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1994 | 3'29 死去 | |
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1980 | 王と鳥 監督・脚本 | |
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1952 | やぶにらみの暴君 監督・脚本 | |
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1905 | 3'23 パリで誕生 |
タイトル | |||||||||||||||||||||||
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85点 | 劇場 | ||||||||||||||||||||
ポール=グリモー(監) パスカル=マゾッティ、ジャン=マルタン | |||||||||||||||||||||
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王と鳥 1980 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
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圧政を敷いて人々から恐れられているタキカルディ王国のシャルル16世は天高く宮殿の最上階に秘密の部屋を持ち、そこに飾られている美しい羊飼いの少女の絵を日夜愛でていた。だが少女は隣に飾られている絵の中に描かれている煙突掃除の青年と二人手に手をとって王宮から逃げ出そうとした。そんなことは許さじと、シャルルの肖像画からも王が抜け出し、本物の王を消し去って二人を追いかけていくのだった。対して二人は王宮に巣を作っている鳥に案内され、王宮の地下への迷路を駆け降りていく… 本作はそもそも『やぶにらみの暴君』として1952年(!)にグリモー監督が資金難にあえぎながら作り上げたフランス初の長編フルカラー作品(ちなみに日本初のカラー長編アニメは1958年の『白蛇伝』なので、それに先んじてこれだけの作品が作られたと言う事実そのものが特筆すべき点)。資金の都合上不完全な形での公開となったが(全長66分)、グリモー監督自身がこれを大変不満に思っており、約30年後の1979年にグリモー監督自らが作品の権利とネガフィルムを買い取り、当初の希望通りの内容へと大幅に変更を加えて作り直したのが本作(全長で85分になった)。 不本意な形と言っても、『やぶにらみの暴君』自体世界中で高い評価を受けていたし、アニメーション作家への影響も強い。日本での公開は1955年だったが、このときに本作を観て後にアニメの道にんだのが高畑勲、宮崎駿、大塚康夫という、後のジブリアニメの重鎮となる男達だった。今回の公開も二人の強い希望で、スタジオジブリが後援することで実現したと言う曰く付きの作品である。 実際本作を観てみると、初期の宮崎駿作品はどれだけ本作の影響を受けているか良く分かる。可憐な少女を守るため、少年が地下深く、あるいは空へと駆けていくモティーフは『未来少年コナン』(1979)、『天空の城ラピュタ』(1986)に受け継がれ、城の塔の上で敵味方入り乱れての戦いは『ルパン三世 カリオストロの城』(1979)を、地下迷宮の寒々した描写はやはり『未来少年コナン』や『ルパン三世 ルパンVSクローン人間』(1978)そして後半になって現れる巨大ロボットは『風の谷のナウシカ』(1984)の巨神兵を。しかも構図やゴシック風建築の描写などはいくつもの作品でほぼそのまま使用されてもいる。その意味でも大変参考になる作品である。 宮崎監督自身は『となりのトトロ』(1988)で良い具合に独自路線へと方向転換していったが、これが間違いなく原点だ!と思わせる作りは、時を経ても色あせることはない。シュールレアリズム的手法にあふれた美術や、権力に対する抵抗の様は今観ても新鮮。 それに実によくキャラクタが動く。物語の語り部である鳥の生き生きした飛翔シーンやロボットのカクカクした動き。破壊される構造物まで丁寧に描かれた作りこみの細かさ、全員同じ顔をしているが、それぞれ個性を持つ警察署員など(翼を持ってるのは秀逸なデザイン)、特に動きに関しては現代の目で観たとしても充分な出来だし、これを一つ一つ手で描いたとなると、一体どれだけの手間がかかったことやら。途方もない作業だったんだろうな。演出面は本当に凄い。 ただ、一つ残念なのは間の取り方。現代の洗練されたアニメーションを観ている側から見ると、どうしても一つ一つのエピソードへのつなぎの悪さに目が行くし、話が割と唐突なくせに説明が少なく、それを活かしているとは言えない状態。だからちょっと退屈さを覚えてしまうのが難点。これがフランス流のエスプリ演出なのか、それとも単に古い作品のためだけなのか、今のところよく分からないけど。 それでも概ねにおいては満足の行く出来映えだし、アニメを語る際には是非観てもらいたい作品であることは確か。少なくとも、現代の日本アニメーションは本作から多くのものをもらっているのだから。 |