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TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇

TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇事典
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書籍

2022'7'19〜7'30 

 「1970年代に放映された特撮作品」という設定で展開する特撮ドラマ。タローマンというヒーローが地球にやってきた奇獣と戦うというのが骨子。タローマンを含めて登場する奇獣は岡本太郎が描いた絵画を元にしている。タローマンは基本的にでたらめをやることで力を増すという設定があるため、やってることは無茶苦茶。それが本作の醍醐味となる。

主な登場人物
タローマン  シュールレアリスム星からやってきた巨人。地球に現れる奇獣を次々に倒していくが、実はその目的はよく分からない。でたらめなことをやってる内に奇獣が次々に倒れていく。その力は圧倒的だが、アイデンティティに悩むと力を失う。
隊長 (役)森野忠晋。
 地球防衛隊の隊長。基本的には何の役にも立っていないが、奇獣の追跡を繰り返す。
マミ (役)小笠原皆香。
 防衛隊の女性隊員。ちなみに防衛隊で名前があるのは彼女だけ。美しくなりたいと願ったらタローマンに惑星ゲルダに連れて行かされる。
防衛隊員  隊長とマミ隊員以外の防衛隊のメンバー。それぞれ中年隊員、少年隊員、新人隊員、風来坊となっている。風来坊だけウエスタンスタイルで鞭を腰に吊している。
高津博士 (役)ボブ・マーサム。本名村角太洋。
 防衛隊の嘱託博士。基本的にいるだけ。
勝又常吉 (役)旭屋光太郎。
 奇獣とタローマンの戦いを実況するアナウンサー。いつの間にかいるという立場の人物。
山口一郎 (役)山口一郎。ロックバンドサカナクションのボーカルで本人。
 番組が終わると登場する人物。かつてこどもの頃に観たという「TAROMAN」の思い出を語り、時に出演者のインタビューまでこなす。山口一郎本人。
話数 タイトル コメント DVD
第1話
(第1話)
でたらめをやってごらん

  監督:藤井亮
  脚本:藤井亮
 1970年代。日本にはべらぼうな奇獣が現れるようになった。そしてその奇獣を倒すべく、突如現れた巨人。それをタローマンと言う。

 敵は森の掟。空を飛ぶ魚のような怪獣で、大きな口でいろんなものに噛みつく。
 突如現れた怪獣とタローマンが戦うのだが、タローマンはまるででたらめなことをしてるうちに怪獣の方が苦しみだしてしまう。
 怪獣はでたらめなことをするとダメージを食うが、そうそうでたらめなことが出来ないため、タローマンも悩み、動きを止めてしまった。だが悩みの中から芸術は爆発だと悟ったタローマンによって怪獣は倒れた。
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森の掟 画像 <A> <楽>
(第2話) 無目的に生きる。それがぼくの目的だ
(第3話) ぼくは"幸福反対者"だ
第2話
(第4話)
自分の歌を歌えばいいんだよ

  監督:藤井亮
  脚本:藤井亮
 音楽に夢中の若者達の前に現れた奇獣が現れた。防衛隊が出動するが、彼らの目の前でタローマンも現れ奇獣と戦う。ピンチに陥ったタローマンを応援する若者達。

 敵は歓喜。まるで鐘のような姿をした奇獣で、タローマンが触手をむしり取って、それを撥代わりに叩きまくった後で倒された。そして河童星人。歓喜を送り込んだと思われる宇宙人かと思われるが、よく分からない。
 今回のテーマは音楽。70年代はフォークゲリラが華やかだったので、アコースティックギターやドラムなどが出てきており、それで応援したところ、タローマンは未知のパワーを得て強力になった。
歓喜 画像 <A> <楽>
河童星人 画像 <A> <楽>
第3話 一度死んだ人間になれ

  監督:藤井亮
  脚本:藤井亮
 奇獣未来を見たが人々に未来を見せつけ、全ての人が無気力に陥ってしまった。あらゆる攻撃を先読みする未来を見たに、タローマンは…

 敵は未来を見た。人に未来を見せつけることで、人々を無気力に陥らせる。未来が見えるためにあらゆる攻撃をかわすことができる。ただしタローマンの未来を見たところ、あまりに訳の分からなさに混乱してしまい、何も出来なくなったところを倒される。
 人が未来を見たらどうなるか。誰もがそれを望むが、実際にそれをやってしまうと決まったことをなぞるだけになってしまうために無気力に陥ってしまう。意外に深い内容でもある。
 それにしてもタローマンは、未来に向かって何にも考えてないらしいことが分かった。
未来を見た 画像 <A> <楽>
第4話 同じことをくりかえすくらいなら、死んでしまえ

  監督:藤井亮
  脚本:藤井亮
 奇獣駄々っ子が現れ、いつものようにタローマンが現れたが、皆の期待が強すぎてタローマンは自らの存在意義を失ってしまい、自ら負けようとしてしまう。

 敵は駄々っ子。子どもの精神を持つ奇獣で街中で地団駄を踏んで暴れる。そしてタローマン2号。タローマンとおなじシュールレアリスム星からタローマンを助けに来たはずだが、何故かタローマンによって倒されてしまった。
 シュールレアリスムはおなじ事を繰り返さない。そしてその繰り返しになると存在意義を失うという、根本的な問題提起がなされた。シュールの戦士タローマンはおなじ事を何度も繰り返すと変調を来すことが分かった。
 そこでタローマンを助けるためにタローマン2号が現れるのだが、駄々っ子共々タローマンに倒されてしまった。確かにこれこそシュールだ。
<タローマン2号の構図は「ウルトラマン」におけるゾフィのような存在だが、タローマンが反抗するあたり、映画の『シン・ウルトラマン』っぽさがある。>
駄々っ子 画像 <A> <楽>
タローマン2号 画像 <A> <楽>
第5話 真剣に、命がけで遊べ

