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謎の円盤UFO

謎の円盤UFO事典

1970'10'3〜1971'3'27(日本放映)

主な登場人物
話数 タイトル コメント DVD
第1話 宇宙人捕虜第一号
“Identified”

  監督:ジェリー・アンダーソン
  脚本:ジェリー・アンダーソン
      シルヴィア・アンダーソン
      トニー・バーウィック
 1970年に最初のUFOが発見され、それが人類に敵対するものと判断した各国は、極秘裏に人類は地球防衛組織シャドー(SHADO、Supreme Headquarters Alien Defence Organisation:地球防衛最高司令機構)を作り上げ、日夜地球外生命体を見張っていた。シャドーのフリーマン大佐はUFOを追尾できる性能を持ったユートロニック装置の空輸任務につくが…
 今回はシャドーの紹介と、その任務についてたっぷり時間を遣って紹介している。シャドーがイギリスに置かれ、当然そのためにUFOはイギリスに攻撃をかけるというのがやはりイギリス製作らしいところ。
 普通の映画製作会社が実は…という設定はいかにも秘密組織めいており、「サンダーバード」から発展した作品であることを印象づけている。ストレイカーの富豪っぽさもそれに拍車をかけている。
 物語としては前半は重要機密であるユートロニックの輸送に関わる物語で、空の上での緊張感ある戦いの描写が見られている。そして後半は、初めて捕獲された宇宙人をどう扱うかに焦点が当てられる。折角捕獲した宇宙人も、地球の大気に耐えられず、衰弱死してしまう。
 重要人物であるところのフリーマン大佐が割と軽い性格をしているのが逆にアクセントになっていて、常にしかめっ面をしているストレイカーとの良い対比になってる。
<ツッコミどころとは違うかも知れないが、ストレイカーのオフィス前の秘書室でフリーマンが秘書と話し込んでいるシーンはモロ『007』のボンドとマニーペニーの会話だった。
 ムーンベースでは普通に下着姿の女性隊員の描写などもあり、これが大人向きという印象を与えるが、同質に男性がいて、しかも鏡でモロに姿を観られているのに平然としているとか、SF的と言うよりはセクハラまがいの描写となってる。
 何故だか劇中で「サンダーバード」のテーマソングが使われてるシーンがあるんだが?
 インターセプターの発進シーンでは地面から砂が舞うシーンがある。リアルではあるのだが、月の重力下ではこんな風に砂が舞うとは思えないな。
 最後に、冒頭でUFOに殺された女性レイラの葬儀があるのだが、両親は明らかにアングロ・サクソンなのに、兄のピーターだけがプエルトリコ系の顔つきしてる。養子だったの?>
第2話 シャドー秘密指令
“Exposed”

  監督:デヴィッド・レーン
  脚本:トニー・バーウィック
 テスト飛行中にUFOを目撃したイギリス空軍のフォスターは、スカイダイバーによって撃墜されたUFOの爆発に巻き込まれて墜落してしまう。軍情報部からUFOは錯覚と決めつけられたフォスターは自ら手がかりを探し始めるのだが…
 UFOの地球侵略は着々と進められており、その中での軍との接触事故が描かれる話。これによってシャドーはパイロットの一人を得る結果となる。実務部隊を預かる主人公の一人として存在感を持たせるためだろう。ドラマ部分をかなり強調した話になった。
 一方、ストレイカーはあくまで冷静沈着。この人物を主人公に据えるからこそ、実務部隊は熱い性格の人物が重要になるのだ。
 フォスターに、何故UFOの存在を軍はひた隠しにするのかを語らせるのも上手い。
 オチはフォスターをシャドーに入隊させるためのテストだったとされるが、ストレイカーは最初「撃墜せよ」って言ってる。ちょっと矛盾があるが、これは撃墜された後で急遽入隊を決めたって事なんだろう。「組織を守るためにはどうする」というフリーマンに対する問いかけが、実はそのまま入隊を決めたことになるのか。
 実は本話は制作は少し遅いのだが、これは突然番組に登場したフォスターというパイロットがどうやってシャドーに入隊したかを描くためだという。
<ストレイカーの表の顔は映画製作者。でもその格好は簡易軍服みたいで到底一般人の服には見えない。未来って設定だから?>
第3話 わが友宇宙人
“Survival”

  監督:アラン・ペリー
  脚本:トニー・バーウィック
 一機のUFOが月に潜入した。インターセプターによって撃墜されたが、フォスターの乗るムーンモービルに激突してしまった。死んだと思われたフォスターだが…
 あくまで地球人に対する侵略者とばかり思われた宇宙人のもう一つの側面が表れた話で、この話こそが本作を特異な位置づけにしている。地球人を助けるエイリアン。そして、その恩人であるエイリアンを殺されてしまったストレイカーの怒り…確かに切なくて凄い物語だ。
 前回登場したフォスターが本話の中心となる。あっという間にシャドーの中心になってしまっているようだが、実は制作そのものは前話よりも先。元々フォスターは本作を牽引する人物として考えられており、その過去として前話が作られてたという経緯があるらしい。
 そして熱血のフォスターに対し、あくまで冷静なストレイカー。この対比が実に良い。
 今回登場したマークというパイロットによって人種差別のことが言及されている。こんな話をよく作ったな。
 任務のため、最早一般人としての生活を捨てねばならなくなったフォスターも切ない。
<ストレイカーはアメリカ陸軍時代の空軍に所属していたそうだ…確か空軍が独立したのは1947年。一体ストレイカーって何歳?
 途中、勇ましい音楽が流れてきているが、これってモロに「サンダーバード」のもの。
 逃げ回るストレイカーが月の岩に激突。何故か岩がぐらぐらに動いている。>
第4話 円盤基地爆破作戦
“Conflict”

