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特撮事典

タイムトラベル作品

タイム・マシン 八十万年後の未来へ

タイム・マシン 1959年
ジョージ・パル(監)
 1899年。ロンドンに住む青年発明家ジョージ(テイラー)は、ついに宿願のタイム・マシンを完成。親しい友人を呼んでそれを披露した。そしてその試運転で自ら未来へと時間旅行を敢行する。1917年、1959年、そして1966年へと飛ぶが、その世界は核戦争真っ只中。ロンドンも原子爆弾によって溶岩にうまってしまった。マシンを稼働させたまま気絶してしまったジョージは、次に着いたのは、なんと紀元80万2701年。そこでも人類は未だ生き残っていたが…
 
H=G=ウェルズ処女長編となる原作の同名小説の初映画化作。原作ではエロイ族とモーロック族は支配されるものと支配するものという暗喩で示されていたが(この辺当時の植民地時代を批判しているウェルズの思想が見て取れるのだが)、本作ではそれをばっさりと切り捨て、モーロック族をカニバリズムのモンスターとして扱っており、思い切った冒険作品となっているのが特徴。
 物語そのものに関してはかなり単純化されているものの、ウェルズの皮肉さを完全に払拭することは出来なかったし、更に原子爆弾の脅威も付け加えられており、この時代に作られたにしては、なかなか冒険心に富む作品だったと思う。
 それにラストが良い。人間にとって生きているという実感はどこにあるのか。文明生活に囲まれ、便利な生活が出来るとして、皮肉な友人達の嗤笑に囲まれる生活を送るのか。それとも不自由な生活でも一緒に苦労しながら新しい時代を作っていく方が良いのか…その問いかけがここには隠されている。選ぶんだったらやっぱり…
ね?
 ただ、本作の最大の功労点はストーリーよりもやはりイマジネーションにこそあった。レトロチックなタイム・マシンのデザインや、マネキンの服が替わることによって時代の変遷を示して見せたりと、その時代の描写も面白いが、80万年後の、何の意味があるのか分からないダクトやピラミッドの描写など、特に未来になってからのシュールな描写が映えている。あの三冊の本は一体何だったか?と最後に謎まで残してくれてる…それにしてもあの本は一体何の意味があったんだろう?
 それにやっぱりなんと言っても、手作り風の特撮と、着ぐるみプロレスというのは、それだけで私なんかは凄く嬉しくなってしまう訳だが。モーロックの弱さがちょっと不満点だが。

 

イーロイ
【いーろい】
 エロイとも。80万年後の世界に住む地上の人類。知能程度は高いが無気力で他人に無関心になってしまっている。地下のモーロック族に支配されている。 甘崎
ウィーナ
【うぃーな】
 80万年後のイーロイ族の少女。溺れた所をジョージによって助けられる。 甘崎
ジョージ
【じょーじ】
 青年発明家。タイム・マシンを発明し、未来旅行を敢行する。 甘崎
タイム・マシン
【たいむ-ましん】
 青年発明家ジョージが作り出した時間旅行機。ジョージを乗せて遥かな未来まで旅する。 甘崎
フィルビー
【ふぃるびー】
 ジョージの友人の一人。他の友人と一緒でジョージの発明したタイム・マシンの完成に疑問を持つが、最後の最後、ジョージがどこに行ってしまったのかを理解する。 甘崎
モーロック
【もーろっく】
 80万年後の世界に住む地下の人類。高度な科学力を持つが、その姿は猿のようで、更に火を恐れるようになってしまった。地上に住むエロイ族を食料および奴隷として使役している。 甘崎