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2005年 アンドリュー・アダムソン(監) |
第二次世界大戦下のイギリス。ロンドンから田舎に疎開してきたピーター(モーズリー)、スーザン(ポップルウェル)、エドマンド(ケインズ)、ルーシー(ヘンリー)の4人兄弟姉妹はカーク教授(ブロードベンド)の家にやっかいになるが、ある日屋敷の探検をしていた末っ子のルーシーは空き部屋の衣装だんすに入った所、なんと彼女は雪に覆われた森の中にいたのだった。そこは“ナルニア”という不思議な国で、兄弟達は予言によって導かれたと言う。だが、同じくナルニアにやってきたエドマンドは、ナルニアを治めている白い魔女の虜になってしまう… C=S=ルイスの創造し、世界三大ファンタジーに挙げられる「ナルニア国物語」の第一巻の映画化(言うまでもないが、後の二つは「指輪物語」と「ゲド戦記」)。『ロード・オブ・ザ・リング』の大成功によって、これも映画化出来るようになったと、ある意味感慨深い。 私に関して言えば、子供の頃家に置いてあったこのシリーズを繰り返し読んでおり、数年前に家に帰った折、倉庫においてあるのを発見して持って帰って読み直した。それで改めてこの作品の魅力に取り憑かれてしまい、オフラインでは何人もの人に貸し出したが、お陰で周り中にファンが増大中(一人は独自に全部自前で買ったほど)。それに事実私はルイスの大ファンでもあり、「別世界物語」とかも大好きだし、一般の評価は低いみたいだけどルイス自身を描いた『永遠の愛に生きて』(1993)も大好きだ。 流石にここまで思い入れが高いと、当然評価は低くならざるを得ない訳で…はっきり言って映画観るのは怖かったりする。 ファン故に観たい。そしてファン故に観たくない。そんな複雑な思いを持ちつつ劇場に… とっ始めにBf型の爆撃機が多数出現。そこで頭は一瞬パニック。あれれ?「ナルニア」って第一次世界大戦下の話じゃなかったか?…まあ、それはそれで良いか。これでこのこの舞台が1939年の10〜11月と言うことが分かる。イギリスの気候風土からすれば、10月末といった所か? ところで、ここまで有名な原作になると、映画化には多大なストレスがかかるはず。その場合、映画化にはいくつかの方法があると思う。一つには、初期の『ハリー・ポッター』シリーズのように、とりあえずなんでもぶち込んで、なんとか一本作り上げる方法。もう一つの方法は『ロード・オブ・ザ・リング』のジャクソン監督のように、技術の粋を用いて自分の思いの丈をぶつける方法。本作はどうやら前者に当たるようで、とりあえず全てのエピソードは盛り込まれている。その意味では原作に忠実にそつなくまとめられた作品とは言えるだろう。ただ、物語の中心はどこかずれが感じられて仕方がない。 そつなくまとめること。本作を作るに当たってはそれが正しい作り方とは思うのだ。しかし、ここで描かれるのは、少年少女の冒険譚だけで終わってしまってないか? 表層的に見れば、確かにそれだけの物語なんだけど、実際の話では「ナルニア」はもっと深い所にメッセージがあるんだが、その部分は綺麗にスルーされてしまった。 その最たるものはアスランの描き方。ナルニアを作り上げた偉大なアスランは確かにライオンではあっても、ただのライオンであってはならないはずだと思うのだが、ここに登場するアスランは全然威厳がないのみならず、CG丸分かり。偉大さが全く感じられないのは致命的。少なくとも、私にとっての「ナルニア」の“あるべき姿”はそこにはなかった。 その代わりとして冒険と戦いが全編を覆う。『ロード・オブ・ザ・リング』に倣ったのかもしれないけど、独自性は感じられず。 結果として、一般向けの作品として考えれば良いんだけど、オリジナルが好きな人にはちょっと疑問符が残る作品となってしまった。これ観るんだったら、本を読んで空想の翼広げた方がなんぼか子供のためには良い。 |
アスラン | → | |||
【あすらん】 | ||||
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アダムの子 | → | |||
【あだむ-の-こ】 | ||||
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エドマンド | → | |||
【えどまんど】 | ||||
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オトミン | → | |||
【おとみん】 | ||||
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オレイアス | → | |||
【おれいあす】 | ||||
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サイクロプス | → | |||
【さいくろぷす】 | ||||
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白い魔女 | → | |||
【しろい-まじょ】 | ||||
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スーザン | → | |||
【すーざん】 | ||||
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セントール | → | |||
【せんとーる】 | ||||
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タムナス | → | |||
