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快傑ハリマオ

快傑ハリマオ事典
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 1960'4'5〜1961'6'27

 「月光仮面」に始まる折からのヒーローブームはそれまでヒーロー作品の伝統が無かった(紙芝居や時代劇にはたくさんいたが)日本のテレビの一つの試練となった。それぞれの番組で特色を出そうとしていた。その中で舞台を完全に外国に、しかも長期にわたる海外ロケを売りにしたのが本作で(実際の撮影はほとんどが日本国内だが)、大ヒットを記録し、13話を一区切りとして5シーズン放映した。
 日本初のカラー放映となったヒーロー作品。ただしこれは試験放送だったようで、カラーは最初の5話のみ。以降はモノクロになる。

主な登場人物
ハリマオ (役)勝木敏之。他に「隠密剣士」 鬼場陣十郎役。
 マレー語で「虎」の意味を持つ義賊。植民軍に虐げられた人々の解放のために働いている。正体は謎だが、大友という旧日本軍人がその正体。
太郎 (役)町田 泉(第一部)、内藤雅之(二部以降)
 第一部での主人公。叔父を訪ねてジャワにやってきた少年。日本人を目の敵にする統治庁から追われるが、ハリマオによって救われる。ピストルの腕前は一級品。
ドンゴロスの松 (役)中原謙二。
 ジャワに住む人の良い男。酒が好きで、酔うと暴れる癖がある。実はハリマオの有能な配下で、諜報活動から実動部隊の指揮までなんでもこなす。
タドン小僧 (役)崎坂謙二。
 ハリマオの配下の少年。自称「ハリマオ一の子分」。ドンゴロスの松と行動を共にすることが多い。太郎を「兄貴」と慕い、太郎と共に日本へと行く。
令子 (役)近藤圭子。
 陳の屋敷に住んでいる少女。陳が裏で何をしているのかは知らず、逃げてきた太郎を何かと面倒を看てる。実は太郎の姉だった。4部では洋子と共にモンゴルへと向かう。
スタッフ
伊上勝 全話脚本
大村順一 1~39話脚本
田村正造 40~52話監督
船床定男 監督
話数 タイトル コメント DVD
第1話 拳銃少年

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 東南アジアの支配を企むジャワ統治庁のコパール長官のもとに、ハリマオから挑戦状が届いた。ハリマオが日本人であることを知ったコパールは日本人摘発を始める。そんな時、叔父を探してやってきた日本の少年・太郎がやってくるのだが…
 ハリマオの活躍を描く第一話。拳銃使いの太郎少年を中心に話は展開していくが、とりあえずこの話は謎だらけで終わってしまう。太郎の叔父はどこに行ってしまったのか。ハリマオとは誰か?全てが謎のまま。大体ハリマオ自身が今のところOP以外では出てこないぞ。
 東南アジアでは子どもでも銃を持って良いというのは、一種の憧れとも言える。なるほどこれもこの作品の憧れの一つ。太郎少年の拳銃の腕は凄いもので、悪漢(?)の持つ拳銃のみを狙ってたたき落としてる。なかなか格好良いぞ。
<ハリマオの調査は何から何まで不明だが、「日本人だと思われる」と国籍だけは分かる。勝木敏之はえらく濃い顔をしてるが、それで日本人だと分かるのか?
 わざわざシンガポールから叔父を訪ねてきたと言うだけあって、太郎少年はかなり強引。召使いを強引に押しのけて家に押し入ってる。
 それで家にいた人物に「叔父さんですか?」と尋ねるが、年齢的には祖父と言っても良いくらい。それで「叔父さん」と言うのもなんだ。太郎の夢に出てきたお父さんもそんなに歳を食ってないんだけど。
 その太郎の夢の中に出てきたお父さんは拳銃の使い方を教えていたが、正面に向き合って教えるのは危険すぎないか?
 夜中屋敷にやってくる謎の男達。太郎は「きっと泥棒だぞ」とか言って拳銃を撃ちまくる。確かに怪しいのは確かだけど、屋敷の使用人とかは思わなかったのかな?
 ところで太郎少年の持つ拳銃はリボルバーのようだが、リロード無しにばかすか撃ちまくって弾切れを起こさない。見えない所で弾倉交換してるんだろうか?>
VOL.1
<A> <楽>
第2話 少年とハリマオ

