地球防衛軍 |
1957年 本田猪四郎(監) 佐原健二、平田昭彦、白河由美、河内桃子、志村喬、土屋嘉男 |
突如地球侵略を始めた宇宙人ミステリアン。彼らは富士の裾野に巨大なドーム基地を作り上げ、地球人女性との結婚とドーム周辺3キロの居住権を宣言した。防衛軍のミステリアン対策委員会は、地球の科学力を結集、自衛のためミステリアンに総攻撃をかけるのだった… 続編の『宇宙大戦争』(1959)よりも結果として観るのが遅くなってしまった本作。出来そのものはちょっと期待はずれっぽかったけど、特撮技術、伊福部マーチや、様々な兵器のデザイン、非常に優れたミステリアンのスーツ等、見所も確かに多い。 多くの良い部分を、しかしそれを生かし切れたかと言えば、少々疑問。 ややコミカルなデザインを持つモゲラは(実は日本映画史上初の巨大ロボットでもある)最初何の対抗手段を持たない人間に対し、圧倒的な強さを持っていたのに、一旦撃退されてからと言うもの、ほとんど出番は無し(マーカライトファープを壊すために地中から現れてる描写はあるんだけど、相打ちで終わった)。 それと、当初ミステリアンの提出した“ささやかな”要求をあっという間に蹴ってしまう防衛軍の描写も残念。交渉をするなり、それについてどう受けいれるかを相談するなりするシーンがあったら良かったと思う。どうせなら、ミステリアンの願いを妥当なものとして一旦申し出を受けて、それで後になって実はミステリアンの狙いは地球征服であったと後で気付き、闘志を燃やす。と言う描写にすればもっと映えたんだろうけど(かえってありきたり?)。エイリアンは全部インベーダーであり、撃退するしかない。と言う直情的なストーリーが受けいれられるような世相だったのかな? 後半のマーカライトファープとドームとの熱線の応酬は見栄えがするけど、それだって単調に延々と光線の応酬をしてるだけで、もう少し展開に彩りが欲しかった(当時の技術的には確かに素晴らしいんだけど)。 これは過渡期の作品なんだ。と言うのが正直な感想。この作品に登場した魅力的な部分は確かに活かされてはいなかったが、これで培った技術が『宇宙大戦争』(1959)に繋がったのだし、以降の特撮技術の進歩へと繋がっていったと考えるべきだろう。 ところで、ミステリアンのリーダー役は土屋嘉男が演じているのだが、彼は続編の『宇宙大戦争』(1959)において、壮絶な殉死を遂げた岩村を演じている…と、するなら、あるいはミステリアンは実は滅んでいたわけではなく、ヘルメットを脱ぎ、地球人と同化していたのかも知れない。あるいはその専門知識を小出しにする事によって防衛軍の中核をなしていたとか…そう言うストーリーを考えてみるとなかなか楽しいものがある。 |
安達博士 | ||||
【あだち-はかせ】 | ||||
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渥美穣治 | ||||
【あつみ-じょうじ】 | ||||
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アルファ号 | ||||
【あるふぁ-ごう】 | ||||
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白石亮一 | ||||
【しらいし-りょういち】 | ||||
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地球防衛軍 |
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【ちきゅう-ぼうえい-ぐん】 | ||||||
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ベータ号 | ||||
【べーた-ごう】 | ||||
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マーカライトファープ | ||||
【まーからいと-ふぁーぷ】 | ||||
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ミステリアン | ||||
【みすてりあん】 | ||||
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モゲラ | ||||
【もげら】 | ||||
