特撮館Top
特撮事典

ゼブラーマン

 事典は投稿によって成り立ってます。是非掲示板の方にお書き込み下さり、事典の補完をお願いします。

ゼブラーマン


ゼブラーマン
2003年
三池崇史(監) 哀川翔、鈴木京香、内村光良、市川由衣、近藤公園、安河内ナオキ
 2010年横浜。小学校教師市川新市(哀川翔)は仕事も家庭もどん底状態だった。そんな新市の唯一の慰めは34年前にたった7話で番組打ち切りとなったドマイナー特撮番組“ゼブラーマン”になりきることだった。自らミシンを踏んで自作のコスチュームを作り、夜な夜なその扮装して悦に入る真市だったが、彼の受け持ちのクラスに脚が不自由な浅野晋平(安河内ナオキ)が転校してきて、彼のゼブラーマンに対する知識に驚かされる。それで晋平に自分の作ったコスチュームを見てもらおうと夜の町を歩く真市の前に謎の怪人“カニ男”が現れた…
 これが劇場にかかった時、観るべきかどうか悩んだ。内容的に痛々しくなるのが分かっていたし、
自分自身がそこに見えるのではないか?と言う恐怖感がちょっとだけあった(笑)。まあ、事実は単に観に行く時間がなかったと言うだけの話だが(笑)
 オープニングでこれが2010年と言うことが分かる。えーっとつまり、その時はほぼ私も真市と同じ年齢か…しかも凄い駄目男だし…やっぱり、なんか自分を見てるかのようで痛々しい。
私もあと5年もすればこんな風になってしまうのでは?とか、正直な話で考えてしまった(『コンドールマン』が大好きだ!」とか言っても誰も知らないもんな)。
 …それはともかく、
これだけ痛々しいからこそ後の物語が映える訳で、むしろ物語としては悪くない。そして登場するゼブラーマン!…は、やっぱり弱い。それがだんだん本当に強くなっていく課程は、やっぱり観ていてニヤニヤしてしまう。分かってるじゃないの。これが大切なんだよ
 物語はご都合主義且つ大味。だけど、燃える物語には違いない。細かいところは目をつむろう。特撮の醍醐味は
“どれだけ燃えられるか”にこそあるのだから。
 ただ、観ていてちょっと疑問が。
 宇宙人の侵略は良しとするし、それで妙なパワーを得た真市が本当のヒーロー“ゼブラーマン”になるのもOK。だけど、そもそも彼は何から逃避していたのだ?
 彼にとって、現実そのものが耐えきれないからこそ、ヒーロー像に逃避していたはず。だったら、
何故超常現象ではなく、現実に立ち向かっていく課程を描かなかったのだ?そりゃ2時間枠で宇宙人の侵略なんて大々的なものをやってしまうのだから、時間的に難しかったのは分かる。だけど、妻と娘が、最後に「あれお父さんに似てない?」で終わらせてはいけなかったんだよ。たとえどれほど痛々しく、ベタでも「俺は家族を守るんだ!」と叫んで、妻と娘の前でゼブラーマンになる課程を描いて欲しかった(たとえそれがこそこそと着ぐるみを装着するような情けない格好であったとしても)。と言うか、それがなければならなかったはずなのだ。
 しかし、この作品では彼が守るべきは赤の他人である浅野晋平と言う少年であり、その母可奈(鈴木京香)だった。「彼ら“を”守る」ではなく、「彼ら“も”守る」としてこそ本当だろ?ヒーローとは、博愛精神に溢れるばかりでなく、むしろ自分の家族のために戦って欲しい
(特にここでは下心を肯定してしまってるし)。この辺は是非続編作ってやってほしい。と切実に思う。
 演出に関しては、手作り特撮とCGの配分は悪くない。ラストバトルがCGばかりなのはちょっといただけないものの、それでも盛り上げ方は正しいだろう。泥だらけになって特訓するヒーローの情けない姿を見られたのも嬉しいところだ。
 小ネタだが、冒頭、真市が観ていて「なっちゃいねえなあ」と呟く番組では敵はモロ『リング』(1998)の貞子だったが、それが「私はお前の母だ!」と叫ぶのは『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』(1980)ではなく、
『イナズマン』のバラバンバラであると信じたい!(馬鹿か俺は)。それと、非核三原則を無視して核爆弾を国内に持ち込むのはともかく、そのドテっ腹に日本語で「中性子爆弾」と書かれていたのには不覚にも大爆笑。分かってやったとしたらたいしたもんだ。勿論、鈴木京香が身を張って演じたゼブラーナースの存在も忘れちゃならない。あのコスチュームは結構キタぞ。
 …しまった。
妄想全開のレビューになってしまった(笑)

 