  監督:ケン・ターナー
  脚本:ルーリック・パウエル
 地球を回る周回軌道にはこれまで打ち上げられた宇宙船の残骸を含め、数多くの宇宙ゴミが存在した。それが地球防衛の障害となると考えたストレイカーはそれらの一掃を進言するが費用を理由に却下されてしまった。そんな折、ルナ宇宙艇が大気圏突入に失敗して爆発してしまう。その原因究明が終わるまで地球と月基地の航行が禁止されてしまった。
 宇宙ゴミ、いわゆるスペースデブリについての話。宇宙は広いから、そんなものは障害にならないと考える向きもあるが、割と初期からこの問題については語られている事が分かる(日本では「プラネテス」というマンガがそれを主題にしている)。
 SHADOは国際組織で、当然ストレイカーにも上司がいる。その政治的駆け引きも出ているが、どんな組織であってもこれは必ず出てくるもの。それをちゃんと物語に仕上げたのは上手い。上下に挟まれ、ストレイカーも大変そうだ。
 上司のヘンダーソンは嫌味な人間だが、よく観ると、ちゃんとSHADOの役割を熟知しており、そのために働いていることも分かる。ただ、ストレイカーの出す計画書が余りに金食い虫のため、なんとか予算を抑えようとして躍起であることも分かる。その辺の複雑な心情も見て取れる。
 それに絡めてUFOの脅威も同時に描く。自らとムーンベースを囮として危機の前面に置き、UFOの出方を探るストレイカーの冷静ぶりが際だっている。
第5話 惑星Xクローズ・アップ作戦
“Close Up”

  監督:アラン・ペリー
  脚本:トニー・バーウィック
 SHADOは宇宙人の母星である“惑星X”を探るため、新型カメラを開発した。これを調査衛星に搭載してUFOを追う。
 攻められてばかりではなく、地球側からもUFOの母星に攻め込むための作戦が描かれていく。
 ただ、この物語には一つ致命的な設定ミスがある。光速を越えて飛来するUFOを追わせる技術が地球にあると言う事。これがあったらこんなに防衛一方って事も無かろう。盛り上がってはいるものの、ラストも今ひとつと言った感じ。
 一方では本作は、一つの突出した作戦ばかりでは駄目という当たり前のことが語られてもいる。ストレイカーは有能だが、UFOにばかり目が行っているため、やや視野狭窄に陥っているようなところもちゃんと描写している。珍しく失敗して落ち込んでるシーンもあり。
 前回に続きヘンダーソン長官が登場。相変わらず予算について丁々発止のやりとりが続いている。
<スカイダイバーの乗組員達はみんなメッシュの入ったTシャツを着ている。これって半裸みたいなもんじゃないか?
 高性能潜水艦という割には貨物船を目視でないと確認出来ないスカイダイバーの性能って何?>
第6話 ストレイカー暗殺指令
“Kill Straker!”

  監督:アラン・ペリー
  脚本:ドナルド・ジェームズ
 フォスターとクレイグ大尉の乗ったルナ宇宙艇が消息を絶った。16時間後無事ムーンベースに戻ったのだが、何故か二人はことごとくストレイカーに逆らい、更にストレイカーを殺そうと狙ってくる。
 宇宙人による心理作戦が展開。宇宙人によって洗脳されたフォスターとクレイグが、ちゃんと洗脳が解けたのかどうかを探る緊迫した物語が展開する。
 なんだか今回はストレイカーが妙にウェットな感じ。これまでのような冷静沈着さよりも感情を表に出しているのはちょっと変な感じがある。
 ストレイカーの処遇を巡ってのヘンダーソンとフリーマンの対話があるが、あくまでストレイカーを信じるフリーマンと、最も効率的に組織を運営しようというヘンダーソンの会話は面白い。
 フォスターに対し「シャドーに退役はない」と宣言しているストレイカー。深読みするとかなり怖いことを言っている。
<大気圏突入中のルナ宇宙艇が宇宙を漂流するって、設定的に結構無理があるような?もう地球の重力に引かれてるのに、そこから宇宙に飛び出せるもんなの?
 宇宙を漂流していたルナ宇宙艇から帰還したフォスターをそのまま受け入れるムーンベース。普通医務室送りじゃないかな?>
第7話 スカイダイバー危機一髪
“Sub-Smash”

  監督:デヴィッド・レーン
  脚本:アラン・フェネル
 大西洋で謎の沈没事件が多発していた。一月前に地球に侵入したUFOの仕業ではないかと考えたストレイカーは自らスカイダイバーに乗り込んで調査を開始するのだが、スカイダイバーも攻撃を受けてしまい、航行不能に陥ってしまう。海底に閉じ込められてしまったストレイカーだが…
 ストレイカーの危機が描かれる話。ストレイカーはSHADOの長官ではあるが、時にこうやって自ら乗り出すこともあって、それがこのキャラの魅力となってもいる。実はストレイカーは閉所恐怖症でもあったという弱点もここで明らかにされた。スカイダイバーの中で妙にそわそわしていたかと思ったら、実は…という話なのだが、吹き替えがちょっと中途半端で、その辺わかりにくいところもあり。それで乗り込む必然性のないスカイダイバーに乗り込む必然性もちょっと薄い感じ。
 撃沈されたスカイダイバーからの脱出で、ストレイカーが一番最後になったのは、責任感からかと思ったら、実は最後まで狭いところに入りたくなかったからというのもオチとしては面白い。それを長官としての責任感っぽく感じさせるのもこの人ならでは。前回に続き、ストレイカーのウェットな面も見せられたが、前回と比べると、こちらの方がぐっと魅力が増している。
 これまでが宇宙が舞台だったので、海底での閉じ込められと言うシチュエーションはなかなかに新鮮でもある。
第8話 猫の目は宇宙人
“The Cat with Ten Lives”

