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ダイヤモンドアイ

ダイヤモンドアイ事典
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1973'10'5〜1974'3'29 

 川内康範監督による「新・三部作」と言われる一連のシリーズの「愛の戦士レインボーマン」に続く東宝作品。
 人間の暗い欲望を糧とし、自分たちが住みよい日本を作るためにやってきた(と思われる)前世魔人と戦うダイヤモンド・アイの活躍を描いた作品だが、この作品の特徴としてはダイヤモンド・アイは主人公ではなく、正義の心を持った人間雷甲太郎に呼び出されて戦う存在という点だろう。
 実は前世魔人の目的や行動は劇中はっきりとは分からないのだが、「心」をテーマにした作品で、人間は誰しも前世魔人へと変わる可能性がある事が暗示される。それに引きずられないように正義の心を持つ事が必要。おそらくはこの点が監督の描きたかった所だろう。
 変身しないとは言え、アイの助言を受け入れつつ戦い続ける甲太郎の姿を見せる事で人間的にも成長していく過程が楽しめ、実に骨太な内容となっている。特に後半になると、ヒロインとして敵幹部ヒメコブラ(蘭花)が登場。彼女を愛しながら、悪に染まった彼女の姿に苦悩し、それでも戦い続ける甲太郎の姿は健気で力強い。
 一方、人間が正体である前世魔人の正体を現す際「ば〜れたか〜」と叫ぶ掛け合いのシーンなどは当時の子ども達に大受け。それを受けてか、後半になるに従い、戦いもどんどんコミカルになっていった。
 思えば1970年代の熱さというものを最もよく示した特撮作品なのかも知れない。実際この作品のテーマとしてエコロジーや差別撤廃、地球市民などが登場。それらを作っていくのが「君たち子ども達だ」として終了するラストシーンは忘れ得ない感動を生じさせる。70年代を代表する作品の一本であろう。筆者も大好きである。
 新三部作を通して特徴的な点だが、アイは悪がこの世にある限り元のダイヤに戻る事が出来ない。彼は今も尚戦い続けているのだ。

主な登場人物
雷甲太郎 (役)大浜詩郎。映画ではいくつかの出演作があるが、代表作は本作。2010年1月29日に死去。
 本編主人公。「ライコウ」の愛称で知られる熱血事件記者。週間ジャパンの熱血記者だったが、様々な圧力によって自分の思い通りの記事が書けなくなり、フリーとなる。悪を憎む心は強く、この心がダイヤモンド・アイを呼び出す力となった。
ダイヤモンド・アイ  世界有数のブルーダイヤ“アラビアの王”の精で、神から遣わされた平和の使い。雷甲太郎の左手の“アラビアの王”から呼び出される。この世の全ての悪を倒さない限り元のダイヤに戻れないという宿命を持ち、日本で前世魔人を倒した後も、今も中東で活躍中だとか。
カボ子 (役)黒沢のり子。アクション女優として数々のドラマに出演。1980年頃に引退。
 本名高柳みゆき。実は高柳財閥の養女だったのだが、自分がいることで夫婦仲が悪くなったことに責任を感じて別居している。常に五郎と共におり、甲太郎の良きサポート役となっている。いつもカードを持ち歩き、占いをしたりカード投げで甲太郎を救っている。
五郎 (役)福田悟。
 甲太郎の後輩のカメラマン。カボ子と共にスナックサンダーを経営しており、甲太郎の良きサポート役。
蘭花
ヒメコブラ
(役)隅田和世。
 15話よりキングコブラの娘として登場。卑怯者揃いの前世魔人の中にあって正々堂々とした戦いを好む。甲太郎とふれあう内に前世魔人としてではなく人間の女としての感情が強くなり、最後は父キングコブラに殺されそうになった甲太郎を庇って絶命。その犠牲の心によって人間として再生されるに至る。
雷勝子 (役)菅井きん。実に様々な作品に出演。「必殺!」シリーズの母親役としてブレイクした。82歳で映画に主演し、世界最年長の主演女優としてギネス保持者。
 甲太郎の母親。曲がったことと嘘が大嫌いで、人前で甲太郎のお尻をぶつなど、なかなか凄い人。役は菅井きん。存在感は別格だ。
話数 タイトル コメント DVD
第1話 わが名はダイヤモンド・アイ

  脚本:伊東恒久
  監督:高瀬昌弘
 モトクロスレーサーにして熱血記者の雷甲太郎はこれまで半年をかけ、政財界の黒幕大沢山剛造の脱税疑惑を追っていた。知り合いの海藤警部が追っている香港暗黒街の王源海龍が大沢ヤマト接触したと睨んだ甲太郎は身の危険も顧みず日本にやってきた源を追う。命を狙われた甲太郎だったが、その時源がかつて強奪したブルーダイヤが輝いて…
 敵はモージンガー。キングコブラと通じた大沢山の秘書西田の正体。瞬間移動の能力を有するが、ロイヤルパンチで砕け散った。
 川内康範新三部作の第二部に当たる作品の開始の話。ダイヤモンド・アイの登場が描かれる話だが、川内氏は映画で無国籍シリーズを扱ったこともあってか、それっぽい作りになっている。設定とか台詞が大時代的とか、全てオーバーなれど、それが楽しい。
 何の罪もない母子が、ただキングコブラと合ったと言うだけで利用されて殺されてしまうと言う描写あり。大変な描写だ。
 ダイヤモンド・アイの最初の台詞は「この世の平和を乱す悪霊ども。神に代わって天誅を下す」。大時代的な台詞で、陳腐にさえ聞こえがちなこの台詞が何故かはまる。それがダイヤモンド・アイの魅力と言う奴だろう。
<甲太郎の母親役は菅井きん。これだけでどれだけ性格がきついか分かろうというもの。モトクロスレース会場に現れると、大声を張り上げて甲太郎のバイクを転倒させてしまい、その後いきなりお尻ペンペン…凄い描写だ。
 ちなみにここでの「ばれたか」はキングコブラが言ってるが、まださほど個性的ではない。
 ダイヤモンド・アイはこの世の全ての悪を倒すまでダイヤには戻れないそうだ。だとすれば、今もなお戦っているのだろう。>
VOL.1
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第2話 前世魔人を倒せ!

