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ウルトラマンネクサス

ウルトラマンネクサス事典
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2004'10'02〜2005'6'25

 特撮二大シリーズと言われる一方の雄。ウルトラマンが2004年になって帰ってきた。
 それで結構期待していたのだが、最初の頃の出来は???とにかくこれだけツッコミ放題の作品が出来てしまったのも、現代の特徴なのだろうか?しかし、この無茶苦茶に精神的ダメージを与える物語って、1970年代の実験的特撮番組に通じるものがあるぞ。
 本作の最大特徴は、主人公がウルトラマンではない。と言う点にある。主人公の孤門はあくまでナイトレイダーの一隊員であり、ウルトラマンとなる存在は別にいる。
 そして怪獣はあくまで地球にいないことを一般人に示す必要があるという点で、TLT(地球解放機構)は事実の隠蔽工作をするし、ウルトラマンはわざわざ異空間を作り出してそこで怪獣と戦ったりしている。
 ただし、最初の内は文句ばかり言っていたものだが、11話を境に急に面白くなってきた(ツッコミ部分も楽しめるようになった)。終わる時には本当に打ち切りが残念だと思ったほどはまっていた。ここまで最初と最後で評価が変わった特撮作品は私の中では唯一だろう。その意味でも本作は特別な意味合いを持つ。

主な登場人物
孤門一輝 (役)川久保拓司。「風魔の小次郎」の飛鳥武蔵役。
 ナイトレイダーに配属された新入隊員。元レスキュー隊員で、正義感は強いものの、レスキュー隊員としての適正はやや欠けていた。何故ナイトレイダーに推薦されたのかは当初不明だったが、最後の最後に、実はウルトラマンの光を受け継ぐ体質を持っていたからと判明する。最後に絆を渡され、ウルトラマンノアへと進化する。
姫矢准 (役)桐島優介。主にテレビで二枚目役で出演作が多い。「ウルトラQ dark fantasy」20話にも登場。
 ウルトラマンネクサスと同化した二番目のデュナミスト。元戦場カメラマンで、行方不明になっていた。ダークメフィストとの戦いで姿が見えなくなるが、最終話で生きていることが判明する。
和倉英輔 (役)石橋保。数多くのテレビや映画に出演。テレビ特撮では本作のみ。
 ナイトレイダー行動隊長。部下に対しては寛大で、どれほど西条がスタンドプレイをしても、孤門がドジを踏んでも笑って済ましてしまう。それだけに部下からの信頼は厚いようだが、少なくともこんなのに地球を任せたくないとも思ってしまう。
西条凪 (役)佐藤康恵。劇場版「ガオレンジャー」や「牙狼」シリーズの魔戒法師邪美役など。
 ナイトレイダー副隊長を務める女性隊員。かつてビーストに家族を殺された過去を持ち、ビーストに対し、激しい憎しみを抱いている。そのため、スタンドプレイは当たり前。単に「自分が殺したいから」と言うだけの理由で報告義務を怠る。自分はおろか部下の命も使い捨てと考えてる節あり。全く素晴らしすぎるヒロインだ。実は彼女もウルトラマンの光を受け継ぐ体質を持っていたのだが、彼女をウルトラマンにすることこそ、邪悪なる意志の目的だった。
石堀光彦 (役)加藤厚成。「ウルトラマンメビウス」のヒルカワ役や、「ウルトラギャラクシー大怪獣バトルNEO」のレイオニクスダイル役など。ウルトラシリーズでは悪役が多い。
 ナイトレイダーの分析班(と言っても彼一人だが)。今ひとつ存在感が無かったが、実はその正体はアンノウンハンドそのものだった。最後の敵と言うことになる。
平木詩織 (役)五藤圭子。
 ナイトレイダーの女性隊員。隊長と一緒でなごみ系のキャラで、殺伐としがちなナイトレイダーを明るくするのに一役買っている。ただ、それは概ねにおいて単なるトボケたキャラとしてしか描写されなかった。なにせ最終話ではにっこりと笑いながら撃たれてるし。
吉良沢優 (役)田中伸彦
 TLT作戦参謀。「イラストレーター」とも呼ばれている。CICと呼ばれる場所にひとりで作戦を指示する少年。いつもにやけている変な奴。実は来訪者のオーバーテクノロジーから生まれた「プロメテの子」と呼ばれる人工生命体の一体で、人間を超える知性を持つが、反面体力が大変弱い。
松永要一郎 (役)堀内正美
 TLT管理官で、TLTのスカウトマンでもあり、孤門を入隊させたのもこの男。18年前の事故で妻を失い、それ以来仕事一筋に生きてきた。娘あり。
斎田リコ (役)中丸シオン
 孤門の恋人で美術大学生。卒論のため動物園で動物の親子の絵を描いている。11話で実は彼女は既に死んでいて、ダークファウストによって作られた“人形”であることが発覚する。
千樹憐 (役)内山眞人
 アメリカ帰りで遊園地でバイトをしている少年。ストーンフリューゲルと接触し、ジュネッス・ブルーとなる。彼も吉良沢同様プロメテの子であるが、自らが長く生きていけないことを知り、命をかけるものを見つけようとしている時にウルトラマンと接触。3番目のデュナミスト。最後は延命薬が完成し、生き延びる。
野々村瑞生 (役)宮下ともみ
 M.P.ポリスに属する首藤沙耶の部下。公式ページには「優秀」とあるが、黒ずくめの格好でオペラグラスを手に、しかも姿丸見えで憐を監視してるその行動は「私は怪しい人間です」って看板を持ってるようなんだけど。
話数 タイトル コメント DVD
第1話 夜襲 −ナイトレイド−

  監督:小中和哉
  脚本:長谷川圭一
  特撮監督:菊地雄一

 あるガソリンスタンドをスペースビーストと呼ばれる怪物が襲った。その怪物はあっという間に突然現れた謎の武装組織により撃滅される。そのころ、ドジ続きのレスキュー隊員である孤門一輝は上司の命令で指定された場所に行くが、そこで拉致同然にある建物に連れ込まれてしまい、手術台のようなものに寝かされて検査を受ける。その後何事もなく元の職場に戻される孤門だったが、突然新しい職場への出向を命じられるのだった。そして指定された場所に向かう途中、無人のバスを発見。そこに巣くうペドレオンに襲われてしまう。そこに現れた銀色の巨人は…
 敵はスペースビーストのペドレオン。ナメクジのような生物で、人間を捕食する。今回分かったのはそれくらい。
 確かに本作は異色作と言える。ウルトラマンの登場が描かれる第1話。しかし、何というかこのかったるさはどうだ?謎めいた物語は良いとしても、個人の人間に焦点を当てすぎたため、話の流れが悪い意味でほとんど平成仮面ライダー的なノリで、爽快感がない。
 ここでの大きな特徴は、主人公とウルトラマンが別の存在だという点。主人公の孤門は現時点ではほぼ一般人だし、化け物に対しても、きわめて受け身。
 ウルトラマンらしさを期待していたら、鬱展開が待っていた。と言う感じか?一体これからどうなっていくのやら。とりあえずこれからの展開に期待しよう。
<手術台に乗せられる孤門。これって「仮面ライダー」の第1話を見ているみたい。更に不気味な松永から「ご心配なく。もうすぐ検査は終わります」なんて事言われたら、余計怖いって。大体特撮作品で「心配なく」なんて言われて本当に大丈夫だったなんて事は無いわけだし(笑)>

VOL.1
<A> <楽>
第2話 異生獣 −スペースビースト−

  監督:小中和哉
  脚本:長谷川圭一
  特撮監督:菊地雄一
 ナイトレイダーの一員にスカウトされた孤門は徹底的にしごかれる。中でも彼にことさら厳しくするのは西条凪。ここでも落ちこぼれと落ち込む孤門は、恋人のリコへと思いを馳せる。一方、その間もナイトレイダーは一体のペドレオンを撃破していた。その戦いの中で、西条は現場に現れた謎の男を見かける…
 敵はスペースビーストのペドレオン。今回は森と工場の二カ所に登場している(それぞれ形態は異なる)。
 主人公がウルトラマンではない!と言う衝撃的なラストシーンから一転。ひたすら主人公孤門の訓練風景と、闇に紛れての怪獣退治が始まる。内容的にも大変かったるく、高揚感も感じられず。更に全般的に夜が舞台で、それに輪をかけるようにナイトレイダーの本部は暗いし、演出も変。ナイトレイダーに危機感が全然ないのも問題ありと言うところ。更に上官の西条が輪をかけてサディスティックな性格と来てる。
 …正直困ってしまう内容だ。良く書こうにも書きようがないんだもん
<かつて地球防衛軍というと、エリート集団で、その隊員は全てにおいて他者から抜きんでた存在というイメージがあったのだが、ここでは主人公の孤門がヘタレすぎて、イメージをぶちこわしまくってる。目の前の辛い現実から目を背けて恋人のことばかり思ってるなんてのも、現代的というか、精神の弱さというか…
 ダムの奥にTLT基地があり、その中にナイトレイダーの本部もあるのだが、妙に暗すぎないかな?話自体が暗いのだから、照明まで暗くすると、気が滅入るぞ。
 そう言えばまだ「銀色の巨人」と言うだけで、「ウルトラマン」という名前が出てないな。>
第3話 巨人 −ウルトラマン−

