読書日誌
2015’7〜9月

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15'09'29 夏目友人帳2
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 廃校舎での肝試しに半ば強制的に出席することになった夏目。だがこの校舎にはかなり力の強い妖怪がおり、一人一人行方不明になってしまう。その他呪いを受けてしまった夏目がミスズを呼び出したり、初めて自分以外に妖怪を「視る」ことが出来る大人との出会いや、愛する友人妖怪を救おうとする妖怪を助けたり。

 妖怪をモティーフとしたハートウォーミングな話だが、そう単純でもなく、妖怪によって命の危険に遭わされたり、折角出会った自分と同じ人間の冷たさに悄げたり。そんな微妙なところにある心の交流が本作の味だろう。
15'09'24 犬とハサミは使いよう (著)更伊俊介 <amazon>
 本を読むという行為に人生の全てを賭ける高校生春海和人は、ある日喫茶店で大好きな秋山忍の新刊を読みふけっていた最中、突然現れた強盗から女性を守って、その結果殺されてしまった。ところがその後、なんとダックスフントの姿となり甦ってしまう。更に先に助けた女性夏野霧姫と心がつながってしまう。実は霧姫は秋山忍の本名であることが分かるのだが、同時にとんでもないサディスト気質であることも思い知らされることに…
 ひたすらに本を読むことが生き甲斐の犬と、S作家のラブコメという一風変わった設定の物語。物語の完成度という意味では今ひとつではあるものの、ノリで読み飛ばすことが出来るので、ラノベとしては充分面白い。続刊も読んでみるか。
15'09'20 テラフォーマーズ5
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 他の班から分かれたドイツと南米の混成チーム第5班をテラフォーマーの群れが襲った。ほとんどが戦闘員でないという第5班を一人で支えるルドルフが立ちふさがる…
 たった一人で、しかもテラフォーマーの主力と戦い続ける一人の男の姿が延々と描かれていく。前巻ラストからの回想シーンで、ルドルフは死にたがっていながら、それでも地球に残してきた不貞の妻のためだけに戦ってるというのがなんとも切ない。
 結局なすすべ無く第5班は全滅したのだが、テラフォーマーの首領は全然別な人物が殺してしまった。結局ルドルフは無駄死に。それも切ない。
15'09'17 ピアニッシモ (著)辻仁成 <amazon>
 他の人には見えない“ヒカル”と共に成長してきた中学生の“僕”氏家透。複雑な家庭環境のため引越を繰り返してきた“僕”が新しく転入した中学校は荒れており、いじめを受けた“僕”は、伝言電話とヒカルへの依存度が上がっていく…
 まだ著者が若い頃の作品で(1990年)ロックミュージシャンの片手間に書いたと言われた作品だが、当時大絶賛され、文学賞までもらったという作品で、これから著者は文学者として歩むようになっていく転機になった作品でもある。
 日本では珍しいイマジナリーフレンドものなのだが、内容的にはサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」を別な切り口から書いてみましたって感じで、変な意味で技巧が利きすぎ。今読んでも新鮮さよりも頭でっかちなものでしかなかった。ただ、こう言う作品を経て練れていくことになる訳だが。
 著者の作品は確か3冊目だったかな?久々に読んでみたよ。
15'09'15 激マン! マジンガーZ編2 (著)永井豪 <amazon>
 東映とのタイアップでアニメ「マジンガーZ」が作られる事となった。だがその条件として、「マジンガーZ」の週刊漫画連載が依頼される。激は「ハレンチ学園」を連載していた週刊少年ジャンプに連載を打診するのだが…
 現代のロボットアニメはそもそも「マジンガーZ」から始まった。だが、あまりに新しすぎた企画なので、そこまで行くまで紆余曲折があることが分かった。どんな作品でも最初の作品ってのはそういうもんではあるのだが、そのような経路を知るのが楽しい。
 「デビルマン編」と同じように、当時連載されていた漫画をリブートして描いているのだが、半端ない書き込み具合で、そちらも見応えあり。さやかとアフロダイAの線がエロチックすぎるけど。
15'09'12 新 西遊記 下 (著)陳舜臣 <amazon>
 上巻に続き、西遊記の旅を自ら経験してきた著者が、困難だった玄奘の旅の模様を思いつつ、物語上、孫悟空らを率いる三蔵の旅に思いを馳せる、一種の旅行記。
