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小松左京

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09'08'01 時空道中膝栗毛
 江戸の長屋に住む与太八の部屋の床下にぽっかり開いた穴。与太八と兄貴分の牙次郎は、この穴に何があるかと入ってみたところ、何とこれは次元に開いたタイムトンネルだった。1970年代の日本を皮切りに、次々と違う時代、違う場所に飛ばされることとなる二人だが…

 江戸時代の人物が時空を旅する。と言う不思議な設定の作品で、卑弥呼の時代、三国志の時代、西遊記の時代、千一夜物語の時代と、話があちこちに飛びながらの珍道中。設定そのもので言えば「果てしなき流れの果てに」のギャグ編っぽくもあるか。しかし何より著者の知識量は半端じゃないので、その蘊蓄話がとても面白い。いまから40年も前に書かれたというのに、全然古く思えないところがすごい。
<A> <楽>
12'11'14 首都消失 上
 出向先の名古屋から本社の東京に戻ろうと新幹線に乗った朝倉達也。だが深い霧のため新幹線は途中で止まり、たまたま出会った知り合いの車で東京へと向かう。だが実は東京はその時とんでもない事態に陥っていた。山の手を中心として半径30キロがドーム状の霧に覆われてしまったのだ。中からも外からも決して出入りが出来ない霧の内部が全く分からないまま、首都東京を失った日本の行方は…

 「日本沈没」と同じく、一つのあり得ない事象を前にした群像劇で、科学と政治経済を含んだ壮大なものとなっている。「日本沈没」と較べるとやや落ちる気もするが、さすが巨匠。充分すぎるほどに読ませてくれる。
<A> <楽>
03'06'11 日本沈没
 日本各地で土地のずれが顕著になってきた。更に頻発する小地震。その調査を独自に行っていた在野の科学者田所は、日本の地盤の変化を総合的に分析した結果、恐るべき結論に達する。日本は沈没すると…破滅の日を前に奮闘する人間達を描く群像劇。

 これぞSF。日本にもこれだけ良質の作品はあった事を誇るべき。
 これも読み返し作品。高校の時は何度も何度も読み返して、小説家になることを夢見ていた時代があったことを思い返す。それで20年近くを経た今、もう一度読み返してみると、今度は別な意味で楽しめた。当時は設定とか緻密な説明に惹かれていたが、今はむしろ人間の側から描いた心理劇がとても面白く感じる。そして今にして思うと、やっぱりとても敵うような人じゃないんだな。としみじみ。いつまで経っても古くならない小説としていつまでも残しておきたい作品だ。劇場版も良い出来。

<A>
<A>
<楽>
10'08'03 日本沈没 第二部
 日本が沈没してから25年が経過した。海外に移住した日本人はそれぞれの土地で、ある者は難民化して、ある者は政治の中枢に食い込み、そして大多数は植民地建設にいそしんでいた。そんな世界中の日本人を助けるべく、土地を持たない日本政府は日本という国のアイデンティティを残そうと躍起になっていた。そんな政府で秘書官として働く渡玲子、パプアニューギニアの植民者篠原、フリージャーナリストの山崎、そして首相の中田など、世界各地の日本人の目を通し、国無き民の行く末を描く。

 何故か既に第三部は存在する「日本沈没」のミッシングリンクとなっていた第二部。第一部から実に30年の時を経て、著者自身のライフワークとして、協力者と共に描き上げた大作。SFというよりは日本という国がない状態での今の世界(ネットは貧弱だけど)というものをシミュレートした作品と考えることが出来るだろう。こういう設定って本当にぞくぞくするほど楽しい。内容も骨太で読み応えもあり。あの「日本沈没」の続編として見事な出来と言って良い。
 惜しむらくは、オチの部分をもうちょっと拡大すれば、あと一冊分くらいの本が出来るのに、それをしなかったのはもったいない話だ。
<A> <楽>
02'12'24 夜の声
 著者の短編集。

 日本SFの第一人者は誰か?と聞かれたら、たとえどんな時代であっても、やはり私は著者の名前を挙げたい。著者作品と初めて遭ったのは小学生の時、ジュブナイルでだったが、その後高校になって本格的に読み始め、5年ほどかけてほとんどの作品を読んだと思う(そう言えば「首都消失」は死蔵してたな)。それでも時折、こう言った短編集なんかで読んでないのが時折発見されたりする。それにこれはとてつもなく私の好みだった。特に伝奇とSFの融合とも言える「女狐」(名前で安部清明の話と分かる人はそれなりの通だけど、今は増えてるんだろうな)は完全な衝撃だった。例えばこれが書かれたのが現代だったとしても、そのまま傑作として受けいれられるぞ。
 こう言う衝撃を受けるからこそ、SFは止められないねえ。
<A> <楽>