  脚本:伊東恒久
  監督:高瀬昌弘
 源海龍は日本の財産全てを奪い尽くすというハリケーン作戦を発動した。「アジアの資源を調べる会」のダン会長に化けた源は大沢山に国内潜伏を助言し、大沢山の自らの黒い資金を隠滅しようとする。甲太郎は大沢山の税理士中村
 敵はサタンバット。源海龍の放った刺客の陳の本性で、コウモリに鬼の顔を付けたような姿をしている。前世魔人の中で唯一飛行能力を持っている。
 金を中心とした話になるため、物語はかなり複雑。人間関係の描写に力が入れられており、ドラマ性は高く、更に自然発火の謎を科学的に考証するなど内容も多彩。実に内容が詰まっていた。勿論「ばれたか」もしっかり演出。
 アイの台詞「醜い亡者め。思い知らせてくれる」
<ガソリンを体に振りかけられた男がいきなり発火するとか、凄い描写が光る。
 警察に捕まった甲太郎がいきなり取調室から脱走。これって重大犯罪だろ?
 甲太郎が強引に乗り込んだ車に乗っていた京子という女性は実は…なんてご都合主義。>
第3話 ハリケーン作戦準備完了!

  脚本:伊東恒久
  監督:六鹿英雄
 大沢山は死んでいなかった。源海龍は大沢山が信用する人間を次々と殺害し、孤立させようと言うのだった。そして次の標的は竜神代議士。それを知った甲太郎は竜神を守るべく行動を開始するが…
 敵はヒトデツボ。腹に巨大な毒壺を持つ魔人で、そこから溶解液を出して攻撃する。ここでは“片目のタイガー”という殺し屋に化けている。
 相変わらず政治劇に深く関わっているので、物語はかなり複雑。そこをしっかり最後はアクションに持って行っている。
 今回多数の前世魔人が「ばれたか」を連呼してる。その戦闘員だが、ここから赤いマスクをかぶるようになった。
<甲太郎は警察から逃げ回っているのに、殺人現場に居合わせても、代議士を拉致しても全く問題ないらしい。
 タイガーは凄腕スナイパーと紹介されている割りに、マシンガンを乱射しても全く弾が当たらない。大体竜神を殺せと指令されてるのに、肝心の竜神を殺そうとしてないのが問題だろう。
 タイガーに襲われた竜神は子供を盾にして「私は日本国民の大多数に選ばれた代議士だ!」と叫ぶ。それは確かだろうけど、自分でそれを言ったらおしまいだよ。しかもその後で「こんな子供の命に替えられるか」と叫んでる。偽善者そのまま。>
第4話 挫けるなライコウ

  脚本:伊東恒久
  監督:六鹿英雄
 源海龍によるハリケーン作戦は着々と進行していた。そこで不要になった大沢山を始末するため、源はマシンガンのジョーを呼び寄せる。一方、大沢山の娘京子は、父が一連の殺人事件の参考人として警察に追われていることに思いあまって甲太郎に連絡を入れる…
 敵はケラリン。河童のような姿をした前世魔人で、不気味な笑顔が特徴。空を飛ぶことも出来る。マシンガンのジョーの正体。
 話としてはそのまま前回からの続きだが、簡単に人が死んでしまう。しかも本当に、「単に邪魔になった」というだけというのがリアルというか、救いがないというか…乾いた描写だなあ。ダイヤモンド・アイは光がないと呼び出せないという、一種の弱点が明らかになった話でもある。
 甲太郎のサポートしてるカボ子はいつもトランプをいじっているが、そのトランプを手裏剣のように飛ばすという特技を持つことが分かった。かなり魅力たっぷりにえがかれている。それにいつも甲太郎を目の敵にしている海藤警部が、実は一番甲太郎を心配してるとか、人物描写が特に良く描かれている話となっている。
<甲太郎の元に送られてきた時計は時限爆弾であることをあっという間に感づく。凄い察しの良さだ。
 マシンガンのジョーは戦闘員によって身動きが取れなくなった甲太郎に向かってマシンガンを乱射するが一発も当たらない。それで「最後の一発だ」とか言いつつ、実は又乱射…一体こいつの言う「一発」って何発あるんだろう?
 そのマシンガンのジョーが前世魔人ケラリンであることが分かった時、歌舞伎の仕手を演じながら「ばーれたかー」と演じてる。たいした演出だ。
 ケラリンは戦ってる最中にも頭をつるつると撫でてる。特徴がよく現れてるけど、現代ではとても出来ない演出だ(特定の人を馬鹿にしてるように思えてしまうから)。
 キングコブラは両肩にいる二匹のコブラから弾丸を発射できる。しかし、それに当たったのは前世魔人ばかり。こいつの狙いも無茶苦茶だ。>
第5話 消えた20億!

  脚本:伊東恒久
  監督:高瀬昌弘
 大沢山の財産全てを手に入れた源海龍の次なる目標は見国化学工業の社長。見国化学工業の不正をタネに財産を奪い取ってしまおうというのだ。その前に源は甲太郎を亡き者にしようとするのだが…
 敵はワレアタマ。本当に頭が割れていることが特徴の前世魔人。変身するのは首切りジャガー。シルクハットに燕尾服姿というイギリス紳士っぽい風貌をしてるが、大鎌とブーメランを手に持っているのがなんかミスマッチ…なんと役は黒部進。正義の味方では食っていけないから悪に転向したか?「ばれたか」はあっさりしすぎだった。悪役をやるには声の質があっさりなんだな。
 新展開。公害問題に直接関係した話で、これも川内作品に特徴的なものとなっている。工場の権益を守るためには暴力的な警備員。それでも駄目なら暴力団を繰り出すという、ちょっと極端な企業の姿が描かれる。
<海に来た甲太郎は京子の幻影を見るが、甲太郎の問いかけに嫌々と首を振ってる。幻想でさえ振られてしまうのも可哀想だな。
 首切りジャガーは甲太郎の家にまで押しかけてくるが、大鎌を持ったまま。これ持って歩いてきたんだろうか?
 大沢山の初七日にやってきたのはアジアの子供が手をつなぐ会の総裁と、北見、そして甲太郎だけ。有力な政治家だったはずだけど。
 ダイヤモンド・アイと戦いの最中に甲太郎に脚を捕まれて邪魔され、思わず大鎌で甲太郎を殺そうとするワレアタマ。しかし、背後にはダイヤモンド・アイがいるという事実…目の前のものしか見えなくなるタイプだな。>
第6話 ライコウ絶体絶命!