 こう言う紀行文の常で、旅の始まりから前半に関してはかなり細かく描写されているが、終わりくらいになっていくとかなり駆け足の描写になってしまう。
 敦煌遺跡については、著者流の見解からいやみったらしく書かれているが、遺跡をどう扱うかってのは、なかなか難しい問題だよな。歴史的資料以前に金と国家が絡むから。
15'09'09 夏目友人帳1
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 妖怪が見えてしまうことから、子どもの頃から風変わりな奴と言われ続けてきた孤児夏目貴志は、引っ越した田舎の町八ツ原で何故か妖怪に追いかけられ続け、それから逃げる日々を送っていた。そんなある日、神社にあった封印を誤って壊してしまったことで、猫の姿をしたこの地方の大妖怪(と本人が言う)斑という妖怪を解放してしまう。斑によって、夏目が妖怪に襲われるのは、祖母に当たる夏目レイコの持つ「友人帳」によるものであると告げられるのだった…

 アニメの方を視聴し、かなり面白い作品だったので原作に手を出してみた。シンプルに面白い作品で、これは追加購読決定だな。しみじみとした良作だ。
15'09'06 火花 (著)又吉直樹 <amazon>
 お笑いスターを目指し、漫才コンビ“スパークス”を結成した“僕”徳永と相方の山下は小さな事務所で細々と仕事が来るのを待つ日々を送っていた。熱海での仕事の折に知り合った先輩芸人神谷の芸風に感心した“僕”は彼を「先輩」と呼ぶことにした。それに気をよくした神谷は何かに付け“僕”を連れ回すようになっていく。
 2015年度上半期芥川賞作で、お笑い芸人ピースの著者が描いたベストセラー作品。内容的には本当に芥川賞好みと言った感じか。上手い作品には違いない。
15'09'03 テラフォーマーズ4
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 特殊なテラフォーマーによって湖に引きずり込まれてしまったアメリカ日本合同チームの一つ第2班リーダーのミシェル。呼吸の出来ない湖の底で、ミシェルが取った行動とは。そして彼女を助ける暇無く、テラフォーマーと戦わねばならない膝丸燈。その能力を存分に活かした戦いとは…
 一応本作の主人公である膝丸燈が、ようやくその能力を発揮した。これまでの巻では、燈は素のままで強いため、動物の能力を使うことなく終わっていたが、ここでその能力が、蓑虫であることが分かる。主人公としては地味すぎるって気もするが、意外な昆虫が意外な能力を発揮すると言うのが本作の面白さなので、これで良いんだろう。
 後、地球からやってきた面々も一枚岩ではないようで、ロシア班がなんだか変な行動を取っている。人類対テラフォーマーズだけの構図には落ち込まないようの工夫だろう。そもそも第1巻時点で地球各国の思惑が色々ずれているのは分かってるから、そっち方面でも物語は展開していくことになるんだろう。
15'08'29 新 西遊記 上 (著)陳舜臣 <amazon>
 天竺にお経を取りに行く三蔵法師を描く「西遊記」の世界。その行程を旅した著者が、改めて西遊記の再構築を試みた作品。孫悟空の誕生から三蔵との出会い、馬や猪悟能、沙悟浄との出会い、火焔山に至るまでの物語を、著者の旅、物語の三蔵、実際の玄奘の旅を並行して描いた物語。
 自分の体験と知識を披露し、その上で歴史を再現するという司馬遼太郎が好んで使ったタイプの作品で、久々にこう言うタイプの作品を読んだが、私には結構馴染みが良いようだ。かつて全部岩波文庫で読んだ「西遊記」の物語がどんどん脳裏に蘇ってくる。
15'08'27 シドニアの騎士1
弐瓶勉 (検索) <amazon> <楽天>
 かつて謎の宇宙生物奇居子(ガウナ)によって滅ぼされた地球を捨て、宇宙へと逃げ延びた人類。その播種船の一つシドニアは数百年という長さに渡って旅を続けてきた。そんな中、人知れずシドニアの最下層でひたすら飛行訓練をしてきた男谷風長道が食べ物を求めて居住区に現れた。祖父以外の人間を見たことがなかった谷風にとって、そこは刺激が多すぎる世界だったが、そんな時、数百年にわたり接触していなかった奇居子が現れる…
 先日までアニメで放映していた「シドニアの騎士」の原作。これを読んでみて、いかにアニメの方が分かりやすく作っているのかがよく分かった。独特の間合いに戸惑い、数回繰り返して分かるような物語展開なので、結構読み込みが必要になる。でもかなり好みの作品だ。
 かつて本当に全く物語が分からない「BLAME!」を描いた著者にしてはかなり分かりやすくはあるので、それも救いか。
 人類の生き残りをかけて外来種と戦うというバトルSFをこのところ良く読んでる。未だに結構読んで燃えられるのだから、私もまだまだ捨てたもんじゃないのかな?