  監督:根本実樹
  脚本:長谷川圭一
  特撮監督:菊地雄一
 巨人との戦いから逃走したペドレオンは空を飛び市街地へと向かっていった。それを追う巨人は異空間のようなものを作り出すと、ペドレオン共々飛び込む。ナイトレイダーの前に再び現れた巨人は地上に降り、姿を消す。その存在について協議するナイトレイダーだったが、孤門は一人あの巨人は味方だと主張するが…
 敵は又ペドレオン。前回の巨大タイプだけじゃなくスライム状のと空を飛ぶのが出てくる。
 話はますます混迷というか、人間の無力さと、謎の巨人の強さを示すことの二つにだけ特化した感じ。とにかくテンポが悪く、主人公の孤門がウジウジしっぱなしなのでストレスがたまる。
<主人公孤門役の川久保と、メインの西条凪役の佐藤康恵の滑舌の悪さはなんとかならんか?まじめな話をしてるはずなのに、シリアスに見えない上にむかついてくる。物語りそのものがかったるい上に会話重視なのだから、そこで下手くそな演技されるとむかつく一方だ。
 しかも和倉隊長、巨人の映像を観ながら「今の兵力では殲滅は不可能です」とか言ってる(「殲滅」:皆殺しにすること。一体を倒すのにこの言葉は用いられません)…人の上に立つんだったら、国語くらいはちゃんと使いなさいね。
 孤門は巨人を見た瞬間、「ウルトラマン」とつぶやく。それでその理由は「あの巨人を見た時に、何故かその名前が」。説明になってないぞ。>
第4話 亜空間 −メタフィールド−

  監督:根本実樹
  脚本:長谷川圭一
  特撮監督:菊地雄一
 これまでに多数のビースト、ペドレオンを倒してきたナイトレイダーだったが、更に多数のペドレオンが暴れ始め、しかも集結を始めた。ナイトレイダーは合体したペドレオンを市街地前のトンネルで撃破する作戦を立てるのだが、これまでの戦いの経験から、ペドレオンは極端に強くなっており、ナイトレイダーの作戦はことごとく裏目に出てしまい、巨大ペドレオンは最終防衛任された新米の孤門のクロムチェスターの元へと近づいてくる…
 敵は又してもペドレオン。今度はトンネル内で巨大化し、本物のモンスターになった。ここで初めて巨大怪獣とウルトラマンの戦闘が見られた訳だが、それにしてもここまでが長かった。
 これまでクールのように見えた西条が初めて心の内を明かし、心に熱さを持つ女性だったことが分かる話なのだが、この話がとてつもなく恥ずかしく、見ていて赤面してしまった。僅か4話の間に、色々な意味で精神にプレッシャーを与えてくれる作品だった。全部が全部思いっきり恥ずかしい。こんなものをよく作れると、逆に感心してしまったよ。
<今回の西条、ウルトラマンに対しても、「奴は人間じゃない、ビーストなの」と、憎々しげに主張。そんなことがよく分かるよな。更にウルトラマンに対し、「次に会った時、私自身の手で殺す」とかほざいてるが、よくそんなスタンドプレイでナイトレイダーに選ばれたもんだ。しかも全部棒読みと来てる。
 最終防衛線を任された(と言うか、全然期待されてないので後方に配置された)主人公である孤門はなーんもせず、ただ戦いを見てるだけ(やったことは「すっげー」と言っただけ)
 ラスト、M.P.が登場して目撃者の警官の記憶を消す。おーい。ここまでパクるのか?> 
第5話 適能者 −デュナミスト−

  監督:北浦嗣巳
  脚本:荒木憲一
  特撮監督:北浦嗣巳
 ナイトレイダーは謎の巨人を「ウルトラマン」と呼称することを決定する。これまでに幾度も命を救われた孤門はウルトラマンを人類の味方だと主張するが、西条は相変わらず、ビーストであるとにべもない。一方、東京の町を暗い目つきで見つめる男がいた。を新聞社の根来甚蔵が話しかけるが…
 敵はバクバズン。巨大怪獣で、人間を次々と捕食するが、金属は食べないらしく、車ははき出してる。リアルにしようとしてかも知れないけど、汚い。
 ようやくここでウルトラマンに変身する男が登場。ただしここではあくまで謎の男のまま。しかもナイトレイダーと連携を取っているわけでないため、守るべきナイトレイダーから攻撃を受ける始末…確かにこれまでには無かったウルトラマン像がここにはある。
 ウルトラマンを攻撃するクロムチェスター。孤門が「ウルトラマンは味方です」と言うのに対し、イラストレーターの吉良沢は一言「だからだよ」と返す。何が「だから」なの?
<最近では珍しく、怪獣が人間を喰う描写が出てくる。しかし喰った後歯を爪でせせるのはリアルなんだけど、なんとなく止めて欲しい気はする。
 メタフィールドも展開せず、圧倒的強さでバクバズンを抑えるウルトラマンに対し、ナイトレイダーが取った作戦は、同時攻撃。馬鹿か?勝負ついたところで片方を攻撃すればいいじゃん…そんなことを言ったら「帰ってきたウルトラマン」は語れないか(笑)
 ところで今回のタイトルは「適能者」なんだが、一言もそのことについて語られなかった。>
VOL.2
<A> <楽>
第6話 遺跡 −レリック−

  監督:北浦嗣巳
  脚本:荒木憲一
  特撮監督:北浦嗣巳
 謎の男を追いつめた孤門と西条は男に向けて銃を発砲するが、弾は空中ではじかれてしまい、しかも男は降下してきた謎の物体の中に吸い込まれてしまう。その物体に手を触れた孤門の脳裏に不思議な場面が浮かぶ。その後、脳裏に浮かんだ光景を元に、新聞からその記事を見つけ、カメラマンの名前を発見した。その名は姫矢准と言う…
 敵は回想シーンで現れるガルベロス。おそらくこれがウルトラマンが最初に戦った怪獣と思われる。本来の顔に当たる部分には口しか無く、その代わり両肩に竜のような顔が二つついてる。
 ウルトラマンに変身する謎の男の名前が姫矢と判明。そして怪獣が登場するのは回想シーンのみで、人間ドラマで展開する話…なのだが、役者の素人臭さと設定のいい加減さ、キャラクタの阿呆さ加減で失笑ものに仕上がってしまった。絶望の中でウルトラマンと出会い、自らがウルトラマンとなるという、本来ならば大変重要なお話なのだが、どうにも話に入り込んでくれない。描写も悪い。
<姫矢の過去を語るのは、“ちょっと顔見知り”程度の新聞社のお姉さん。よくそれで姫矢の心中まで知ってるものだ。
 相変わらず独断専行を突っ走る西条。報告義務は怠るわ、姫矢を殺せなかったことで一人で勝手に落ち込むわ、ナイトレイダーもよくこんなのを隊員にしたものだ。
 今回(毎回か?)良いところのない主人公の孤門君。最後に「姫矢准という男の孤独と哀しみを少しだけ垣間見た」…多分姫矢にとってそう言う同情の言葉が一番嫌だろう。>
第7話 魔人 −ファウスト−

  監督:根本実樹
  脚本:長谷川圭一
  特撮監督:北浦嗣巳
 吉良沢の助言により、ナイトレイダーはクロムチェイサーα、β、γを合体させることでウルトラマンの作り出すメタフィールドに突入させる計画を作り上げていた。一方、又しても街の廃工場に現れたバグバズンが少女を襲うビジョンを見た姫矢はその少女を助けるべく現場に急行する。しかし、そこで姫矢が見たのはスペースビーストだけではなかった…
 敵は前々回に登場していたバグバズンだが、今回それだけでなくウルトラマンに敵対するもう一人のウルトラマン、ダークファウストが登場する。現時点では全く謎の存在だが、ウルトラマンの展開するメタフィールドをダークフィールドに作り替えてしまう力を持ち、ウルトラマンを圧倒する力を有していることだけは分かった。
 これまでのシリーズでも複数のウルトラマンが登場する話はいくつかあったが、ここまで明確に善なるウルトラマンにて期待行動を取らせたのは本邦初。その意味では大変重要な話となるのだが、肝心の物語自体がどんどん暗くなっていって、本当にこれで良いのか?という感じ。主人公を徹底的に悩ませるのは最近の流行か?本作の場合、それが徹底的すぎる気もするが。平成仮面ライダーみたいにはして欲しく無いなあ。
<冒頭の孤門の夢で、西条がニヤニヤしながら銃を向けるシーンがあり…似合いすぎる。>
第8話 M・P −メモリーポリス−