  監督:デヴィッド・トンブリン
  脚本:デヴィッド・トンブリン
 インターセプターのチーフパイロットであるレイガン大佐が宇宙人の襲撃を受け、その妻ジーンが誘拐された。ムーンベースに復帰したレイガンだったが…
 原題で「猫は10の命を持つ」という意味深なタイトルが付けられた話で、猫に化けた宇宙人に翻弄されるという不思議な話になってる。
 基本表だってUFOが攻撃する話はそう多くないのだが、この話ではオープニングでムーンベースを舞台にUFOとインターセプターの交戦シーンがあり。迫力のある話になってる。
 ここで宇宙人は生物に乗り移ることが出来る事が分かったのだが、これってひょっとして物語そのものを覆しかねないかも?だったら別段表だって攻撃して侵略する必要性もないんだし。それに今回は乗り移ることなく、地上にやってきているのだが、水際で撃沈し続けてきたSHADOの面目が潰れるな。
 イギリスにもコックリさんがあることをこの話で知ったという記憶があるが、ウィジャボードと言われ、こっちが先だったという事を後で知った。
 終わり方は、最後の最後で正気に戻ったレイガンがインターセプターを基地に突っ込ませる前に自爆すると言う、かなり救いようのない話になってる。個人的な好みではあるが、猫を悪者にする物語はどうにも好きになれない。
<明らかに「レイガン」と言っているけど、80年代以降に作られていたら、多分「レーガン」になるんだろうな。
 それにしても宇宙人に洗脳されてる可能性のある隊員を普通に受け入れるストレイカーって、結構やばいんじゃないか?
 宇宙人の乗り移った猫に操られるレイガンだが、猫は地球にいて、レイガンは月にいる。そんな遠距離でも操れるのか?>
第9話 湖底にひそむUFO

  監督:デヴィッド・レーン
  脚本:デヴィッド・レーン
      ボブ・ベル
 アメリカの片田舎で不思議な事件が続いていた。SHADOの追跡を逃れたUFOの仕業かも知れないとストレイカーはフォスターを派遣する。
 2話続けて地球に入り込んだUFOについての話。今回は調査衛星にくっついて来たという設定で、舞台はイギリスではなくアメリカとなる。ただ、地球上にやってきた宇宙人が人間をさらおうとして失敗したというとてもシンプルな話になってる。
 ホームレスのようなヒッピーが登場してるのが時代性を感じさせる。それが女性を襲おうとするとか、あんまりSF的な話ではないのがなんだが。仲の良すぎる兄妹って設定も最近ではあんまり観られなくなった。
 最後にサンプルとしてUFOのカプセルを開けるのがクライマックスとなるが、その結果、宇宙人が狙っているのは人体のそのもののようだ。話ではそれはパーツとしてなのか、丸ごとなのかはよく分からない。
<池の周りに動物がいなくなったという言葉を聞いた直後に鳥が飛んでる描写があるのは何故だろう?>
第10話 宇宙人フォスター大佐
“Ordeal”

  監督:ケン・ターナー
  脚本:トニー・バーウィック
 長期間の任務を経て疲労したフォスターは疲労回復のためにリサーチセンターを訪れる。だがそこに宇宙人が現れ、フォスターを連れ去ってしまった。運良くフォスターは救われたものの、フォスターの体には異変が…
 何かと受難が多いフォスターが、今回はなんと宇宙人化してしまうという物語。宇宙人もフォスターを脅威として見ていることが分かる。
 SHADOの任務は激務が多いので、肉体と精神を癒すためのプログラムがちゃんと組まれている。この辺がちゃんと描写出来ているのはとても良い感じ。でも任務慣れしてるフォスターは逆にリフレッシュプログラムの方にストレスを感じている描写もあり。
 そしてフォスターが乗っていると思われるUFOの撃墜命令を即座に指令するストレイカーの非情さも際だった描写となっている。それでフォスターがいるためスカイダイバーは攻撃をためらい失敗したが、それを激しく叱責するところもなかなか素敵だ。
 結果、夢オチということで決着。まあ確かにいくらなんでもこの設定はおかしいから仕方ないところか。とは言え、フォスターの夢としても、ストレイカーがあれだけ非情だとフォスター自身が認めていることになる。
<ツッコミ所ではないけど、フォスターはかなり毛深いな。>
第11話 超能力!!UFO探知人間
“E.S.P.”