15'08'23 愛・天地無用! モモノキヲク(上) (著)水樹尋 <amazon>
 鷲羽に頼まれた天地は、全寮制の女子校に教育実習生として潜入することとなった。だがその高校は予想を上回る変人の群れだった。生徒や上司となった先生に振り回されっぱなしの天地だが…
 一応私は「天地無用」のファンではあるが、何でもかんでも受け入れるって訳じゃない。むしろファンだからこそ、どうしようもない作品は我慢がならん。アニメがどうしようもない出来だったので、小説もどうせくだらないだろうと思ってたが、予想に輪をかけて酷い作品だった。
 最初の2ページで花柄パンツに押しつぶされた主人公の下りで、流石にページを閉じそうになったが、無理して読み進めていくと、精神的にダメージを食っていく。時に本を閉じながら読み進めたため、通常の三倍以上の時間をかけた苦行。
 本当にどうしようもない作品を読むと、何でこんな思いをしてまで本読まねばならないのだろう?と思うので、ある意味哲学的思考が出来る希有な作品だ。
15'08'21 修羅の門 第弐門15 (著)川原正敏 <amazon>
 THE APEX決勝戦。姜子牙による発頸は陸奥九十九の記憶の扉を開く。かつて南米で行われたケンシン・マエダとの戦いの決着の行方は。そして強敵姜子牙との戦いの結果は…
 1巻からずーっと引っ張ってきた、過去九十九は負けたのかどうか?と言う疑問に決着が付いた。それによってようやく本当に九十九が自分を取り戻す。
 ようやくここで本当の意味で戦いが始まると言う事になるのかな?
15'08'19 火宅の人 下 (著)壇一雄 <amazon>
 脳性麻痺を持つ息子を気にかけつつも、その重さにたえられずに漂泊の生活をしてしまう桂一雄。機会を見つけてはアメリカとヨーロッパ旅行に出かけては、そこでもトラブルを起こし、帰国して愛人との生活が破綻しても、新しい愛人を作り、幾たびも引っ越しを繰り返す。
 20年という月日をかけ、著者の半生を描いた作品と言われているが、20年という歳月が作品にどう影響を与えているかというと、最初はあったように思えた何らかの結論を全く描かないままにフェードアウトしてしまうという、本当に目的を持たない作品になってしまったと言う事。とは言え、それはそれでちゃんと読み物として成り立っているのが面白いところだ。
 読んでる側としては、全く自分とは違う存在を感じることで、別な世界を観ている気分になれるのが良いところか。
15'08'16 ファイブスター物語13
永野護(検索) <amazon> <楽天>
 魔導大戦も緒戦が終わり、様々な思惑を持った国家がボォスへとやってきていた。多くの騎士達も又、ある者は自らの野望を胸に、ある者はやむにやまれぬ事情で。そんな中、脳に損傷を受け、動けなくなってしまったマグダルを守るヘアードも又翻弄されていく。

 なんと9年ぶりとなってしまった最新刊。出ること自体もう無かろうと思ってたため、不意打ちのような感じだった。
 物語は12巻の魔導大戦からそのまま続き、この戦争を契機にしようとする国家の群れと、個々の騎士達の群像劇がメイン。
 物語そのものは9年ぶりとは思えないほどスムーズに移行してるのだが、用語が全く変わり、更にGTMと称されるようになったロボットがとにかくおかしくなってる。あれだけ格好良かったデザインが、これだけおかしくなってるのがちょっとなあって感じ。
 でもどう変わっていっても、やっぱり続きを期待してしまう自分自身が情けないというか…
15'08'14 火宅の人 上 (著)壇一雄 <amazon>
 流行作家の桂一雄は生来浮薄の質で、妻も子もいながら、そこに生活費だけを入れて自分自身は愛人と共に奔放な生活をしていた。長男との確執、日本脳炎によって麻痺状態となった次男を放って、ひたすら破滅に向かうだけの。
 著者の半自叙伝とも言える大作。なんでも「火宅」とは「燃え盛る家のように危うさと苦悩に包まれつつも、少しも気づかずに遊びにのめりこんでいる状態」だそうで、なるほどまさしくそれが主題か。
