妖婆・死棺の呪い 1967 |
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ゲオルギー・クロパチェフ
アレクサンドル・プトゥシコ
コンスタンチン・エルショフ(脚)
レオニード・クラヴレフ
ナターリヤ・ワルレイ
ニコライ・クトゥーゾフ |
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★★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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中世ロシアのキエフ。修道院に住む神学生のホマー・ブルート(クラヴレフ)はクリスマス休暇で故郷へと向かう途中、ある小屋に宿を求めたのだが、そこに現れた老婆(クトゥーゾフ)に背中にのしかかられてしまい、そのまま空を飛んでしまう。暴れ回るホマーは老婆を打ちのめすが、着地すると彼女は美しい娘(ワルレイ)に変わっていた。ほどなくホマーは、村の長老に頼まれ、死んだ娘(ワルレイ2役)のために古い教会で三晩祈とうをあげることになるのだが…
ゴーゴリ原作の短編「ヴィー」の映画化作品。この原作はかなり映画人の興味を引くらしく、これまでに本作を含め、3作が映画化されている。最初がマリオ=バーヴァによる『血ぬられた墓標』(1960)であり、後にマリオの息子ランベルト=バーヴァによる『デモンズ5』(1990)。本作はその中間に当たるが、日本語タイトルが凄まじいため(原題はもちろんそのまんま『ヴィー』なのに)、色物作品として見られがちだが、純粋なホラーとしての完成度は高い。
本作の売りとして、ラストのわき上がるようなモンスターの群れの描写があるけど、そこに至るシチュエーションに先ず惹かれる。三日間死体と一緒に過ごさねばならないと言う、普通ではあんまり考えられないような状態に主人公が置かれてしまう。これは実際、ただいるというだけでも精神がどこかおかしくなりそうなシチュエーションだが、それで最初は実際主人公の精神がおかしくなってしまったのでは?と言う疑問符が付くような軽いものから始まる。それが二日目になって超常現象が、そして三日目にとうとうモンスターの群れが…という課程がおもしろい。どこか牧歌的に、のんびり移行する物語も、逆にそれを映えさせていた。
圧巻はやはり最後のモンスターの群れなんだが、これが又、出し惜しみ全くなし。怒濤のごとく現れ出る数々のモンスター達!巨人がいたり、小さいのがいたり、飛ぶのがいたり、体のねじ曲がったのがいたり、ゴーレム風のがいたりと、想像の産物にしても、よくここまで出したもんだ。これらは決して主人公を殺しに来たわけではなく、ただ出てきただけ。と言うのも面白い。結果、主人公は物理的でなく、精神的に崩壊していく。
ホラーとは、残酷描写やショックシーンで見せるものではない。キャラクタが精神的に徐々に押しつぶされていき、最後の崩壊へと移る、その過程が何より重要なのだ。怖いと言うよりは、目が離せない。と言った方が良い。これは見事。
ソ連の生んだ佳作と言える作品だ…ただし邦題を除けば。
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