  監督:ケン・ターナー
  脚本:アラン・フェネル
 強いテレパシー能力を持つ男クロックスレーは宇宙人とSHADOの戦いに巻き込まれた妻を失ってしまい、SHADOに深い恨みを持っていた。SHADOの事を徹底的に調べたクロックスレーは表向きの映画会社にの秘密を暴いた台本を送りつけてストレイカーをおびき出そうとする。
 一般人がSHADOの秘密に迫るという内容で、過去フォスターが独力でSHADOの秘密を暴いた話と似た部分があるが、今回は人間の心理を操る宇宙人の差し金という点が異なる。話が展開して行くにつれ、宇宙人が人類に干渉する話も増えてきたな。クロックスレーの口を通して宇宙人が喋るシーンもある。
 超能力を持つ人が社会生活を送るのは大変厳しいことを示した話でもある。一般生活をしていても、人の心が読めてしまうので人間関係はギスギスするし、なんでも分かってしまうことは不幸にしかならない。最後にストレイカーに射殺されるのも、恐らくは自殺に近いものなのだろう。宇宙人に操られていても、最後の望みだけは叶えたと言う事か。
<今回現れたUFOの不規則な動きは結局説明はなかった。クロックスレーの自宅に衝突するためだけに飛んできたのか?
第12話 宇宙人捕虜第二号
“Computer Affair”

  監督:デヴィッド・レーン
  脚本:トニー・バーウィック
 UFOを迎え撃ったインターセプターの攻撃が失敗続きとなった。調査の結果、指揮官のエリス中尉とブラッドレイ大尉の間にある個人的感情が原因と判明し、ストレイカーは二人を別の任務に就けようとするが…
 かなりいろんなものを詰め込んだ複雑な話になってるが、テーマとしては人間性と冷静さの対比というところだろうか。冷静な任務の中に入り込む個人的感情。その危険性が描かれた話と考えて良かろう。
 実際には本作は2作目に当たるため、フォスターも登場しない。その代わりインターセプターパイロットとしてのブラッドリーに焦点が当てられている。
 インターセプターの攻撃失敗によって犠牲者が生じているし、更にUFOの地上降下を許してしまう。それで降下したUFOが捕獲され、捕虜も獲得したが、コンピュータの指示通りしてもやっぱり死んでしまう。一方コンピュータの計算を無視したエリスは見事に宇宙人の捕獲に成功しており、その対比が面白い。
 原語版のタイトルの意味はストレイカーが人間性よりもコンピュータを信用するところから来ているらしい。フリーマンはそんなストレイカーの側面をやや否定的に観ている不死がある。ただしオチとしては、どんなにコンピュータが発達しても、判断をするのは人間であるということを明確にしている。
 あと当たり前だが月基地でのエリスの紫の髪はウィッグで、地球に戻ると普通のブロンドに戻っている。
第13話 UFO月面破壊作戦
“Flight Path”

  監督:ケン・ターナー
  脚本:イアン・スコット・スチュワート
 SHADOのローパー大佐が挙動不審で逮捕された。背後に宇宙人の存在を見たストレイカーはわざとローパーを泳がす。案の定宇宙人に洗脳された人物が彼に接触するが…
 宇宙人が既に人類社会に入り込んでいると言うことを示す話になってる。設定としてはもうこの手の話は結構やっているのだが、制作順では実はこれはかなり初期の話で、それだけショッキングな話だったようだ。
 初期の話と分かるのは、前話同様フォスターが登場していないことでも分かる。
 相変わらず任務のためなら極めて非情になりきるストレイカーの姿が実に良い。それに対して宇宙人の陰謀を知りつつ、被害者の立場に立つフリーマンの姿が良い対比となってる。
 話はローパー大佐が宇宙人に何を教えたのか?と言うことが謎になっているのだが、タイトルが“Flight Path”なので丸わかりというのがなんとも。
<データを記憶して宇宙人に漏らすローパーだが、その数値が何を意味するのか自分自身も分かってないらしい。そんな事ってあるのか?
 最終的に流出したデータを元に待ち伏せを行う事になる訳だが、ここだけは妙にローテクで、バズーカ持った一人の人間にUFOを狙い撃ちさせるというもの。しかしそんなので本当にUFOを撃ち落とせるのやら。
 そもそも洗脳が出来る宇宙人だったら、ドーソンという手段を介さずに直接ローパーを洗脳していればそれで終わるという話もある。
第14話 UFO攻撃中止命令
“The Square Triangle”

  監督:デヴィッド・レーン
  脚本:アラン・パティロ
 UFOがイギリス南部の森に着陸したことを知ったストレイカーはUFOを無傷で捕獲する作戦を発動した。だが捜索に向かったフォスターらが見たものは、既に爆破されたUFOの残骸と、犬の調教師ミッチェルの死体だった。
 今回はUFOの捕獲作戦が展開するのだが、UFOとSHADOの戦いは中々進展しない。少し謎に近寄ったかと思うとすぐに真実は離れてしまう。それがこの作品の醍醐味とも言えるか。
 物語はSHADOの作戦と、それに巻き込まれてしまった一般市民の対比として描かれる。ただ、その一般市民は不倫の末の殺人未遂というとんでもない状況で、そこで巻き込まれた一般人はSHADOによって記憶が消される事になるが、ストレイカーの判断はその間になそうとしていた殺人を敢えて見逃すことを決断する。このオチは凄まじいもの。更にそれを平然と口にしてしまうストレイカーがとにかく恐ろしい。ラストで墓の前で無言で佇むニュートン夫人の姿も又恐ろしい。
 UFOを捕獲するために、敢えて地上に降ろし、そこを襲うというフォスターの作戦は理に適ってるけど、それは宇宙人を野放しにすると言うことでもある。その作戦についてフリーマンとやり合うのもいつものこと。
<本話の主題は不倫。特撮でこんな生々しい主題を使うのは結構珍しい。原題タイトルも「三角関係」を意味する言葉。
 UFO迎撃に出て、手ぶらで帰っているはずのインターセプターだが、帰った時にはミサイルが無くなってる。
 地球の大気に晒されると死んでしまうはずの宇宙人が結構長い間活動してる。どことなく東洋系の顔立ちをしてるのはご愛敬か。>
第15話 人間ロボット殺人計画
“The Man Who Came Back”