  監督:藤井亮
  脚本:藤井亮
 高速で動き回る奇獣疾走する眼が現れた。防衛隊はおろかタローマンにも捕まらない巣ピーで動き回る奇獣に対してタローマンはただひたすら追いかける。

 敵は疾走する眼。高速移動で逃げ回るだけでなく電磁バリアーも張れる。基本的に移動する以外のことをしていない。
 高速で逃げ回る敵に対してタローマンが行った行為は、ただひたすら追いかけるだけだった。タローマンにとっては鬼ごっこで、敵をタッチした後はタローマンの方が逃げる側に回る。この脱力感がシュールさ。
疾走する眼 画像 <A> <楽>
第6話 美ってものは、見方次第なんだよ

  監督:藤井亮
  脚本:藤井亮
 美しくなりたいと空を見るマミ隊員の前に突然現れたタローマンはマミを惑星ゲルダに連れて行く。そこでは美の感覚が地球とは異なっており、そこでマミは何かを感じ取る。

 敵はみつめあう愛。惑星ゲルダの原生生物。文明は地球と同程度。地球人とおなじ程度の悩みも持っている。
 美の感覚は時代や地域で代わる。美とは人が生きようとする力なのであるとかナレーションでは言っていた。
 2話に登場した河童星人が再登場するが、タローマンの顔についてちょっと笑ったら、すぐにタローマンに吹き飛ばされてしまった。
みつめあう愛 画像 <A> <楽>
第7話 好かれるヤツほどダメになる

  監督:藤井亮
  脚本:藤井亮
 公害の造成地に現れた巨大な一対の手。勝手にキャッチボールを始めたその手の前に現れたタローマン。しかし彼は無抵抗に一対の手にやられっぱなしだった。

 敵は赤い手青い手。赤と青一対の巨大な手。その大きさはタローマンより遥かに大きく、タローマンをぐちゃぐちゃにしてしまうが、やがてタローマンに同化されて太陽の塔のような姿になってしまう。
 すっかり人気者になってしまったタローマンが自らのアイデンティティのために敢えてやられ役を演じるという話。タローマンはヒーローではなく、アイデンティティを保つことの方が重要だと言うこと。
<赤い手と青い手の姿は、まるで椅子のよう…というより元ネタを知っている。「マッハバロン」でも基地の椅子で使われてた。>
赤い手 画像 <A> <楽>
青い手 画像 <A> <楽>
第8話 孤独こそ人間が強烈に生きるバネだ

  監督:藤井亮
  脚本:藤井亮
 奇獣痛ましき腕によって有名人達が次々捕らわれていた。博士によると、それは芸術家たちを孤独に追いやりそのエネルギーを奪おうとしていると推測された。そこに現れたのはタローマン。

 敵は傷ましき腕。芸術家達を捕まえてカプセルに入れてしまう。芸術家を孤独に追いやって、そのエネルギーを奪おうとしていると推測されたが、実際は分からない。
 孤独こそが芸術を作るというのは岡本太郎のみならず芸術家は皆考えることだが、孤独は必ず芸術を産む訳ではない。孤独に耐えて作品を作り続けるものが芸術家となる。
傷ましき腕 画像 <A> <楽>
第9話 なま身の自分に賭ける

  監督:藤井亮
  脚本:藤井亮
 これまでなし崩しにタローマンに敗北し続けていた河童星人はタローマンを上回るでたらめさをもつ怪獣を仕向けようとする。

 敵はこどもの樹。河童星人がタローマンを上回るでたらめさを持つ怪獣として指定した怪獣だが、案だけで終わってしまった。
 全編会議風景という異色話。河童星人が会議をしてたら突然タローマンに襲われてしまう。一方しばらく怪獣も出ないためだらけきっている防衛隊もタローマンによって投げられた河童星人の円盤が基地に衝突してしまう。
こどもの樹 画像 <A> <楽>
第10話 芸術は爆発だ

  監督:藤井亮
  脚本:藤井亮
 人類を試すかのような巨大な奇獣太陽の塔が現れた。対抗して現れたタローマンだが、タローマンの攻撃のことごとくを防いだり、逆に分身したりして全くダメージを受けない太陽の塔。タローマンの攻撃で増えてしまったタローマンは…

 敵は太陽の塔。篦棒な奇獣で、タローマンの攻撃を受けるとバラバラになって分裂する。最終的には地球全体を覆うほどの数になる。
 最終回。最強の奇獣太陽の塔が現れる話。お分かりだろうが、太陽の塔の腹に描かれた顔こそタローマンなので、これって同士討ちなんじゃなかろうか?
 どれだけ攻撃しても増えるだけの太陽の塔に対してタローマンが取った手は、地球そのものを破壊することだった…おい
 タローマンは最後に格好良いナレーションと共に宇宙へと飛んでいくが、それで良いのか?
太陽の塔 画像 <A> <楽>
帰ってくれタローマン  特別企画。
 オープニングはタローマン絵描き歌。
 タローマンにがおえコーナー。
 奇獣重工業とタローマンの戦いを描く18話「捨てる主義のすすめ」全編。
 タローマン電話相談室。鳴った電話の受話器を取って、そのまま受話器を戻す。
 タローマンでたらめ大相撲。巨大化した少年隊員とタローマンが戦おうとするが、ぶつかる瞬間に少年隊員の体が元に戻る。
 設定上の第7話(番組上の第3話)にあたる「一度死んだ人間になれ」の予告版。
 設定上の第2話「無目的に生きる。それがぼくの目的だ」の予告版。
 設定上の第10話「自分の中に毒を持て」の予告版。
 パイロットフィルムが作られた「太陽仮面サンタワー」の主題歌。

 

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