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兄弟拳バイクロッサー

兄弟拳バイクロッサー事典
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1985'1'10〜9'26 

 うみへび座第3星団の守護神ペガサスから超能力とスーパーメカを与えられた水野拳と水野銀二郎の水野兄弟は魔神ドーラを崇めるドクターQ率いるデスター軍団に立ち向かう物語。魔神ゴーラの像は子供の泣き声を聞かせることによってダイヤを吐き出すため、デスター軍団は子供を泣かせるために活動するという、面白い形式で、これは星雲仮面マシンマンに続く、子供を対象としていることがよく分かる作品に仕上がっている。子供向けとはいえ、敵デスターロボの造形などはかなり力が入っているし、兄弟ならではの連係プレーもしっかり演出されているため、意外に質は高い。後半になり、敵の首領もゴーラゾンガーとなるに従い、話はやや重くなっていく。
 敵の首領ドクターQには東映特撮ではお馴染みの潮健児で、ここでも悪の首領として良い味出していた。ちなみに本作品の主題歌を歌っていたのは、「水戸黄門」の八兵衛で有名な高橋元太郎。歌手もやってたんだね。

主な登場人物
バイクロッサー・ケン
水野拳
(役)金子哲。他に「愛の嵐」というテレビドラマのレギュラー出演してる(未見)。
 水野家の長男で、明和大学工学部に通う大学生。趣味はバイクのプラモデル作り。バイクロッサー・ケンに変身する。
バイクロッサー・ギン
水野銀二郎
(役)土屋歩。他に「宇宙刑事シャリバン」でレギュラー出演してる。
 水野家の次男で、高校生。趣味はコンピュータ。バイクロッサー・ギンに変身する。
ドクターQ (役)潮建磁。東映特撮番組には欠かせないお方。いつものダンディーさよりは今回は完全にキ○ガイ行ってる科学者役。あんまり動かないのがちょっと寂しい。
 魔神ゴーラの像を発掘した天才科学者。ゴーラの像に子供の泣き声を聞かせるとダイヤをはき出すことを知り、子供の泣き声を集めるべく、町にデスターロボを派遣する。
シルビア (役)高橋みどり。他に「がんばれロボコン」に出演。
 ドクターQの右腕で、ドクターの命令によりこども達を泣かす役割を果たす。命令と言うよりは趣味?
リタ (役)羽田圭子。
 デスターの新幹部。実はドクターQの孫で、ドクターQの事を「お爺ちゃま」と呼ぶ。
竹田あけみ (役)沢近恵子。出演は本作のみ。
 父と共に街の何でも屋「キャット商会」を経営する女性。何かと水野兄弟と関わりを持つ。
ゴーラゾンガー  ドクターQにより捨てられた魔人ゴーラの像がうみへび座第3星団にシグナルを送った事により地球にやってきた悪の守護神。ドクターQに様々な新型デスターロボの設計図を与えるようになる。しかし、ドクターQとはあまり仲が良くなく、よく言い争いをしている。
ペガサス  うみへび座第三惑星人。宿命の兄弟水野拳と銀二郎をバイクロッサーにした張本人で、数々のメカも支給している。バイクロッサーの願いで全てのエネルギーをゴーラゾンガーにたたき込んだ。
話数 タイトル コメント
第1話 嵐を呼ぶ兄弟戦士

  監督:小笠原 猛
  脚本:高久 進
 水野家の兄弟拳と銀二郎は奥多摩の方角に光る物体が落下したのを発見し、二人でそれを見つけに行く。だが、突如襲ってきた謎の軍団に襲われる。崖から落ちて絶体絶命の二人にうみへび座第三惑星人と名乗る不思議な声が響く。
 敵はオニガン。初のデスターロボで、悪役っぽいデザインも良く、山を砕くほどのパワーを持つが、やってることは車の前で通せんぼうをして車をはじき返すこと。実に単純な。武器は手に持った鉄棒だが、これはバズーカのように弾を発射することも出来る。一応しゃべれるが、その台詞の大部分は「オニガーン」だけ。最初の敵だけに、かなりあっけなく倒されてしまう。
 バイクロッサー誕生が語られる。突然宇宙船に連れて行かれて、「君たちは運命の子供だ」と言われ、すぐに従う。お手軽な誕生秘話だな。
 魔神ゴーラ像に子供の泣き声を聞かせるとダイヤをはき出す。だから子供の泣き声を集めるという、悪の組織としては単純すぎる行動原理を持つデスター。組織の目的が子供を泣かせるというのは前に放映していた「星雲仮面マシンマン」の後継であることがはっきり分かる作風となってる(ややこっちの方が金を遣ってるみたいだが)
DVD1
<A> <楽>
第2話 ダイヤを好む帝王