  監督:根本実樹
  脚本:長谷川圭一
  特撮監督:北浦嗣巳
 工事現場に取り残された少女の元に駆けつけた孤門は西条によって救われ、ナイトレイダーの集中攻撃でバグバズンも倒すことが出来た。一方、ダークフィールドの中で苦戦を強いられたウルトラマンもなんとかダークファウストを撃退する。後日、バグバズンに襲われた少女を見舞いに行った孤門は少女が孤門のことを全く覚えていないという事実に愕然とする。そんな孤門の前に首藤沙耶と名乗る女性が現れ、彼女は自分をM.P(メモリーポリス)と名乗る…
 敵はバグバズン。結局ウルトラマンではなくナイトレイダーによって倒されたことからも、さほど強くはなかったようだ。
 4話でTLTには記憶を消す任務を請け負う機関があることを匂わせていたが、ここでようやくそれが明らかにされる。M.P.もTLTの一つの機関らしいが、ここまで引っ張った割に簡単な説明で終わってしまった。ここまで引っ張る必要があったのかどうか疑問。
 話としては、いわゆる鬱展開がますます激しくなっていき、弧門の落ち込みが描かれる。悩んで悩んで、結局答えが出ないまま。ちょっと話として重すぎるな。
<ウルトラマンのライヴァルとして華々しく登場したダークファウストだが、前回の強さはどこへやら、終始ウルトラマンに押されっぱなし。わざわざ自分向きのフィールドを作っておいてこの程度の強さか?…余計なこと喋りすぎた為に墓穴を掘ったと言うことか?>
第9話 警告 −ワーニング−

  監督:阿部雄一
  脚本:赤星政尚
  特撮監督:菊池雄一
 M.P.の沙耶による叱責、西条や吉良沢によるウルトラマン撃滅命令など、様々なことに頭悩ませ、自分の適正に疑問を覚え始めた孤門は恋人の斎田リコに会いに行くことにした。二人の出会いの場であった動物園でしばしの時を過ごす二人だったが、スペースビーストが現れたという報を受け、孤門は悩みながらも出動していく。
 敵はスペースビーストのラフレイア。花のような姿をしたスペースビーストで、顔の周りは硬い殻状のもので覆われている。生物を炭化させる黄色いガスを噴出する。又、今回もダークファウストが登場するが、前回に続いて良いところ無し。ウルトラマンに脛を撃たれたら異様に苦しんで退場するだけ。
 前回M.P.が登場しての引きとなっていたが、あっけなくその点はスルーされてしまった。何のことはなく、ただ孤門を苦しめるために登場したとしか思えない。鬱展開はますます進み、弧門は精神的にも相当追いつめられ、しかも過去の思い出に逃避してる。とてもこれが特撮番組の主人公とは思えないほど。
 孤門の恋人斎田リコと出会いや現在が描かれる回。話は過去と現在が錯綜し、弧門自身の弱さをこれでもか!と言うほど強調している。
 ラスト、合体に失敗し、不時着したクロムチェイサーαから外に出た孤門の前に何故かリコが…ここで引き。さあ、次回はどうやってこの理由をスルーする?(やっぱり嫌味)
<リコが弧門に対し「家に来ない?」という発言は結構どきっとする。朝の番組でこんな…と思ったら、「家族に紹介したい」。なんだ…いやいや。これも又凄い話だぞ。
 クロムチェイサーでビーストを撃ったレーザーをウルトラマンが防ぐが、これは和倉隊長の言葉によれば、「奴の振りまくガスは可燃性だ」からだそうだ。一瞬前に「攻撃開始」と言っておきながら、えらく落ち着いてるな。つーか、攻撃前に確認せいっつーの。
 和倉隊長は常に落ち着いて部下を優しく見守る人物だが、何の脈絡もなく、これまで何度もシミュレーションでの合体に失敗してる孤門に「クロムチェイサーの合体管制を任せる」という発言が。その理由は「俺は孤門を信じる」のだそうだ。お前さん、部下のことを思いやる良い隊長だよ(嫌味)。それで本当に失敗するのが本作の面白いところだ。>
VOL.3
<A> <楽>
第10話 突入 −ストライク・フォーメーション−

  監督:阿部雄一
  脚本:赤星政尚
  特撮監督:菊池雄一
 不時着した孤門が見たのは、なんと倒れて気を失っているリコの姿だった。そのリコが手にしていたのは西条の名前が刻まれたドッグタグ。それを見た西条は過剰な反応を見せる。その後、病院に入院することになったリコだったが、彼女はその時の記憶を失っていた。一方、ナイトレイダーは多量の毒花粉を内蔵しているスペースビースト・ラフレイアを人間の手だけで倒すことは危険がありすぎると判断。ウルトラマンの展開するメタフィールド内で倒すしか方法がないと結論づける。そしてナイトレイダーとウルトラマンの初めての両面作戦が始まる。
 敵は前回に続いてラフレイア。初めてのナイトレイダーとウルトラマンの積極的な共同作戦で撃滅される。更にここにもダークファウストが登場。ラフレイアと共同作戦を展開する。
 結局オープニングでいきなり倒れていたリコの説明は全くされず。これは引きなのだろうけど、単に西条をパニックに陥れ、「溝呂木」と言う名前を引き出しただけ。本当にスルーしてしまったんだな。流石ネクサス
<ウルトラマンは味方だと主張する孤門にその根拠を求め、「僕は信じます」というのを「根拠不足」と断定する西条。しかし、彼女がウルトラマンを敵と断定する根拠はこれまで一言も語られていない。流石は西条さんだ。
 ダークファウストは登場時に「ここがお前の墓場だ」みたいなことを言っていたが、終始その瀕死のはずのウルトラマンに押されっぱなし。なんとも弱い敵だ。お前は口だけか?
 最後にリコと孤門のキスシーンがあり。特撮でキスは珍しいな。>
第11話 人形 −マリオネット−

  監督:小中和哉
  脚本:長谷川圭一
  特撮監督:小中和哉
 クロムチェスターの合体訓練は続いていたが、自信を持ち始めた孤門は難なくそれをこなしていけるようになった。しかし一方西条はかつての仲間溝呂木の幻影に悩まされ、訓練にも身が入らない。そんなある夜、孤門の通信機に「オ前ハ大切ナ者ヲ失ウ」と言う不気味なメッセージが届くのだった。リコの身を案じた孤門は病院に急行するが、そこにはリコはおらず代わりにM.P.の首藤沙耶からリコはもういないと聞かされるのだった…
 敵はダークファウストだが、リコの回想シーンでスペース・ビーストのノスフェルが登場する。
 これまで私は本作に関してぐだぐだ文句を言いっぱなしだったが、この話を観て180度転換。こいつは、マジで凄い!
 確かに話自体のかったるさとか、役の下手さなんかは変わることがないのだが、今回の話の異様は迫力は凄まじいほどだった。オカルト的要素満点で、幼稚園児がこれ観たらトラウマになりかねない。マジでこれ朝っぱらに放映したのか?
 これまでスルーされっぱなしだったリコの正体が少し明かされるのだが、これまで健気で強いて明るく振る舞ってる女性かと思ったら、これが何と!実は彼女こそが一番の鬱人物だった。あまりの意外な展開に開いた口がふさがらないと言うか、無茶苦茶面白くなってきた。特撮でここまでチャレンジャブルな描写をしたのは70年代の実験的作品以来だと思われる(そう言う実験的作品は私は大好きだった)。ひょっとしてこれ、無茶苦茶面白くなるかも知れない。絶対子供向きじゃないとしても。
 今回は回想シーン以外では怪獣は登場しない。「ウルトラマンガイア」以来だ。
<冒頭で家族に電話をかけてるリコ。楽しげに喋るリコの耳に当てた受話器からはツー、ツーと言う音だけが…こいつ絶対壊れてる。しかも寝間着のまま家に帰ったら、家の中が真っ暗。それで扉を開けたら家族が出てきて急に明るくなる。そして家族と談笑してる内にいつの間にか又画面が暗転。「怖いよ〜」で叫び出す…怖いのはこっちだ!しかもこれまで動物を書いてたはずのリコの絵は全部黒と赤を基調とした不気味なものばかり。おいおい。
 そう言えばウルトラマンは大きさを自在に変えられるのか、今回出てきた時は3メートル程度の大きさだった。これはいいけど、ファウストはウルトラマンに対して「私はお前の影だ」と言ってたけど、逆に言えば、ファウストがウルトラマンを倒してしまったら自分も消えてしまうのでは?その割に本気で殺しにかかってたように見えた。しかも一撃喰らわせたら「他愛ない」とすぐに後ろを振り向く余裕を見せ、それで逆襲されてるんだから世話無い。
第12話 別離 −ロスト・ソウル−

