ハレンチ学園 1970 |
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山崎巌
鴨井達比古(脚) |
児島みゆき |
藤村俊二 |
宍戸錠 |
小松方正 |
由利徹 |
左卜全 |
なべおさみ |
うつみみどり |
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★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
1 |
3 |
2 |
1 |
2 |
シリーズ第1作 |
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「聖ハレンチ学園」の卒業式が行なわれたが、子どもたちのあまりの乱れっぷりに、校長(上田由二)郎はこのままでは補助金が打ち切られてしまうと、教育委員会に嘘の報告をしてしまう。それを知ったワルガキの山岸八十八(雷門ケン坊)は教師を脅迫し、在校生全員の成績をオール5にすることを認めさせた。そして新学期。教師側の反撃が始まる。新任の体育教師マカロニ(宍戸錠)は違法の銃を手に子どもたちに理不尽な指導を始め、ヒゲゴジラ(藤村俊二)は発育の良い女の子にセクハラしまくり。荒木は子どもたちを檻に閉じ込める。子どもたちの方も黙ってはおらず、信任の女性教師西尾みどりを巻き込んで教師にいたずらの報復攻撃を行う。そんな無茶苦茶な対立をはらんだまま、6年生となった山岸、袋小路、風間、柳生みつ子らの修学旅行が始まる…
「少年ジャンプ」に連載された永井豪原作漫画の実写化。PTAを中心に非難が殺到したがヒットし、71年までに4本が製作されるヒット作となった。
1970年代の最先端を走っていた漫画家と言えば、その第一人者として挙げられるのがこの永井豪。特にこの「ハレンチ学園」は、その内容があまりにも不健全すぎた。性的暴力的に行き過ぎただけでなく、「聖職」と言われる教師たちが金と欲にまみれた存在で、そんな教師を叩きのめして溜飲を下げる生徒の姿が描かれたことが一番の問題だったらしく、PTAの槍玉に挙げられ、大論争を呼んだことでも知られる。折しも安保闘争が激化する社会情勢下、表現の自由を求める青年たちはこの漫画を諸手を挙げて賛成したため、話はどんどんややこしくなっていった。内容もさりながら、それをとりまく環境が大変面白い作品でもあった。
私が小学校に上がった頃にはすでに連載は終了していたが、誰それの兄貴がこの漫画を全巻持っているということで、何が悪いのか全くわからないまま、何人ものガキたちがそれを回し読みしたものだ(ちなみに私の生まれ育った田舎ではテレビドラマの方は放映してなかったと思う)。
そんな大論争のまっただ中で作られた映画本編は、やはりとんでもないもの。漫画の行き過ぎた部分はぼかしていたが、教師も子どもも全員モラルが欠如してやりたい放題。物語自体にも全く収集ついてない。正直、物語を真面目に論ずるのは無理というものだ。
でも、この作品にはとても良い部分もある。何より出てくるキャラがみんな溌剌として、とても楽しそうなのだ。折しもテレビで「ゲバゲバ90分」という番組が放映されており、その出演者たちが大挙して出演しているのだが、テレビ以上のはじけぶりで楽しませてくれる。
後に何人かによって演じられることになるヒゲゴジラはやっぱり藤村俊二版が一番はまってるし、何かというと銃を撃ちまくる宍戸錠は自身のフィルモグラフィーのパロディとして、そして相変わらずほわ〜っとした役回りの左卜全(「老人と子供のポルカ」を全曲流すあたり、本当にやりたい放題だ)と、ドタバタぶりに磨きがかかっているし、対する子ども側もその個性に負けてない。
あんまりにもバカバカしい作品だけど、そのバカバカしさを楽しめるなら、本作はかなり面白い。 |