  脚本:伊東恒久
  監督:高瀬昌弘
 見国社長が狙われていることを知った甲太郎は見国を訪ねるが追い返されてしまった。しかしその指に輝くダイヤから、ハリケーン作戦の全貌を推測し始めるのだった。京子からダイヤマニアの北金の名を聞き出した甲太郎は捜査を開始する。
 敵はゲララチン。ハサミムシのような風貌をした昆虫型の前世魔人。変身するのはドリル。マシンガンやロケット砲を内蔵しているアタッシュケースを武器としている。自慢げにアタッシュケースを見せびらかしていたら、その金具に太陽光が反射し、ダイヤモンド・アイを登場させてしまう。猫マスクの旦那で、ダイヤモンド・アイに倒された際、猫マスクに仇を頼んでいる。
 ダイヤを買うことで脱税させるというのは今でも普通にやられていることだが、こんな経済的な話を子供番組でやることが凄い所だ。
 アイは常に手にしているステッキを奪われると途端に弱くなってしまうことが分かった。意外に弱点が多い。それに甲太郎とアイの関係が源海龍にも知られてしまった。
 京子は保育園の園長先生になれてご満悦の様子。しかし
 源海龍の言葉。「太った豚どもから一円残らず巻き上げるのだ」。
<アタッシュケースに仕込まれているロケット砲を自慢げに見せたドリルはそれを至近距離にいる甲太郎に向ける。このままでは自分まで吹っ飛ぶぞ。
 猫マスクを演じているのは塩沢とき。甲太郎を逆さ吊りにして鞭でしばくとか、無茶苦茶な描写が見られる。>
第7話 死の壁を砕け!

  脚本:田村多津夫
  監督:高瀬昌弘
 アイが倒したドリルの妻猫マスクに拉致され、逆さ吊りにされた甲太郎を助けたのはカボ子のトランプだった。甲太郎はカボ子と二人、逃げた猫マスクを追うが罠にはまってカボ子を連れ去られてしまうのだった…
 敵はケロキャット。女性型の猫型前世魔人。猫マスクの正体。電気鞭を使って攻撃する。声も塩沢ときが演じているが、悲鳴のような叫び声もなかなか凄まじい。
 この猫マスクだが、SM用のマスクを付けたかなり強烈なキャラで、大柄な体型に見合って迫力充分。「手間のかかる誘拐などしない」と言った直後で実際に誘拐してたりと、結構矛盾のあるキャラだ。塩沢ときが演じており、ケロキャットの正体が暴かれた時も勿論「ぶぁれたきゃ〜」は塩沢本人の声で演じてる。
 公害問題と企業倫理の問題に直接言及している話であるにもかかわらず、何だか全体的に猫マスクの強烈なキャラクタ性に全部持って行かれた感じで、印象としてはそれしか残ってなかったりする。
<猫マスクはカボ子を騙すために素顔を露わにするのだが、直後SMマスクを身に纏うと言うシーンあり。悪夢に出そうな強烈さだった。
 源海龍は京子の保育園を援助するが、遊戯している子供達を見てる姿は本当に楽しそう。で、次の瞬間源海龍の姿に戻ると急に渋い声に変わる。これがこのキャラの魅力だろう。
 朱玉の取引現場を発見する甲太郎にアイは力づけるように、「行け。愛と正義で献身する道を」と叫んで道を示す。ただ、本人もケロキャットと戦っているため、本当にただ道を示しただけで、甲太郎は武器持った戦闘員と一人で戦わなければならなかった。しかもアイはその姿を見て頷くだけで去ってしまう。
 浜岡社長の弱味を握った源海龍は取引を持ちかけるが、結局金を受け渡す前に射殺されてしまった。何のための取引だったんだろう?
 次回予告のナレーションがなかなか面白い。「よしなライコウ、無駄なこと」「ばれたかばれた、ばればれた」とか…特撮ではお馴染みの中江真司が大まじめな声でこれを言うのが妙に笑える。>
第8話 黒幕を追え!

  脚本:田村多津夫
  監督:高瀬昌弘
 目の前で浜岡を殺されてしまった甲太郎は、浜岡の秘書だった日野に接触し、浜岡は事件当日「アジアの子供を守る会」からの電話を受けていた事を聞かされるのだが、その直後に日野も銃撃されて息絶える、「アジアの子供を守る会」が怪しいと睨んだ甲太郎だが…
 敵はサタンバットおよびヒトデツボ。どちらも既にアイに倒された前世魔人だが、今回はそれぞれ用心棒のが変身。
 甲太郎の地道な捜査が描かれる話で、人間関係の描写が主。一旦食らいついたら命を狙われようと絶対食らいついて離れない甲太郎の記者魂には頭が下がる。
 勿論アクションもちゃんとあって、今は無き二子玉公園でジェットコースター上で甲太郎が戦ったり、ダイヤモンド・アイとの戦いは魔界に引きずり込んでの戦いとなっている。
 ところでサタンバットおよびヒトデツボは「サタンバット一族の仇」「ヒトデツボ一族の仇」と言ってアイに襲いかかってくるが、これによって同じ怪人が次々出てくる事の理由付けがされているようだ。
<カボ子は甲太郎のお見舞いのカードを使って手品を行ってる。カードの柄を変えたりするマジックは、もらったばかりのカードで出来るもんなのか?数多くのカードを隠し持っているんだろうか?
 サタンバットおよびヒトデツボの登場シーンは明らかに歌舞伎の仕手を研究していることが分かる。ポーズが決まりすぎ。
 
 今回の予告ナレーションもなかなかの暴走。「こうしてああすりゃこうなって、お金がいっぱい手にはいる。おーっとどっこい男ライコウここにあり。そうはさせじとはせ参じ、力一杯戦えど、とっつかまって縛られた」。これ聴いてるだけでも楽しい。>
VOL.2
<A> <楽>
第9話 宝石展示会の陰謀!