  監督:小中和哉
  脚本:長谷川圭一
  特撮監督:小中和哉
 消えたリコの部屋で呆然とする孤門を暗黒の波動が襲う。一方ナイトレイダーを混乱に落として「楽しいゲームをしてるんだ」と笑う溝呂木に銃を発射する西条。そんな時にスペースビーストのペドレオンが現れ、ナイトレイダーに招集命令が下るのだが…
 敵はノスフェル。かつてリコの家族を惨殺したスペースビーストで、今回は溝呂木の呼びかけで孤門を狙って登場するが、攻撃をダークファウストに防がれ、更にウルトラマンのクロスレイ・シュトロームを喰らって殺される。更にまたまた登場するダークファウストが実はリコであることが判明。そしてファウストの状態でリコの記憶が戻って孤門をかばって死亡。
 何と孤門の恋人斎田リコが実はこれまで散々ウルトラマンを苦しめてきたダークファウストであったことが発覚する。しかもそのまま死んでしまうと言う哀しい話。落ちこぼれ隊員の主人公弧門が唯一こころの支えにしていたものが完全に瓦解した凄まじいほどのドラマが展開する…
 …なのだが、今回ツッコミどころが多すぎて素直に物語を楽しめない(別な意味で楽しめるんだが)
<ナイトレイダーの面々がもう無茶苦茶に素敵なのばっかり。溝呂木に平気な顔して銃を向ける西条。本当にあんた地球を守ると言う使命を帯びてる自覚あるのか?単なる私怨なんじゃないの?
 ビースト反応地点にいた人間に平木隊員は「何よこのおっさん」…被害者かも知れないのにこの言い方は無かろうに。
 「闇の波動に取り込まれるな」とこれまで何度も孤門に言ってきた姫矢。しかし結局ブラストショットで孤門を撃ったら、暗黒の波動が引きはがされる。こんなことだったら危険冒して説得する前に撃てよ。
 「私は無間の闇だ」と豪語するファウストに対し、「俺はその闇を打ち払う」と豪語してウルトラマンに変身する姫矢。ところがあっという間に展開したメタフィールドがダークフィールドに飲み込まれてしまう。でかいことを言ってる割に結局闇に飲み込まれてるのはお前の方じゃないか。
 しかもファウストの戦いで最初の攻撃がクロス・カウンター…ボクシングじゃねえ!
 「お前の影だ」というのがファウストの口癖だったのだが、何故かウルトラマンの力を吸い取ろうとする。その際「更に無敵になるんだ」とか言ってたけど、「無敵」というのは敵が無いって事だから、「更に」無敵になるって日本語はない。しかもウルトラマンに負けておいて、何が無敵だ。>
第13話 予知者 −イラストレーター−

  監督:根本実樹
  脚本:村井さだゆき
  特撮監督:菊池雄一
 リコがダークファウストだった!失われたリコに思いを馳せ、途方に暮れる孤門に、和倉隊長はしばしの休暇を与えるのだった。そんな孤門の前に溝呂木が現れ、リコは自分の操り人形だと告げ、孤門をダークフィールドに連れ込んでしまう。
 敵はノスフェル…あれ?先週倒されたんじゃなかったか?
 急激に話が面白くなった転換点となった話。これまでがツッコミ入れる以外に楽しめなかったのに、本当にいきなり変わってしまった感じだ。今回もホラー風味満点。死んだはずのリコが孤門の前に現れ、両親に紹介するが、その両親というのがマネキンだとか、バラバラになったマネキンの頭部を抱いて「リコ!」と叫んだり、ナイトレイダーの面々になじられ、「僕は駄目人間だ」と頭を抱える…映像的と言うよりは精神的なホラーだな。
 更にラストで先週孤門が関わった家族がノスフェルに襲われる描写が…うわっ。孤門に関わった一般人はみんな殺されるのか?あまりに弧門が可愛そうだ。
 孤門と溝呂木、そして姫矢の間に某かの関連があるらしく、それを知る吉良沢が「サイクロップスの哀しみ」と言ってるけど、これは知らない話だな(予知能力を授かったがため、自分の死まで見えてしまったと言う哀しみなのだそうだ)
 確かに無茶苦茶面白いと思う。しかしこれを朝っぱらから放映するのかよ?モロにトラウマ作品だぞ。
<今週の西条さん。「私だって、彼を助けたいと思ってるんです」と多分孤門に対して言ってる。へえ。「邪魔するなら殺す」なんて言ったり、本気で撃とうとして銃を向けるのも後輩に対する愛情だったんだ。殺したいほど愛してるってか?(笑)
 精神状態がボロボロで、それでもリコが紹介した家族に弧門は挨拶するのだが、ノッぺらぼうのマネキンに向けて挨拶する孤門がとてつもなく憐れに思える。
 それにしてもなんでも知ってて、妙に楽しげな吉良沢は底が知れないな。>
VOL.4
<A> <楽>
第14話 悪魔 −メフィスト−

  監督:根本実樹
  脚本:村井さだゆき
  特撮監督:菊池雄一
 ナイトレイダーはビースト反応をキャッチする。目撃情報によれば、巨大な怪獣が親子連れの車を襲ったという。孤門はそこに落ちていたデジカメの映像見て、それが先日知り合った親子であったことが分かる。そしてスペースビーストに乗っ取られた両親がこども達を襲う…更にその頃、隠れてそれを見守る西条の目の前で姫矢と対峙する溝呂木は突然もう一人のウルトラマンへと変身するのだった。
 敵は又してもノスフェル。どうやら12話で倒された細胞が生き残っていたらしい。そしてついに溝呂木が変身するダークメフィストが登場。ダークファウストと較べても更にパワーアップしている。又、ナイトレイダーの新兵器としてメガキャノンチェスターが登場する。
 前回孤門と知り合いになった親子が再登場。スペースビーストに襲われて両親がスペースビースト化する…無茶苦茶ハードだ。
 今回ツッコミが入れられない。それだけ話が練れてると言うことか?強いて言うなら、両親が子供を襲う話って、子供には相当のトラウマになるんじゃなかろうか?更に子供が「何でリコを撃ったんだ。僕は一生赦さないからな」とか言いつつ孤門の腹をぼこぼこぶっ叩いてるし…幼稚園の頃にこれ見せられたら、多分辛すぎて途中で観るの止めるだろうな
第15話 悪夢 −ナイトメア−

  監督:北浦嗣巳
  脚本:荒木憲一
  特撮監督:北浦嗣巳
 憎しみのあまりにノスフェルを撃ってしまい、結果的にノスフェルに取り込まれた少女に怪我を負わせてしまった事実に悩む孤門。そんな孤門の前に姫矢が現れ、紛争地域における自分の過去を話し始める。そして自分がウルトラマンになった理由を。
 敵は又しても復活したノスフェル
 ここでようやく姫矢がウルトラマンになった理由が語られる。実は姫矢は戦場カメラマンで、南アジアの国に撮影に出かけ、スペースビーストによる村人の虐殺を目の当たりにしてしまい、更に自分自身も殺されそうになるのだが、寸前でウルトラマンに助けられたという。
 ただし、主な展開はやはり鬱そのもので、孤門はウジウジ悩んで任務放棄しっぱなし。観てるのがきつい話だ。
<紛争地域にある村で働いてる少女と川で水を掛け合って遊んでる。しかも肩にはカメラが掛かったまま。カメラマンにしてはお粗末だな。
 ラスト、「憎しみでは何も変わらなかった」と呟く孤門。しかし、ビーストを憎んだら少女を怪我させ、逆に憎まなかったお陰で仲間を危機に陥らせたってのもシュールな話ではある。>
第16話 迷路 −ラビリンス−