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 陳秀明の屋敷で怪しい男達と出会った太郎少年。だが陳は彼らのことを自分の使用人だと言い、その拳銃の腕を見込んでハリマオを退治してくれるようにと頼むのだった。だが実際ハリマオと出会い、傷ついた仲間を助けるハリマオの姿を見た太郎は、本当に彼が悪人か迷い始める…
 この話もやはり太郎少年を中心に話が回っている。太郎としては状況が分からないままなので、陳とハリマオどちらを信じて良いのかが未だ判断付かず、悩む姿が描かれていく。
 謎の人物であった陳とハリマオ。とりあえずハリマオに敵対していると言うことで陳が悪人であることははっきりとした。
 太郎には姉さんがいるらしい。劇中歌を歌っているのはひょっとしてその姉さんなのか?
<陳が眺めていた写真の女性が突然波打ち際で歌い出すシーンあり。謎の人間がフルコーラス歌っているのはちょっと長すぎるぞ。2話にして早くも尺消化か?
 太郎の絶体絶命の危機を救ったのはタドン小僧。陳の家に何故いるのか不明だが、トラックしがみついてきたんだろうか?
 そのタドン小僧は陳の家に忍び込んでるのに全然緊張感がない。樹の上で足をぶらぶらさせてるし、食べてるバナナの皮を放り投げてるし。あるいは忍び込んでるという感覚もないのかな?
 太郎はタドン小僧に突き飛ばされて命を救われた次の瞬間、拳銃で全員の拳銃を撃ち落とす。凄い反応の良さだ。
 襲われたことで、陳を調べに行く太郎。「捕まえてくれ」と言っているようなもんだ。案の定捕まえられてしまった。
 最後のナレーションで「太郎少年とタドン小僧は異人たちの毒牙にかかってしまうのか」と流れてる。間違いはないのだが、「毒牙」というと、なんか別なことを連想する?>
第3話 どれい船

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 陳によって地下に閉じこめられてしまった太郎とタドン小僧。そこで二人は鎖につながれた多数の男達を目にするのだった。実は陳は奴隷商人であり、この家はその倉庫となっていたのだ。陳より奴隷になるか仲間になるかの選択を迫られる太郎だが…
 陳がやはり悪人であることが発覚。奴隷商人としての正体を現した陳は見事な悪人ぶりを見せている。そしてその奴隷船に乗って影で太郎を助けていた奴隷の正体は?未だにハリマオは実際には登場しないまま話は進む。
 そしてハリマオのライバルとなるキャプテンK・Kが存在感たっぷりに登場。
<奴隷状態に落とされた太郎だが、姿は小綺麗なまま。
 拳銃使いのキャプテンK・K。何故か拳銃を持つ時は小指を立ててるね。持ちにくそう。
 拷問を受けてもあくまで強情を張る太郎を見たキャプテンK・Kは「さすが日本の子供だ」と嘆息。強いて言えば日本人だからじゃなく、特殊な環境に育ったからなのでは?>
第4話 南海の対決

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 太郎とタドン小僧の代わりに鞭を受けた奴隷がいた。気絶するまで鞭打ちを受けるその奴隷を見守るしかない太郎。だがタドン小僧は同時に奴隷の中に、ここにいるはずのないハリマオの部下ドンゴロスの松の姿を見る…
 いよいよ本当にハリマオが登場。やっぱり存在感のあった奴隷の一人だった。4話になってようやく主人公が登場というのはかなり遅い。太郎を救う事が目的のようだが、それと同時に宿敵陳の動向を探るために奴隷のふりをしていたらしい。これまでのタメの分、大活躍してる。登場の仕方が一々芝居がかっているけど、雰囲気が明るいので、それが妙に映える。
<奴隷姿で上半身はだかのドンゴロスの松。胸毛の生え方が妙に不自然に見えるけど、こういう生え方する人がいるのか、付け毛なのかは定かではない。
 日本は伝統的に日本刀の殺陣は上手いが、シミターでの殺陣はやっぱり慣れてないようでちょっと不自然。頑張ってるけどね。
 戦いの中でターバンが目に被さってしまったハリマオ。目が見えない状態だから戦いにくそうだ。>
第5話 死の待ち伏せ