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1965年。衛星軌道上に打ち上げられた宇宙ステーションが破壊され、地球上では原因不明の怪事件が起きていた。日本に設置された国際宇宙科学センターは対策に奔走するが、実はメンバーには宇宙人のスパイが紛れ込んでいたのだった。それが地球侵略を企てる宇宙人ナタール人の仕業と知った国際宇宙科学センターは国際チームを組み、最新鋭宇宙船スピップ号を建造。彼らの前線基地の月へと向かう。だが、その乗組員の岩村幸一(土屋嘉男)は既にナタール星人によってロボット化されていた。地球の命運は果たして? 地球防衛軍の正統な続編で、キャストこそ違えど、同名キャラクターが登場する。かつてのミステリアンによる地球の危機を経験に結成された国際宇宙科学センターが今度は大活躍すると言う設定になっている。 東宝による初めての宇宙を舞台とした作品なのだが、これが又実に好感の持てる作品に仕上がっている。初めての宇宙描写と言うことでかなりの気合いが感じられる。当時の特撮の常でどうしてもチャチさは出てくるのだが、科学的考察は以外にもしっかりしているので、巧く言葉でフォローすることを忘れてない。例えば宇宙に出たスピップ号が平行飛行する際、ロケット噴射は止められる。これを「慣性飛行に移る」と一言で説明しきっていたり(地上で作られると、炎はどうしても上に向かってしまうため、あそこでもし火を噴いていたら、とても不自然に映ってしまう。それを避けるためだろうと思うが、ちゃんとその説明があるのが嬉しい)。月面上で地球と同じような重力があるのは、「重力調整装置を働かせろ」と言う説明が付けられる。良いねえ。特撮技術水準を超えて、描写不可能ならば、そうやって言葉で説明してくれるととても嬉しい。しかもこれが実にさりげなく語られるのがポイント高し。 本作品は“宇宙人対地球人”と言う壮大なテーマなため、人間ドラマの方が脇に押しやられがちなのだが、その中で岩村役の土屋嘉男の役割は非常に格好良い。ナタール人によってロボット化され、彼らの命令に従ってスピップ号の一台を破壊してしまった彼は、自ら責任を取って残った仲間を逃がすため、一人月に残り、ナタール人との戦いで命を落とす。こういう特攻的な演出、私はとても好きだ。 それにその後のナタール人対人類の壮大な宇宙での戦い。これ程伊福部マーチが見事に合っていた演出はなかなか無い。もう格好良すぎ。なんでもあの円盤を飛ばすためには東宝のお家芸である吊りだけでなく、ゴムで飛ばしたり、手で投げたり(笑)したそうだが、その甲斐あって、スピード感溢れる演出がなされていた。 ナタール人の演出が前作地球防衛軍のミステリアンほど魅力的でなかった事(出てくるのもほんの僅かで、あっという間に全員殺されてしまう)、それに彼らが意外に弱かった事はちょっといただけなかったけど、ラストの、地球に侵入したナタール人を撃退した時の、被害を出してしまって残念そうな長官の顔に免じてOKを入れよう。あの表情をラストで出させるとは。よく分かってらっしゃる。 一言。ナタール人は弱い上に馬鹿だ。月基地が破壊された後、アメリカ、ソ連、日本が突出した軍備を持った時を狙って襲ってくるなんて。あと十年位放っておけば地球人は勝手に自分たちで殺し合ってただろうに。それ以前に、人間をロボット化できるんだったらアメリカの大統領とソ連の書記長をロボットにすればそれで全ては終わっていただろうに。 |
安達博士 | ||||
【あだち-はかせ】 | ||||
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岩村幸一 | ||||
【いわむら-こういち】 | ||||
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宇宙科学センター | ||||
【うちゅう-かがく-せんたー】 | ||||
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勝宮一郎 | ||||
【かつみや-いちろう】 | ||||
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白石江津子 | ||||
【しらいし-えつこ】 | ||||
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スピップ号 |
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【すぴっぷ-ごう】 | ||||||
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地球防衛軍 |
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【ちきゅう-ぼうえい-ぐん】 | ||||||
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ナタール星人 |
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【なたーる-せいじん】 | ||||||
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熱戦砲 | ||||
【ねっせん-ほう】 | ||||
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冷却線 | ||||
【れいきゃく-せん】 | ||||
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