  脚本:田村多津夫
  監督:六鹿英雄
 陶と貂を下したダイヤモンドアイ。そして「アジアの子供が手をつなぐ会」が怪しいと睨んだ甲太郎はダイヤの展示会に潜入するが、その動きは既に源海龍の知る所だった。魔人達に捕らえられてしまう甲太郎だが…
 敵はワレアタマ。首切りジャガーの仲間バイパーが変身する。
 前回終了が戦いの最中で、冒頭決着付くのは「レインボーマン」からの伝統。懐かしい形式を見た感じ。
 今回は全般的に甲太郎の活躍は控えめで、その代わりカボ子と五郎の活躍が目立つ。脇キャラを丁寧に描くのは好感度が高い。結構この二人良いコンビだ。
<宝石展示場になかなか入ることが出来ない甲太郎。それを尻目に悠々と変装術を駆使して入り込んでしまったカボ子。能力の高さは認めるが、結局何も出来なかった。単に登場しただけか?
 そのカボ子は宝石展示会場から急病人に見せてアタッシュケースを搬出するところを発見。その際「もしかして、お金(かね)ちゃん」…ちゃんって何だ?ちゃんって?
 で、その救急車を車で追ったカボ子はついレースに夢中になり、救急車を追い抜いて勝ち誇る。勝ってどうするんじゃ!
 それでもカボ子は執念で源海龍の居場所を発見。目の前で甲太郎が殺されそうになっているのを見て、「警察に行こう」と去ってしまう。リアルではあるけど、ちょっと冷たい。
 源海龍が久々にキングコブラに変化。その際、歌舞伎の仕手しながら「あ、ばーれたーかー」と見得を切る。更に戦闘員達が牛頭人や馬頭人になった時は、一人一人が「ば」「れ」「た」「かー」と一々。これも面白い。
 アイによって首を落とされた(というか、キングコブラの杖で落とされたのだが、その首が攻撃をかけてくる。ところが何故かキングコブラの方に向かってきて、「こっちじゃない。あっちあっちあっち」とか焦るのが面白い。更にアイ・ステッキを回転させたら魔人達は目を回して倒れてしまった際、キングコブラは「こーのばーかたーれのくそたーれー。とーんぼのよーにめーをまわしおーってー」…人間の時と違って独特のイントネーションがあるな。>
第10話 モージンガー大反撃

  脚本:伊東恒久
  監督:高瀬昌弘
 アイ抹殺のために悪霊界から呼び寄せられたモージンガーは殺し屋ホークとしてモンちゃんをさらい、追ってきたアイを地獄トンネルに閉じこめてしまう。光の差さぬ場所で力を失い、更に地獄の輪に縛られたアイは絶体絶命の危機を迎える。
 敵はモージンガー。神父の格好をした殺し屋ホークの正体。神父の姿をして、手にした聖書には銃を仕込んでいた。
 シリーズ最大の危機が描かれる話で、ダイヤモンド・アイは光がないと力を発揮出来ないという弱点を巧く突いた攻撃が展開する。更に甲太郎までもが銃撃を浴びて一旦死亡。重めの話だが、最後はちゃんとめでたしめでたし。
 光の差さない場所でも、汚れを知らない子供の涙があれば活動が可能。出来過ぎな話には違いないけど、これはこれで感動ものなんだよな。
<モージンガーとなったホークの「ばれたか」はなんと体操をしながら。その後アイを放っておいてアイ・ステッキを巡り、モンちゃん、海藤刑事と追いかけっこ。コマ落としで展開される姿は大変コミカル。>
第11話 ケラリン族の大挑戦

  脚本:田村多津夫
  監督:高瀬昌弘
 アイに金塊強奪を邪魔された源海龍はエルドニア国大使に化け、金塊強奪を計画していた。一方北見は“アジアの子供が手をつなぐ会”の総裁が実は源海龍であることを知ってしまう。源海龍に騙されていた事実に怒る北見だったが…
 敵はケラリン殺し屋サタンの正体。スーツの中に無数の手裏剣のようなナイフを持っている。総裁の正体を知った北見を殺そうとする。甲太郎を狙った時は余裕の見せすぎで左目を潰されてしまった。正体を見破られた際には「ばーれたか。ふへへへ」とか笑ってたし、戦いも終始笑いながら。正体見せた後の方が活き活きしてる。アイのステッキ光線やロイヤルパンチまでも避けてしまった(一発だけだけど)。
 今回はゲストキャラである北見が中心となった話。これまで大沢山を殺した犯人として甲太郎を憎んでいた北見がようやく真実を掴むが、そのために殺されてしまった。主要人物の死ということでかなり重い話となった。
 甲太郎は源海龍の前でアイを呼んでしまったため、完全にその繋がりがばれてしまった。
 アイは源海龍の罠にはまって地中深くに閉じこめられてしまったが、アイリングを投げ込むことで復活。なんでも「甲太郎と北見の友情の力」によるものだそうだ。
 これが現代の作品だったら、アイが超能力を使って死んだ北見を生き返らせる描写があるんだろうけど、ここでは死んだまま。この方がリアルなんだけど。
<甲太郎を狙ったサタンは余裕を見せて笑いながらナイフを投げつけていたが、逆襲されて左目にナイフを刺されてしまった。更に胸にナイフが刺さったまま死にきれずに蠢いている北見とか。こんな描写今じゃ出来ないよなあ。>
第12話 ゲララチンの総攻撃