  監督:北浦嗣巳
  脚本:荒木憲一
  特撮監督:北浦嗣巳
 自分に絶望した孤門は任務を放棄し、街を彷徨うが、そんな彼の前に現れた溝呂木はリコを孤門の前に連れて来る。束の間の再開を喜ぶ孤門だったが…
 敵は相変わらずノスフェル。ようやく再生能力の謎が明らかにされ、孤門により弱点を攻撃され、その後完全にウルトラマンにより消滅される。
 相変わらずきつい物語。裏切られ、傷つけられ、ここまでボロボロになった主人公の姿。ちょっと可哀想になってくるが、いっそ本当にM.P.に記憶消された方が幸せだろ?と思えてくるが、それを乗り越えることが本作のテーマ。「過去は変えることは出来ないけど、未来は変えることが出来るかも知れない」とか、「苦しみも哀しみも全て背負って生きていく」とか、復帰した孤門の台詞も良い。
 ただ、テーマは良いんだけど、やっぱりツッコミどころは多い。
<新聞記者とタクシー風情に4人ものM.P.がまかれてしまうのがあんまりにも情けない。
 いきなり根来の家に現れる溝呂木はともかく、その溝呂木の言葉に反発しながら、リコに会わせてやると言われた途端、その言葉に反応してしまう孤門。すがりたい気持ちは分かるけど、ヒーローにあるまじき軽率さだぞ。
 溝呂木の罠にはまったのに、リコの持ってた人形が置いてあるとか(それを踏みつけたお陰で孤門は正気になるんだが)。>
第17話 闇 −ダークネス−

  監督:八木 毅
  脚本:長谷川圭一
  特撮監督:八木 毅
 ナイトレイダーに復帰した孤門。だが、任務は厳しい。闇の中襲いかかってくるスペースビーストに操られた民間人達。そして姿を現すスペースビーストのガルベロス。ウルトラマンとの連携でガルベロスを撃退するナイトレイダーだったが…
 敵はガルベロス。姫矢の回想シーンで前に出てきたビーストだったが、その攻撃能力がここで明らかになる。幻影によって人間の精神に介入し、恐怖を具現化するらしい…にしては攻撃がちょっとお粗末のような気もする(まあ、これまでだって孤門に対しては散々精神攻撃が加えられたので、もう良いって気もするが)。
 ようやくナイトレイダーの面々がウルトラマンを完全に味方として認識したようだが、ここまで来るのに時間がかかったな。それと、一年前溝呂木がまだナイトレイダーの副隊長だった頃の思い出が語られるが、この際、和倉隊長が「深き闇を覗き込むと、闇も又、お前を覗き込む」というニーチェの言葉を引いてなかなか深い言葉を使っている…というか、この作品の方向性を見事に言い当ててるね。
<ガルベロスを攻撃した際、姿が消え、孤門は「消えた?」と言っていたのだが、平木は余裕の表情で「木っ端微塵よ」と答える…爆発も起きてないし、破片も飛び散ってないんだけど。>
VOL.5
<A> <楽>
第18話 黙示録 −アポカリプス−

  監督:八木毅
  脚本:長谷川圭一
  特撮監督:八木毅
 ナイトレイダーから西条が姿を消した。この状態でM.P.に捕らえられれば、記憶を消去されてしまう。溝呂木の元に向かったことを察した和倉隊長は立場上許されない行動ながら、西条を連れ戻しに行くことに。管理官からの助言により、和倉に同行する孤門は西条と溝呂木の関係について聞くことが出来るのだが…
 敵はガルベロス。こいつはメフィストと込みで登場することが多い。それにしても同じ敵ばかり出てくると、事典が補填できないなあ(関係ない?)
 溝呂木がダークメフィストと同一化した経緯が語られる話。ほとんどが回想シーンで綴られるが、なんかとっても現実味が薄い。その代わりツッコミ所は満載。
<西条がいなくなったと言うことで、孤門は助けに行くことを志願するのだが、その時言った台詞は「副隊長に救われました」だった。いやあ、あそこまでいびられ抜いて、よくそんなことを言える。えらい人間だ。
 突然現れた姫矢を孤門はあっさりと和倉に「彼はウルトラマンです」って紹介してしまう。良いのか?
 溝呂木だが、しゃべり方が真面目になったり斜に構えたりと、全然言葉が一定してない。心情を表してるんだろうけど、もうちょっと統一感を持たせた方が良いと思うぞ。
 そして西条。溝呂木の言葉に従うようなそぶりを見せながら、最後はしっかり溝呂木を撃ち殺してしまう…やっぱ凄いヒロインだ。>
第19話 要撃戦 −クロスフェーズ・トラップ−

  監督:阿部雄一
  脚本:赤星政尚
  特撮監督:菊池雄一
 姫矢に銃を向ける西条。だが姫矢がウルトラマンである事を知った和倉隊長は西条を止めようとし、その隙に姫矢はストーンフリューゲルを呼び出して飛び去ってしまう。その時、新たなビーストが出現したとの連絡が入る。現地に飛んだナイトレイダーの前にビースト、ゴルゴレムが。そして姫矢が変身したウルトラマンが現れる。ウルトラマンはゴルゴレムと戦うが、先のガルベロスとの戦いで傷ついたウルトラマンは戦いを続けることが出来なかった…
 敵はゴルゴレム。四本脚のビーストで、異層間の異動が可能で、攻撃を完全にすり抜けることが出来る。自在に伸縮させることが出来る首を伸ばして人間を捕食するが、グチャグチャと音を立てて咀嚼するあたり、凄い描写だ。
 姫矢の身体と、彼の過去が少しだけ語られる話。ウルトラマンの力の限界も少しだけ語られる。
 七夏役は「仮面天使ロゼッタ」ヒロインの神あすか役の吉井怜。
<今回は色々ツッコミ所が多い。冒頭、孤門のモノローグで「隊長にウルトラマンの正体を知られてしまった」と語られるが、バラしたのはあんたでしょ?
 更に姫矢に銃を向けていながら、ガルベロスとウルトラマンが戦う時は、その身体を心配する西条…変だぞお前。
 戦場カメラマン姫矢にあこがれる保呂草と言う男が登場し、傷ついた姫矢を助けるが、てっきりスペース・ビーストの写真を撮りに来たと勘違いし、ゴルゴレムの眼前でシャッターを切り続ける…シャッター押しすぎ。フィルムにせよデジタルにせよ、そんなに撮れるとは思えないが。トリガー・ハッピーか?
 ゴルゴレムを追い込む際、人口数百人の温泉町が危険にさらされることを承知で作戦を立てる吉良沢は、その作戦に疑問を呈した松永が「温泉町にいる人間は餌食になっても良い?」と問うと、薄く笑って去る…あんたは都合悪くなると笑ってごまかすのか?>
第20話 追撃 −クロムチェスターδ−

  監督:阿部雄一
  脚本:赤星政尚
  特撮監督:菊池雄一
 スペース・ビーストのゴルゴレムが温泉町に現れ、その撮影をしていた保呂草を喰ってしまった。そして連れの二人にも襲いかかったゴルゴレムをウルトラマンは迎撃するが、ダメージの抜けていないウルトラマンは苦戦を強いられる。しかも温泉町には人が残っていることを知らされていなかった和倉はその理由を吉良沢に問いつめる…
 敵は前回に続きゴルゴレム。ウルトラマンのパーティクルフェザーによって首を落とされるが、次の瞬間苦痛の叫び声を上げてる…口はどこ?
 今回もウルトラマンとナイトレイダーの連携が語られる話で、迫る怪獣の脅威から、人の住む町を守ろうとする姿はベタでも良いじゃないか。しかもナイトレイダーの方も新兵器を繰り出し、スペース・ビーストと互角以上に戦うという描写も良し。
 往年の東宝怪獣映画もしくは初代ウルトラマンファンなら分かる田舎町を怪獣が襲い、逃げまどう人達が描かれる。分かってやってるとしたら、これはサービスカットかな?
<ゴルゴレムに喰われてしまった保呂草の連れの二人、七夏と潤平はM.P.によって記憶が消去されるが、保呂草の思い出というのは、「酔っ払って崖から落ちた人」になってる。姫矢を目指し、ゴルゴレムの前で死ぬまで写真を撮り続け、その結果がこれか…可哀想に。
 確かアンファンス状態のウルトラマンは活動限界が長いはずだが、ゴルゴレムとの戦いであっという間にエナジーコアが点滅する。それだけ疲れたと言うことか。>
第21話 受難 −サクリファイス−

  監督:根本実樹
  脚本:村井さだゆき
  特撮監督:菊池雄一
 姫矢は瀕死の状態でウルトラマンに変身してしまったため、ゴルゴレムの前にウルトラマンは膝を屈し、同時にメタフィールドも消滅しようとしていた。なんとかメタフィールドが完全に消え去る前にストライクチェスターのストライクバニッシャーとウルトラマンのオーバーレイシュトロームにより、何とかゴルゴレムを倒すことに成功するが、最後の力を使い果たしたウルトラマンは姫矢の姿となって倒れ、動かなくなってしまう…
 敵は前回に続きゴルゴレム。これは冒頭で倒されるが、力を使い果たしたウルトラマンが倒れてしまう。
 ウルトラマンが無敵ではない事を如実に示した回。しかも追い打ちをかけるかのようにTLTの松永が彼を責め苛み、ついに心臓停止…凄い話だ。
 メタフィールドがウルトラマンの身体と同じ構成物質で作られていることが発覚する。文字通り姫矢は身を挺して人間を守っていたと言うことが分かるが、そう考えると、ますます悲惨になってくる。
 しかも死んだと思っていた溝呂木も出てくるし、一体これからどうなる?これまで散々文句言ってきたけど、この展開は無茶好みだよ。
<和倉隊長が姫矢を「羨ましい」とか言ってるけど、ほとんど喋ったこともない姫矢の思いまで解説するとは…一体あんたなにもんだ?姫矢の心臓停止と共に流れ星が…やりすぎだって。
 姫矢の記憶って、全部助けてるはずの人間に撃たれてるシーンばかり。良くここまでやるもんだ。感心するよ。>
VOL.6
<A> <楽>
第22話 安息 −キュア−

