカム・ドールハウス』、『くノ一忍法帖 柳生外伝〜江戸花地獄篇』、『13ウォーリアーズ』、『ユリョン』、『かくれんぼ』、『リトル・ダンサー』、『ドッグ・ショウ』、『タイムトラベラー/きのうから来た恋人』、『ギプス』、『さぬき馬鹿伝説「がいな奴」』、『インビジブル』、『zeroWOMANIII/警視庁0課の女』、『反則王』、『ストーミー・マンディ』、『ルーム666』、『ウルフ』『ドグマ』、『スノー・ドッグ』、『ウィンドトーカーズ』、『ビューティフル・クリーチャー』
 …結構映画って観てるつもりだったんだがなあ。
 ところで、著者は結構さりげなく自作の映画の弁明を本に書くことが多い。色々と溜まってるんだろう。ここではこんな事が書かれてた。映画は短くすべきという観点からして…「お前の映画は何なんだ。台詞はやたら多いし、メシを喰うシーンは無意味に長いし、言ってることと演ってることが違うじゃねえかーとおっしゃる貴方。僕は「切りたくない」「切るのヤダ」と言ったことはあっても、「切れない」などと言ったことは一度もありませんので、あしからず」…開き直りだろ。そりゃ…しかし、それが好きな私がここにいる。

 

獣たちの夜

オリジナル版



文庫版
2000
富士見書房
2002
角川文庫
 1969年。高校でセクト活動を続けていた三輪零は、街頭デモで警察に追い払われ、その帰り道で偶然殺人現場を目撃する。犯人は日本刀を構えたセーラー服の少女…
 ProductionI.G.で押井氏が参加した“押井塾”の作品『BLOOD THE LAST VAMPIRE』(2000)の原作版…というか、押井版の『BLOOD』と言った作品。尤も、内容は若き日の押井氏の思い出話と言った風情で、それなりに楽しいけど、何か妙に痛々しいだけだという話もある。
 蘊蓄と思い出ばかりで構成され、物語自体はほとんど進展しないという面白い作品でもある。
 時空的には
 本作→映画版『BLOOD THE LASTVAMPAIRE』TV版『BLOOD+』漫画版「BLOOD TheLastVanpaire」(玉置勉強)で展開するので、この作品の続きが知りたければどうぞ。

 

 

犬の気持ちは、わからない
熱海バセット通信
2000
エンターブレイン
 ペットライフ社に連載された著者の「熱海バセット通信」を単行本化した作品。
 映画監督&小説家(?)のエッセイなのに、話題は全て愛犬について。どれだけ著者が犬を愛しているのかがよく分かる一冊…というか、自分の映画について語る時は、『機動警察パトレイバー2 THE MOVIE』(1993)『攻殻機動隊』(1995)にどれだけ苦労してバセットを出したかを縷々綴ってる。そこまでして犬を出したかったか?(『イノセンス』(2004)にかけた著者の並々ならぬ意志はここからも窺える)。
 他に(現時点では)幻となった
『G.R.M.』の内容についてもちょっとだけ触れられていたり、ダルメシアンの出る『101』(1996)に対抗して、『101匹バセット大行進』なる企画を考えているとか、なかなか楽しい一冊ではある。ファンだったら是非…って絶版?

 

西部新宿戦線異状なし

旧版


新版
1994
(画)大野安之
日本出版社
2002
角川書店
 日本で起こるはずのない“革命”が勃発。東京は瓦礫の山と化した。数ヶ月後、関西に住む学生の丸輪零は“革命”の響きに惹かれ、都内へとやってきたが、そこは彼の想像を絶する恐ろしい世界(?)だった…お気楽なバタ屋集団に放り込まれ、更に米軍基地に残された危険なブツを探す旅へと出されてしまう。主体性が無く、ただ美人のケイに惹かれるだけの彼が最後に取った行動とは…
 本作はそもそもB-CLUBという雑誌に近藤和久画で連載され始めたのだが、途中で止まってしまい、その後ネオファンタジーという雑誌でおおのやすゆき画で仕切り直しとなった(更にその後、コンバットマガジンで連載という)妙な経緯を持つ。
 ストーリーは革命青年の尻尾を未だにまとわりつかせている著者(ちなみに主人公の丸輪零というのは押井氏がアニメの演出家としてのペンネームでもある)の原点とも言える作品。ノリは妙だけど、押井氏らしさに溢れた作品とも言えよう。
 尚、「少年エース」で一本だけ描かれた外伝を収録した新版も発売中。

 

