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特撮事典

宇宙からのメッセージ

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松田寛夫(脚)
ビック・モロー
フィリップ・カズノフ
ペギー・リー・ブレナン
真田広之
岡部正純
志穂美悦子
千葉真一
成田三樹夫
天本英世
佐藤允
織本順吉
丹波哲郎
三谷昇
サンダー杉山
中田博久
林彰太郎
小林稔侍
ウィリアム・ロス
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 惑星ジルーシアは、太陽系から200万光年の彼方にある平和な惑星ジルーシアは、強大な宇宙侵略軍ガバナスによって占領されようとしていた。長老キドはジルーシアと宇宙の未来を託し、八つのリアべの実を太陽系連邦へ向けて放つ。その実を拾ったのは、かつて提督として名を馳せたが、官僚主義になった太陽系宇宙軍にいられなくなってしまった酔いどれのガルダ(モロー)、宇宙暴走族のシロー(真田広之)とアロン(カズノフ)、シローとアロンといつも一緒にいる大富豪の娘メイア(岡本茉利)、やくざ者のジャック(岡部正純)ら。太陽系侵攻を開始したガバナスと闘いつつ、リアベの戦士にメッセージを持ってきたエメラリーダ(志保美悦子)と共に、ジルーシアに向かう面々…
 アメリカで『スター・ウォーズ』(1977)が大人気と聞き及んだ日本映画界は、「次のブームはSFだ」と早速二本の映画製作を発表した。一方が特撮映画では老舗の東宝で『惑星大戦争』(1977)。そして劇場特撮では新興の東映が製作したのが本作だった。だから、本作は、ほぼ誰も(当然監督も)『スター・ウォーズ』を観ていない状態で作られている(だからパクりではないという言い訳が立つ)
 どちらも製作期間は短かったが、東宝の『惑星大戦争』は派手さと言い、特撮と言い、今までの実績を遺憾なく発揮。大規模な宇宙戦争を描いてくれた…とはいえ出来は酷かったが(笑)
 対する東映は確かにTVシリーズでは仮面ライダーシリーズや戦隊もので多少なり実績はあったものの、映画ではむしろ時代劇とか任侠ものとかが主軸で、大規模な特撮はあまり得意としてなかった。
 それで東映の取った方法は、設定の方にストーリーを合わせるのではなく、なんと自分の映画作りに物語を引き込んで、それに合わせた特撮をしたと言うところ。内容もまさに70年代に邦画界を席巻した東映ちゃんばら映画そのまんま。実際、本作を銃の代わりに刀握らせて、そのまま時代劇に仕上げても何ら問題ないという、一種恐るべき作品を作り上げた。出てくるキャラも千葉真一率いるJACの面々総出演で、見事にキャラが濃すぎ。苦笑いするしかないような設定。
 一応原作は野田昌宏が映画のために書き上げたもので、内容もそれなりにSFしているのだが、それで出来た作品は、「里見八犬伝」で、深作監督曰く、「SFのチャンバラ」だと割り切って情緒性やSF的小細工を全部ぶった切り、自分のフィールドに持ち込んで好き放題に作り上げてしまった。

 実は本作を観たのは割と最近。ネットで評価を見てもさほど高くないし、それに前に観た『惑星大戦争』の出来があまりと言えばあまりだったので、たいして観る気も無かった訳だ。
 はっきり言って本作を観た理由も「変なもの観たらネタになるか?」と言う程度の軽い気持ちだった。
 いや、確かにネタにはなる。しかし、それ以上に驚いたのが、「普通に面白かった」と言うことだった。そりゃ70年代の東映映画知ってる身としては、「これのどこがSFやねん。まんま時代劇やんか!」と思いっきりつっこみ入れたくなるようなものではあるが、敢えてSFとかなんとかをぶっ飛ばし、“東映らしさ”を優先させたこの作りは、感動さえ覚える。この開き直り方がとても心地良い。
 なんつっても千葉軍団がやりたい放題だから、肉体を使ったアクションが目白押しで、それに銀塗りの格好と爆発を加えれば「これがSFだ」になってしまうのが凄い。
 それにキャラがとにかく笑える。成田三樹夫や千葉真一が銀塗り顔でドアップかますわ、老婆役で天本英世が出てくるわ…これで笑えない方が無理。ヴィク=モローもさぞかし驚かれたことだろう。