  監督:根本実樹
  脚本:村井さだゆき
  特撮監督:菊池雄一
 心停止に陥った姫矢に吉良沢は再度ビースト振動波を当てるように命じる。見事に復活を果たした姫矢だったが、その身体は既にウルトラマンへの変身には耐えられなくなっていた…
 敵はクトゥーラ。今回は触手だけの登場。
 ヒーローが変身できない。というのは、一種の冒険だよ。実際今回回想シーン以外一度もウルトラマンは登場してない上にスペース・ビーストも碌々姿が出てこない。その代わりと言っては何だが、ナイトレイダーの新兵器ハイパーストライクチェスターが登場してる。
 話そのものは決して悪くない。人間の身体ではウルトラマンの重責には耐えられないというのも初めて出てきた設定だし、それで敢えて戦おうとする孤門の姿には涙を誘う。ひたすら冷たい印象を与える松永管理官が、姫矢の心停止を知った途端、焦りまくって心臓マッサージしてるとかの演出もあり(モデルは碇ゲンドウ?)。
 まるで『X−FILE』のような胡散臭い話をしてるUFO研究家の面々が実は一番真実に近づいてるってのもなかなか…(って、『X−FILE』のローンレンジャー?)
<一応ストーリーは良いけど、元ネタの分かりやすいパクリ連発するのは止めて欲しいところではある。>
第23話 宿命 −サティスファクション−

  監督:北浦嗣巳
  脚本:長谷川圭一
  特撮監督:北浦嗣巳
 ある作業現場に現れたスペース・ビーストの触手はそこで働いていた作業員達を襲っていた。そこに現れたウルトラマンは何とかその触手を撃退することには成功したものの、力を失って崩れ落ちる。一方独自にビーストを調査する根来はUFO研究家達の協力でビーストの発生地に向かうが…
 敵は前回に続いてクトゥーラ。その姿は色々な生物からのパーツを集めたかのような禍々しい姿をしてる。異空間から触手を伸ばして攻撃しているが、その本体は「終焉の地」と呼ばれる場所でウルトラマンを待ち、ついには磔にしてしまう。
 孤門が何故ウルトラマンを信じるのか、西条が何故ウルトラマンを信じられないのか。それは過去に原因があった。孤門はウルトラマンと同じ声のする誰かに助けられ、凪はなんと自分の母親に擬態した(あるいは乗っ取った)スペース・ビーストを目撃していたかららしい。
 「セブン」「A」に続き、ウルトラマンが磔になるショッキングなシーンが拝める。相性が良いのかな?
 ここはツッコミがあんまり入らない話だな。
第24話 英雄 -ヒーロー−

  監督:北浦嗣巳
  脚本:長谷川圭一
  特撮監督:北浦嗣巳
 磔にされたウルトラマンを見て驚愕する孤門の前に、佐久田を人質に取った溝呂木の笑い声が響く。これらは全てウルトラマンの光を取り込んでより完璧な超人となるべく溝呂木の張った罠だったのだ。クトゥーラの触手に捕らわれたクロムチェスターの前で溝呂木の言う“儀式”は進んでいく…
 敵は前回に続きクトゥーラ。ここでハイパーストライクチェスターのウルティメイト・バニッシャーにより倒される。そして久々のダークメフィスト。これもウルティメイト・バニッシャーの力を受けたウルトラマンにより、ついに消し去られる。
 ウルトラマンの死というショッキングな話が語られる。確かに感動的な演出はたくさんなされるのだが、しかしこれからの話はどうなるんだ?…と思ったら次回予告で「新しいウルトラマン?」の言葉が…
<しかし、この話でもやっぱりツッコミどころは多いんだよなあ。特に溝呂木は「無駄なあがきだ」を連呼している割に、ナイトレイダーの攻撃は全部成功してるとか、余裕ぶちかまして生身のナイトレイダーの面々に攻撃を加えようとしたところを、ぼかすか撃たれ、まるでだだをこねるかのようにメフィストに変身する。
 今まで散々ウルトラマンを敵扱いにしてきた西条が、ウルトラマンの復活と共に、瞳を潤ませて「ウルトラマン!」と叫ぶ。
 最後の戦いは重量感の全くない「ドラゴンボール」状態(CG班のがんばりは認めよう)だとか…
 そう言や磔と言い、エネルギーをウルトラマンに与えることと言い、「ウルトラセブン」の「セブン暗殺計画」のストーリーとよく似てるよなあ。
 …いや、これも又味と言う奴か?>
第25話 予兆 −プロフェシー−

  監督:北浦嗣巳
  脚本:長谷川圭一
  特撮監督:北浦嗣巳
 姫矢を追い、とうとう真実にたどり着いた根来。しかし彼の思いむなしくM.P.により記憶が消されてしまった。一方姫矢がウルトラマンであることを知りながら報告を怠ったと言うことでTLT上層部から詰問を受ける孤門と西条。そんな中、襲来が続くスペース・ビーストの脅威。そして出動したナイトレイダーの前に…
 敵はグランテラ。ハサミ状の両腕からエネルギー弾を放出する。
 前半と後半をつなぐ話となった本作は大部分がバンクで構成されているが、最後についに新しいウルトラマンが。なるほど。それで主人公をウルトラマンにさせなかったという訳か。
 前半と後半をつなぐ話になっていて、話自体にほとんど進展はない。
<とりあえずツッコむところはあんまりないが、西条の性格が随分と違ってきたと言うところと、妙に何でも知ってる松永が鬱陶しいくらい?
 新しいウルトラマン(ジュネッスブルー)が一応登場はしてるけど、本当にただ出てくるだけ。もうちょっと活躍して欲しかったな。>
VOL.7
<A> <楽>
第26話 憐 −ザ・サード−

  監督:小中和哉
  脚本:太田 愛
  特撮監督:小中和哉
 原因不明の失踪事件が多発していた。その頃遊園地のアルバイター千樹憐は不思議な夢を見ていた。そして偶然観たニュース映像が夢で見た光景と同じ事に気づき、その現場に行ってみると、何故かビーストに捕食される人間の映像が頭に浮かぶのだった。その夜、憐はかつて姫矢が見た遺跡の夢を見る…
 敵はグランテラ。両手にハサミと二つの頭。全身が硬い殻に覆われている。これがジュネッス・ブルーが戦った最初の敵となる。
 いよいよ新しいジュネッス・ブルーの誕生が描かれる。千樹憐という少年が新しいウルトラマンになるわけだが、こいつってひょっとしてこれまでのシリーズ中最年少のウルトラマンじゃないか?憐自身が何か秘密を持ってるっぽいが、その物語もこれから語られていくんだろう。そう言えば今回登場するのはほとんどM.P.ばかりでナイトレイダーはあんまり出てこない。ひょっとして主人公まで変わるのか?
 演出はちょっと空回り気味で、アクションシーンはほとんど前回と変わってないけど、これも新しい展開と言うことで、一応評価は保留。
 OP、EDテーマも変化。これまで多少抑え気味だった川井節がいよいよ全開となり、音楽の方も本領発揮と言ったところか?
第27話 祈り −プレーヤー−

  監督:小中和哉
  脚本:太田 愛
  特撮監督:小中和哉
 スペースビースト・グランテラの前に突如現れる光の巨人ジュネッス・ブルーはナイトレイダーの見守る前でグランテラを圧倒するが、突如現れた暗雲にグランテラは吸収されてしまう。その後、戦いのあった場所の近くで少年憐を発見した孤門は憐の後をつけるが…
 敵は前回に続きグランテラ。ジュネッス・ブルーに倒される直前に姿を消してしまう。
 謎の多い憐と孤門が初めて接触した話。なんだか孤門が兄貴っぽく見えてしまうのは、やっぱりこれまでのつきあいが長かったから?この憐という少年こそが後半の謎を引っ張っていく存在なのだろうと思える。
<孤門はナイトレイダーの制服のまま町をうろついて良いのか?又、憐を追跡するM.P.の野々宮瑞生があっけなく憐に見つかってしまい、行動を問われるのだが、それがどう見てもナンパにしか見えない。大体瑞夫の行動って、黒ずくめな上に、見え見えの監視だから、「私は怪しい人間です」って看板を持ってるようなんだけど>
第28話 再会 −リユニオン−