【たむなす】 | ||||
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ピーター | → | |||
【ぴーたー】 | ||||
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ミノボア | → | |||
【みのぼあ】 | ||||
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ルーシー | → | |||
【るーしー】 | ||||
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2008年 アンドリュー・アダムソン(監) |
かつてナルニアにやってきて、白い女王からナルニアを解放したペベンジー王家の時代から1300年後。ナルニアは戦闘民族テルマール人によって支配され、ナルニアの住民達は彼らを避け、深い森の中でひっそりと暮らしていた。そんな中、テルマールの摂政ミラース(カステリット)は、自ら王位に就くため、王子のカスピアン(バーンズ)の暗殺を画策していた。その動きを事前に察知した家庭教師のコルネリウス博士(グラス)によって逃げ延びたカスピアンは森の中でナルニアの住民達と出会う。そして託された角笛を吹くとき…一方、ペベンジー兄弟は、一年後、なんとか現在の世界に馴染もうとしていたのだが、その時地下鉄乗り場で懐かしい音を聞く… 全7巻の壮大な童話を映画化するナルニア国物語の第2章。童話の通り、本作は第1章から1300年後の世界での、ペベンジー兄弟と、新キャラであるカスピアンとの戦いの歴史が描かれることになる。 カスピアンが成人前の青年として描かれていることが原作からの大きな改変だが、これは色々な意味で細かい違いを物語にもたらしている。主役をペベンジー兄弟よりもカスピアンの方に重点が置けるようになったことと、カスピアン自身が自意識をしっかり持っているため全面的にペベンジー兄弟に協力している訳ではない(特に長男のペーターと、軽く諍いを起こしてもいる)ことだろうか。 この改変は本作では結構上手く機能している。これによって物語がぐっと大人向きになり、対象年齢が上がったことによって、かなり物語にもしまりが出ている。第1作の欠点は対象年齢の分から無さだったのだが、本作においてそれが“子供も楽しめる大人の物語”に変化したこと。少なくとも1作目よりは随分出来良く仕上がってる。 少々残酷さが増しているため、子供が素直に観られるかどうかは、ちょっと疑問が残るが、前回で全然苦労もしないうちにいつの間にか王様になってしまった子ども達が、今回は実際に苦労してることがよく示されてるのは良かった。それにカスピアン役のバーンズが美形だってのも鑑賞に際しては大きい要素。言っては何だが、四兄弟がなんか普通の顔してるから、これは大きな売りになっただろう。 アスランの存在感も、あくまで今回は“手伝い”に徹しているので、それも物語がぶれなかった大きな理由か。 |
アステリウス | → | |||
【あすてりうす】 | ||||
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カスピアン | → | |||
【かすぴあん】 | ||||
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グレンストーム | → | |||
【ぐれんすとーむ】 | ||||
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グロゼール | → | |||
【ぐろぜーる】 | ||||
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コルネリウス | → | |||
【こるねりうす】 | ||||
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松露とり | → | |||
【しょうろ-とり】 | ||||
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テルマール人 | → | |||
【てるまーる-じん】 | ||||
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トランプキン | → | |||
【とらんぷきん】 | ||||
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ニカブリク | → | |||
【にかぶりく】 | ||||
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ミラース | → | |||
【みらーす】 | ||||
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リーチピープ | → | |||
【りーちぴーぷ】 | ||||
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2010年 マイケル・アプテッド(監) |