  監督:小笠原 猛
  脚本:高久 進
 デスターロボ・オニガンを倒されたデスターのドクターQは、バイクロッサーの戦力分析を行うため、二人を分断してデスターロボ・ジェロニモを差し向けるのだった。
 敵はジェロニモ。確かに羽根飾りや精悍な顔つきなど、それっぽいデザインしてる。子供の悲鳴を魔神ゴーラ像に聞かせるため、子供達をさらうが、その後、分断されたバイクロッサー・ケンを襲う。やっぱり喋ってるのは「じぇーろーにもー」だけだが。
 2話目にして既にパターンを確立してる。兄弟分断ってのは、もうちょっと後になってから出てくるべき設定とも思えるけど。
 デスターの戦闘員も出てくるけど、集団で来られると、バイクロッサー単独では敵わない位には強い。兄弟が揃って初めて強大な力を持つって設定はなかなかよろしい。
第3話 お化け空缶騒動

  監督:東條昭平
  脚本:高久 進
 水野拳の在籍する大学の研究室でどんなものにも張り付き、絶対に剥がれない接着剤が開発された。だが中和剤が出来る前にデスター一味によって接着剤が奪われてしまう。町には接着剤にくっつけられ、泣き叫ぶこども達の声がこだまする。
 敵はベトベトマン。接着剤作戦を敢行するデスターロボで、「べーとべとべとべと」が口癖。頭の両側に缶があって、そこから接着剤を投げつける(この接着剤を手に取って投げるくらいだから、新型接着剤ではないと思われる)。
 今回のデスターの作戦は内側に接着剤と千円札を塗りこんだ缶を町に放置し、缶に手を突っ込んだこども達に、「手を切断する」と言って脅す。
 いろんな意味で物語に穴が多いが、まあ、その辺味ってもんか。
第4話 弱虫少年の超能力

  監督:東條昭平
  脚本:高久 進
 運動神経が無く、いじめられっ子の夢夫は不思議なおじさんから力の出るカイワレをもらうと、突然パワーアップしていじめっ子達に復讐を始めるのだった。不思議に思った銀二郎はそのカイワレを口にするが…
 敵はキバキラー。全身に棘があり、デザインはかなり良く、もっとシリアスな作品に登場しても不思議じゃない。八百屋に変身し、力の出るカイワレを子供に配っていく。怪人状態でも頭にタオルで鉢巻きしてたりする。身体の棘をミサイルのように撃ち出すことも出来る。
 いじめられっ子が興奮剤と筋肉増強剤入りのカイワレを食べて、いじめっ子に復讐話だが、この子役がかなり上手く、特に相手を見下したように笑う顔は絶品。
第5話 急げ!父が危ない

  監督:奥中惇夫
  脚本:高久 進
 古代エジプトに伝えられた歌うダイヤが日本のデパートに展示されることになった。その責任者として抜擢されたのはデパートに勤める水野兄弟の父だった。しかし、空港から輸送途中、デスターに襲われ、ダイヤを奪われてしまう。
 敵はオオテング。その名の通り天狗の姿をしたデスターロボで(どっちかというとモグラに似てるけど)、手には羽根団扇も持っている。
 兄弟の父がさらわれたと言うことで、家族愛が描かれる話。物語は直球勝負で、父が拷問を受けているところをバイクロッサーが救いに行く。出来過ぎかもしれないけど、むしろ特撮はこういったストレートさが大切だと今では思う。
第6話 おもちゃになった小猫

  監督:奥中惇夫
  脚本:高久 進
 散歩に出たドクターQとシルビアは公園で猫をかわいがる少女を見かける。その猫をぬいぐるみに変えてしまい、魔神ゴーラにその泣き声を捧げることを思いついたドクターQは早速デスターロボ・ブラインダーを派遣し、こども達のペットを次々にぬいぐるみに変えていく。
 敵はブラインダー。甲冑武者のような姿と手にはハルバート。かなりいかついロボットだが、やってることは動物とぬいぐるみのすり替え。強烈な光を発し、こども達の目をくらませてその隙にこども達のペットをぬいぐるみに変えてしまう。
 ペットがぬいぐるみに変わるっていうのは、最初本当に変えられてしまったのかと思った。動物好き(私の場合は猫好き)にとってはホラーに近い。
 バイクロッサー・ギンの愛車ギンクロンの前にたむろしていたブラックマンをなぎ倒してギンクロンに乗り込むギン。これがブレイザーカノン砲になるのは分かっているんだから、ブラックマンも最初からギンクロンを破壊するなりすれば良いのに。
第7話 限りある命の戦い