 ところで著者は女優壇ふみの父親として知られるが、この小説の中で、ニワトリの小屋に忍び込み、その飼料を四つん這いになって食べてる娘の話があった。まあ、深くは考えない方が良いだろう。
15'08'11 テラフォーマーズ3
貴家悠 (検索) <amazon> <楽天>
橘賢一 (検索) <amazon> <楽天>
 火星降下途中のアネックス1号内に突然現れたテラフォーマーたちによって、アネックス1号は不時着を余儀なくされ、更にクルーはテラフォーマー立ちの攻撃を避けるため、6班に分かれて脱出した。ミッシェル班に配属された燈達がそこで遭遇したものとは…
 物語は加速。容赦ないテラフォーマーの攻撃によって次々にクルーは殺されていくが、そのテラフォーマーを生け捕りにするために特化した能力を持つクルー達の変化が見られる。ほとんどバケモン大戦って感じだが、それこそが本作の醍醐味。存分に楽しめる。
15'08'06 天地無用GXP11
梶島正樹 (検索) <amazon> <楽天>
 ついに完成した海賊船“幸運艦隊部隊”。静竜率いる幸運艦の前には西南の守蛇化すら全く太刀打ちできなかった。西南の不運の力すら上回る幸運の力を重く見た瀬戸は、霧子に一つの提案をしてくるのだった。

 アニメ版19話と20話のノベライズで、幸運艦の名称と、霧子の樹選びがメインとなるはずだが、著者らしく枝葉が広く伸びすぎて、結果として枝葉の方が長くなってしまった。
 美星の曾々祖父(鷲羽の息子)が亡くなったというのが新しい設定の開示となってるが、これによって変化した歴史がどう西南へと結びつくのかはまだ何も言及なし。これも伏線なのか、それともただ書いてみただけなのか。相変わらず著者の引き出しの広さには楽しませてもらえてる。
15'07'29 ウルトラマンネクサス (著)椎名高志 <amazon>
 突如地球に飛来した謎の生物スペースビースト。混乱を避けるため、秘密裏にスペースビーストを殲滅し、人々の記憶を消去する任務を帯びたナイトレイダー。その新入隊員である孤門一輝は任務中、巨大な超人に助けられる。それがウルトラマンとの関わりの始まり。様々な任務と精神的重圧の中、任務をこなしていく孤門だが…
 2004年に放映された、ウルトラマン史上最大の問題作「ウルトラマンネクサス」。当時「てれびくん」誌上でテレビシリーズと同時進行で連載されていた作品を再編集したもの。なんせ一月四話をぶっこんだものだから、ものとしてはぶつ切りだが、到底こども向きとは思えない残酷な内容。よくこんなもん連載したもんだと、10年越しで逆に感心してしまった。
 いや、それ以前に、なんでこれを連載していたのが椎名高志なの?ってのが最大の疑問。おかげで「椎名百貨店」以来だから20年ぶりくらいに著者の単行本買うことになってしまったよ。一応ギャグ漫画家として、巻末だけコメディにしてるけど。
15'07'25 狼と香辛料11 (著)支倉凍砂 <amazon>
 「狼と黄金色の約束」未だ商人が入っていない辺境の村を見つけたロレンツはここを自分のテリトリーにすべく村の視察をしようと考える。折しも村は地境を巡って村人同士のいざこざの真っ最中だった。
 「狼と若草色の寄り道」旅の途中で良さそうな森を見つけたロレンツとホロはそこで昼寝としゃれ込もうとした。ところが横になるのに良い場所がなかなか見つからず。
 「黒狼の揺り籠」没落貴族の家に生まれ、生きるために商人となる道を決めたエーブ。厳しい現実の中、必死にコツを覚えていく。そんな彼女に手をさしのべる貴族がいた。
 エーブを描いた中編が中心となるが、残り二つの話も軽く印象に残る。本作らしい話に仕上がってる感じ。
15'07'21 銀の匙12
荒川弘 (検索) <amazon> <楽天>
 2年生に進級した八軒は、相変わらず馬術部とアキの勉強の手伝いで忙しかった。そんな八軒だが、一方では起業に向け着々と準備も進めていた。

 学生ではあっても、着々と夢に向かって歩んでいる成長した八軒の姿がここにはある。でもこれまでと較べて明らかに時間の流れが速くなってるので、もう終わりが射程範囲に入っているのかもしれない。面白いけど。