エドマンドとルーシーのペペンシー兄妹は、兄ピーターと姉スーザンが両親と共にアメリカへ滞在中、いとこのユースチスの家に預けられることに。ある日、壁に掛けられた帆船の絵が動き出し、3人はその絵の中に吸い込まれてしまう。すると次の瞬間、彼らはナルニアの海にいた。そして、溺れかけたところをナルニアの王となったカスピアンやネズミの騎士リーピチープが乗る帆船・朝びらき丸に救われ、喜びの再会を果たす。朝びらき丸の一行は、カスピアンの亡き父王の友人である7人の貴族(七卿)を見つけるため、彼らが消息を絶った離れ島諸島を目指していた。やがて、父王が七卿に1本ずつ与えたというナルニアの剣を東方の島にあるアスランのテーブルに全て並べれば悪の魔法を取り払うことができることを知る一行。しかし、彼らの行く手には不気味な霧とそこに潜む悪が立ちはだかる。こうして、一行はナルニアに訪れた危機を救うべく、数々の試練に立ち向かうこととなるのだが… 全七章のC・S・ルイスによる壮大なファンタジーの映画化第三弾で、「朝びらき丸東の海へ」の映画化。第一章ではピーター、スーザン、エドマンド、ルーシーの四人、第二章ではそこにカスピアン王子が入り五人が主人公となっていたが、ここではピーターとスーザンが抜け、代わりにユースチスが入る事で、再び四人主人公へと変わっている。ここでは随分成長したエドマンドが、まるで過去の自分のようなユースチスの面倒を観ていることから、第一章からもそれなりに時代を経ていることを感じさせる作品となっていた。 本作は、実は映画としてはそんなに上手く作られている訳では無い。たとえば一作目、二作目と比較しても、特にクライマックスでは相当に見劣りがしてしまうし、それに至る冒険についても小出しにしすぎた感があり。映画としての完成度を高めるためには、明確な悪の存在を出して、最後のクライマックスシーンでの戦いを盛り上げていくのが常套手段だが、本作は敢えてその方法を取っていない。むしろ本来小さな出来事として軽く済ませるべき事柄を殊更強調して、クライマックスを小出しにしてる感じ。全ての出来事がほぼ均等に物語に関わってくる分、冒険が比較的あっさり終わってしまった感じはある。短く時間を区切って等分にクライマックスを作る造りは、むしろテレビのものっぽさもある。 それに本作の目的の一つであったユースチスの精神的成長もさらりと流してしまった感あり。もっと精神的な作品として作れるものなのだが…イベントの連続よりも、そちらの方に力入れて欲しかったのが本音。 と、言うことで本作を俯瞰してみるならば、とても薄味。ちょっと食い足りないというか、映画的な快感には乏しい。でもこれは何も映画として見る必要は無いのかも知れない。どこを切ってもそれなりに見所があるし、二時間ちゃんと楽しめるのだから。ビデオ向きの作品と考えればそれで良いのかな? |
青い星 | → | |||
【あおい-ほし】 | ||||
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朝びらき丸 | → | |||
【あさ-びらき-まる】 | ||||
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いりみなと町 | → | |||
【いりみなと-まち】 | ||||
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金水島 | → | |||
【きんすい-とう】 | ||||
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くらやみ島 | → | |||
【くらやみ-とう】 | ||||
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声の島 | → | |||
【こえ-の-しま】 | ||||
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コリアキン | → | |||
【こりあきん】 | ||||
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白い魔女 | → | |||
【しろい-まじょ】 | ||||
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七卿 | → | |||
【なな-きょう】 | ||||
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ニンフ | → | |||
【にんふ】 | ||||
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のうなしあんよ | → | |||
【のうなし-あんよ】 | ||||
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ミノタウロス | → | |||
【みのたうろす】 | ||||
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ユースチス | → | |||
【ゆーすちす】 | ||||
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ラマンドゥの島 | → | |||
【らまんどぅ-の-しま】 | ||||
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リリアンテイル | → | |||
【りりあんている】 | ||||
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名称 | → | |||
【】 | ||||
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