  監督:東條昭平
  脚本:高久 進
 度重なるバイクロッサーの妨害により作戦のことごとくが失敗したドクターQは殺し屋マグナムを差し向ける。猛毒を仕込んだ弾丸がバイクロッサー・ギンを襲う。
 敵はマグナム。名前の通り、顔が拳銃になってる。どこぞの研究所の研究員に化け、子供が発見した赤い実に猛毒が含まれることを発見。それを弾丸に塗ってバイクロッサーを襲う。
 猛毒の赤い実がこの作品のテーマとなってるが、その赤い実というのが、どう見てもミニトマトにしか見えない…だってミニトマトだもん(笑)。
 主人公が死ぬ?と言う切迫感をあたえる事で、物語に彩りを添えているのが特徴。
 ここではギンクロンに走っていくギンに、「そうはさせん」とか言ってマグナムが銃をぶっ放すのだが、だからそんなことをするんだったら、ギンクロンの方を破壊しろって。
第8話 お菓子SOS!!

  監督:東條昭平
  脚本:麻尾るみこ
 こども達の泣き声を魔神ドーラの像に聞かせるべく、デスターは町中のお菓子を奪っていく。たまたまお菓子好きの従妹ひろこが水野家に来ている折り、
 敵はドラクロス。コウモリ型の頭部とマントを持ち、デザインはかなり良い。尊大な口調で話し、実力も高いが、やってることは町中のお菓子を奪う…って、結構情けないことやってる。口から溶解液を吐く。又、相手に幻覚を見せつつ、攻撃能力を持つコウモリで攻撃したりする。
 子供を泣かせることが目的とはいえ、ここまで情けない作戦は今まで無かったんじゃないか?…それがこの番組の味だから充分OKか。お菓子の国が突然悪夢に変貌するとか、画面効果などは結構よく練れてる。
第9話 ビデオの中の死神

  監督:奥中惇夫
  脚本:高久 進
 キャットワーク商会が始めたレンタルビデオ。格安で貸してくれると言うことで、こども達には大人気。だがそのビデオを観たこども達はその夜に死神の出てくる夢を見るようになってしまう。水野兄弟は紙芝居の青年と共に調査を開始する。
 敵はオカルダー。二つのテレビを合わせたような顔をしているが(事実画面が映る)、死神の格好をしてこども達の夢に現れることが出来る。戦っているバイクロッサーをビデオに収め、それをスローモーションにしたり停止したりしてバイクロッサーを苦しめる。
 当時流行りもののレンタルビデオやサブリミナルメッセージなどを主題とした話で、そこにアナクロな紙芝居の良さを合わせているので、文明に対する批判のような雰囲気も感じ取られる。
 レンタルビデオを始めたキャッツワーク商会からこども達が貸し出されたビデオはなんと「仮面ライダー」。ちなみにこれは13話で、トカゲロンが出てる。もう一つは「仮面ライダーV3」だが、これは4話のイカファイアが出てる。
第10話 シルビア街を行く

  監督:奥中惇夫
  脚本:高久 進
 ドクターQには黙って宝石店からダイヤを奪ったシルビアは、スクラップ工場にダイヤを隠す。だが、そこはいつも仲間はずれにされてるシンジの遊び場だった。ダイヤを発見してしまったシンジをデスターロボ・タンクボンブが襲う。
 敵はタンクボンブ。上半身が戦車となってる。見た目通り顔に当たる砲台から弾丸を発射する。デザインは無骨だけど、結構お茶目なところがあり。
 ドクターQではなくシルビアが中心となったお話で、やっぱり女性だけに宝石には目がないらしい。結局こいつも同じ穴の狢ってことね。
 水野兄弟とあけみのデート風景が描かれるが、こども達のお守り付き。なかなか三人きり(?)にはなれないらしい。
第11話 兄を忘れた弟

  監督:東條昭平
  脚本:鷺山京子
 ミキちゃんがケーキパーティを開くことになった。いつもミキをいじめているシゲオには招待状が配られず、彼の前に現れたデスターロボ・トゲバラの甘い言葉に乗せられ、友達みんなからミキの記憶をぬいてしまうのだった。そして銀二郎もワスレロメガホンによって拳の事を忘れてしまい…
 敵はトゲバラ。バラを摸したデスターロボで、人間形態では牧師の姿をしてる。体中にからみついた棘付きの蔦を鞭のように用いるほか、地面に落としたバラを通じ、別の空間に移動することも出来る。ワスレロメガホンというアイテムを子供に使わせて、特定の人間を人の記憶から消してしまう。
 バイクロッサーはコンビでないと力を発揮しないと言うのがよく表された話で、ケンだけではデスターロボに全然敵わない。弱いヒーローを演出するってのは実際難しいのだが、これは上手くできてると思うね。
第12話 ああ兄弟女難の日