  脚本:田村多津夫
  監督:六鹿英雄
 源海龍はハリケーン作戦の総仕上げとして湯浅博士が開発したレーザー光線発生器強奪を計画。殺し屋ウルフを研究所に差し向けるのだった。丁度近くで経営を始めた京子の孤児院の子供“キャプテン”は偶然その現場で集光レンズを拾ってしまう。
 敵はゲララチン殺し屋ウルフの正体。赤いスーツにちょんまげという妙な格好の殺し屋で、白バイ警官に化けて盗みをはたらくとか、時事ネタも取り込んで(?)いる。正体ばれた時の台詞は「ばれたか。あ、ばーれたか」。戦いはとてもコミカルで、ゲララチンが逃げ回っているのをあっけなくロイヤルパンチで粉砕。発射されたロイヤルパンチからも必死に走って逃げようとしてた。
 前半のクライマックス近くだが、前回で話の肝であった北見が殺されるというショッキングな展開の後で、なんだか妙なコミカルな話になってしまった。これはこれで楽しい。
<偶然白バイ警官とすれ違った甲太郎は、突然そいつが源海龍の手下である事を見抜き、突っかかっていく。勇気と言うよりは無謀だ。まあ、特撮の常でその通りなんだが。
 崖から戦闘員が突き落とされるシーンがあるが、よく見ると本当に突き落としている。怪我どころじゃないんじゃないか?
 甲太郎とアイの関係は既に分かっているのに、殺し屋ウルフは甲太郎に対し余裕見せまくって、いたぶり続ける。一発で殺せるのに勿体ないことを。
 ウルフの正体はゲララチンだったが、人間体だと割と渋めなのに、ゲララチンになった途端逃げ癖がついてしまった。普通逆じゃないのか?>
第13話 キングコブラの大決戦!

  脚本:伊東恒久
  監督:六鹿英雄
 源海龍は最も信用する秘書朱玉を遣わし、レーザー光線発生器の集光レンズを手に入れようとする。キャプテンが人質に取られてしまい、単身基地潜入を試みる甲太郎だが…
 敵はケロキャット。源海龍の秘書として長く登場してきた朱玉がその正体を現した。円盤付きの鎖を振り回して攻撃し、ロイヤルパンチも特殊な盾で防いでしまう。自分の繰り出した円盤を投げつけられて腹に刺さった上でロイヤルパンチを受けて倒される。正体ばれた時の台詞は「あーら。ばれーたーわー」とシナを作りながら。
 前半の最終話。源海龍の秘書朱玉がここで退場し、ハリケーン作戦が終了する。一応最後にキングコブラとアイの一騎打ちも描かれてはいるが、これは痛み分け。元からそうだったが、前世魔人とアイとの戦いはますますコミカルさを増してきた。
 アイが甲太郎に言う台詞も、これまでの「〜するのだぞ」から「〜しよう」へと変わってる。仲間として認めたって事だろうか?
<子供の腹を殴ったり倒れた所を足蹴にしたり、挙げ句にバケツの水をぶっかけるなど、かなり凄い描写があり。児童虐待になるので現代では到底作ることが出来ない。
 話の展開上仕方ない部分はあるんだけど、これまで全く分からなかった敵基地があっけなく発見されてしまう都合もなんだかいい加減。敵が罠を張ってるなら、そう言う部分が欲しい。
 赤外線を浴びて目が見えなくなってしまった甲太郎とキャプテン。お互いに手探りで相手を探す訳だが、こちらからは二人とも丸見えなので、ドリフのコントのように見える。それに画面が真っ赤だから目が痛い。
 キングコブラはロイヤルパンチをものともしない。具体的には太刀をバットに変えて両手で握りしめて振り切るとロイヤルパンチがはじき返されてしまう。まるで一本足打法のような格好もあり。>
第14話 新たな敵ヒメコブラ

  脚本:田村多津夫
  監督:高瀬昌弘
 悪霊界で甦ったキングコブラは、自分の力が未だ戻っていないために娘の蘭花=ヒメコブラを日本に呼び寄せ前世魔人のリーダーとする。蘭花は早速自分の敵を知るため甲太郎に近づくが、蘭花の正体を知らない甲太郎は彼女を家に誘うのだった。
 敵はサタンバットコンドルの正体。脅威のジャンプ力を誇る殺し屋だが、甲太郎の母親を人質に取ったため、その卑怯さを蘭花に叱責されてしまう。正体ばらされた時は「ばれたかー」とそのまま。強烈なサーチライトを使ってアイの動きを封じ込めた上でアイ・ステッキを奪うが、甲太郎の機転でステッキを取り戻したアイによって倒されてしまう。
 第2クールに入り、ヒメコブラおよびオニカブトン(まだ正体表してないけど)が登場してくる。ヒメコブラの人間体は蘭花と言い、決して悪い性格のキャラじゃないのだが、生まれが生まれだからと受け入れている節がある。悪人に徹しきれないキャラクタというのはこの当時では珍しい。
 1話に続き甲太郎の母勝子が登場。この人の存在感は一種別格。強烈な印象を残してくれる。
<甲太郎に心惹かれる蘭花が涙をこらえて走るシーンがある。画面に向かってスローモーションで走るって…うわっ恥ずかしい演出。>
VOL.3
<A> <楽>
第15話 魔の穴!!ヒトデツボの猛毒

  脚本:伊東恒久
  監督:高瀬昌弘
 蘭花は百点塾という学習塾を開き、多くの子供達を集めた。そしてドリームXという悪霊界の薬品を使って集まってくる子供達を奴隷にしようとする。甲太郎は子供達にのびのび育ってほしいと青空塾を開くが…
 敵はヒトデツボ百田というスパルタ塾である百点塾の塾長。大きな腹をポンポンと叩きながら「ばれたかー」と叫んでた。それ以外にもゲララチンとワレアタマが登場するが、アイの起こした風で吹き飛ばされてしまった。ヒメコブラと甲太郎との戦いもちゃんとあり。こう見てみると、特撮ものでは珍しいことにヒメコブラにはちゃんと胸があるんだな。
 話は直接的なものから精神的なものへと移っていき、社会問題へと直接結びついていくようになってくる。今回は教育問題についてだった。でも、この当時の教育を受けた人達が今や日本の中枢を担うようになってる訳なんだよな。
 詰め込み教育に対抗するかのように、今回の甲太郎は子供達をのびのび育てようと、率先して遊び回っていた。
 戦いのコミカル描写が拡大。特に牛頭人馬頭人はもはやアイとまともに戦うことさえ出来ず、マントの一振りでまとめて吹っ飛ばされてしまう。アイ・ステッキを巡ってヒメコブラが子供達と追いかけっこしてる描写もあり。
 そうそう。ここから怨霊逃散洗礼光線が出てくるようになった。
<冒頭、悪霊界で治療を受けてるキングコブラの姿が見られるが、重傷でヒメコブラの看護を受けてる姿は、ほとんど時代劇の「いつもすまないねえ」の世界。
 百点塾の塾長である百田は甲太郎の質問に素直に答え、早期教育なんて意味がないと断言。言っちゃいけないことだろうに。>
第16話 秘術!!電光ワレアタマ

