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宮部みゆき

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模倣犯

06'12'21 模倣犯 一
 かつて強盗殺人犯に家族を殺された少年塚田真一は、朝のジョギング中、なんとゴミ箱に捨てられた女性の手首を見つけてしまう。警察は早速これまでに失踪した若い女性の家族にそれを連絡するのだが、その中には半年前に孫娘が失踪したという、豆腐店を営む有馬義男がいた。そしてたまたま連続女性失踪事件を追っていたフリールポライターの前畑滋子…この事件を契機に複雑に人間関係が絡み合うなか、なんと当の犯人から犯行声明がテレビ局に送られてくる…

 前々から気になっていたのだが、つい読みそびれてしまった作品だった。ようやく読むことが出来たよ。
 人間関係が絡み合う中で知能犯を追うという形式の作品で、読ませ方も上手い。未だ姿は見せていないものの、犯人の方の描写もなかなか魅力あり。力作だけに楽しませてもらえそう
<A> <楽>
06'12'27 模倣犯 二
 一連の連続殺人事件が起こる数年前にさかのぼる。栗橋浩美は過ちから二人の女性を殺してしまった。その遺体をどうするのか、パニックに陥った浩美は思わず親友“ピース”に連絡を取るのだが、頭の切れる“ピース”はそんな時にも慌てず、二人分の死体を見事隠しおおせてみせるのだった。そして、それに味をしめた二人は、それから遊び半分に殺人を続けることとなる。だがそんな浩美を心配し、彼を見つめる目が…

 一巻目とはうって代わり、今度は犯人の側から事件を見るという倒叙ミステリーへと話は展開する。しかしここまでネタ晴らしをしておいて、一体どうやって話を作って行くやら。ぐいぐい読ませるのは流石だけど。
<A> <楽>

  

その他

11'09'13 R.P.G.
 連続して起こった二件の殺人事件。一見関係のない殺人に見えたが、警察が調査を進める内に、そこには共通性が見られることが分かった。一方の被害者所田良介はネット上で疑似家族を作っていた事から、警視庁はその“家族”を呼び出し、面通しをすることにしたのだが…

 表題のR.P.G.という言葉が全てを物語るワンアイディア作品。元々は短編で描くべき内容を強引に長編にしたような感じの作品なので、ややダレ場があったりするが、「模倣犯」と「クロスファイア」という言う著者の二つの作品に登場する人物が一緒に出ていたりと、そう言う遊びも面白い。
<A> <楽>
12'11'07 あかんべえ 上
 江戸深川に新しくできた料亭「ふね屋」。だがその最初の客が入ってきた時、客間に抜き身の刀が飛ぶという怪異が起こってしまう。実はここは30年前に悲惨な人殺しがあったという曰く付きの場所だったのだ。その娘おりんは何故かその家に入った時からこの場所に住み着く幽霊たちが見えていた。みんな人の良い幽霊ばかりなのだが、彼らもこの怪異が何故起こったのか分からないと言う。彼らの協力でこの怪異の調査を始めるおりんだが…

 著者の得意分野である時代劇ものと怪異譚を合わせた作品で、普通の怪談とは違った独特の話となっている。こどもを主人公にすることでマイルドさと、その背後にある情念を描こうとしているようだ。
<A> <楽>
12'11'09 あかんべえ 下
 ふね屋を見舞った怪異は続いており、店の営業もままならなくなってきた。人の良い幽霊たちも含め、おりんは幼いこの状況を何とかしようと頭を捻るのだが、良い案はまるで浮かんでこなかった。そんな時、ふね屋のお化け騒動を作った娘が人殺しをしたという事が分かってしまう。そして番所に行く前にふね屋で取り調べを受けることになったのだが…

 話はぐだぐだになってしまった感があるが、クライマックスにかけての盛り上がりはたいしたもので、人間と霊が入り乱れての痴話喧嘩といった風情。ただ、これまで読んできた著者の作品は、人を殺した人間を絶対に許さないという意志に溢れていたのだが、それがちょっと崩れてきた感じもある。
<A> <楽>
06'02'13 あやし
 江戸の町に起こる不思議な事件を描く時代劇短編集。「居眠り心中」「影牢」「布団部屋」「梅の雨降る」「安達家の鬼」「女の首」「時雨鬼」「灰神楽」「蜆塚」の9編を収録する。

 時代劇のホラー、言ってしまえば怪談話を描いた話で、著者らしく、短編でありながらも読み応えは満点で内容もきっちりしている。エンターテインメント作家としての著者の力量は改めて凄いと思う。決して読みやすい作品とは言えないが、大変楽しんで読むことが出来た。
<A> <楽>
03'07'01 火車
 休職中の刑事本間俊介は、久々に彼の前に姿を現した遠縁の青年栗坂から、失踪してしまった自分の婚約者の関根彰子という女性を捜し出してくれ。と頼まれる。リハビリを兼ねて調査を開始した俊介だったが、なんと栗坂の言う彰子は、全くの別人であったことを知る…彼女は一体誰なのか、どのようにして彰子とすり替わったのか。俊介は本式に調査を始めるのだが…