  監督:東條昭平
  脚本:麻尾るみこ
 デスターの次なる作戦は女性に恋の呪文をかけるハートブローチを町中の女性に配り、男を泣かそうとするものだった。水野兄弟にも女難の日がやってくる…
 敵はバトラー。クラウンの顔を摸したデスターロボ。町に女性に恋の呪文をかけるハートブローチを配っていく。キューピッドの矢を摸した槍で攻撃する。
 地球破壊とかそういうのでなく、男を泣かせようという作戦は、逆に最も効果的な攻撃のような気がする。この作戦は男としてはむしろ嬉しい作戦という気もするが…そのまま女性不信に陥ってしまいそうでもある。
 特撮作品に色恋沙汰はあまり演出されることはないが、逆にこういう身近なテーマの作品だと上手く映える。
DVD2
<A> <楽>
第13話 兄さん俺を撃て!

  監督:奥中惇夫
  脚本:高久 進
 女の子にスプレーをかけるという悪戯好きなオサム少年が謎の男からもらったスプレー。これを人にかけると目が見えなくなってしまうと言うものだった。拳もそれで目が見えなくなってしまうのだが…
 敵はスプレーゴン。名前通り顔がスプレーになってるが、大変不細工。拳を襲って目を見えなくしてしまうことに成功する。右手が鎖となっており、それでケンを絡め取って攻撃する。
 目が見えなくなったケンの特訓が描かれ、又コンビネーションで敵を倒すという、兄弟だからこそ出来た話だ。この作品でしかできない話というのもしっかり作られてるのが好感度高し。
 色々悪戯はされても広い心を持つ銀二郎。あれ?これって逆っぽいけど?ケンとギンを逆にした方が話はつながるっぽい。
 今回スプレーゴンによりバイクロッサー・ケンの正体がばれてしまうのだが、それを報告しなかったため、デスターにはばれずに済んでしまう。
 ところで、ブレイザーカノン砲はバンクで用いられてるから仕方ないんだけど、撃つ瞬間、ケンの目が回復してるよ。
第14話 魔神ゴーラの反乱

  監督:奥中惇夫
  脚本:高久 進
 ダイヤを吐き出さなくなった魔神ゴーラに腹を立てたドクターQはゴーラの像を放り出す。だが、町に出たゴーラはあけみに乗り移り、悪の限りを尽くしていく。魔神ゴーラの作り出した世界に入り込んでしまったバイクロッサーは…
 敵はボルダー。怪力を持つデスターロボ。魔神ゴーラとの戦いで力をそして魔神ゴーラ自身が敵として登場する。ゴーラは人の精神を乗っ取ることが出来、そこから強大な力を見せつけるが、自ら爆発。その本体であるゴーラゾンガーを放出する。
 これまでサブキャラとして良い味出してきた水野家の母が父の転勤で退場。更にデスターの新幹部としてリタが登場。新展開への布石が行われたと言うところ。
第15話 悪神ゴーラゾンガー

  監督:東條昭平
  脚本:高久 進
 デスター本部に居座った奇怪な像はゴーラゾンガーと名乗り、ドクターQに世界征服を勧める。その手始めとして、黄金魔剣を手に入れるべく活動を開始するデスター軍団…
 敵はカッチュウナイト。ゴーラゾンガーが連れてきたロボットで、西洋風の甲冑に身を包み、顔にドリルを装備している。手に入れた黄金魔剣の力を存分に用いて散々バイクロッサーを苦しめる。ケンのクロスソードにギンのツインクラッシャーのパワーを溜めての攻撃および隠烈剛により弱ったところをブレイザーカノンにより倒される。
 新展開となり、ゴーラゾンガーの登場と、デスターの目的も単に子供を泣かすことから、世界征服へとシフトする…が、やってることは次世代の地球を堕落させるために子供を苦しめること…変わってないんじゃ?
 母がいなくなって、あけみが水野兄弟の面倒を看ることになったが、起き抜けにパンツ姿を見られて悲鳴を上げるというラブコメの定番までやってくれる。
第16話 赤ちゃんにするぞ