  脚本:伊東恒久
  監督:六鹿英雄
 子供達によって結成された社会奉仕活動の「ニコニコ会」に目を留めた蘭花は子供達を改造し、会を「少年悪魔団」に変えてしまう。そして甲太郎をその団長だと吹聴し、社会的に抹殺しようとするのだった。昨日までの純真な子供達の突然の変貌に絶望する甲太郎だったが…
 敵はワレアタマ殺し屋ゲルバの正体。ナチス風の軍服に身を包んでおり、子供達に悪の心を埋め込んで悪の尖兵にしようとする。変身後、電撃を使った攻撃を行っていた。そして今回初めてキルトの正体がオニカブトンであることが明かされ、ワレアタマ、ヒメコブラと連係攻撃を行っていた。ちなみに正体がばれた時の言葉は「これまた、ばーれたーかー」だった。
 純真な子供が利用される事が描かれた話で、子供達を信じる甲太郎の絶望が描かれる。更に子供に対してヒーローは手を出せないという不文律を悪用され、甲太郎は殺されそうになるし、挙げ句に五郎までも悪の心を埋め込まれてしまった。
 大人の無分別と、明日を担う子供達の純粋さがピックアップされた話は特撮ではよくあるパターン。しかしこれを外しては特撮は語れない。
 特撮的にも結構凝った部分があり。ゲルバのアジトはサイケデリック風だったり、ヒメコブラとの戦いではお互いに姿を消したまま、足跡だけで戦いを演出したり、ワレアタマとの戦いでは合成多用。力入ってた。
<冒頭で「ニコニコ会」がやくざ風の男を注意するシーンあり。で、その男は逆ギレして子供達をぶん殴ろうする…現代では出来ないけど、むしろこっちの方が真摯に番組作りしてるよ。
 今回初めて甲太郎は相談のためにアイを呼び出すが、その登場はいつもと同じ。単なる相談に派手極まりない。
 アイの言葉「前世魔人の手によってあの少年達は汚されたのだ」…ま、確かにその通りなんだけどさ、言い方がやばくない?>
第17話 ケロキャットの大勝負

  脚本:田村多津夫
  監督:六鹿英雄
 「日本をよくする会」というビラを撒き、それに集まってきた青年を改造する魔倫。五郎の幼馴染み真吉もその罠にはまり、多くの若者と共に悪の心を植え付けられてしまうのだった。真吉を信じる五郎と共に真吉を助けようとする甲太郎だが…
 敵はモージンガー。魔倫の部下であるマッドの正体。鉢巻きにシンプルな制服姿で、まるで盾の会の会員みたいだ。その割りに変身してしまうと途端にコミカルになってしまいギャップがあり。そして蘭花の配下になった魔倫。非常に冷徹なキャラで、蘭花のお目付役でもあり。
 日本の前途に不安を覚える若者を洗脳するという話で、現代では話そのものが成立しないという問題があるが、当時の雰囲気に浸ることが出来る。それだけみんな一生懸命に日本の将来を考えていたんだな。話を観ていると、色々思わされるよ。
<甲太郎が気絶しているにもかかわらず、その危機にアイはやってくる。実際に甲太郎の呼びかけは不必要になったと言うことだろうか?
 多数の若者によって足蹴にされて瀕死となってしまった甲太郎。これも今や描写出来なくなったものだな。
 アイは呼び出されてその場で戦っていても、ほとんど移動をせず、甲太郎の呼びかけを待っているだけ。深海調査艇みたいな存在だな。>
第18話 オニカブトンの大脱走

  脚本:田村多津夫
  監督:山田 健
 蘭花はドリームXをカプセルに入れ、銃弾として撃ち込むという計画を立てる。最初の標的として選んだのは海藤警部の娘婿大川だった。刑務所の役人である彼は囚人に次々とドリームカプセルを撃ち込み前世魔人にした上で逃がしてしまうのだった。
 敵はサタンバット。名無しのキルトの部下だったが妙に強い。呪文を唱えると暗闇を作り出すことが出来、アイを苦しめた。
 貯水池に毒を投げ込むという古典的な作戦が展開する中、それを止めようとしたアイが機動隊によって攻撃されてしまう。正義の味方と言っても、それが私的なものであれば、法的に言えば犯罪である。
<アイを攻撃した機動隊は肝心の大川達を放っておいて歓声を上げていた。本当に機動隊も前世魔人になってしまったのか?…と思ったら本当にその通りだった。
 今回甲太郎は肝心な時になると二度も気絶してしまい、アイの活躍を観られないままだった。>
第19話 キングコブラの大復活

  脚本:田村多津夫
  監督:山田 健
 これまで失敗続きの蘭花は一人で作戦を遂行。黒須航空社長の娘理恵を使ってドリームカプセルを撃ち込む。航空機が次々とニアミスを起こす事件を起こす。そんな時、記憶を失い町を彷徨う理恵を助けたカボ子だったが…
 敵はゲララチン。名前のない源海龍の手下で二刀流の使い手。
 蘭花と甲太郎の関係が描かれる話だが、アイに破れて静養していた源海龍ことキングコブラが復活し、そこに茶々を入れられてしまう。
 物語としては、航空機の正面衝突という、作戦としては最も派手な話が展開するが、実質的には全て未然に防がれることとなる。
 東京タワーにあるお化け屋敷に誘い込まれた甲太郎は地下で幻覚を見せられる。作りもなかなか凝ってるけど、壁から多数の手が出てきて少しずつ少しずつ迫ってくるのは悪夢だな。『悪魔のえじき』みたいだけど、こっちの方が先。ホラー風味が強くて面白い。
<「いくらダイヤモンド・アイを呼ぼうとも(航空機衝突は)防げまい。と高笑いする蘭花。だけど、通信装置を破壊しただけで済んでしまった。作戦が甘すぎるって。>
第20話 ヒトデツボ地獄の大竜巻