  監督:小中和哉
  脚本:太田 愛
  特撮監督:小中和哉
 憐に接触してしまったM.P.の瑞生は沙耶に憐の監視から外してくれと頼むが、そこに現れた松永から友人として監視を続けることを命じられる。一方憐の事を調べる孤門はプロテクトを突破し、「プロメテウス・プロジェクト」に行き着くのだった…
 敵は前回に続きグランテラ。ここでようやくジュネッスブルーにより倒される。
 憐の過去が明らかにされるが、燐のヴィジョンが吉良沢に対して親しげに話しかけるシーンがあるので、プロメテウス・プロジェクトつながりを思わされる。
<孤門がプロメテウス・プロジェクトを探ってることは分かってるはずなのに、そこに至るまで放っておいて、アクセスが成功した途端に吉良沢が「これ以上は詮索しないように」とか言ってるが、そんな情報を小出しにするんじゃなくて最初から止めるか教えるかしろよ。
 西条は相変わらず自分の感情を隠そうとしてるけど、どんどん底が浅くなる。更に事前の会議で「撃ってはいけない」と言われていたのに平気でクロムチェスターから撃ってるし…平木隊員からしっかりツッコミも受けてるが。>
第29話 幽声 −コーリング−

  監督:根本実樹
  脚本:村井さだゆき
  特撮監督:菊池雄一
 霧深いキャンプ場で次々と人間が失踪する事件が頻発していた。これはビーストの仕業かと思われるのだが、霧のためビースト振動波が邪魔され、ビーストか否か特定できないままでいた。そんな時、かつて両親がビースト化して襲われた過去を持つ少女理子は、M.P.により記憶が消されたにもかかわらず、忌まわしい事件のことを思い出し始め、事件の現場近くを徘徊する。そんな時に理子はやつれ果てて記憶を失っている溝呂木と出会う…
 敵はバンピーラ。自ら発する深い霧の中に身を潜め、次々と人間を捕食していく。怪音波を発し、生き残った人間の記憶を消し去るため、居場所が特定できにくい。
 13話と14話で出てきた薫と理子の兄妹が再登場。理子は記憶操作が失敗し、ビーストの記憶が残ったまま。そしてやはり記憶を失った溝呂木と遭遇してる。
 ここまで来て思ったのは、本作の特徴は「記憶」という点にあるんだな…過去の記憶に苦しめられる姫矢と言い、記憶を失った孤門の彼女リコと言い、M.P.の活躍により記憶が操作される人々と言い…
<ビーストに両親が襲われたという理子の言葉に「酷いことをする奴がいる」とかぬかす溝呂木…確かに記憶を失ってるかも知れないけど、それってあんたがやったんだろ?
 それと、すっかり影が薄くなってしまった孤門君。ストライクチェスターに乗って「あの子達が住む町を守るために僕は今出来ることをするだけだ」とだけ言ってるけど、オープニングとエンディングのモノローグはなくなっても、独り言が多いのは相変わらず。
 今回ウルトラマンはほんの申し訳程度に出てるだけだけど、あっけなくバンピーラを倒してる。今まで一体のビーストで2〜4話は使ってたんだが…打ち切りが決まったから、これから出すべき着ぐるみを大盤振る舞いしてる…と言ってはいけないことか?>
VOL.8
<A> <楽>
第30話 監視者 −ウォッチャー−

  監督:八木毅
  脚本:太田 愛
  特撮監督:八木 毅
 ビースト振動を察知したナイトレイダーは、現場に急行するが、憐も同時にウルトラマンに変身。スペースビースト・リザリアスを倒す。その後TLTによりビーストの破片が回収されるが、一つだけ取りこぼした細胞は闇に光る…一方、憐の従兄として遊園地に紹介された孤門は、M.P.の瑞生と共に遊園地の仲間に紹介されるのだが…
 敵はリザリアス。大きなトカゲのようなスペースビースト。あっという間にウルトラマンに倒されてしまう。あっけなさ過ぎるが、多分次回で復活するのだろう。
 孤門が猫舌だとか、瑞生が結構強いとか、色々分かったが、逆に色々な謎が出てきた話でもあった。
<瑞生を見た孤門は「彼女はTLTの…」と言うが、瑞生に対しては「初めまして」と挨拶。TLTの組織って結構いい加減?それに前回一緒に話してたじゃん…憐に対する気兼ねか?その後でしっかりTLT本部でしっかり憐のことを一緒に調べてるから、やっぱり隠してたんだろうな…意味無いような気がするけど。ところで、今回の瑞生って妙に軽いんだけど、性格が変わってない?>
第31話 鳥 −バード−

  監督:八木毅
  脚本:太田 愛
  特撮監督:八木 毅
 瑞生の語った“ラファエル”という言葉に過剰反応する憐。瑞生と共に憐の秘密を探る孤門の前に現れた吉良沢は「君はTLTにいるには優しすぎる」と謎めいた言葉だけをかけるのだった。そんな時、リザリアスの残った細胞から再生したリザリアスグローラーが現れ、ナイトレイダーと憐はその撃滅へと向かう。ダークフィールドGの中で戦いを余儀なくされたジュネッスブルーだが…
 敵はリザリアスグローラー。前回のリザリアスの残った細胞から再生したスペースビーストで、角の数が増えている。前回ジュネッスブルーの戦いから学習したらしく、ウルトラマンの攻撃をいなしているが、ストライクパニッシャーとジュネッスブルーの連係攻撃により倒される。
 憐はどんどん体調がおかしくなっていくし、それでも元気そうに振る舞う様子が痛々しい。元々があまり明るくはない作品とはいえ、この痛々しさはなかなか凄い。
<憐から「時々鋭い」と言われる孤門だったが、その直後に馬脚を現し、吉良沢との関係がばれてしまう。相変わらずニブい奴。
 一方、最近とんと出番の無かった西条がようやく個性を見せ始めたのと、相変わらず謎の松永の姿が特徴的だった。>
第32話 影 −アンノウンハンド−

  監督:小原直樹
  脚本:長谷川圭一
  特撮監督:菊池雄一
 TLTに捕らえられ、尋問を受ける溝呂木の夢に不気味な声が響き渡る。記憶を失っていた溝呂木はそれによってダークメフィストだった自分を取り戻す。たまたまそこにいた瑞生を人質として逃亡を図る溝呂木だったが…
 敵はダークメフィストおよびダークメフィストツヴァイ。ダークメフィストは溝呂木が変身するのだが、ツヴァイは溝呂木を追っていたはずの三沢が変身する。姿はダークメフィストと同じだが、目が赤くなっている。ダークメフィストと較べても、その力は格段に上がっているようだ。
 ダークメフィストとは、自ら望んでなるのではないと言う事がはっきりと示される。溝呂木も本来なりたくてなったわけではなく、邪悪な意志“アンノウンハンド”により変身させられる。その意志から逃れた溝呂木は顔つきも穏やかになってしまうが、ダークメフィストには変身できる。
 相変わらずウルトラマン同士の戦いはCG使いまくりで、まさに実写版ドラゴンボール。
<今回もツッコミどころが山ほど。
 TLT基地に瑞生がいるのは頷けるとして、スクランブル状態にあって、地下をうろうろしてるなんて、本当に新米なんだな。他にも迫り来るダークメフィストツヴァイに対し、孤門と瑞生を逃がした西条は銃を撃つが、当然のごとく全く効かないが、それを見て、無茶苦茶驚いた顔をしてる…当然だろうが。
 突然出てきた三沢という、何の個性もない男がダークメフィストツヴァイに変身するってのも、話としては急展開過ぎ(これは打ち切り決定によるスピードアップなんだろうけど)。
 憐の登場も唐突すぎる気も…>
第33話 忘却 −A.D.2004−

