タイム・マシン 80万年後の世界へ
The Time Machine |
1960米アカデミー特殊効果賞 |
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ジョージ・パル(製)
デヴィッド・ダンカン(脚) |
ロッド・テイラー |
イヴェット・ミミュー |
アラン・ヤング |
セバスチャン・キャボット |
トム・ヘルモア |
ウィット・ビセル |
ドリス・ロイド |
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★★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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5 |
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4 |
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1899年。ロンドンに住む青年発明家ジョージ(テイラー)は、ついに宿願のタイム・マシンを完成。親しい友人を呼んでそれを披露した。そしてその試運転で自ら未来へと時間旅行を敢行する。1917年、1959年、そして1966年へと飛ぶが、その世界は核戦争真っ只中。ロンドンも原子爆弾によって溶岩にうまってしまった。マシンを稼働させたまま気絶してしまったジョージは、次に着いたのは、なんと紀元80万2701年。そこでも人類は未だ生き残っていたが…
H=G=ウェルズ処女長編となる原作の同名小説の初映画化作。原作ではエロイ族とモーロック族は現実世界において支配されるものと支配するものという暗喩で示されていたが(この辺当時の植民地時代を批判しているウェルズの思想が見て取れるのだが)、本作ではそれをばっさりと切り捨て、モーロック族をカニバリズムのモンスターとして扱っており、思い切った冒険作品となっているのが特徴。
物語そのものに関してはかなり単純化されているものの、ウェルズの皮肉さを完全に払拭することは出来なかったし、更に原子爆弾の脅威も付け加えられており、この時代に作られたにしては、なかなか冒険心に富む作品だったと思う。
それにラストが良い。人間にとって生きているという実感はどこにあるのか。文明生活に囲まれ、便利な生活が出来るとして、皮肉な友人達の嗤笑に囲まれる生活を送るのか。それとも不自由な生活でも一緒に苦労しながら新しい時代を作っていく方が良いのか…その問いかけがここには隠されている。選ぶんだったらやっぱり…ね?
ただ、本作の最大の功労点はストーリーよりもやはりイマジネーションにこそあった。レトロチックなタイム・マシンのデザインや、マネキンの服が替わることによって時代の変遷を示して見せたりと、その時代の描写も面白いが、80万年後の、何の意味があるのか分からないダクトやピラミッドの描写など、特に未来になってからのシュールな描写が映えている。あの三冊の本は一体何だったか?と最後に謎まで残してくれてる…それにしてもあの本は一体何の意味があったんだろう?
それにやっぱりなんと言っても、手作り風の特撮と、着ぐるみプロレスというのは、それだけで私なんかは凄く嬉しくなってしまう訳だが。モーロックの弱さがちょっと不満点だが。
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