  監督:デヴィッド・レーン
  脚本:テレンス・フィーリー
 UFOの攻撃によってSIDが機能停止に陥った。それから8週間後、消息を絶っていたコリンズ大佐が無人島で生き残っていたことが発覚して帰還し、ストレイカーは彼にSIDの修理を指令するのだが…
 宇宙人によって洗脳されたSHADO職員がストレイカーを暗殺しようとする話で、ストレイカーと洗脳されたコリンズ大佐との息詰まる対峙が見所。
 生きているはずのない職員が生きていて、それをすぐさま機密に関わらせるストレイカーもおかしい訳だが、いつもとは異なり、情に訴えるストレイカーの姿もなんかおかしい。この話はどうにもいつもの本作とは違ってる感じだ。
 コリンズの性格はとにかく傍若無人。恋人のレイクの迫り方も激しく、それで恋人解消されてしまう。
 今回で後半、オペレーターとして重要な位置づけになるレイク大佐が結構重要な位置づけで登場する。
 後、三次元チェスが登場。三段の立体チェス。結構後年のSF作品などでは多用されるが、これが最初かな?
<帰還したコリンズは性格が全く変わってしまってる。カウンセリングは基本だと思う。実際カウンセリングもやってるようだが、それを騙せるほどの演技とは思えない。
 宇宙人からコリンズに与えられた使命はストレイカーの抹殺。でもSIDの技師なんだから、SHADOそのものを物理的に破壊出来る立場にあるのに、それをさせないのは何故?
 コリンズの宿舎に電話をかけ、そこにいるのがグレンか?と訊ねるドクター・ジャクソン。随分と間抜けなことやってるな。
 グレンもドクター・ジャクソンも殺せる立場にありながら殺さないコリンズ。なんで?
 そう言えばストレイカーが閉所恐怖症って設定はどうなったんだろう?普通に狭い宇宙船に乗ってるけど。>
第16話 人間爆弾
“The Psychobombs”

  監督:ジェレミー・サマーズ
  脚本:トニー・バーウィック
 地球に着陸した宇宙人は催眠電波を使い、三人の人間を操ってSHADO本部への潜入を果たす。実は彼らは宇宙エネルギーによって人間爆弾にされていることが分かる…
 人間爆弾。この言葉は「ザンボット3」で日本でも有名になったが、そのオリジナルはここにある(正確に言えばSF作品としてはというべきだろうが)。我知らず爆弾にされてしまった人間の悲しみを演出している。
 それで地球上にあるSHADO基地の危機が演出される。流石に普通の人間が爆弾になってると、それを判断するのは無理だから。その判断を強いられたストレイカーの駆け引きがこの話のクライマックスとなる。
<重い物語だが、ツッコミどころも多々。SHADOに潜り込ませるために一般人を使うという宇宙人の作戦自体にちょっと無理があって、これだったら普通に街中で爆破させた方が効果的。
 明らかに怪しい人物を自分の車に乗せるストライカー。冷静沈着な人物がなんでこんな初歩的ミスを?
 それでストレイカーを襲ったのは良いけど、殺さずにそのままSHADO本部へと送り届けてる。その際「降伏せよ」というメッセージをストレイカーに残しているのだが、そもそも降伏して何をするのか条件を言ってもらわないと困る。降伏しようにもこれではどうしたらいいか分からない。
 基地に侵入したクラークを逮捕した保安員だが、フェンスに空いた穴を放置してる。
 UFOの目的はストレイカー殺害というのが途中で分かるのだが、だったらなんで最初に殺さなかった?
 人間爆弾のことを精神爆弾と言うジャクソン博士はなんかうっとりした顔つきをしてる。このキャラ良いなあ。
 UFOは地球上では腐蝕してしまうため、活動限界は48時間だそうだ。もっと違う素材を使わないと…そもそもそんな地球に何故侵攻しようとしたんだろう?
 人間爆弾になってるリンダをナンパしてすぐにキスする仲になってしまうフォスター。どうやらストレイカーの指令らしいが、この展開が全く分からない。
 連れてこられたリンダに交渉を持ちかけるストレイカー。爆弾のメカニズムを解明するためらしいのだが、だったら何で本部基地に連れてくるんだ?
 リンダに指令をしたUFOは撃墜されたと言うストレイカー。でもだから何?という話でもある。
 クラークは高圧電流に触れるだけで爆発したが、リンダはしばらく時間を置いている。その違いは?>
第17話 地球最後の時
“Destruction”