15'07'17 猫物語(白) 化物語7 西尾維新 <amazon>
 “私”羽川翼は二学期に入ってすぐのある朝、他の誰も見ることの出来ない巨大な虎を目撃する。そしてその日、自宅が全焼してしまった。更にそのことを相談できるはずの阿良々木暦は何故か連絡が取れないという異常事態を前に、“私”が取るべき行動は…
 前巻「猫物語(黒)」は、これまでの一連の出来事の前史と言った感じだったが、ここで新しい局面へと移行した。一人称で物語が展開していくのはこれまでとは同じだが、その語り部は暦から翼へと変わり、その分本作の肝とも言える会話のキャッチボールはかなり少なめ。それで本の厚さが変わってないために、多少内容は詰まってる感じかな。
15'07'14 テラフォーマーズ2
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 バグズ2号の作戦失敗から20年後。地球は謎のウイルスの蔓延によって、不安定な状態へとなっていた。そんな時代、熊すら素手で倒せる力を持ってしまった青年膝丸燈の元に、スカウトが現れた。これが燈を始めとする仲間たちの、火星行きの始まりだった。
 ここからがアニメで描かれていた話になっていくが、展開はかなりスピーディ。多数の人物が登場するが、主人公を膝丸、マルコス、アレックスの3人に固定することで割とすっきりと読める。ただ作戦開始から既にテラフォーマーのパワーと作戦で、あっという間に追い詰められてしまうと言う絶望的な展開になってしまってはいるけど。
15'07'10 Elements アクセル・ワールド10
川原礫 (検索) <amazon> <楽天>
 「遠い日の水音」バーストリンカーとなってほどなく、ハルユキのシルバー・クロウはレベル上げに必要なポイントを貯めたのだが、後先考えずにレベルアップしてしまったため、一戦でも負けてしまうことが許されなくなってしまった。窮地に陥ったハルユキは用心棒を雇うことを決意する。
 「最果ての潮騒」沖縄に修学旅行中の黒雪姫は、突然そこで二人の少女から対戦を挑まれるのだが…
 「バーサス」ハルユキはブレインバースト内で奇妙なプレイヤーに遭遇する。人間としての生身の姿のままながら、極めて攻撃力の高いそのプレイヤーの名は「キリト」と表示されていた。

 三つの中編からなる、過去の出来事の話。前の二つはアニメでもやっていて、そのどちらもこれからの物語に深く関わってくるキャラやアイテムが出てくる。もう一つは著者のもう一つの大ヒットシリーズ「ソード・アート・オンライン」とのコラボ。なかなか読み応えはある。
15'07'07 新仮面ライダーSpirits11
村枝賢一 (検索) <amazon> <楽天>
 ショッカーの最後の基地での決戦は仮面ライダー側の勝利に終わった。だがその戦いのさなか、村雨は姉の村雨しずかそっくりな女性型アンドロイドと出会う。戦いが小休止となっても、村雨にくっついてくるその女性の処遇を巡り、仲間内でも混乱が生じていた。

 地獄大使の死(?)をもってショッカーは全滅。残りは最強のデルザー軍団のみとなった。かなり時間がかかったが、やっと終わりが見えてきたってところだろうか。そしていよいよ物語は村雨了の話へと展開していく。これまたえらく回り道だったが、本来の物語へと戻ってきてる訳か。
15'07'03 白き嶺の男 (著)谷甲州 <amazon>
 独特の技術を持ち、仲間を引っ張っていくものの、どこか他者とは一線を画した部分を持つ加藤武郎。彼が単独で、あるいは山岳会の一員として挑んだ日本や世界の山々での挑戦を描く連作短編。「白き嶺の男」「沢の音」「ラッセル」「アタック」「頂稜」の5編と、山岳ホラーと題した「七ツ針」を収録する。
 著者の作品はこれまでそこそこ読んできたつもりではあるが、今まで読んだのは全部SF。著者の山岳小説を読むのは実は初めて。山屋の専門用語が多いため、よく分からないところも多々あるが、ハードな冒険小説としてはかなり面白い部類に入るだろう。こう言うのも良い感じ。