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特撮事典

恐竜映画

ロストワールド


ロストワールド
1925年
ハリー=O=ホイト(監) ウォーレス=ビアリー、ベッシー=ラヴ、ルイス=ストーン、ロイド=ヒュージ
 ロンドンの講演で恐竜生存説を唱え、学会から追放されそうになったチャレンジャー教授は自説の正しさを証明するため、隊を組んでアマゾンの奥地を探検する。そこで彼らはついに“失われた世界”を発見。そこでアパルトザウルスの捕獲に成功するのだが…
 
「シャーロック=ホームズ」を生み出し、現在に至る小説に革命を起こしたコナン=ドイルの原作「失われた世界」を映画化した作品。原作が上手い具合にヒットすれば、ドイルはジュール=ヴェルヌと並ぶSFの祖と呼ばれるようになっただろうけど、残念ながら原作そのものは、「『ホームズ』の作者が書いたSF」。と言う程度の認識しかされてない。荒唐無稽な上、かなり乱雑だったのは確かだけど、それなりに面白い作品だったと思うんだけどね…あんまり褒めてないか(笑)
 一方、映画の方は凄い出来となった。恐竜同士の戦いや、町を蹴散らして闊歩する恐竜の巨大さは、ストーリーの甘さやオーバーアクション気味の演技の稚拙さを充分超えるだけの見応えをもたらしてくれた。
 本作は初めてのストップモーション・アニメーションを用いて作られた長編映画で、特撮の祖ウィリス=H=オブライエンの名を広く知らしめた作品である。オブライエンが手がけた作品での最高作は何と言っても
『キング・コング』(1933)だが、それをさかのぼること8年前の本作もそれに決して劣った作品ではない。ストップモーション・アニメーションの出来は実に素晴らしく、恐竜たちの動きもなめらかだし、人間との合成も上手くいっていた(尚、ここで動かしている恐竜たちはゴム製のパペットで、内部に空気袋を入れていたため、呼吸まで再現できているのが凄いところ)。50年後の『スター・ウォーズ』(1977)の時代に用いられた同じストップモーション・アニメーションより、こっちの方が優れているような…
 町で怪獣が暴れると言うシチュエーションは当然ながら本作が嚆矢。後の
『GODZILLA』(1998)やスピルバーグによる『ロスト・ワールド』(1997)の元ネタとして観ることもできる。『ゴジラ』に先立つこと四半世紀。この作品こそが怪獣映画の原点である
 事実、原作者のドイルがある会合で
「この作品はドキュメントだ」と言ったところ、客の大半は信じたと言う逸話が残っている。
 なにせ特撮の原点とも言える映画。前々から観たい観たいと思っていたが、ようやく見ることが出来て、私としては大満足。

 

アロサウルス
【あろ-さうるす】
 ロストワールドに住む肉食獣。この土地がジュラ紀であることを如実に示す存在である…の割には白亜紀に棲息していたトリケラトプスと喧嘩していたような気もするけど。 甘崎
エドワード
【えどわーど】
 エドワード=E=マローン。新聞記者でチャレンジャー教授の演説を聴き、教授に興味を持ってインタビューを行うが、それが南米探検につきあう結果となる。役は 甘崎
猿人
【えんじん】
 チャレンジャー教授らの探検隊を阻む。彼の存在によりロスト・ワールドは守られてきたようだ。 甘崎
チャレンジャー
【ちゃれんじゃー】
 恐竜生存説を唱える生物学者。過激な発言のため学会を追放されそうになるのだが、自説の正しさを証明するためにアマゾンの奥地に探検隊を組織する。歳は取っているが、エドワードと大立ち回りを演じるほどの威丈夫。役はウォーレス=ビアリー。 甘崎
トリケラトプス
【とりけらとぷす】
 元々は白亜紀に棲息していた恐竜。子供がアロサウルスに襲われ、それを助けるために親が出てきてアロサウルスと戦う。 甘崎
ブロントザウルス
【ぶろんと-さうるす】
 探検隊が捕獲した首長竜。ロンドンに連れて行くのだが、檻を破って街で暴れ出す。尚、現在はアパルトサウルスと呼ばれている。 甘崎
ポーラ
【ぽーら】
 ポーラ=ホワイト。実はチャレンジャー教授の前に彼女の父親であるホワイト教授が同じ学説を主張し、単独で南米に旅立ち、帰ってこなかったという経緯があり。それで彼女も探検隊に参加する。 甘崎
ホワイト教授
【ほわいと-きょうじゅ】
 チャレンジャー教授と共に恐竜生存説を唱えた博士で、一足先に南米に向かうが、帰ってこなかった。チャレンジャー教授の探検隊がロストワールドで遺骨を発見する。 甘崎
ロストワールド
【ろすと-わーるど】
 アマゾンの奥地にあるという失われた土地。ここには太古の恐竜が生き残っているというのはチャレンジャー教授の学説だった。 甘崎