  監督:ケン・ターナー
  脚本:デニス・スプーナー
 南太平洋で海軍がUFOを撃墜したという新聞記事が出る。パニックを恐れたストレイカーは対策に苦慮するが、海軍は早々にそれを誤報と報道する。その対応に不審を覚えるストライカーだが…
 いつもは秘密組織としてのSHADOが一般人からUFOの存在を隠そうとする話なのだが、今回は逆に海軍をSHADOが探るという逆転した話になってる。UFOからは離れ、一気に普通の話になってしまった感はある。
 これまでUFOに対する対応全てをSHADOが担ってきたと言うことになるが、それは世界各国の協力あってこそ。つまりUFOに関しては全ての権限はSHADOにあるというのが物語の根幹のはずなのだが、この話では海軍(どこ国かは明らかにされてない)とSHADOが全く接触を持ってないということになる。それはかなり無理があるんじゃないかな?
 海軍が秘匿しているものが全人類を滅ぼしかねない毒物であるとの真相が明らかになった際、ストレイカーは人類を救うことを諦めるような発言をしてるが、これはストレイカーらしくないな。
 今回はスカイダイバーが大活躍した話でもある。UFOの残骸を求め、潜行深度ギリギリまで潜行してる。
<前回に続き、今回もフォスターが女性の誘惑係。あっという間にキスをする仲になってしまうのだが、一流のパイロット以前にこんな役ばっかだな。これを任務として割り切ってるフォスターも結構非情だ。
 海軍にインタビューを敢行するのはストレイカー本人。結構顔が売れてるはずなんだが、これは無理があるんじゃないか?
 サラの部屋を探るのもやっぱりストレイカー本人。ヴァージニアもそれに参加してるけど、どんだけ極秘任務なんだ?
 UFOの妨害電波を受けて廃人にされてしまったインターセプターのパイロット。
 宇宙人に洗脳された人はこれまで正気を失ってしまっているが、サラは正気を保っているっぽい。どう違うのかな?
 UFOが狙っていたのは海軍の作り上げた制御不可能の毒ガス。でもそれを解放させてしまったら全人類が滅ぶことになってしまい、UFOの地球侵略は無意味になってしまうような?>
第18話 ムーンベース衝突コース
“The Responsibility Seat”

  監督:アラン・ペティ
  脚本:トニー・バーウィック
 映画会社の社長としてジョセフィンという記者からのインタビューを受けるストレイカー。だが、彼女が持ってきたテープレコーダーにはSHADOの機密漏洩の危険がある音声が録音されてしまっていた…
 隙の無いストレイカーのうっかりが描かれる話。些細なミスだったはずが、だんだん話が大きくなっていく。
 表題“Responsibility Seat”は「責任ある立場」を意味するが、ストレイカー自身がその事をはっきり自覚していると言う事を示してもいる。自分自身に対して、ほんの些細なミスも許さないという姿勢。
 ただ、全てを自分で処理しようとするストレイカーの姿勢はどうだろうか?結果として司令官不在のままUFOの襲来に備えなければならなくなったムーンベースが大変な危機に陥ってしまう。ムーンベースに近づいてくる月面車がとにかく不気味。
 そして人の心を一切信用出来ないストレイカー。本気になりかけた女性から「あなたは氷みたいな男」と言われ、ちょっとショックを受けたようにも見える。
 最終的に全てはどうということもなく、先回りして心配しすぎたというのがオチなのだが、そんな細かい先回りが地球を救っているというナレーションで締めている。
<ジョセフィンの騙し討ちによって簡単に気絶させられてしまうストレイカー。なんだかんだ言ってやっぱり女性には甘いのかな?
 そしてジョセフィンの黒幕を探ろうと自宅にまで誘い込んでしまう。それも無理があるような?>
第19話 UFO大編隊接近中
“Reflections in the Water”

  監督:デヴィッド・タンブリン
  脚本:デヴィッド・タンブリン
 偵察中のスカイダイバーが大西洋の中に巨大なドームを発見した。その中にはSHADO司令室そっくりな施設があった。
 UFOの侵略は着々と進行中で、既に大西洋海底に前線基地が作られていたという話。しかもSHADOそっくりな基地を作り、そっくりな人間を作ってUFOを地球に導き入れようとするのだが、これってSHADOの水際作戦が全く意味をなしてなかったという事だし、人間そっくりに化けられるんだったら、これまでの前提条件が全部ひっくり返されてしまう。
 ところでUFO25機の大群で攻めてきたら、インターセプターでは迎撃出来ないという致命的な問題も露呈してしまった。そもそも地球上では2週間程度で腐蝕してしまうと言うUFOの設定が前提から崩れる。
 UFO基地にいるのが精巧なロボットであることが分かってない状態で疑心暗鬼になってるストレイカーの姿もあり。
 そして最後は本当の総力戦。このシーンの見応えだけで充分って感じもするな。
<今回は珍しくスカイダイバーで前線に出ているストレイカー。でも閉所恐怖症だからスカイダイバーには乗りたがらなかったんじゃなかったか?責任感のなせる業ったって、別段前線に出る必要が無い。
 SHADO司令部のそっくりさんはみんな眠ったような棒読み。これでは騙せないだろう。しかし、通信だけだったら、別段顔まで似せる必要はないような?
 しかし、これだけ派手に空中でドンパチやって気付かれないって、世界のレーダー網はどうなってるんだろうね?>
第20話 謎の発狂石
“Mindbender”