  監督:東條昭平
  脚本:杉村のぼる
 デスター本部ではシルビアとリタの喧嘩が絶えない。ゴーラゾンガーは二人に勝負させるようにドクターQに促し、リタはオギャア銃、シルビアはウラシマ銃を開発し、ロビンダーにそれを持たせてこども達を赤ん坊にしたり、老人にしたり…
 敵はロビンダー。ゴーラゾンガーの設計図通りにドクターQが作り上げたロボット。蛇腹関節角のある巨大な頭という、いかにも悪人面したロボットで、人間形態ではオギャア銃とウラシマ銃を二丁拳銃として持ち、子供を赤ん坊にしたり老人にしたりする。
 オギャア銃とウラシマ銃という全く逆の威力を持つ銃の話で、子供をいじめると言うデスターの作戦も行き着いた感じがある。人間の細胞を若返らせたり老化させたりと、世紀の大発明のはずなのに、それを子供をいじめるためだけに使うと言うのが面白いところ。
 テレビ特撮の常で、銃を破壊すればこども達も元に戻るのだが、それを見越して「銃を破壊しろ」とは、よく考えればかなり無謀な言い方だ。
第17話 カレーにご用心!

  監督:奥中惇夫
  脚本:杉村のぼる
 町に出来た新しいカレーショップ。ここのカレーは大変おいしいと評判なのだが、カレーを食べ続けた人達は力が抜けていく。カレーのお陰でパワーが出せなくなってしまった拳と銀二郎の前にデスターロボ・コックラーが迫る。
 敵はコックラー。顔がオーブンレンジで、頭にはコック帽をつけたデスターロボ。料理上手で、特にそのカレーを食べると、まるで中毒のように食べ続けたくなるが、それを悪用して人の身体をコントロールするグリンピースを混入する。キッチン用品を使った攻撃を行う。
 グリンピースを食べてしまい、力が弱ってしまったバイクロッサーがお互いに腹の中にあるグリーンピースを撃ち合うことで危機を脱するという、かなり無茶な話。しかしコントロール装置が胃に留まってるもんなのか?
第18話 あけみ神様になる

  監督:奥中惇夫
  脚本:鷺山京子
 野獣の雄叫びを上げるデスターロボ・ゲンシダーの声に、暴れ回るこども達。
 敵はゲンシダー。人間形態だと蓬髪半裸で子供を野性に帰す太鼓を打ち鳴らし、ロボット形態だと頭に動物の動物の骨を付けた、割とすっきりしたデザイン。子供を原始人に変える。
 ハーメルンの笛吹き男(パイドパイパー)ならぬ太鼓叩き男が相手で、しかもバイクロッサーが戦うことの出来ないこども達が向かってくる。特撮番組においては最も効果的な作戦なのだが、大抵一つの番組で一回か二回しか使われない。
 あけみとリタ、シルビアの三人が子供達の精神を操るために女神合戦(?)を繰り広げるというコミカルな描写がなされるが、結局最後に勝つのは暴力的なキャラだというのがらしいというか…
第19話 ランドセルの爆弾

  監督:東條昭平
  脚本:高久 進
 リタの発案したランドセル爆弾作戦。それは子供達のランドセルに悪いことをしないと爆発する爆弾を背負わせると言ったものだった。
 敵はリモギラー。人間形態はアイパッチをしてシルクハットをかぶった小男だが、ロボット形態だとなかなか精悍な顔をした銀色の姿をしていて、爆弾の起爆装置でもある杖を用いて攻撃する。子供達に爆弾を仕込んだランドセルを背負わせる作戦を遂行する。
 取り立てて言うべき点が見つからない。だんだん予算が無くなってきたのか、少々特撮部分がしょぼいものになってきたようだ。
第20話 にせもの大騒動!

  監督:東條昭平
  脚本:佐藤しげる
 ドクターQはフォーカスマンを町に派遣し、三次元分析装置内蔵のカメラに写された者のアンドロイドを次々に町に放つ。そっくりな人間が現れ、町は大混乱に。その中にはなんと拳の姿も…
 敵はフォーカスマン。顔がカメラになっている。人間形態ではカメラマンとして町の人を撮影し、それをアンドロイドにして町に放つ。
 ドッペンゲルガーの話。ものとしては割とありがち。特に年齢層を低く取っている本作ではそれがよく映える。
第21話 おへそを取るぞ!

  監督:奥中惇夫
  脚本:杉村のぼる
 これまで何体ものデスターロボをバイクロッサーに倒されたドクターQはデスターロボのパワーアップを図る。その方法とは、なんと、子供のへそを取ってしまい、そこから雷のパワーを得ようとする。デスターロボカミナリオンが暗躍する中でバイクロッサーは…
 敵はカミナリオン。ロボット形態でも人間形態でも雷様のような姿。子供のへそを奪い、それを身体に付けることで雷の電気パワーを得る。パワーアップすると、バイクロッサーのあらゆる武器が通用せず、それどころか武器を通じて高圧電流を相手の身体に流すという厄介極まりない攻撃を行う。バイクロッサーに余裕の挑戦状まで送るのだが、その脅迫文が「もし来なければ子供達をいじめてやる」…まあ、大変ストレートな強迫には違いない。
 世界征服を目指し、大々的にデスターロボのパワーアップとか言っておきながら、やってることは子供のへそ取り。設定は脱力系だが、実際はバイクロッサー最大の危機が描かれている。
 かなりの低予算作品のはずだが、今回ブラックマンも多く登場し、セスナまで飛ばしてるよ。
第22話 最強のタイムロボ

