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グリム童話

スノーホワイト


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2012年 
ルパート・サンダース(監)
 王女スノーホワイト(スチュワート)は、継母となった魔女ラヴェンナ(セロン)によって父のマグナス王を殺され、自身も城の塔で幽閉生活を強いられていた。鏡の魔力でスノーホワイトの心臓を食べれば永遠の若さと美貌を保つと教えられたラヴェンナはスノーホワイトを殺害してその心臓を手に入れようとするのだが、間一髪でスノーホワイトは城から脱出して黒い森へと入り込んでしまう。追っ手として狩人のエリック(ヘムズワース)を送り込むのだが…
 かつて「不思議の国のアリス」をアクション作品にしたバートン監督の『アリス・イン・ワンダーランド』(2010)のスタッフが再結集して作り上げた「白雪姫」を下敷きにしたアクション作品。
 私事ではあるが、職場が変わったため昨年まで住んでいた東京を離れてちょっと地方に引っ越した。それでいわゆる大作しか観られない状況に置かれたし、仕事も忙しいので、これまでのように「外れても良い」という感覚で劇場作品を観られるような心の余裕がなくなっている。だから外さないように慎重に映画を選んできたつもりではあった。
 そしてこれまではそれが効を奏して明確に“外れ”を回避してきたわけだが…
 ここで見事に粉砕された。
 はっきり言って、本気で面白くなかった。久々に
「金と時間返せ」と言いたくなるレベル。
 今更ながら言えば、『アリス・イン・ワンダーランド』もバートンが作ったからこそなんとか観られるレベルだった訳で、物語としてはどうしようもないレベルの作品だった。そのスタッフが結集したといった時点で気づいているべきだったんだろう。私自身が浅はかだった。

 まずキャラ。“雪よりも白く美しい”白雪姫。まあ美しさについては一応良い。
だけどどこが“純粋”なんだ?人間非人間関わらず男達を手玉に取る悪女じゃないのか?自分の意地のため数多くの人間達を死地に向かわせ、時にそれは自分の体を報酬に駆け引きしてみたり、男に唇をせがむは、挙げ句の果てに二股かけて本命とリザーブの男を近くに侍らせるような女を“純粋”と称するのは無理がある。自ら復讐のために魔女を自分の手で殺すシーンまであっては、純粋どころか完璧な毒婦と思わせるに充分。
 そもそもいくら『トワイライト〜初恋〜』(2008)でブレイクしたとは言え、この程度の新人がシャーリーズ・セロンに敵うわけがなかろうが。脇役を含めて主人公側に魅力が無いので、引き込まれるところがない。まあこの作品を魔女の方を主人公と観るなら納得はいくんだけど。
 次にストーリー。前置きを最小限にして魔女に対するスノーホワイトの復讐譚にしたため、ものすごく見所が少なくなった。物語の大半は追っ手から逃げるだけで、最後に復讐劇がちょっとあるだけ。これで物語に起伏をつければいいのに、延々と逃げるだけ、そして最後にアマゾネスみたいな女になって雄叫びを上げながら魔女を殺す。単なる殺伐とした物語だけである。
 しかもその過程にあって主人公の心の成長はなく、最初から計算づくでやってる毒婦のような性格が変わってない。そもそも10年以上も牢に閉じこめられているのに、筋肉とかぜんぜん衰えてないで飛んだりはねたりしてる時点でおかしい…セガールか?その辺に説得力を持たせられず。更にほとんど人と接触してないのに交渉術とかこなれすぎ。こいつは天性?いずれにせよ、自分の保身のために交渉したり半ば脅迫してる時点で純粋な人間には見えないのが致命的。
 ただ物語を流しただけなので、全部一本調子で意外性もなく、物語的な快感に欠ける。
 最後に鏡を前にしたスノーホワイトの行動がなにも描いてないのが問題。この終わり方では、
“前の魔女が死んだので新しい魔女が誕生した”だけにしか見えない。これだけ魅力に欠ける物語を作られるだけで凄いと思う。
 いくつもの伏線のようなものも張られているものの、それらの回収もなおざりにされてるのも気になる。
例えば魔女は心臓を食べることによって若さを保っていると最初に言っていたようなのだが、雀の心臓食べてる以外では描写が無く、若さを得るために直接人の精気を吸い取ってるし、精気吸い取られた人間が最後にちゃんと元の姿になって復活しているのに説明がない。魔女の弟の存在の意味合いとか、スノーホワイトを襲うのをやめたトロルは何のために出てきたのか、まるでシシ神のような殺され方をした聖なる鹿はなんの役に立ってるのか、わざわざ出てきた割にはあんまり出てきた意味のないドワーフとか、それらを話を深める方向に全く使えてない。

 結果としていうなら、セロンの体当たり演技以外で本作を評価する気になれないし、それ以前の問題としか思えない。
セロンいなかったら躊躇せずに最低点付けてたところだ

 何でも本作は続編が用意されているそうだが、それらの設定の不備が続編で解消されるのか?だとしても一本の映画としてここまでひどいと続編観る気にもなれない。

 

ウィリアム
【うぃりあむ】
 スノーホワイトの幼なじみ。ラヴェンナによって城が奪われた際、スノーホワイトを助けられなかったことを悔やみ続けている。 甘崎
エリック
【えりっく】
 猟師。元兵士だったが、戦乱の中で妻を殺され、それ以来飲んだくれの日々を送っている。 甘崎
エレノア
【えれのあ】
 スノーホワイトの母。優しい母だったが、病死してしまい、それが結果として魔女ラヴェンナを王国に呼び込む事になってしまう。 甘崎
ガス
【がす】
 森に住む番人の一人。 甘崎
グレタ
【ぐれた】
 ラヴェンナによって若さを吸い取られた少女。 甘崎
クワート
【くわーと】
 森に住む番人の一人。 甘崎
ゴート
【ごーと】
 森に住む番人の一人。 甘崎
コル
【こる】
 森に住む番人の一人。 甘崎
スノーホワイト
【すのー-ほわいと】
 マグナス王の娘。父をラヴェンナに殺されて以来、城の牢に入れられていた。 甘崎
デューア
【でゅーあ】
 森に住む番人の一人。 甘崎
ニオン
【におん】
 森に住む番人の一人。 甘崎
ハモンド
【はもんど】
 ウィリアムの父で公爵。領地を守るためにラヴェンナから逃げ出して、領地にこもっている。 甘崎
ビース
【びーす】
 森に住む番人の一人。 甘崎
フィン
【ふぃん】
 ラヴェンナの弟。 甘崎
マグナス
【まぐなす】
 スノーホワイトの父。ラヴェンナを妻として迎えるが、初夜に殺害されてしまった。 甘崎
ミューア
【みゅーあ】
 森に住む番人の一人。 甘崎
ラヴェンナ
【らう゛ぇんな】
 邪悪な女王。闇の軍団に捕らわれの身であったとだまし、マグナス王と結婚し、その後マグナスを殺害して女王として君臨する。劇中年齢のことは言及されていないが、相当な年齢らしい。 甘崎
名称
【】
  甘崎