 終始ガハハと笑いながら観ることが出来た。これも又、日本の誇る特別な作品(と言う意味での“特撮”)。これだけ楽しませてくれたのだから、点数も大甘。

 ちなみに本作に鳴り物入りで登場したのがビク・モローだったが、日本では「コンバット」で知名度はとても高かったが、実際に本国アメリカではさほど顧みられるキャラではなかった。実際アメリカで公開された時は、モローよりも先行してグラインドハウスで公開されていた『激突!殺人拳 The Steet Fighter』(1974)のお陰でサニー千葉の方が知名度が高かったという逆転現象を起こしていたとか。皮肉と言えば皮肉な話だ。

 

アロン
【あろん】
 アロン・ソーラ。宇宙の暴走族でシローといつもつるんでいる。リアベの実に選ばれた一人だが、責任感がなく、一旦は実を捨ててしまう。後に使命を思い出し、シローと共に小型宇宙船を駆る。役はフィリップ=カズノフ 甘崎
ウロッコ
【うろっこ】
 惑星ジルーシアの戦士。好戦的だったが、ガバナスを倒すためにはジルーシアを破壊しなければならないことを知り、仲間を裏切る。死の直前にリアベの実に選ばれた8人目の戦士であることが分かる。役は佐藤充。 甘崎
エメラリーダ
エメラリーダ 画像 <A> <楽>
【えめらりーだ】
 キドの孫娘で、太陽系に散った8つのリアベの実を拾った戦士をジルーシアに連れて帰ることが任務。役は志保美悦子。 甘崎
カメササ
【かめささ】
 冥王星の辺境に住む老婆。エメラリーダを自分の息子の嫁にしようとし、ジャックをけしかける。 甘崎
ガルダ
【がるだ】
 ゼネラル・ガルダ。本名アントニオ・ガルダ。かつて提督として名を馳せたが、官僚主義になった太陽系宇宙軍にいられなくなってしまい、今は酔いどれてペパと共に暮らしている。リアベの実に選ばれた一人。役はヴィク・モロー。 甘崎
キド
【きど】
 ジルーシア人の長老。惑星の将来を救うべく8つのリアベの実を太陽系に向かって放つ。 甘崎
ジャック
【じゃっく】
 宇宙を股にかけるギャング団のちんぴら。リアベの実に選ばれた一人ではあるが、エメラリーダをカメササに売ろうとした。何故か大阪弁。役は岡部正純。 甘崎
ジルーシア
【じるーしあ】
 太陽系から200万光年の彼方にある平和な惑星だったのだが、ガバナスの前戦基地にされてしまった。 甘崎
シロー
【しろー】
 シロー・ホンゴー。宇宙暴走族で、アロンとは良い相棒。メカに強く正義感溢れる性格はなるほど主人公らしいが、アロンと一緒にリアベの実を捨ててしまったこともあり。役は真田広之。 甘崎
ダーク
【だーく】
 ガバナス皇帝ロクセイア12世の母。予言者でもあり、リアベの実が放たれたことを知り、戦士の集結を防ごうとする。役は天本英世。 甘崎
ハンス
【はんす】
 ガバナスの王族の生まれだったが、両親をロクセイア12世に殺され、自分自身は流浪しながら反撃の機会をうかがっていた。リアベの実に選ばれた一人となる。役は千葉真一。 甘崎
プレアスター
プレアスター 画像 <A> <楽>
【ぷれあすたー】
 エメラリーダを乗せ、宇宙を航行する帆船。 甘崎
ペパ2号
【ぺぱ-にごう】
 ガルダの従者のロボット。提督時代のガルダに従ったペパの2号機。ロボットではあるが、妙に人間味溢れる性格をしており、後にリアベの実に選ばれることになる。 甘崎
メイア
【めいあ】
 メイア・ロング。宇宙暴走族のシローとアロンにくっついている女性。実は財閥の一人娘なのだが、スリルを求めて暴走族の群れに身を投じる。リアベの実を捨てたシローとアロンに絶望するが、自分自身がリアベの実に選ばれた一人であることを知る。役はペギー・リー・ブレナン。 甘崎
リアベ号
リアベ号 画像 <A> <楽>
【りあべ-ごう】
 シロー、アロン、ナイアのそれぞれの宇宙船を合体させたもの。 甘崎
リアベの実 ジルーシア
【りあべ-の-み】
 惑星ジルーシアに伝わる特別な木の実。ジルーシアが危機に陥った時、世界を救う戦士を集めるとされる。 甘崎
ロクセイア12世
【ろくせいあ-じゅうに-せい】
 ガバナス帝国皇帝。王位簒奪者で、自分の野望を満たすため、銀河系に侵攻を開始する。役は成田三樹夫。 甘崎