  監督:奥中惇夫
  脚本:高久 進
      永井達郎
 奥多摩へ釣りにやってきたあけみたちの前にデスターロボ・タイムラーが現れる。時間を自在に操るタイムスリップ光線により時間を操られるあけみたち。更にそこに来た水野兄弟にもタイム光線が浴びせられ、銀二郎の超能力が奪われてしまう…
 敵はタイムラー。大鎌を持ったその姿は死神をイメージしたのか?時間を自在に操ることが出来、鎌をブーメランのように投げつけて攻撃する。銀二郎の超能力を奪うが、生身の銀二郎と戦っている最中に額の時計をケンに破壊され、超能力の戻ったギンとケンのブレーザーカノン砲に破れる。
 時間を主題とした物語で、釣りに来たあけみたちが時間を戻され、いきなり川辺でちゃぶ台を囲んでたり、布団で寝てたりするシュールな光景が見られる。しかし、そのちゃぶ台とか布団はどこから出てきたんだ?トイレに行ってる子供がいなかったのは幸い…とはいえ、こんなロボットがいたらその時点で世界征服完了してるんじゃないか?
 ところで時間を戻され、バイクロッサー・ギンに変身できなくなった銀二郎だが、超能力を奪われたって事は随分前まで戻されたんだろうか?その割りに自分がギンだってことは認識してるけど。それに水野兄弟がバイクロッサーであることはこれまで秘密だったはずだが、なんの疑問もなくデスターロボも受け入れてるな。
第23話 人を食う毒花!

  監督:東條昭平
  脚本:佐藤しげる
 うみへび座第三惑星から届いたゴーラゾンガーへの荷物には不思議な種が入っていた。それはあらゆるものを食い尽くすドラキューレという悪魔の花であり、ドクターQはデスターロボ・グリーンダーにその花を町中にばらまかせるのだった。
 敵はグリーンダー。別名花咲男。真っ赤なボディに蔦のような鞭状の右手と火を噴くいたり噛みついたりする花のついた左手持つデスターロボ。再生能力も持つため、大変強い。悪魔の花ドラキューレを町中の子供に配る。人間形態ではまるで花咲爺のような姿をしている。
 低年齢層をターゲットにした本作が、子供が植物に喰われるような描写をするのは珍しい…地球の大地には栄養がたっぷりあるため、食肉植物であるドラキューレは動物を食べる必要がないと言う、オチが付き、結局死んだ人間は誰もいないが。
DVD3
<A> <楽>
第24話 心を読むイヤホン

  監督:東條昭平
  脚本:鷺山京子
 偶然に、人の心を読むことが出来る不思議なイヤホンを手にした少年アキラ。だがそれはデスターが開発した聞き耳イヤホンだったのだ。アキラにデスターの手が迫る。
 敵はイヤゴー。巨大な耳を持つデスターロボで、どことなく中華風のロボット。耳から発する衝撃波と手にした棍棒が武器。
 人の心を読むことが出来るようになってしまった少年が中心の話。この手の話はどこまでも嫌らしく演出できるはずだが、やや低年齢層向けの本作故に、その演出はほどほど。
 又、心が読めると言うことで、銀二郎がバイクロッサー・ギンであることがばれそうになるという危機が描かれた話でもあった。
第25話 魔のデスター学校

  監督:東條昭平
  脚本:麻尾るみこ
 デスターの次なる作戦は学校から子供達を誘拐し、デスターの戦闘員にしてしまおうとするものだった。子供達ののアイドルであるエツコ先生のクラスの子供達もさらわれてしまうのだった。デスターロボのベンキョーダにより洗脳されてしまう子供達…
 敵はベンキョーダ。「ちいちいぱっぱちいぱっぱ」と歌いながら登場。石化ガスを使い、小学校の先生を石にしてしまい、子供達を洗脳してデスターの戦闘員にしようとする。
 子供が敵になると、ヒーローは戦うことが出来ない。その定式ははっきりしてるのに、せいぜいシリーズに一回か二回程度しか使われない。これを突き詰めれば、あっという間にヒーローを無力出来るのに。
 シルビアとリタが子供達を洗脳するわけだが、その際、「お父さんお母さんを大切にしない」とか「町を滅茶滅茶にしよう」とか標語を叫ばせるとか、パン食い競争をさせるとかの、結構ほほえましい方法なんだが、火のついたダイナマイトを使ってリレーをさせるってのは無理がないか?
第26話 とんだ宝探し!