  監督:北浦嗣巳
  脚本:村井さだゆき
  特撮監督:菊池雄一
 溝呂木の最後の言葉により、TLTの中に敵がいると聞かされショックを受ける西条。それを裏付けるようにTLT最奥にSECTION−0にアンノウンハンドが現れたとの情報が。その調査のためTLT北米支部より査察官がやってくることになった。一方、アルバイト中の憐は一人の女の子から突然デートに誘われるのだった。しかもなんとその子は松永管理官の娘、松永葉月だった。
 敵はメガフラシ。巻貝のような装甲を持つビーストで、上空に浮かび、ベール状の光を用いて人間を捕食する。
 話がかなり複雑になり、新キャラも数多く登場。更に映画版『ULTRAMAN』の描写もあり。説明なのかと思われるが、ほとんど会話だけで成り立ってるため、観ていて面白いものじゃない。これも朝っぱらからやる内容じゃないな。
<憐と葉月がデートしてる後ろから付いてくる瑞生。自分で「まるでストーカーじゃない」と呟くが、今まではそうじゃなかったのか?更に隠密行動しなければならないのに、明らかに姿丸見えで二人のデートに付いていく。M.P.の任務ってこんなので良いの?
 初めて石堀隊員が個性を見せる。TLT北米支部にハッキングを仕掛けるが、その際心配そうに見ている平木に対し、「俺を誰だと思ってる!」と自信たっぷりに答えるが、多分ほとんど誰もこいつの名前を知らなかったと思う。更に次の瞬間、ハッキングに失敗して「やばい。気づかれた!」…って、さっきの余裕は何だよ?
 初めて市街地にウルトラマンが登場!多くの人間を助けるのだが、そいつらの目線が何故かウルトラマンの股間に集中してる(目線設定間違えたな)。それで「あれはなんだ」「で、でけえ」とか言われると、失笑してしまう…サイズ的には確かにでかいだろうけど。>
VOL.9
<A> <楽>
第34話 封鎖 −A.D.2009−

  監督:赤星政尚
  脚本:村井さだゆき
  特撮監督:菊池雄一
 都内にスペース・ビーストのメガフラシが現れたが、ナイトレイダーの隊員の中では、自分たちも記憶操作を受けていたと言う事実にショックを受けていた。和倉の説得により、ようやく出動するが、メガフラシの猛攻によって、ウルトラマンは既に相当の痛手を受けていた…
 前回に続き敵はメガフラシ。ウルトラマンのメタフィールド状のバリアを展開することが出来ることが判明。これによりビーム兵器は肉体に到達する前に霧散してしまう。物理攻撃に切り替えたウルトラマンのキックにより地下に逃げる。
 ここで劇場版からの関わりが大きくクローズ・アップされる。劇場版で登場したウルトラマンとビーストとの戦いは記憶操作によってあらゆる人の記憶が失われていたこと。ビーストは知的生命体の“恐怖”を捕食する存在であること。M.P.の首藤が、実は最初のウルトラマンとなった真木舜一の恋人だったこと…駆け足で説明がなされる。それと、突然沙羅の部下の海本なる人間が登場。プロメテの子は全員彼の遺伝子情報により作られたとか。これらを全部言葉でやるのはいただけないが、打ち切りのため、仕方ないのだろう。
<ツッコミどころはやはり今回も西条。
 ビーストが人間の恐怖を捕食すると分かった際、「恐怖なんて、憎しみがあれば打ち勝てる」と言っているが、憎しみの心って、恐怖と似たようなもんじゃないのか?(少なくとも特撮作品においては)>
第35話 反乱 −リボルト−

  監督:阿部雄一
  脚本:太田 愛
  特撮監督:菊地雄一
 メガフラシを地下に封じ込めたものの、変身が解かれてしまった憐はTLTによって回収されてしまう。それを見た孤門は、憐がかつての姫矢のように実験材料にされてしまう事を恐れ、憐を助けようと、TLT地下の実験室へと向かおうとする。そしてナイトレイダーの面々も…
 敵は前回に続きメガフラシ。OPでウルトラマンに蹴りを入れられてしばらくは登場せず。そしてガルベロスが再登場。二体でウルトラマンを挟んで攻撃する。
 今回TLT内でのナイトレイダーの反乱と言うハードな物語が展開される。主人公たちが上部組織に反乱するのは見応えがあるが、実はこれも又、アンノウンハンドの手の内と言うことで、あんまりすっきりはしてない。
 戦闘シーンはこれまで、出来るだけ金を遣わないように注意しながらだったが、ここで市街戦。しかも二体の怪獣が町を破壊しまくる。打ち切りが決まったための開き直りと言えばそれまでだが…おお、ランニングネックブリーカードロップなんてマニアックな技を(笑)
<今回の西条、石堀隊員の怪しさを発見するのだが、最初に笑顔を見せて石堀隊員に近づいてきた。こんな顔が出来るの?それと憐に対し、これまでのようにダメージを考えないで戦うのではなく、命を守って戦いなさい。と助言…随分性格が変わったような気もするな>
第36話 決戦 −フェアウェル−

  監督:阿部雄一
  脚本:太田 愛
  特撮監督:菊地雄一
 憐を助けるため、結果的にTLTを裏切ることになってしまったナイトレイダーはメガフラシを倒し、力を失った憐を保護するが、そんな憐に何もしてやれないと苦悩する瑞生と孤門。そこに最強のスペース・ビースト、イズマエルが現れる。死を覚悟し、最後にウルトラマンに変身する憐だったが…
 敵はイズマエル。アンノウンハンドの闇から誕生した最強のビーストで、あらゆるビーストの姿や形を体の至る所に有するとともに、それらの攻撃能力を持ちあわせている。最後の力を振り絞ったジュネッスブルーによりほぼ相打ちで倒される。
 いよいよラス前。前回に続き戦闘部分の特撮はローテク全開。破壊されていくビルや、戦いで踏みつぶされる建物など、今までの溜飲を下げさせてくれる。勿論クロムチェスターも大活躍。CG班も随分がんばってる。特撮部分は本作の特徴を充分に活かした素晴らしいものに仕上がっている。
<ここまでやっておいて、憐は死なないというのがオチ?。いや、これは悪くないんだが、なんだかこの作品を通して観ていると、それって凄くおかしいように思えてしまうから。
 これは言っても仕方ないんだが、最終回の予告がえらく暗いのに、直後に流される「ウルトラマンマックス」の予告が底抜けに明るいのが、無茶苦茶ギャップが…>
第37話 絆 −ネクサス−

  監督:阿部雄一
  脚本:長谷川圭一
  特撮監督:菊地雄一
 ついに本性を現したアンノウンハンド。それはなんとナイトレイダーメンバーの一人、石堀だった。突如牙をむき、ナイトレイダー隊員を次々と射撃していく石堀。そんな彼を止めたのはなんと、四人目の継承者となった西条だった。吉良沢と来訪者の遺産が待つTLT地下深く潜入した石堀だが…
 敵はダークザギ。アンノウンハンドの正体で、邪悪なる暗黒破壊神。ウルトラマンとなった西条からパワーを得ることによって、その姿は漆黒のウルトラマンそのもの。
 これまでのダークファウストやダークメフィストの存在は、全ては西条をウルトラマンにするためであり、闇を内包しつつ最強のウルトラマンとなった西条から光を奪い取るためだった。と言うのがここまで引っ張ってきた物語の帰着点だった。全ては闇のために。しかし、そこでアンノウンハンドの一つだけ犯した間違いは、西条が変身したウルトラマンが最強のウルトラマンではなかったことと、もう一人継承者がいたと言うこと。
 そして最強のウルトラマンとして、孤門が変身する。ジュネッスとなった姿は最初は姫矢の姿、その後憐のジュネッスブルー、そして人間の思いを吸い上げて、ついに最終形態であるウルトラマンノアへと変身する。これは雑誌展開のみでの登場かと思われたのだが、最初からここに持ってくるつもりだったのか?これで「ウルトラマンNプロジェクト」と呼ばれた“N”の頭文字を持つウルトラマン(劇場版NEXT、TV版NEXUS、雑誌版NOAH)がここでつながった。結局これがやりたかったんだな。なんでも元の構想では話の帰着点は新作映画で行う予定で、そこでウルトラマンノアが登場するはずだったとか。結局打ち切りに近い形で終わったため、TV版本作で最後まで描いたという事らしい。
 …結局、主人公はウルトラマンではなかった。と言う構図は最後の最後になって崩れてしまった。これがやりたかったことはよく分かるし、だからこそ孤門を主人公にする必要があったんだろうとは思うのだが、それにしてもこの長いシリーズを通してそれをやろうとしたのは、やっぱり冒険に過ぎたな。
 いずれにせよ、シリーズ中最も野心的な作品で、更に理解されなかった作品もこれで終了…公開当初は糞味噌に言っていたが、後半になってから(特に打ち切り決まってから)好きな作品になっていったのだが…実際ここまで一貫して物語を作っていたウルトラマンシリーズは初めてだった。
<ついに本性を現した石堀に、にこやかに近づいて、笑い顔のまま撃たれてしまう平木…何というか、最後まで良いところないキャラだったな。
 初めてウルトラマンに変身する西条。変身したは良いが、結局アンファンスだけで、即ダークザギに取り込まれてしまう。こいつも最後まで良いところ無しか?
 そしてついに最後に変身した孤門だが、そのアンファンスの姿を見た和倉隊長は「孤門か?」と呼びかける…よく分かるなお前は。
 話の展開上仕方ないとして、それにしてもノア強すぎ。
 あれ?ラストシーンで姫矢が登場してる?死んで無かったんかい!>