  脚本:伊東恒久
  監督:六鹿英雄
 蘭花は病院を乗っ取り、そこを頭脳改造作戦に着手する。更に患者の一人雪子を改造し、甲太郎のバイクに衝突させて甲太郎を病院に誘い込むのだった。
 敵はヒトデツボ。人間体はデムラ。病院の院長になりすまし、そこを頭脳改造の拠点にしようとしていた。これまでで一番強い敵のようだ(キングコブラも含め)。
 話はいつものような感じだが、ダイヤモンド・アイの戦いは深刻さを増してきており、今回はアイが悪霊界に引きずり込まれる描写もあり。
 洗脳された入院患者が大挙して甲太郎を襲うシーンは迫力満点。この辺の描写が川内康範の特長と言える。
<蘭花が雪子に施した暗示は「甲太郎の血を見たら飛び降りろ」というもの。甲太郎を殺させようとした訳だが、手から血が出ただけで暗示通り自殺しようとする。暗示方法がまずかった。
 甲太郎を捕まえることに成功した蘭花。気絶している内にアイリングを奪ってしまえば良いのに、何にもしてない。いや、ガムテープくっつけてアイを呼び出せなくはしてるんだけどね。
 蘭花に向かい、「君のお母さんは優しい人に違いない」と決めつける甲太郎。思いこみが激しいぞ。>
第21話 キングコブラ大処刑作戦

  脚本:伊東恒久
  監督:六鹿英雄
 ヒトデツボによって悪霊界に引きずり込まれたダイヤモンド・アイは甲太郎の投げ込んだアイリングによって危機を脱し、ヒトデツボを下す。蘭花は標的を甲太郎と仲間達に絞り、彼らを罠にはめて処刑しようとする…
 敵は前回に続いてのヒトデツボサタンバット。黒いシルクハットにマントという出で立ちのゲランという男。人間体では五郎とカボ子をさらったくらいしか存在感無かったが、正体を見せたらぶつぶつ早口で呟きながら戦っている、妙な存在感のある敵だった。
 ダイヤモンド・アイには敵わないのだから、甲太郎を殺せば済む。この単純な方式をこれまで全く取ってなかったのが不思議な話だが、確かにこれが一番の危機だよね。
 ダイヤモンド・アイを呼び出せるのは甲太郎のみだが、左手にアイリングが装着されてないと駄目らしい。一旦呼び出せしさえすれば、左手に戻って来るみたいだが。
 今回舞台は採石場らしいが、五郎、甲太郎、カボ子がそれぞれ牛頭人、馬頭人と戦ったり、フィルム逆回しで戦ったり、切り立った崖から次々に落下するシーンあり。アクション部分には大変力が入ってる。
<甲太郎を殺してしまえばアイは呼び出せないのだから、甲太郎に的を絞った作戦はいいんだけど、やってることは人質取って甲太郎を呼び出すだけ。これじゃ意味がないような気がするんだけど…それで素直に従う甲太郎の方も問題あるけど。
 キングコブラが前戦で戦ってるけど、結局前世魔人どもを前に出し、「どいつもこいつも質が落ちゃがって」とか言いつつ逃げていた。源海龍の渋さと良い対比をなす情けなさぶりだ。
 アイと戦っているサタンバットはぶつぶつ呟いてるが、その台詞は「やめてやめて、やめてよ。ねえ、どうすんの?どうする気?ね、ね、やめてよ」と、どう聞いても戦ってる台詞じゃない。>
VOL.4
<A> <楽>
第22話 ヒメコブラ大死闘

  脚本:伊東恒久
  監督:高瀬昌弘
 キングコブラの猛攻により絶体絶命の危機に陥ったダイヤモンド・アイと甲太郎だったが、振りかぶったキングコブラの剣に落雷。二人は窮地を逃れる。怒りに燃える蘭花は双子の妹麗花に化け、甲太郎に接近する。
 敵はゲララチン。蘭花の配下でギターケースにライフルを入れているスナイパー、ガムロの正体。体を丸めて火の玉となり、体当たりをかましてアイを押さえつけた。最後はヒメコブラの身代わりとなりロイヤルパンチを受けて爆死。
 アイリングを奪うための作戦。双子の妹麗花に化けた蘭花に騙される話だが、こんな見え見えの変装で騙されてしまう甲太郎も凄い。蘭花は蘭花でいくら悪ぶっても、悪人に徹しきれない。
 これまで散々酷い目に遭わされていてもあくまで蘭花を「本当はいい人」と言ってる甲太郎の姿が健気。
<突然現れた麗花を受け入れるのは人の良い甲太郎らしいが、突然「僕の家に泊まってください」ってのはいかがなものか?
 前世魔人とアイとの戦いに突然現れた少女マキ。何故この子だけ最後の戦いにまで出てくるのやら…キャラ代浮かせるため。>
第23話 アイ抹殺作戦

  脚本:田村多津夫
  監督:高瀬昌弘
 ヒメコブラを追いつめたダイヤモンド・アイだったが、ダイナマイトを体に巻き付けた牛頭人、馬頭人の自爆攻撃に遭ってしまう。それを救ったのはバイクで飛び込んできた甲太郎だったのだが、今度は甲太郎が重傷を負ってしまうのだった。そんな甲太郎に看護婦に化けた魔倫が迫る。
 敵はケロキャット。これまで何度も姿を現し変身もしていた魔倫の正体。看護婦に化けて甲太郎に幻覚を見させる。刺叉やブーメランを使って攻撃するが、割とあっけなく倒されてしまった。
 甲太郎に対する精神攻撃が描かれるため、あまり爽快感はないが、アイの弱さと甲太郎の弱さをお互いがカバーして前世魔人と戦っていることがよく分かる。アイが甲太郎を選んだのは伊達で無いと言うことだ。それに蘭花の意外な優しさも。
<牛頭人、馬頭人と戦うアイはすっかり力を失い、アイステッキを奪われ、トスされながら必死にステッキを追う。まるで小学生のイジメだ。
 甲太郎のアイリングがアイを呼び出すアイテムだと知ってるんだから、それ抜き取って海にでも投げ込めばそれで済んでしまうような気がする…と言うか、動けない甲太郎を抹殺しようとしないことがおかしくないか?
 魔倫に悪夢を見させられた甲太郎に呼ばれたアイは無人の屋上で一人ポーズを取ってる。>
第24話 ダイナマイト大作戦

