「サンダーバード登場」国際救助隊設立にあたり、ジェフ・トレイシーは旧知の富豪の娘ペネロープをトレイシーアイランドに招待する。そこで一つ秘湯のメカを紹介しつつ、自分たちを手伝って欲しいと頼む。
「雪男の恐怖」雪山で作業中の作業員が雪男に襲われたと連絡をして行方不明となった。国際救助隊とペネロープは別々に雪山へと向かうが、そこで見たものは…
「大豪邸、襲撃」ペネロープの運転手パーカーは昔の泥棒仲間から手伝いを頼まれる。今は完全に足を洗っていたため、即座に拒否するが、それでも昔の仲間を通報することなく、自分の胸に収めるが…
1965年に作られ、世界的に大ヒットを取ったテレビ番組「サンダーバード」は今も多くのファンを持つ作品である。私自身も大好きな特撮で、昔からちょくちょく観ていたが、本式に全部観たのは結構後になってからで、半ばレビューのために観たようなもの。ただ分析しながら今の目で観ると、子どもの頃とは全く異なり、色々見えてくるものがある。
今になって分かった事の一つは、この作品は実にイギリス流の諧謔趣味に溢れていること。そして私にとって一番魅力的に感じるキャラは国際救助隊の面々ではなく、ペネロープの運転手パーカーだったということ。そう言う意味で大変趣味的にはまる作品だった。
パーカーはまさにジョンブルであり、しかも性格が凄い。彼は紛れもなく天才で、あらゆる事が何でもこなせるが全く野心が無い。金儲けをすることも、美味しいものを食べることも、人を見下すことも。何でも出来るのに何をしても全く楽しくないという、ある意味最も不幸なキャラである。それでも自分の才能のことをよく分かってるので、退屈にならないように働くことを求めている。つまり身勝手な主人の無茶ぶりに振り回されることこそ本当の望みだというキャラ。フェティシズムの固まりみたいなキャラだ。
で、そんなパーカーを又観たい!というのが私の思いなのだが、リブート版である「サンダーバード ARE GO」でのパーカーの活躍はだいぶ落とされてしまった。性格が円くなって、ペネロープの行動に苦言を呈するような大人キャラになってしまって、ちょっと寂しい。もうちょっと魅力的に描いてくれても良かろうにと、結構もやもやしてたりもしてた。
何が言いたいかというと、この劇場版は、全編パーカーの魅力に溢れてたと言うことである。本作は結構評判が悪いのだが、それはサンダーバードがあんまり活躍しないことと、国際救助隊よりもペネロープの方が目立ってるじゃん。ということで、大多数の「サンダーバード」ファンが観たくもない話だったのが問題だった。
そもそもこれはオリジナル版「サンダーバード」のレコードに収録された外伝的なものなので、あくまで外伝という位置づけに過ぎない。オリジナルのこだわりが凄いが、結果として大多数のファンが観たいと思わないのが出来てしまった。
しかし、私のようなパーカーファンにとっては、これは最高の出来だと言える。勿論国際救助隊の活躍も観たいとは思ってるけど、それよりパーカーが目立ってると言うだけでなんか幸せな気分になる。
まるで私のために作ってくれたような作品なので、全く悪く言う気が起きない。 |