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死霊のはらわた


死霊のはらわた
1983年
サム・ライミ(監)
 バカンスのため、深い森の一軒家にやって来たアッシュ(キャンベル)を始めとする一行。ロマンティックかつ不気味な雰囲気に包まれ、気分は盛り上がっていく。そんな時に偶然見つけたオープンリールのテープ。それを再生してしまったことから、甦った死霊たちに襲われることになる。次々と死霊化していく友人達。アッシュの決断は…シリーズ第1作。
 元はサム・ライミとその友人ブルース・キャンベルとが悪乗りして作った自主製作映画だったが、あまりにその出来が良いと言うことで、一般上映され、瞬く間に大ヒットとなった作品。
スプラッター・ムービーと言う言葉は、この映画から始まった。
 特殊な撮影技巧、アニメーションによる立体描写など、映像に関してはとても素人作品とは思えないほどに質が高い。ただ、流石にキャラクターは素人っぽ過ぎだし、後にブレイクするブルース=キャンベルもまだまだ弾け足りない。(その分、2、3での弾けぶりは目を見張らせるものがあるけど)
 ストーリーは暗い雰囲気に包まれ、原因不明で次々に殺され、「奴ら」の仲間になってしまう人間の悲劇が強調されていた。が、不思議と「怖さ」とは離れたところにある。だからこそ、「スプラッター・ムービー」なのだろう。
 とにかく全てが血まみれで、そういうのが好きな人にはたまらない作品かと。そういうのに嫌悪を覚える人には絶対にお勧めできないけど。

 

アッシュ
アッシュ 画像 <A> <楽>
【あっしゅ】
 シリーズを通しての主人公。ライミ監督によれば、「卑怯で情けなくて臆病な男」だそうだが、キャンベルの怪演のお陰で、ダークなヒーローとしての存在感は高い。二作目で悪霊に取り憑かれた右手を自ら切り落とし、そこにチェーンソーをつけてぶん回すという、かなり危ないキャラ。役はブルース=キャンベルで、彼の最大のはまり役。 甘崎
カンダ
【かんだ】
 「タン・ディエル・マン・ノウ・マン・ツィーゾン…」と続く呪文の最後に語られる呪文でどうやらこの言葉が死霊を呼び寄せるキー・ワードとなっているようだ。 甘崎
カンダールの遺跡
【かんだーる-の-いせき】
 ネクロノミコンが納められていたとされる遺跡。人騒がせな博士がこれをアメリカに持ち込み、その呪文を解いてしまったことで不幸が始まった。 甘崎
血の書
【ち-の-しょ】
 ネクロノミコンの別名。 甘崎
カンダニアの短剣
【かんだにあ-の-たんけん】
 “死者の書”と共に埋葬されていたという短剣。1と2に登場。 甘崎
ネクロノミコン
ネクロノミコン 画像 <A> <楽>
【ねくろのみこん】
 ラヴクラフトの小説ですっかり有名になった感があるが、ここでは「死者の書」と呼ばれている。人肉で表紙が作られ、そこに現れる顔は表情も出る。人間の血で書かれたという内容は死者を呼び出すためと、再び封じるための二つの呪文が書かれている。 甘崎
リンダ
【りんだ】
 アッシュの彼女。毎回殺される役だが、演じているのは全部違う。1作目ではベッツィ・ベイカー、2作目ではデニス・ビクスラー、3作目ではなんとブリジット・フォンダが演じている。 甘崎

死霊のはらわたII


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1987年
サム・ライミ(監)
 恋人と共に廃屋となっている古い館に泊まったアッシュ(キャンベル)。だが、屋敷の地下に存在する悪霊を偶然呼び出してしまったばかりに、恋人は悪霊に取り込まれ、自分の手で殺すことになり、更に自分も取り込まれそうになってしまう。そして翌日。館から逃げられないまま一日が過ぎ、夜になってその館の関係者がやってくる。彼らと協力し、地下に棲む悪霊と戦おうとするアッシュだが、それは自らの身体に入り込んだ悪霊との戦いもあった。そして、悪霊を消し去ったとき、アッシュの身体には…
 前作『死霊のはらわた』(Evil Dead)の続き。と言う形を取っているものの、実際には1作目中盤以降のリメイク作品。特に最初の15分部分には前作の殆どのストーリーが網羅されている程、非常に力が入っている。
 前作が
「スプラッター」の嚆矢であり、その拡大版なだけに今回も前作に負けず劣らず血が流れる。ただ、むしろ今作はブラック・コメディという感じが強い。特に自分の左手と戦うアッシュの姿とか(何でもブルース・キャンベルは今でもその芸を見せているとか)、次にショックシーンが来るぞ来るぞ。と思わせておいて、いきなり笑い声が入るとか、笑えるシーンが多い。これは微妙にパターン化された恐怖をずらして造られているからで、そのようなショッキングシーンに慣れている人は驚かされ、手を叩いて喜ぶはず。
 ちなみにアッシュ本人が「ふざけた野郎だ」と吐き捨てるように言っている人物とは…
 実に観客のニーズを意識して造られているので、安心して、しかもホラー駄目な人にも勧められる作品であるが、人によっては怒るかも知れないな。

 