  脚本:田村多津夫
  監督:山田 健
 熱海で頭脳改造工場建設を進めるキルトは、その現場を目撃した高柳真理子を殺害する。新聞でその記事を読んだカボ子は衝動的に熱海へと向かうのだった。実はカボ子は高柳家の養女であり、本名は高柳みゆきと言ったのだ。妹の死の真相を確かめようとするカボ子だったが…
 敵はゲララチン。キルトの配下で仕込み杖の使い手の正体。甲羅を盾のように用いる。
 最終話近くなり、突然カボ子の話が入った。もっと早くこの話になっても良かったと思うが、最終回近くにすることで、緊迫度が上がっているのも確か。これまで東京近郊だけで撮影されていたのが熱海ロケというのも珍しい。
<今回ゲララチンになったキルトの配下には名前がない。だが、人間形態で持っていたはずの仕込み杖は正体を現したら槍に変わってた。
 カボ子は自分がみゆきであることを頑なに隠すが、それを一々説明する甲太郎。お節介だよ…視聴者に知らせるためには大切なんだけどさ。
 カボ子と甲太郎の仲が妙に良くなっているが、こう言う時はやっぱり海辺で追いかけっこ。しかもスローモーションで。なんというベタな…でも甲太郎は蘭花が好きなんだよね。>
第25話 秘密工場大作戦

  脚本:田村多津夫
  監督:山田 健
 キルトの手に落ちたカボ子を救うべく、ダイナマイトが仕掛けられている十字架に急行する光太郎。その時ダイヤモンド・アイはアイリングを投げつけ、更にダイナマイトをキルトの立てこもる基地へと投げつける。オニカブトンの正体を現したキルトを下した。魔倫、キルトの二人の側近を失った蘭花はそれでも一人で頭脳改造工場建設を行おうとするが…
 敵はオニカブトン。これまでも度々変身してきたがキルトの正体で、ここでついに最後を迎えた。そしてケラリン。遊園地のピエロに化けていて、剣で攻撃する。遠隔操作されたアイステッキに貫かれた後、ロイヤルパンチを受けて破壊。
 いよいよラス前。幹部が次々に倒されて後がないヒメコブラの最後の戦いが描かれることになる。そしてこれまで全然良い所が無かった五郎も今回はふんだんに見所が用いられている。考えてみると、このキャラは性格が良いんだけど、それだけに何かと貧乏くじを引かされることが多い。ここでようやく見せ場が出来たって事か。一人で地下工場を爆破するなど、なかなかの活躍を見せている。
<海辺で無邪気に追いかけっこする光太郎とカボ子。この演出が妙に好きなようだけど、今回はそれを羨ましそうに見ている五郎も加わって、なんかとっても青春ものっぽい感じに仕上げられてる。青春ってのにはちょっとトウが立ってる気もするけどね。
 睡眠薬で眠らされ、地下に閉じこめられてしまった光太郎。その左手にはしっかりアイリングが光っていた。前世魔人はなんでそれを外さないんだろう?
 五郎は電子機器をスパークさせることで地下工場を爆破するが、その爆破規模はかなり派手なもの。よく五郎自身が無事だったな。
 蘭花はコンパクトを通信機器に使っているが、細長い形のデザインと言い、使い方と言い、現在の携帯電話とそっくりだ。
 ケラリンと戦っているアイは別段ピンチでもないのに、隠れてステッキを遠隔操作してケラリンを討つ。正義の味方っぽくはないぞ。>
第26話 キングコブラ大決戦

  脚本:伊東恒久
  監督:山田 健
 源海龍の放った最後の刺客ドグラが甲太郎を抹殺しようと暗躍を開始していた。甲太郎、カボ子、五郎、そして早川編集長までも捕らわれ、絶体絶命の危機に陥る甲太郎。一方、キングコブラは呼び出されたダイヤモンド・アイを悪霊界に引きずり込むのだった。人間界と悪霊界、それぞれで危機を迎える甲太郎とアイだったが…
 敵はキングコブラおよびヒメコブラ。これが最後の決戦となる。そしてこれまで出てきた全ての前世魔人が登場。ロイヤルパンチで一気に片づけられてしまったけど。
 いよいよ最終回。後半の蘭花と甲太郎との関係がここで決着する。これまで源海龍の娘としてどうしても悪の心を捨てきれなかった蘭花が、ついに本当に悪の心を捨て去った。結局は愛の力が憎しみの心を凌駕したという、ベタな展開な上に割とあっさりした展開なのだが、これで良し。
 演出的にはスローモーションが多用され、人間の心や戦いのすさまじさを表していたのが特徴とも言える。
 心ならずもヒメコブラを自らの剣にかけてしまったキングコブラは混乱したか、折角奪ったアイステッキを手放してしまい、それをダイヤモンド・アイに奪い返されてしまった。最後に親の情を見せるのは面白い。
 最後のアイの台詞。「いつの日か、東の空に光が輝き渡る時に、又会おう」。
<今回もキングコブラのギャグは健在で、アイが現れた時は「飛んで火に入る油虫」などと言ってたし、ヒメコブラとヒトデツボが劣勢になると、「あ〜あ〜あ〜、だらしないったらありゃしない。よいしょっと」とか言って罠を発動させていた。
 悪霊界に引きずり込まれたアイを襲う前世魔人の群れ。あれ?サタンバットだけいないぞ。着ぐるみが破損したかな?>