  監督:奥中惇夫
  脚本:高久 進
 デスターの軍資金集めのため、ドクターQはリタが盗んできた地図を手がかりに宝探しを開始する。宝の隠し場所があけみの知り合いである事は分かったのだが…
 敵はヒャクメガン。右手にU型磁石を持ち、体中に目を付けた結構不気味なデスターロボ。その目と探知能力を買われ、埋蔵金探しに駆り出される。右手の磁石でバイクロッサーの武器を吸い取り、左手の盾から目玉爆弾なるものを発射する。
 内容は単純ながら軽快に進む物語は観ていて楽しい。
 埋蔵金とはベタな内容だが、なんか久々に潮健児のダンディな姿が観られるのは嬉しい。
第27話 善人になったドン

  監督:奥中惇夫
  脚本:杉村のぼる
 ドクターQは自ら開発したフライングマシーンのテスト飛行中に墜落し、頭を打ち付けて病院に運ばれる。そして気が付いた時、全ての記憶を失っていた。同室のユキちゃんと仲良くなったドクターQだったが…
 敵はイシャーゴン。赤十字をあしらったデザインと右手に注射器。まさに医者だ。ただ今回は中心がドクターQだったため、あんまり活躍はせず、あっけなく倒されてしまう。
 敵の首領が頭を打って善人になってしまうお話。そう言えば前作の「星雲仮面マシンマン」でもプロフェッサーKが善人になってしまう話があったが、敵の存在感を際だたせる場合、こう言うのがやりやすいのかな?一応敵のボスと直接対決した重要な話にはなるんだが。
 今回も潮健児が外に出て活躍。メイクを落とし、帽子も取ると相変わらず映える人だ。
第28話 コブ取り大騒動!

  監督:東條昭平
  脚本:佐藤しげる
 町の人々に次々コブをくっつけ、人を操るデスターロボのコブリオンが出現する。襲いかかる町の人々を前に、攻撃を封じられたバイクロッサーだったが…
 敵はコブリオン。コブだらけの真っ赤な顔をしたデスターロボで、人間に次々とコブをくっつけ、意のままに操る。人間形態だと真っ赤な服に妙な帽子をかぶっており、リタから「タッチマン」と呼ばれている。
 人間にコブを付けることで人間を自在に操ることが出来るコブリオン。しかしやらせてることが「お〜て〜て〜つ〜ないで〜」と歌ってその通り踊らせるという、なんとも言えない妙な演出がされてる。
 この作戦の陣頭指揮を執ることになったリタは、自分に彼氏がいない鬱憤を晴らすかのように、カップルの女性にばかりコブを付けさせる。それで何故か拳に一目惚れ…それで拳と仲良くしてるあけみにコブを付けようとしたら自分にコブが付けられてしまった。わはは。
 ここ何話かドクターQが町に出てくる話が続いてるが、今回は出てきた途端多量のコブが
第29話 死闘対決 兄弟ロボ

  監督:東條昭平
  脚本:高久 進
 ドクターQが対バイクロッサー用に作り上げた兄弟ロボ。一方水野家は泥棒に入られてしまい、変身に必要な洋服ダンスを盗まれてしまうのだった。
 敵はヘラクレスIヘラクレスIIの兄弟ロボ。古代ギリシアの彫刻を元にゴーラゾンガーが設計し、ドクターQが作り上げた兄弟ロボ。デザインや強さとも、路線違いでないか?思えるほどにシェイプアップされている。兄弟ロボだけに連係攻撃によりバイクロッサーを散々苦しめる。
 最強の敵の登場に、変身アイテムの紛失という、なかなか詰め込まれた内容で、かなり見応えのある話になっていた。火薬も結構使われてる…話の展開そのものはいつも通りなんだが(笑)
第30話 ロボット少女の罠

  監督:奥中惇夫
  脚本:麻尾るみこ
 ローラースケートをつけた女性達“ローラーギャルズ”による子供の誘拐事件が多発していた。子供達は無事帰っては来るのだが、凶暴な性格へと変えられてしまう。だがその中のアヤという女性はデスターを裏切り、デスターロボのシシキバラーに追いかけられていた。そんな彼女を救ったバイクロッサーだったが…
 敵はシシキバラー。ライオンの顔を持ったデスターロボ。通常はローラーギャルズの一人に身を隠している。顔と身体を分離させて両面攻撃をすることが出来る。
 ついにデスターは自分の基地にバイクロッサーを誘い込み、殲滅する作戦に出た。その際、裏切りを装わせたロボットを用いるが、プログラムによって自分は裏切ったと本当に思っていたり、用済みになったら自爆させられるとか、なかなか痛々しいキャラだ。
 ヒーローの親切心が利用されると言う話で、本作の方向性からすると、かなり重め。
第31話 銀ちゃん結婚して