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 奴隷船から脱出に成功したものの、ボートから投げ出されてしまった太郎はある海岸に打ち上げられる。そこで親切な少女マイヤーに助け出される。だが陳の配下は太郎を捜し回っており、それを見た太郎はマイヤーとともに逃げ出すのだが…
 一難去って又一難。太郎少年の受難は続く。いったん別れてしまったハリマオが助け出してくれ、ここで太郎は正式にハリマオの部下となった。
 死にかけていた太郎なのだが、ハリマオに助けられてからはすぐに任務を任せられてる。ついでにマイヤーまで一緒に仲間になってしまったみたい。
 長官に詰め寄ったハリマオは「東南アジアをあなたの国の植民地にする訳にはいかない」と啖呵を切っていた。明らかにアメリカと敵対することを宣言してるわけだが、よくこの時代にこんなのが出来たもんだな。
<最初に太郎を助け出した少女は日本語を喋ってるけど、これは日本語じゃないという設定なのかな?
 太郎を助けるべく悪漢のピストルを奪って撃つマイヤー。偶然にそれは手に当たったが、偶然にしても見事な腕だ。あくまで殺さないのが本作の特徴か。
 ハリマオを見たマイヤーは「わー素敵。これが私たちを守ってくれてるハリマオさん?」となんかえらく説明的な台詞だ。
 インド人に化けたハリマオだが、右手の怪我は隠してないし、顔つきも日本人なのにMPは簡単にだまされてしまう。この程度の練度でMPなんてよく出来るもんだ。>
第6話 クラワク岬の襲撃

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 太郎の情報で陳の隠し武器の在処へと急ぐハリマオ達。だがそれは陳の罠であり、それを知るタドン小僧は危機を告げるべくハリマオの元へと向かっていた。一方、見張りに立っていた太郎はキャプテンKKとグレコが人目につかぬ場所で車から降りるのを目撃し、車へと忍び込むが…
 罠にはまったハリマオの危機が描かれる話。これまで太郎が中心だったが、はっきりとハリマオが正体を現したことによって中心はハリマオの方へと移っていった。もちろん太郎も存分に活躍しているけど。
 今回から令子という少女が登場。陳の関係者らしいが、陳の悪事も知っていて心を痛めているらしい。何故か太郎と一緒に陳の屋敷を逃げ出してしまった。
 ハリマオは部下に絶対に人命を奪うなと厳命。これがこの作品の特徴ではあろう。一方でハリマオの仲間の方は次々に殺されていくあたり、なかなかシュールだ。
 これまではカラー放送だったが、これは実験的な意味合いが強く、今回からモノクロへと変化する。むしろカラーの着色が今ひとつだったため、この方がかえって画面がシャープに見えてしまうのはこの当時ならではかな?今回からEDも入るようになった。画面と歌そのものは同じだが、歌っている人が違っている。
<太郎はマイヤーを引き連れて立ち回りしてる。足手まといというより、戦場に女性を連れて行くのに抵抗はないのかな?
 太郎を車に乗せたグレコは、太郎が撃てないのを知って平気で罠から離れようとしてる。それで本当に撃てない太郎も太郎だ。脅しはこういう風に使ってはいけない。>
第7話 クラワク岬の罠

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 陳とグレコの卑劣な罠にはまり、軍に包囲されてしまったハリマオたち。それを目撃した太郎達は陳の背後から忍び寄り、陳の武器で反撃するのだった。だが罠は更に張り巡らされていた…
 しばらくハリマオの方にウェイトがシフトしていたが、今回は太郎少年が大活躍。あくまでサポートだが、彼のお陰でハリマオは命を長らえるし、前回出会った令子という少女との関わりも出来てきた。
 今回ハリマオの過去がほんの少し垣間見える。本当かどうかは分からないのだが、元は日本海軍の軍人で大友道夫ではないか?とされる。
 これまで全然姿を見せなかったキャプテンKKがちょっと活躍。1話からライバルキャラとして出ていた割には今ひとつ存在感がない。
<何発撃っても弾切れを起こさない太郎の拳銃。リロードしてるんだろうけど、その描写は全くなし。
 突然南十字星の歌を歌う令子。前に太郎の姉が歌っていたものと同じ。と言いたいのだろうけど、唐突すぎるし話の流れを無理矢理変えてしまった感じもあり。>
第8話 黒い爪の招き