 カードローンの恐ろしさを題材とした推理作品で、上手くできた作品だと思う。意外性のある発端からきちんと筋道を立てたプロットがあり、落ちの部分まできっちりと読ませる。実に丁寧な作品。ただ、ちょっと巧みすぎた感があり、著者の溢れるパトスのような部分が見あたらない印象も受けるのだが…終始落ち着いた、その分推理が楽しめる作品。
<A> <楽>
04'06'03 堪忍箱
 著者の時代劇短編集。「堪忍箱」「かどわかし」「敵待ち」「十六夜髑髏」「お墓の下まで」「謀りごと」「てんびんばかり」「砂村新田」の8編を収録する。

 著者の時代劇作品は実はこれが最初。随分手慣れた文体だと思う。確かにやや軽さも感じないでもないが(比較対象が藤沢周平や山本周五郎だから較べるのが可哀想か)、読み物としては充分な作品ばかり。著者の作品の幅広さには感服するよ。
<A> <楽>
03'10'21 クロスファイア
 パイロキネティクス(発火超能力)を持つ青木淳子は、自らの能力を警察で取り締まることが出来ない凶悪犯罪者に対して用い、正義を貫こうとしていた。彼女の能力は絶大で、悪人を次々と火だるまにしていく。そんな彼女の前に現れた「ガーディアン」を名乗る謎の組織。そのエージェントで、人を操る能力を持つ木戸浩一が彼女に接触していく。一方、この連続放火殺人事件の担当となった刑事石津ちか子は、捜査を進めるに従い、これは超能力によるものと確信。ついに淳子を突き止めるが…

 いやはや。凄い著者だ相当な皮肉をこめてこう言わせてもらおう。
 発火能力を持つ女性と、その能力に目を付けて接触してくる政府の組織。日に関しての忌まわしい想い出の数々…って、これ、キングの「ファイアスターター」の設定そのまんまじゃ…それで青木淳子にガーディアンが付けたコード・ネームがそのまんま“ファイアスターター”。
 …元ネタをパクッたこと、隠そうともしてないじゃないか。これ、よく苦情が来なかったな。しかもこれって未見だけど映画にもなってるんだよな。良いのかなあ?そりゃこういったものの著作権って複雑で取り締まることは難しいはずだけど、ここまでやられると呆れるぞ。
 物語そのものは程良く緊張感があって構成も割合しっかりしてるのでそれなりに良い作品であることは認めるけど(ラストはちょっと尻切れトンボかな?)。キングファンだったら是非読んで欲しいぞ。それで呆れるか怒るかは判断に任せるけど(笑)
<A> <楽>
07'06'05 スナーク狩り
 信じていた男に捨てられて自暴自棄になった関沼鷹子が持ち出した猟銃。それが一年前に妻子を殺された男織口邦男の手に渡った。その事情を知る織口の同僚佐倉がそれを追う…数々の人間関係が錯綜する中、猟銃はどのように使われていくのか…

 ルイス・キャロルの詩の題名がある。と前に興味を持って買ってずーっと積ん読になっていた作品なのだが(これが本来著者の読書第一作になるはずだったんだが)、今になって読んでみると、なるほど著者はサスペンス作品が一番はまっていることを再認識させられた。読み応えもあるし、展開のスピーディさ、複雑な人間関係がぴたっと収まっていく過程など本当に良く出来ている。ただ一つ気になったのは、著者の描くキャラクタは被害者側は丁寧に描くのだが、加害者側は本当に典型的な悪になっている事。悪人は感情移入させなくて良い。という割り切りなのだろうか?
<A> <楽>
07'02'15 ドリームバスター
 現代の地球とは世界を異にする人間の世界。そこから逃げ出した凶悪犯人50人は精神体となり、地球の人間の夢の中に現れるようになった。そして凶悪犯を捕まえるため、やはり異世界から賞金稼ぎ“ドリームバスター”もやってくる。彼らの活躍を描く連続短編。「JACK IN」「First Contact」「D・Bたちの穴」の3編を収録する。

 著者は時代劇、推理劇、SFと数々のジャンルを描くが、そのどれもかなりの質を持っているのが特徴と言えよう。ただ、本当に面白いのは現代を描いた作品じゃなかろうか?その上手さを知っているためか、並の出来である本作は物足りなく感じてしまうな。
<A> <楽>
10'05'01 ブレイブストーリー 上
 三谷亘は両親と友人にも恵まれ、目下ゲームに夢中の小学5年生。だが小学校に美鶴という子が転校してきた頃から少しずつその生活に変化が訪れてきた。時折おかしな声が亘の耳に聞こえてくるようになり、更に両親の離婚と、徐々に亘の心がふさぎ込むようになっていった。だが、絶望にうちひしがれた亘の前に、新たな道が…

 一応ファンタジーという形態を取っているものの、内容はかなりハード。特に現代社会の子供に対するストレスがかなり厳しく描かれている部分は、読んでいてもかなりきついものがあり。てっきり子供向けかと思ったけど、対象年齢がよく分からない。
<A> <楽>