淺野可奈
【あさの-かな】
 淺野晋平のシングルマザー。足の不自由な子供を持ちつつ、健気に働いている。市川新市のあこがれの人。 甘崎
浅野晋平
【あさの-しんぺい】
 市川新市のクラスに編入してきた車椅子の小学生。何故か昔の特撮番組「ゼブラーマン」について妙に詳しく、新市より「先生」呼ばわりされている。 甘崎
市川新市
【いちかわ-しんいち】
 横浜に住む小学校教師。ダメ教師で、家でも疎外されている。趣味は大昔に打ちきりになったテレビ特撮「ゼブラーマン」の衣装作り。自ら作ったゼブラーマンの衣装に身を包み、やがて本物のゼブラーマンになっていく。役は哀川翔で、これが100本目の映画という。 甘崎
カニ男
【かに-おとこ】
 ゼブラーマンの敵キャラ。現実には援助交際を強いる中年のおじさんが頭にカニの着ぐるみをくっつけただけの存在に過ぎないのだが、宇宙人のパワーを受けて本物の怪人となる。ちなみに市川真市の妄想ではゼブラーナースと共に撃退した後、みんなで仲良くその肉を食べるというシュールな末路が待っている。 甘崎
ゼブラーナース
【ぜぶらー-なーす】
 新市が妄想で作り上げたゼブラーマンのパートナー。露出度の極めて高いコスチュームに身を包み(特に胸の谷間を強調したデザインがなんとも)巨大な注射を持ち、ゼブラーマンのピンチに駆けつけて治療すると言う役割。その後、やっぱり妄想でだが、倒したカニ男を笑顔で食べるというシュールな展開となる。これをやったのは鈴木京香。頑張った! 甘崎
ゼブラーマン
【ぜぶらー-まん】
 2010年の34年前。つまり1976年にテレビ放映されたと言う設定の番組に登場するヒーロー。2010年に市川新市(哀川翔)の手で蘇る。決め言葉は「俺の背中に立つんじゃねえ」と「白黒つけるぜ」。着ぐるみヒーローだが、最後は空を飛び、本物のシマウマへと変身する。 甘崎

ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲


<amazon>
<楽天>
三池崇史(監)
 2010年。市川新一(哀川翔)の変身したゼブラーマンによって世界は救われた。だがその直後変身能力を失ってしまった新一は何者かによってさらわれ、実験にかけられてしまう。そして15年後。東京の半分はゼブラシティと名付けられたモデル都市となっていた。そこでは犯罪抑止に効果があるとして朝夕の5分間だけ無法地帯と化すゼブラタイムという制度が導入されていた。そんなゼブラタイム中に突然路上で目覚めた市川新市は、警官に追われた末、銃弾に貫かれてしまう。路上に横たわる彼を救ったのは“白馬の家”という抵抗組織であり、そこで医師をしていたのは、かつての新一の教え子浅野晋平(井上正大)だった…
 哀川翔出演百本目と言うことで記念作品として作られた前作『ゼブラーマン』は、悪い言い方をすると、
思いもかけぬ良作に仕上がった。これは監督三池崇史、脚本宮藤官九郎という初顔合わせのコンビがうまい具合にはまり、お互いの個性を殺さずに作られた事が理由だろう。特に三池監督はきわめて当たり外れの多い監督なので、この組み合わせがうまくはまったのはとても意外な感じだった(だから絶対失敗すると思って劇場はスルーした)
 その続編だし、前作を劇場で観られなかったことに後悔したので、
「流石に外れはないか」と思っていたのだが、どうも私が間違っていたようだ。ここまで外されると、呆れを通り越して、なんか「流石三池監督」と逆に感心してしまうほど。前回では高めあうことが出来た三池監督と宮本脚本が、今度は低め合ったというか、お互いにやる気を失っていたというか…
 駄目なところを挙げたら、それこそいくらでもあるが、とりあえず映画ファンとしても、特撮ファンとしても、どっちも反応できずに終わった。それに宮藤官九郎って、『ゼブラーマン』観た限りでは特オタの事をわかっていると思ったけど、たぶん全然分かってない。

 前回の話が面白かったのは、中年になっても特撮オタクが止められない痛々しい主人公が、いつの間にか本物のヒーローになっていく。その落差の課程を丁寧に描いていったお陰だった。
 本作でもそういう落差は意識的に出されている。記憶を失い変身も出来なくなった主人公が、自分が何者であるのかを戦いの中で見つけていく。と言った形でだが。
 だが、
意識的なくせにそれが落差になってないのが問題。一旦ヒーローになった人間なのだから、どういう形にせよ又ヒーローになれるのは分かってるのだし、実際に思ったとおりヒーローとして復帰してしまう。
 つまり最初からプログラムピクチャーになってしまう事が前提にあり、しかもそれに全くひねりを入れてなかった。これだけでやる気本当にあるのか?と思えてしまう。
 
当たり前の物語をひねりを入れないで作ってるので、監督の個性を出すためかその分他のところに力を入れることになるが、確かにそれは凄い使い方をしてはいる。ただし、それも全部仲里依紗のミュージッククリップで全部使い果たしてしまった感じ。本当にオープニング10分だけは徹底的に力が入ってるのだが、最初の10分でこの作品は全部おしまい。まあ他にもオタ向けのキャラを適宜投入したりもしてるけど、結局一番力が入っていたのは仲里依紗の最初の描写だけという話。本当にやる気ってのをこれほど感じさせられない作品のも珍しいくらいだ。

