有史前のハイボリア時代。両親をタルサ=ドゥーム(ジョーンズ)に殺され、自身も強制労働させられた少年コナンは、復讐を心に誓い成長した。そして15年後、逞しく成長したコナン(シュワルツェネッガー)は闘技士として買われてゆき、そこでのチャンピオンとなって自由を手に入れた。ヴァレリアやサボタイと言った仲間も出来、三人は宝を求めタルサの住むザモラの国に潜入する…
原題『Conan the Barbarian』。シュワルツェネッガーの最初の出世作として知られる作品だが(後に『ターミネーター』(1984)で大ブレイクしたが)、少なくともヒロイック・ファンタジーの基礎とも言えるこの作品を映画化出来たと言う事それ自体を評価すべきだろう。
ハガードによる原作は、ファンタジー好きは絶対読め。と言われる基本中の基本の作品。魔術などの存在する神秘的世界の中、身勝手だが情に厚く、どんなピンチにも、その肉体でかき分けて進むようなキャラクタは本作で確立されたが(話によって随分性格に差があるのだが、これは原作者のハワードが生前に書いた様々なエピソードを、彼の死後似た話を全部「コナン」シリーズにしてしまったからだそうだ)、それがこれまで映画化されなかったのは、特撮技術の事もあるけど、何よりそれに見合うキャラクタがいなかったと言う事実にこそある。
その意味でのシュワルツェネッガーははまり役。あらゆる困難を筋肉にものを言わせて突っ走る姿と言い、寡黙ながら愛嬌のある顔付きと言い、まさにコナンを演るためにいた!と言うほどの存在感を見せつけてくれた。実際確かに『ターミネーター』が最も有名であっても、この作品のシュワルツェネッガーの方が好きって言う人も多いくらい(本作のお陰でターミネーターの話も来たのだが)。本作の場合は特に、ただ黙っているだけじゃなく、時折見せる笑顔が良い。物語自体がハードだからこそ、その笑顔に救われている。
シュワルツェネッガー一人だけで充分な作品だが、流石にCGの無い時代だけに、特撮は頑張ってるのは分かるが、やっぱりいかにも作り物然してるのは何だし、物語も一本調子という問題は山積。
映画単体として本作を観るのではなく、シュワルツェネッガーを観るためと割り切ればかなり楽しめる作品には違いない。 |