1914年。ナイル河畔の地下神殿から出土した古代文字には火・水・土・風の4つの要素に囲まれた5つ目の何かが描かれていた…2214年NY。5千年に一度銀河へとやって来るという邪悪な反生命体が接近していた。彼らとの戦闘を回避するために“フィフス・エレメント”が必要とされていたが、肝心なその“フィフス・エレメント”を載せた宇宙船が武器商人ゾーグ(オールドマン)によって撃墜されてしまった。その破片から再生した女性(ジョヴォヴィッチ)は、人間の言葉が分からず脱走してしまう。偶然彼女を乗せてしまった空中タクシーの運転手コーベン(ウィルス)は、思いもかけぬ冒険に直面することとなる。
『ディープ・ブルー』および『ニキータ』、『レオン』と言った世界的ヒット作によって一躍フランス映画界の寵児となったベッソン監督が、16歳の時に考えたというSFを巨費をかけて製作した作品。
派手なビジュアルと“あのベッソン監督が作ったSF”という事で有名になった作品で、設定とか物語とかかなり荒唐無稽なもので、オリジナリティも無いという、まるで中学生が想像したSFみたいな作品。正直これを劇場で観て唖然としたものだが、むしろこんなものを大まじめに、これだけの人物と巨費をかけて作ってしまえたベッソンという人物が強烈に羨ましくなった。そりゃ勿論この映画を作る前に先行して三つの大ヒット作を作った人だからこそ出来た芸当なのだが、ベッソンは有名になったことを最大限に活かすことが出来た監督なのだろう。本作という夢を果たしたことによって、後は監督としてのモチベーションが下がってしまったんじゃなかろうか?文句を言うよりも一言「羨ましい」と言いたくなる作品である。
内容、設定共々カスみたいなもので、これと言って言うべきところがないし、本作を通して何事かの主張をしたいという部分も感じられないが、とにかく派手でビジュアルに凝った映像は今にしてもやはり凄いものだし、ただこれを観るだけでも映画館に行って良かったと思えた作品でもある。
キャラはアメリカ人俳優を中心に、旬の人達を集めてみました。みたいな感じだが、その中でも突出していたのが脇役のタッカーだったりする。これが馬鹿げた作品だから。と言うことでお馬鹿に徹したのが功を奏したのかも知れない。後は基本的に真面目に演じようとしている分、痛々しい感じ。
ビジュアルは画面エフェクトだけではなく、ゴルティエがデザインしたという数々の服飾デザインも面白い。本物のデザイナーだからこそ出来るぶっ飛んだセンスを楽しめる人には是非お勧めしたい。 |