アニー
【あにー】
 ノウビー教授の娘。父の様子を見るためにコテージにやってくるのだが… 甘崎
エド
【えど】
 アニーのボーイフレンド。アニーに連れられてコテージにやってくる。 甘崎
お前の心臓は俺が止めてやる
【おまえ-の-しんぞう-は-おれ-がとめて-やる】
 日本版のキャッチコピー。予告編でこれを見たときは、どんな怖い作品かと思ってたのだが、出来た作品は完全なコメディだった。 甘崎
カンダ・エストラタ・アマントス・イアグレッツ
【かんだ-えすとらた-あまんとす-いあぐれっつ】
 死者を呼び出す呪文。1と較べ、言葉はややはっきりしてる。 甘崎
伝説の英雄
【でんせつ-の-えいゆう】
 “死者の書”に記されている、死霊を封印したという伝説の人物。アッシュに言わせれば「ふざけた野郎」だが、実はアッシュ自身だったりする。 甘崎
ネクロノミコン
ネクロノミコン 画像 <A> <楽>
【ねくろのみこん】
 別名「死者の書」。人肉で表紙が作られ、そこに現れる顔は表情も出る。人間の血で書かれたという内容は死者を呼び出すためと、再び封じるための二つの呪文が書かれている。ちなみにここにはアッシュが「ふざけた野郎だ」と切り捨てた、あるヒーローのことが記されている。 甘崎
ノウビー教授
【のうびー-きょうじゅ】
 「死者の書」を掘り当てた人物で、彼が呪文を唱えたことで死霊が目覚めてしまう。彼自身と妻が死霊となって地下室にいたりもする。 甘崎
ふざけた野郎
【ふざけた-やろう】
 死者の書に綴られていた中世に活躍した騎士で、彼のお陰で死霊は追い払われたのだという。その件を読んだときにアッシュが吐き捨てるように言った台詞。 甘崎
ヘンリエッタ
【へんりえった】
 ノウビー教授の妻。ノウビー教授と共に地下室にいる。 甘崎

 

キャプテン・スーパーマーケット


キャプテン・スーパーマーケット
1993年
サム・ライミ(監)
 悪霊との戦いの末、左手首を失い、愛車ごと過去に飛ばされてしまったアッシュ(キャンベル)。そこで奴隷として使役されるが、その時代にやって来た悪霊をやっつけたことで一躍ヒーローとなる。悪霊の完全封印の使命を果たすために働くアッシュだが、持ち前のいい加減さが仇となり、封印は失敗。逆に悪霊どもを地上にあふれかえらせてしまう。その責任をとるため、アッシュは戦いを決意する…
 前作がブラック・コメディーと言うなら、本作は間違いなくコメディーそのもの。怖さは殆ど付け合わせ程度で、全編笑いに包まれている。アッシュが呪文を唱えるときの台詞は爆笑ものの名台詞だし、自分の半身と戦うアッシュのあまりに馬鹿馬鹿しい姿には同情さえ覚える。
一体この人、現代では何をするつもりだったのか。と思わせるほどやばいブツが積んである車とか、見所は満載である。
 現代はCGで済ましてしまえることを、あくまでアニメーションにこだわった作りも良い。延々と続く死霊軍団の描写、
この手間がどれだけかかるか分かるなら、感心を越え、感動できることは請け合える。ハリーハウゼンやオブライエンと言った技術屋が大好きだという監督のオタクぶりが窺える。
 この作品には
二つのタイプのエンディングがあり、出来るならどちらも楽しんでいただきたい。オープニングの完全撮り直しで前作を説明する映像も素晴らしい出来。
 ちなみにこの作品、配給会社が変わってしまったため、
『Evil DeadIII』と言う題を使うことが出来ず、『Army of  Darkness』となってしまい、その関係で日本でも『死霊のはらわた3』ではなく、このようなタイトルとなっている。それで何がキャプテン・スーパーマーケットなのか、と言うと、主人公のアッシュがスーパーマーケットの店員だからだとか(劇中、自分のスーパーマーケットに売っている製品の説明をくどくど述べる描写もあり)。

 

アーサー
【あーさー】
 中世に飛ばされたアッシュが出会った王。当初アッシュを処刑しようとする。 甘崎
イビルアッシュ
【いびる-あっしゅ】
 アッシュの身体を乗っ取った死霊が分離して生じた“悪のアッシュ”。肩から生えたイビルアッシュの頭をどつき回すアッシュの姿が印象的だった。 甘崎
Sマート
【えす-まーと】
 現実世界でアッシュが働いていたスーパーマーケット。邦題はここから来ている。 甘崎
クラートゥ・バラダ・ニクトゥ
【くらーとぅ-ばらだ-にくとぅ】
 中世にあった“死者の書”を手に取るために必要な呪文。アッシュはこの呪文を覚えきれず、結果として死霊の暴走を招いた。ところでこの呪文は… 甘崎
シーラ
【しーら】
 中世に住む女性。勇者としてアッシュに憧れ、やがて結ばれる…一応アナザーバージョンでは現代に戻ったアッシュが働くSマートの店員としても登場してる。 甘崎
ネクロノミコン
ネクロノミコン 画像 <A> <楽>
【ねくろのみこん】
 何者かによって書かれた血の書。ここに書かれた呪文により死霊を呼び出すことも封印することも出来る。 甘崎
ヘンリー
【へんりー】
 アーサーと領地を巡って対立していた君主。アッシュの乱入により決闘はうやむやとなるが、ラストでアーサーのために自ら兵を率いて登場する。 甘崎
リンダ
【りんだ】
 アメリカにいた頃のアッシュのガールフレンド。死霊によって真っ先に殺されてしまった。ちなみに役はブリジット・フォンダで、本人のたっての希望で出演したのだとか。 甘崎