温暖化が進み全ての陸地が水没した未来の地球。人々はアトールいう人工の島を作って細々と生きながらえていた。そんなアトールの一つオアシスに一人の男が降り立った。誰とも口を利こうともせずぶっきらぼうなその男マリナー(コスナー)は早速市場でトラブルを起こしてしまい、その際マリナーが鰓を持つミュータントであることが発覚した。丁度そんな時、ディーコン(ホッパー)率いる海賊集団スモーカーがオアシスを襲撃するのだった。戦いの中、マリナーは酒場の女ヘレン(トリプルホーン)と少女エノーラ(マジョリーノ)に助けられ、海に逃れる。実はエノーラを保護しているヘレンは外に出る機会を狙っていたのだ。だが海賊が狙っていたのも、やはりエノーラだったことが分かり…
コスナーを主演に迎えたディストピアとしての未来世界を描くSF大作。似たような設定の『ポストマン』と較べ、遙かに金を使った作品で、相当な期待作だったらしく、当時はかなりCMを見受けられた。
ただ、コスナーの場合、元々SFとはあまり相性が良くない。渋みのある演技力を持ち、殊更マッチョというほどででないので、造形的にSFヒーローになりにくいタイプだし、事実コスナーがSF作品の主人公を演じても、ダークヒーロー的な位置づけになりがち(ぶっちゃけ悪人顔だってこと)。こういう造形だと、かなり大人向けにする必要があるのだが、本作の場合殊更大人向けではないので、ヒーローの造形が非情に中途半端。時折コミカルな演出もあるが、それが見事なくらいに外す。
更にアクションも派手な割に華が無く、妙に地味目で、印象が薄い。
SFなのに、全然SF的ギミックが活きてない。
ストーリーが間延びしすぎて全体的に退屈。
…と、まあ、はっきり言って本気でどうしようもない作品なのだが、正直何故これで大作映画を作ろうとしたのか理解に苦しむ。最終的に1億7500万ドルの製作費がかかったそうだが、この出来では到底ペイできるものではない。
SF好きだけに、駄目SFはとかく腹が立つ。
オスカー俳優でもあるコスナーの魅力でなんとかしたかったのだろうと思うのだが、前述の通りSFには合わないキャラだし、撮影中にコスナーの浮気が発覚。妻と離婚。更に愛人との出産認知問題もあって、実生活はボロボロで、更にこれまでの「家庭的」というイメージが崩れてしまう。以降コスナーにはダーティなイメージがつきまとう。
ある意味コスナーのフィルモグラフィにも重大な汚点を残した作品と言えよう…まあ、以降の作品は開き直れたから、転機になったと言うべきか?
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