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90年代SF

ウォーターワールド


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1995年
ケヴィン・レイノルズ(監)

 温暖化が進み全ての陸地が水没した未来の地球。人々はアトールいう人工の島を作って細々と生きながらえていた。そんなアトールの一つオアシスに一人の男が降り立った。誰とも口を利こうともせずぶっきらぼうなその男マリナー(コスナー)は早速市場でトラブルを起こしてしまい、その際マリナーが鰓を持つミュータントであることが発覚した。丁度そんな時、ディーコン(ホッパー)率いる海賊集団スモーカーがオアシスを襲撃するのだった。戦いの中、マリナーは酒場の女ヘレン(トリプルホーン)と少女エノーラ(マジョリーノ)に助けられ、海に逃れる。実はエノーラを保護しているヘレンは外に出る機会を狙っていたのだ。だが海賊が狙っていたのも、やはりエノーラだったことが分かり…
 コスナーを主演に迎えたディストピアとしての未来世界を描くSF大作。似たような設定の
『ポストマン』と較べ、遙かに金を使った作品で、相当な期待作だったらしく、当時はかなりCMを見受けられた。
 ただ、コスナーの場合、元々SFとはあまり相性が良くない。渋みのある演技力を持ち、殊更マッチョというほどででないので、造形的にSFヒーローになりにくいタイプだし、事実コスナーがSF作品の主人公を演じても、ダークヒーロー的な位置づけになりがち(ぶっちゃけ悪人顔だってこと)。こういう造形だと、かなり大人向けにする必要があるのだが、本作の場合殊更大人向けではないので、ヒーローの造形が非情に中途半端。時折コミカルな演出もあるが、それが見事なくらいに外す。
 更にアクションも派手な割に華が無く、妙に地味目で、印象が薄い。
 SFなのに、全然SF的ギミックが活きてない。
 ストーリーが間延びしすぎて全体的に退屈。

 …と、まあ、はっきり言って
本気でどうしようもない作品なのだが、正直何故これで大作映画を作ろうとしたのか理解に苦しむ。最終的に1億7500万ドルの製作費がかかったそうだが、この出来では到底ペイできるものではない。
 SF好きだけに、駄目SFはとかく腹が立つ。
 オスカー俳優でもあるコスナーの魅力でなんとかしたかったのだろうと思うのだが、前述の通りSFには合わないキャラだし、撮影中にコスナーの浮気が発覚。妻と離婚。更に愛人との出産認知問題もあって、実生活はボロボロで、更にこれまでの「家庭的」というイメージが崩れてしまう。以降コスナーにはダーティなイメージがつきまとう。
 ある意味コスナーのフィルモグラフィにも重大な汚点を残した作品と言えよう…まあ、以降の作品は開き直れたから、転機になったと言うべきか?

 

アトール
【あとーる】
 海上に浮かぶ都市の総称。 甘崎
ウォーターワールド
【うぉーたー-わーるど】
 海面上昇によって水で覆い尽くされた未来の地球のこと。 甘崎
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エノーラ
【えのーら】
 背中に入れ墨が彫られた少女。その入れ墨は伝説のドライランドの地図だという。役はティナ・マジョリーノ。 甘崎
オアシス
【おあしす】
 ヘレンとエノーラが住んでいるアトールの名称。 甘崎
グレゴール
【ぐれごーる】
 オアシスに住む発明家。 甘崎
スモーカー
【すもーかー】
 ディーコンが率いる海賊集団。大型タンカーとジェットスキーを保有する。 甘崎
ディーコン
【でぃーこん】
 海賊スモーカーの頭領。伝説のドライランドを探している。役はデニス・ホッパー。 甘崎
ドライランド
【どらいらんど】
 伝説となっている乾いた大地。海の果てにあるという伝説があり、その地図がエノーラの背中に彫られているという。 甘崎
ヘレン
【へれん】
 オアシスに住む女性。エノーラという少女を保護しており、彼女を守っている。役はジーン・トリプルホーン。 甘崎
マリナー
【まりなー】
 海上生活者の男。ほとんど人と接触を持たないが、それは自身が鰓を持つミュータントだから。このお陰で水中での活動時間は非常に長い。役はケヴィン・コスナー。 甘崎