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マトリックス

マトリックス レザレクションズ

<A> <楽>
ウォシャウスキー(監)
ジェームズ・マクティーグ
ラナ・ウォシャウスキー
グラント・ヒル
ギャレット・グラント
テリー・ニーダム
マイケル・サルヴェン
カリン・ウォシャウスキー
ジェシー・エアマン
ブルース・バーマン(製)
ラナ・ウォシャウスキー
デイヴィッド・ミッチェル
アレクサンダル・ヘモン(脚)
キアヌ・リーヴス
キャリー=アン・モス
ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世
ジェシカ・ヘンウィック
ジョナサン・グロフ
ニール・パトリック・ハリス
プリヤンカー・チョープラ・ジョナス
クリスティナ・リッチ
テルマ・ホプキンス
エレンディラ・イバラ
トビー・オンウメア
マックス・リーメルト
ブライアン・J・スミス
ランベール・ウィルソン
ジェイダ・ピンケット=スミス
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 20年前に大ヒットしたゲーム“マトリックス”を作り上げて世界的ゲーム企業“デウス・マキナ”を作り上げたトーマス・A・アンダーソン(リーヴス)は、それから新しいヒット作に恵まれず、スランプに陥っていた。更に幻覚にも悩まされており、セラピストからもらった青いピルを常飲していた。そんなある日、行きつけのカフェでとある家族を見かけるのだが、その母親はいつも幻覚に出てくる女性(モス)だった。

 映画の歴史を変えた『マトリックス』(1999)から20年。その間に『マトリックス リローデッド』(2003)『マトリックス レボリューションズ』(2003)で完結したのだが、それからこんなに時間が経過して第四作目が作られることになった。
 それに対する感情としては、期待半分と言ったところ。実の話、『レボリューションズ』の終わり方を観た時に、それなりに時間経ったら続編作られると思っていたし概ね「こうなるだろう」という腹案を勝手に持っていた。おそらく次の展開は、主人公がネオである必要は無いが、ネオの復活ならなお良し。ネオを旗印とした人間側の大規模な反乱である。エージェント・スミスが作ってしまったバグは思った以上にザイオンにダメージを加えてしまい、正気に戻る人間が増えていき、彼らがネオの思想を拡大させて人類側の大規模な反乱へとつながる作品になるのかと考えていた。“個”であったヒーロー像が“集団”へと伝播する。その中心となるのがネオと言う概念だというストーリーだった
 それはあくまで私自身の妄想に過ぎなかったが、結局再開のアナウンスも無いまま20年。このまま消えるかと思っていたが、突然最新作の公開がアナウンスされた。それで予告観た時点で、普通にネオとトリニティが戦っていたし、私の思ったようにはならなさそうだと分かった。監督は監督でちゃんと考えているのだろうと思っていた。
 しかし監督、本当にまともに考えていたんだろうか?
 これって品のない一作目の焼き直しなのでは?
 本作の骨子は、社会生活に不満を持つ主人公が、実は別世界でのスーパーヒーローだったというもの。これは昔からあるよくあるパターンの作品で、それを最もスタイリッシュに描いたものこそがオリジナルの『マトリックス』だったのだが、それをトレースしながら、かなりパワーダウンさせてしまった感じ。それにオチが愛するトリニティを救って終わりなので、話がとても単純化されている。更に何故ネオとトリニティが生かされ続けているのかの説明が納得出来ない。
 概ね一作目の焼き直しで、更にパワーダウンということで、エンターテインメント的にはだいぶ質的にも落ちた感がある。これでは続編としては些か物足りない。愛する人を取り戻して大団円という終わり方も納得いかない。これでは『レボリューションズ』の終わり方の含みが全く生かされないままだ。
 まさか監督自らの手でこの程度のものを作ってしまうとは。予想外だった。

 だが、観終えてしばらくしてから考えると、これは単なる焼き直しでは無いような気もしている。
 最初の三部作からここまでの間に、監督のラリーは性転換してラナに改名した。これは単純な問題では無いはずだ。自分自身のアイデンティティの危機を経て今がある。劇中のトーマスの行動と考えが中途半端であり、本当の自分を探す姿が監督自身ならば、ずっと自分のアイデンティティに悩み続けていた監督の姿そのものがトーマスであり、本当の自分を見つけたネオに自己投影をしていたのかもしれない。
 本作をある意味本作はリアルな私小説的作品として考えれば、それなりに評価は出来る
 奇しくも同じくアイデンティティに悩んだ庵野秀明監督が『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』(2020)を完成させたのと同時期に本作が作られた符号として考えられもする。
 その部分は評価出来るため、ギリギリ駄作を回避したという評価にしておこう。

 

青いピル
青いピル 画像 <A> <楽>
【あおい-ぴる】
 トーマスが医師から処方されている薬。青いカプセル。 甘崎
SIMULATTE
【しみゅらて】
 トーマスの行きつけのカフェ。ここでトリニティにそっくりなティファニーと出会う。 甘崎
ティファニー
【てぃふぁにー】
 トーマスがカフェで出会った女性。その顔はトリニティそっくり。 甘崎
トーマス
【とーます】
 トーマス・A・アンダーソン。ゲーム会社デウス・マキナの社長。かつて「マトリックス」というゲームで一世を風靡して会社をトップ企業に押し上げたが、新しいゲームが出来ずに苦しんでいた。実はネオが記憶改ざんされた姿。 甘崎
トリニティ
トリニティ 画像 <A> <楽>
【とりにてぃ】
 かつてネオと共にマトリックスに立ち向かった戦士。その本体はネオの肉体と共に眠りに就いており、そのアバターはティファニーという名前でゲームの中で生きていた。 甘崎
ネオ
ネオ 画像 <A> <楽>
【ねお】
 ゲーム会社社長のトーマス・A・アンダーソンがゲームのマトリックスの中でのキャラクター。実はこちらの方こそ本当の姿だった。 甘崎
マトリックス
【まとりっくす】
 かつてトーマスが作り上げたオンラインゲーム。世界中でプレイされているが、既に年月が相当経過してプレイヤーも減っている。 甘崎
名称
【】
  甘崎

 

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