  監督:ケン・ターナー
  脚本:トニー・バーウィック
 ムーンベースに接近したUFOが突如爆発した。太陽黒点の活動が活発化したことに何らかの原因があると考えるストレイカー。だがその現場で白い石を拾ったSHADO隊員は奇怪な幻覚を見るようになってしまう。
 極めて精神的な話で、幻想を見た人間の暴走が描かれる話。最初にUFOが太陽の黒点活発化によって破壊された時は、それが攻略の糸口になるかと思ったのだが、そんな一筋縄では終わらないのが面白い。こういう精神的な攻撃の話は面白い。どんどん精神的な病が蔓延していくのは、一種のゾンビ映画のようだ。最終的にストレイカーまでもが罹患してしまう。
 ストレイカーの見た幻覚。それは自分自身がストレイカー以外の人間になってしまい、本物のストレイカーを探し回るというもの。モロにメタフィクションだ。ストレイカーが撮影現場にいるというのが幻覚に輪をかけてる。ストレイカーの過去が映画で流れてるとか。後の押井守の『Talking Head』はここに原型があったようだ。
 SHADO司令官としての役割以外に映画製作会社の重役としての責務も担うストレイカーの苦労も描かれる。SHADO内部でも予算の問題とか問題山積のようだ。そんなリアリティも楽しい。
 結果として、幻覚を見せていたのは月で拾った石であり、それを破壊したら幻覚も消えた。いきなりの展開ではあったな。
<コンロイの幻想の中のストレイカーはちゃんとガンマンの格好をしてる。なかなかノリノリで演技してるようだ。
 結果として奇妙な石ころが幻覚を見せる原因だった訳だが、その成分が問題だとすれば、物理的に壊しただけではなんにもならないのでは?>
第21話 ムーンベース応答なし!
“The Dalotek Affair”

  監督:アラン・ペリー
  脚本:ルーリック・パウエル
 月面で頻発する電波障害を調べる内に、月面で作業中の民間会社の使っている鉱石探査機ジオ・スキャナーが原因ではないかと考えたフォスターは、そこで地質学者のジェーンと知り合う。そんな折、ムーンベースで宇宙艇墜落事故が起こる…
 フォスターを中心とした話。この人が中心になると哀しい話が多くなるが、本作もその通り。第3話の時と同様悲恋となってしまう。恋物語が多いのもフォスターの特長か。任務と恋のバッティングが起こった時にフォスターならどうする?と言うのが見所。
 SHADO以外にも月で活動している民間人がいる事がここで分かる。あんまりそれを表面化させると物語の構造が変わってしまうためにこの話くらいだけど。
 電話でのろけ話をしてるフォスターをあきれ顔で見ているオペレーターの姿がある。フォスターとしてはちゃんと仕事をしているつもりなんだろうけど。でもストレイカーがいない時はフォスターは立派にムーンベースの司令官を務めているようだ。
 結果としてこれらの電波障害はUFOの作戦であることが最終的に発覚。事件としては大きいのか小さいのかよくわからない話だった。
<月表面で大きな音が立っている…が、まあそれはともかくか。
 ムーンベースと地球での通信障害が起こってる際、SIDはちゃんとムーンベースに通信を送っていた。>
第22話 シャドーはこうして生まれた
“Confetti Check A-OK”

  監督:デヴィッド・レーン
  脚本:トニー・バーウィック
 しばらくの間UFOの攻撃はなりを潜めていた。そんな中、10年前の自分の体験を思い出していた。愛する女性メアリーを娶り、幸せな結婚生活を送っていたが、SHADO最高責任感へと就任した自分自身の姿を。
 ストレイカーが過去を思い出すという話。20話で過去息子を失った事が幻の中で描かれていたが、これはもっと前。メアリと結婚するストレイカーの話となる。
 あの沈着冷静なストレイカーにこんな時代があったのか?という意外性のある話でもあるが、ストレイカー役のビショップがノリノリで演技してる。それとだんだんと心が離れていく二人の姿もある。
 一方ではUFO撃退の長官となるに当たり、政府との折衝も同時にこなしている姿がある。SHADOは国連から出ているため、各国の思惑もあって、元々スポークスマンだったストレイカーはヘンダーソン将軍を長官に推していたが、いつの間にか自分が長官に据えられてしまい、その事を妻に悟られないように努力してる姿もある。そうこうしているうちに徐々に現在の冷静なストレイカーへと変わっていっている。その過程が良い。
 SHADO締まり屋のヘンダーソンも、過去アメリカ空軍の将軍であり、ストレイカーを協力に長官に推した人物であることも描かれる。
 タイトルの“Confetti Check A-OK”は劇中2回台詞として登場。一回目は新婚に見えないようにという心遣いで、「紙吹雪は付いてない?」「大丈夫」という具合に使われている。
<疲れ切って、それでも愛する妻のために家に帰ったら、口喧嘩…よくあるパターンだが、それは別段ドラマの中だけではない…
 ツッコミという訳では無いのだが、このエピソード、特撮が一切無いな。なんかよくあるメロドラマのようだ。でもこういう話があるから作品がぐっと締まる。>
第23話 フォスター大佐死刑
“Court Martial”

  監督:ロン・アプレトン
  脚本:トニー・バーウィック
 SHADOの極秘情報が漏洩した。状況証拠はフォスターがスパイであることを示しており、それで軍事裁判にかけられてしまう。状況はフォスターに不利になる一方だが…
 フォスターを中心とした陰謀騒ぎで、軍事法廷によってフォスターが死刑になってしまうことになってしまう。勿論ストレイカーはそれを否定しているのだが、その努力虚しく。
 裁判は結構いい加減な感じだが、ドラマ性を強調するならこういう形になるのか?
 スパイ容疑の候補者としてストレイカーも容疑者になってるシーンがある。最高司令官と言っても、組織の中にいるって事はこういう事もあり得る訳だ。
 この軍事法廷でフォスターを尋問するのはドクター・ジャクソン。この人面白い人物だが、この役はおかしくないかな?
<SHADOではスパイは例外なく死刑にされるとのこと。それ軍としてもおかしいような?
 オチとしては、フォスターの部屋に盗聴マイクが仕込まれてたってことになってるが、疑うべきはまっさきにそこでは?
 フォスターの無実を信じ、脅迫まで行うストレイカーの姿は、いつもとはやや違った印象がある。>
第24話 UFO時間凍結作戦
“Timelash”