恐竜100万年


恐竜100万年
1966年
ドン・チャフィ(監)
 恐竜と人間が同時に住むという原始時代。活火山の麓にはアクホバ(ブラウン)を長とする民族が住んでいたのだが、彼の次男ツマク(リチャードソン)は食物のことで父親と喧嘩して追放されてしまった。ツマクは恐竜やトカゲや猿人、そして自然災害と出会いつつも海辺にたどり着き、そこで倒れてしまう。そこに住むシェル族の娘ロアナ(ウェルチ)はツマクを自分たちの群れに迎え入れる。しかしツマクはそこでもいざこざを起こしてしまい、今度はロアナを連れて元の群れへと戻るのだが、父は既に無く、兄のサカナ(ハーバート)が統率していたのだった…
 
『紀元前百万年』のリメイク作なのだそうだが、そちらの方は未見。とりあえず純粋に本作について考えてみよう。
 設定の無茶苦茶さはとりあえず置いておくとして、まずこれは、いろんな意味でサービス精神満点な作品とは言える。ただし、この場合のサービスというのは、
かなり限られた範囲においてだが。
 男の子には恐竜対人間の迫力ある戦闘シーンが用意され、お父さんにはラクエル=ウェルチのセクシーショットが…って、要するにこの作品は徹頭徹尾、
男に対するサービスカットに溢れていると言うこと。
 それを裏付けるかのように、本作には冒頭以外にほとんど言葉が無く、集団劇のパントマイムみたいなもので一貫していて、その分余計なことを考えずに画面に集中できるって訳だ。まあ、確かにサービスカットに集中させるにしては、今観る限りはちょっとチャチすぎるきらいはあるものの(特に人間の格好はあんまりにも。なんで女性はみんなビキニ姿で化粧してるんだ?)、この辺おおらかな時代だったんだろうな。
 特撮ファンにとっては、当然ハリーハウゼンの美麗なダイナメーションが堪能できる作品に仕上がっているので、特撮好きならば、是非お薦め。ウェルチとハリーハウゼンのコラボレーションとしてならば。
 ところで本作、てっきりアメリカで作られていたのだと思ってたら、ハマーフィルムだったのね。なるほど納得。

 

アクホバ
【あくほば】
 火山の麓に住む民族の長。息子にサカナとツマクがいるが、意見の相違でツマクを追放した後他界。 甘崎
サカナ
【さかな】
 アクホバの長男。アクホバ亡き後、火山の麓の民族の長となる。 甘崎
ツマク
【つまく】
 本編主人公。火山の麓に住む民族の長アクホバの次男。大地をさまよい歩き、多くの戦いを経て妻ロアナを得、二つの民族を統率する長となる。役はジョン=リチャードソン。 甘崎
ロアナ
【ろあな】
 海辺に住む民族の長の娘。海辺に倒れていたツマクを助け、彼を追いかけて最後には妻となる。 甘崎