セラフィム
2億6661万3996の翼
1995-1996
アニメージュ
画:今敏
1995年5月号〜1996年11月号にアニメージュ本誌に連載されていた。現在休載中とのことだが、これが日の目を見ることは最早あるまい。
 貴重な作品を快く貸していただいた友人に感謝しつつ、誰もやることのないだろうレビューを書かせていただく。

第0話 第1話 第2話 第3話
第4話 第5話 第6話 第7話
第8話 第9話 第10話 第11話
第12話 第13話 第14話 第15話
第16話

 

注文の多い傭兵たち

旧版


新版
1995
メディアワークス
2005
徳間書店
 ゲーム雑誌に連載されていた著者のゲームレビュー(と言うか妄想というか)を小説風にまとめた前半と、著者が考えたゲームを紹介する後半とに分かれた二部作として描かれた作品。
 これが書かれたのは当時まだPC-9801が全盛時代で、ゲームレビューも懐かしいものばかり。例を挙げるとUltimaV(コレクション内)、ドラゴンウォーズ、ブラック・レインボー、ダイナソー、アトラス、RECORD OF LODOSS WAR II、BLUE、マイト・アンド・マジックIII、ウィザードリィ。この辺は私もリアルタイムでやったゲームも入っていたりしてなかなか楽しかった。
 そしてその骨子とも言えるのが著者による新しいゲームだが、これが結構面白いのが多い。「蠱毒の迷宮」なんかは、そのまんまバトル・ロワイヤルだったりするのも興味深い。ところで、ここでパトレイバーのゲームについて書かれているが、これはかつて実際メガドライブで発売されていた。出来は…わははは。

 

TOKYO WAR

上巻



下巻



新版
1994
富士見ファンタジア文庫
 あれから3年。かつての特車二課第二小隊の面々は転属となり、それぞれの新しい部署で新しい任務をこなしていた。
 そんな時、特車二課第一小隊長南雲しのぶの眼前で横浜ベイブリッジが爆破された。爆弾テロと思われたその事件はミサイルによるものであることが発覚し、更に自衛隊の関与が噂されるようになる。
 しのぶはそこにかつての彼女恋人、柘植の影を見る…
 『機動警察パトレイバー2 THE MOVIE』(1993)のノヴェライゼーションとして、監督自らが書き下ろした小説。ライトノベルではあるが、読み応えは充分。時間の関係で映画版には入れられなかったエピソードや、個々のキャラクターの心理の掘り下げや、アニメ画面では分からぬハッタリも含め、内面描写に力を入れた作品で、勿論著者独特のユーモアがそこら彼処に散見できる。映画を補完するには格好の作品といえよう。
 個人的なツボは榊班の面々の集結で、何故か銭湯が用いられているところか?「うんうん」と頷きながら読んでた。
 復刊ドットコムのリクエストのお陰で見事復刊がなったので、興味ある人は是非お買い求めを。

  

天使のたまご 絵コンテ集
1985
徳間書店
 天使のたまご(1985)の絵コンテ。ざっと見ただけですが、絵の方はえらく力が入ってます。とにかく無駄に美術に力を入れること。それがこの作品の大きな特徴でしたが、その力の入り方がよく分かるコンテとなってます。
 それにしても後書きの宮崎駿氏、本当に言いたい放題言ってます。シニカルな笑いってやつですね。
 結局これで監督作品のシナリオ集はトーキング・ヘッド(1992)攻殻機動隊(1995)に続いて、三つ目になりました。

 

天使のたまご 少女季
1985
徳間書店
 天使のたまご(1985)の絵本。この存在を知ったのは最近で、復刊を望んでいたが、こうあっさりと手に入ってしまうと、なんか拍子抜けっぽい。
 一応「絵本」だが、決して子供向きではない。2004年復刊

 

天使のたまご
1985
アニメージュ文庫
画:天野喜孝
 1984年世に登場し、アニメファンを唸らせつつ、押井守の名を不動のものにした作品天使のたまご(1985)の文庫版。本編のアニメはそのあまりの「訳が分からなさ」で押井守自身を忘却の彼方へ誘ったが、徳間はよくもそんな作品の文庫化に踏み切ったものである。
 天野喜孝の描く幻想的な挿絵に押井守本人による物語風解説が付けられた構成で、これを読めばアニメ版天使のたまご(1985)が少しは理解できる。かもしれない。
 ところで本誌末尾には「絵本天使のたまご 少女・12季(仮題)」なる絵本が予告されているが、筆者は寡聞にして聞いたことがない(現在復刊希望中)。