  監督:シリル・フランケル
  脚本:テレンス・フィーリー
 突如錯乱状態となり、メディカルルームに入れられててしまったストレイカー。尋問の中、彼はこれまでに起こったことを語り出す。それはUFOによる時間凍結に巻き込まれてしまったということを…
 冒頭で突然のストレイカーの錯乱。そしてそれに続くストレイカーの告白がメインとなる話。ラストシーンが冒頭につながるという入れ子構造になっている他、不条理描写が多く、なかなか見応えのある話に仕上がっている。
 最初に何故ストレイカーがボロボロの格好をしているのか、ゴーカートに乗って死んでる人物は誰か?何故ストレイカーは時間をそんなに気にしているのか?など、様々な伏線が収斂していくのは設定的に大変面白い。
 今回冒頭の「UFO」のロゴがなかなか凝っていて、錯乱したストレイカーの目と鼻に文字が重なっている。
 明らかに宇宙人はストレイカーを標的にしていることから、地球のこともよく研究していることが分かってきた。
<ストレイカーがヴァージニアと一緒に車に乗っている際、空は書き割りだが、布がよじれているのが見えてたり。
 時間凍結シーンで、人間は止まっているのだが、瞬きをしてる人がいるよ。
 そもそも時間を凍結出来るだけの力があるならば、地球攻略も簡単なような機がするけどね。わざわざSHADOを支配しようとするから困ったことになる。>
第25話 宇宙人、地球逃亡!
“A Question of Priorities”

  監督:デヴィッド・レーン
  脚本:トニー・バーウィック
 ストレイカーは別れた妻の元にいる息子のジョンと久々に会って楽しい時間を過ごしていた。だがその直後ジョンは車にはねられて重傷を負ってしまう。息子を救うため、SHADOの輸送機で新薬を運んでもらうことにするのだが…
 今回もストレイカーの個人的な話。事故に遭った息子を助けるために、個人的にSHADOの機材を使ってしまったために起こる混乱を描く。いつも冷静沈着なストレイカーが、息子のためには全てを捨てる覚悟を持つと言うのが見所。しかし、その一方SHADO司令官としてはやはり冷静に対処している対比も良い。
 これまでにもストレイカーの記憶でその姿があったが、20話で息子が事故に遭った描写があった。その過去に起こった出来事が描かれる話となる。
 ここでは久々に宇宙人が登場。アイルランド沖に不時着したUFOから出てきたのだが、たまたま目の不自由な老婦人の家に行って、そこで歓待を受けるというもの。
『フランケンシュタインの花嫁』を思い起こさせるエピソードだ。そしてその宇宙人がやっていることとは、仲間を裏切って地球側とコンタクトを取ろうとしている。ひょっとしたら宇宙人と対話も出来たかも知れない。だが、それも叶わなかった。
 同時に息子の命を救う事もできず。最後まで救いようのない物語だった。しかし、だからこそ本作は高い評価を得ているんだろう。
第26話 眠れる美女の怪奇

  監督:ジェレミー・サマーズ
  脚本:デヴィッド・トンブリン
 10年前にストレイカーの車にぶつかって以来意識を失っていたキャサリンが意識を取り戻した。10年前に宇宙人を目撃したというキャサリンに、彼女が見つけたものは強力爆弾の時限装置ではないかと推測するストレイカーだが…
 ストレイカーに関わる事件。かつて轢いてしまったという少女にまつわる話となっている。ちなみに本国版でも本作はファースト・シーズンの最終話。セカンド・シーズンが作られることは無かったため、実質的に本作が最終回となる。
 ただ、最終回という程重要な話ではないのは確かだが。
 本作は1980年という設定なので、10年前はヒッピー文化華やかな時代で、キャサリンはそんな格好をしている。それはまさに本作が作られた時代ではあるのだが、考えてみると、この時代は激動で、ファッションも凄い移り変わっていたんだな。
 常に非情なストレイカーが女性の身を案じるシーンもある。一般人に対しては寛容なのかな?
 オチとして、爆弾の起爆は太陽光線が必要と言う事で、太陽光を遮っただけで爆破を止める事が出来た。10年越しの計画にしては随分お粗末な話だ。
<キャサリンが車にはねられて10年。一言「宇宙人が」と言っただけで、親にも連絡せずに隔離する…SHADOのやってることは凄いな。
 宇宙人は10年前に農家に爆弾を仕掛けたと言うが、その起爆装置を探して10年間も地球の周りをうろうろしていたという宇宙人がかなり間が抜けているというか。それだけの時間あったら一度母星に戻った方が早い。いや、それ以前にバックアップは?
 宇宙人に洗脳されたティムが医療班とは言え、SHADOの組織で働いてるのも無理があるんじゃないかな?
 キャサリンがシリンダーを捨てたのは橋の下に停泊していた小さな舟。でも10年後に同じ場所に同じ舟があるか?しかも落ちたシリンダーがそのまんまの形で。
 キャサリンの病室にあった注射器には未知の物質が入っていたそうだが、なんでそんな事が分かるんだ?>