 間違ってるかもしれないけど、この作品は、哀川翔本人がもう一度!と無理にごり押しした結果なんじゃないだろうか?しかし、作り手の側の方がやる気を失っていたお陰でこんな話になってしまったのでは。でも
これこそが三池崇史作品の面白さとも言えなくもないか

 

相原公蔵
【あいはら-こうぞう】
 かつてのマッドサイエンティスト。新市の身体を調べ、ゼブラーマンの力を分離した後、ゼブラクイーンを伴い都長に出馬。強引な方法で世論をまとめ、ゼブラシティを作り上げた。 甘崎
相原ユイ
【あいはら-ゆい】
 相原公蔵の娘でゼブラシティの広告塔“ゼブラクイーン”として広報活動している。実は新一から分離された黒いゼブラーマンがその真の姿。 甘崎
浅野晋平
【あさの-しんぺい】
 かつての新一の教え子。医者を目指していたが、ゼブラシティからはじかれた人々を救うため、闇医者として無料で傷ついた人を治すため白馬の家を作り上げる。 甘崎
市川新市
【いちかわ-しんいち】
 かつてゼブラーマンへと変身出来たことからか、年齢の進行は止まり、更に実験の結果、もう一人の自分とも言えるユイを生み出してしまった。残りカスとなり廃棄され、変身もできなくなってしまったが、不死身の身体はそのままで、エイリアンの細胞を取り込むことで変身が出来るようになった。役は前回に続き哀川翔。 甘崎
市場純市
【いちば-じゅんいち】
 テレビドラマ版「ゼブラーマン」の主役を張った男。現在“白馬の会”で力を蓄え、相原公蔵を倒す機会を窺っている。 甘崎
イノシシ男
【いのしし-おとこ】
 TV番組「ゼブラーマン」でゼブラーマンと戦っていた着ぐるみ怪人。 甘崎
エイリアン
【えいりあん】
 前作でゼブラーマンによって駆逐されたと思われた緑色のゼリー状生物。美咲美香という少女の身体に入り、生き延びてきた。新市をゼブラーマンにする力もある。 甘崎
岸田美穂
【きしだ-みほ】
 相原公蔵の助手で、新市の身体からゼブラーマンの力を分離する手助けをする。 甘崎
すみれ
【すみれ】
 白馬の家にいる少女。実は体内にエイリアンの生き残りがいる。バランスを取って同居しているため、すみれ自身の肉体年齢を抑え、安定している。 甘崎
ゼブラーマン
【ぜぶらー-まん】
 3つ存在する。一つは市川新一が子供の頃観ていたという特撮テレビ番組。そしてその後2011年になってリメイクされた低予算テレビ特撮。そして市川新市がかつて変身した本物のヒーローのこと。 甘崎
ゼブラクイーン
【ぜぶら-くいーん】
 相原ユイの芸名。実はゼブラーマンの悪の心が具現化した姿であり、その姿は漆黒。新一が白いゼブラーマンに変身出来るようになると同時に変身出来るようになった。 甘崎
ゼブラクイーンのテーマ
【ぜぶら-くいーん-の-てーま】
 ゼブラクイーンこと相原ユイによる歌。 甘崎
ゼブラシティ
【ぜぶら-してぃ】
 相原公蔵が作り出した東京の大部分を多う実験都市。朝と夕の二回ゼブラタイムなるものを設け、その間は無法地帯と化す。 甘崎
ゼブラタイム
【ぜぶら-たいむ】
 ゼブラシティに特例として設けられた時間で、朝と夜の5時から5分だけ街を無法地帯とする。しかし基本的にその権力を行使出来るのは警察官や議員などの実力者ばかり。 甘崎
ゼブラポリス
【ぜぶら-ぽりす】
 ゼブラシティを警護する警察官。実際は相原公蔵の私兵であり、ゼブラタイム時に暴虐の限りを尽くす。他にゼブラミニスカポリスもいる…趣味の世界としか思えない。 甘崎
NAMIDA ココロアバイテ
【なみだ-こころ-あばいて】
 ゼブラクイーンこと相原ユイによる歌。 甘崎
新実
【にいみ】
 相原ユイに忠誠を誓うボディガード。日本刀の使い手で、有言実行型。ユイに愛情を抱いている。 甘崎
白馬の家
【はくば-の-いえ】
 市場純市と浅野晋平が作った民間施設でゼブラタイムで怪我を負った人々を収容し、怪我の治療を行っている。これを武装集団としたい純市と晋平の間で意見の対立が起こっている。 甘崎
美咲美香
【みさき-みか】
 40週連続トップだったゼブラクイーンの歌に代わり、トップに立ったアイドル歌手。ユイによって殺されてしまった。 甘崎
名称
【】
  甘崎