會議は踊る
Der Kongre? tanzt |
|
|
エリッヒ・ポマー(製)
ノルベルト・ファルク(脚)
ヴィリー・フリッチ
リリアン・ハーヴェイ
コンラート・ファイト
リル・ダゴファー
アデーレ・サンドロック
アルフレート・アーベル
ユリウス・ファルケンシュタイン |
|
★★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
3 |
3 |
5 |
4 |
4 |
|
ナポレオンが失脚した後、欧州の情勢に対処するため1814年、ウィーン会議が開催された。開催国オーストリアのメッテルニヒ宰相は自国の有利に会議を進めようと、わざと重要な会議を舞踏会の時間と重ね、代表達が欠席するよう画策する。一方、その陰謀に気付いたロシア皇帝アレクサンドル1世は替え玉を立て、その裏をかこうとするが、町で偶然美しい帽子屋の娘と知り合う…
フランス革命により王政フランスは倒れ、共和政フランスが誕生した。その中で台頭したのがナポレオンで、彼はその共和政をも粉砕し、帝政フランスを作り上げ、ヨーロッパ中を荒らし回る事になる。だが、ナポレオンの失脚によって取り敢えずの平穏さを保つ事ができた。
その戦後処理を巡って1814年から15年にかけて開かれたウィーン会議は自国の利益問題に絡み、遅々として進まず、“会議は踊る、されど進まず”と言われるようになる(それでもネーデルランド王国や、サンマリノ共和国の成立、スイスの永世中立を決める、など重要な事も決められていたんだけど)。
その歴史的事実を踏まえ、それらを軽快なオペレッタとして仕上げた作品。トーキーが始まったばかりでこれだけのものが作れたと言う事実に驚嘆するし、何より当時のドイツ映画の見事さには惚れ惚れする。兎に角軽快に楽しく仕上がっている。
歌に始まり歌に終わる映画であるが、その歌の用い方がなんと言っても良い。特に有名な「ただ一度だけ」の流れる箇所は帽子屋の店先から城までワンカットの移動撮影が用いられているのが凄い。このカットを見るだけでも、当時のドイツの映画は確かに世界一だったと言ってさえ良い。
しかし、これだけの技術力を持ったドイツ映画界も、この後、映画を大衆宣伝の手段として利用としたナチスの台頭により、映画関係者は次々と国外へ流出していく事になる。この映画においても、製作のエリッヒ=ポマーも、監督のシャレルも、音楽のヴェルナー=リヒャルト=ハイマンも、そして主演のハーヴェイもドイツを去っている。
更に、本作は1937年にナチスの手によって、反国家的映画とされてしまう…
映画史上における、戦前ドイツ映画の最高峰にして遺作。
|
|