  監督:奥中惇夫
  脚本:鷺山京子
 どうしてもバイクロッサーに勝てないドクターQは、なんとシルビアとリタを優れた男と結婚させ、その男をデスターの一員とすると言う計画を立てる。そしてシルビアがその相手に選んだのは、なんと銀二郎だった。
 敵はフデバゴン。文字通り筆箱の姿をしたデスターロボ。左手に装着した消しゴムによりどんなものも消し去る事が出来る。顔は本当の筆箱のように開くことが出来、そこに入っている鉛筆や定規などが爆弾として使用される。
 ドクターQとゴーラゾンガーの全く違う二つの作戦が同時展開するが、ドクターQの作戦というのはシルビアとリタに結婚させようと言う、なんか笑えるような笑えないような話。
 今回でついに銀二郎がバイクロッサーである疑問が持たれ、拷問にかけられるのだが、その拷問というのがモグラ叩きにされてしまうと言うものだったり。
 全般的に笑えるような笑えないような演出が多用された話だった。
第32話 孫悟空は悪魔の子

  監督:奥中惇夫
  脚本:高久 進
      永井達郎
 孫悟空の劇の準備をしていた水野兄弟の姿をデスターロボのリングゴクウが見ていた。孫悟空の緊箍(きんこ)を参考に作られた超合金のリングをはめられた銀二郎は苦しめられる…
 敵はリングゴクウ。サル型のデスターロボで、最初は名前が無かったが、緊箍のアイディアを出したことでドクターQにリングゴクウと名付けられる。最初から如意棒も持っていて、どうも最初から名前は決まってたような気がしてならないのだが。
 銀二郎の受難が語られる話。展開は結構良かったんだが、20分ちょっとではやはり深みを与えるのは難しかったか。
 超合金の輪を頭に付けられたギンは銀二郎に戻ってもやっぱり頭に輪がはまったまま。輪の大きさはどうなってるんだろう?
第33話 デスターの最後!?

  監督:東條昭平
  脚本:高久 進
 デスターのゴーラゾンガーはバイクロッサーとの最終決戦を果たすべく、弟であるコブラミサイルを呼び寄せた。
 敵はコブラミサイル。ゴーラゾンガーが故郷うみへび座第3星団から呼び寄せた敵で、強いテレパシー能力を持ち、バイクロッサーの正体を探る。そしてドクターQとの直接対決も描かれる。姿を消したり、指から光線を出したりと、人間とは思えないような行動を取ってる。
 ラス前。これまで知られることがなかったバイクロッサーの正体が水野兄弟であることがデスターにばれる。そしてドクターQとの直接対決も描かれるが、バイクロッサー・ケンに対し、「ドンと呼べドンと」と、言ってることは相変わらず。それでいざ海底にあったデスターの基地が発見されると、あっけなく基地は破壊され、ゴーラゾンガーも簡単に倒されてしまった…基地が壊されてもドクターQは生き残っており、マント姿でとぼとぼと海岸線を歩く姿はひたすら惨め。
 しかし、これで終わったと思ったら…
第34話 無敵の必殺拳!!

  監督:東條昭平
  脚本:高久 進
 デスターは滅んだ。だが、平和を満喫する水野兄弟の前に、うみへび座第3星団から悪の首領ブライゾンガーが現れるのだった。ブレイザーカノンさえ通用しない強大な敵の前にバイクロッサーは…
 敵はブライゾンガー。最終回だけに最強の敵が現れる。人間形態ではギリシア神話から抜け出したようなアナーキーな格好をしてる。その本体はゴーラゾンガーの頭部がロボットの身体を持つことで変身する。
 いよいよ最終回。実はバイクロッサーに力を与えていたうみへび座第3星団は既にブライゾンガーによって滅ぼされていたと言う事実がここで明らかにされる。しかし、ペガサスにより「最後の力」が簡単に与えられるあたり、脚本がスピーディー過ぎる気も…「めでたしめでたし」で終わるラストもあっけない感じ。
 あけみが電流の拷問を受けるシーンがあるのだが、電撃を受けると髪の毛がぼさぼさになり、絶叫を繰り返す。なかなか凄まじい光景だ。
 ところで、ブライゾンガーは単体の力だけで地球を滅ぼすことが出来るそうだが、だったらこれまでにそれをしてこなかったのはどうして?というのは無用のツッコミ?