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 日本人女性秋江を人質に取ったキャプテンKKはハリマオをおびき出そうとする。だが待合場所にハリマオはなかなか現れず、太郎がやってきた。太郎も人質としようとするキャプテンだが、その時…
 太郎が危なくなると必ず現れるハリマオ。ヒーローとしての格好良さとはここにある。
 そして最大のライバルであるキャプテンKKとの一騎打ちが描かれることになる。ハリマオには敵わなかったとはいえ、単体でここまで食い下がったのは初めてで、ライバルキャラとしては申し分ない存在感だ。
 前回出てきた、ハリマオの過去を知っているらしい秋江だが、なかなかすれ違いでハリマオとは出会うことが出来ないみたい。
<ゆったりとした中国服を着ていたハリマオだが、それを脱ぎ捨てるといつもの格好に。いつの間にかターバンまで付けてた。
 令子のいる前で商談をしてる陳とグレコ。お陰で悪巧みを感付かれてしまった。悪人はもっと慎重でないとね。>
第9話 薄倖の姉弟

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 度重なるテロ活動に植民軍のダウジル大佐は反乱分子の摘発を始める。そこで独立党指導者であるメジャルは捕まってしまう。そして収容所に送られたメジャルはそこでトウチミンという男と出会う。メジャルを救おうと収容所に入り込むハリマオについて行くトウチミンだが。
 トウチミン登場。ハリマオの部下と偽って収容所に入り込み、ハリマオにくっついていくが、実はキャプテンKKの部下。役はなんと加藤精三。
 1話目から名前だけは出ていた万次郎という人物は実在し、しかも令子はその娘だが、実は太郎の実の姉に当たることが発覚。何とも奇妙な物語になってきた。
 一方独立活動をしていたのはハリマオだけではなく、いくつかの組織があることがうかがえる。その中でも独立党というのが今回登場。ハリマオとは緩やかに共闘しているらしい。
 新展開となり、太郎の家族のルーツ、ハリマオの組織の危機と二つの物語が同時進行する。せっかく登場したのに万次郎はあっけなく殺されてしまうが、太郎と令子の秘密だけは託した。
<逃げる太郎と令子を銃撃するダウジル大佐一行。大佐の真後ろに立ってる兵士も銃撃してるけど、あの位置だと大佐の頭に当たらない?>
第10話 地獄への道

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 まんまと独立党に入り込んだトウチミン。だが事前に独立党に入るはずの武器は全て空であることを察知したハリマオは、それが罠であることを知りつつ取引場所へと急行するが…
 前回出てきたトウチミンが独立党を罠にはめ、その事を知ったハリマオ一味が独立党を救うために活躍する。武器貸与が嘘であることを見抜くというのは7話で既に出ているが、一度罠にはまったハリマオはその罠に気づいている。
 ところで前回のラストで海に飛び込んだ太郎だが、いつの間にかハリマオと合流してる。いつ助けられたんだ?今回はほとんど台詞もないが、令子との関係は?
 ハリマオは自分の力が限られたものであることを知っており、世界平和を目指すなら世界中の同士を集めることが重要だと説く。ヒーローものとしては比較的珍しい。
第11話 落日の旗

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 ついにアジトが発見され、陳の配下によって包囲されてしまったハリマオ。一方捕らえられた令子を救うべく太郎も活動を開始していた。
 第一部のラストが近づき、話はハリマオ個人の戦いから東南アジア全体の暴動へと話がシフトしてきた。
 ハリマオ自身は自分自身が自由の象徴となっているため、会議に出たりしたらそのまま火種を広げることになってしまう。だからこそ会議出席を拒否する。それが住民には弱腰と取られてしまう。ヒーローとしての自分と、自由の象徴としての自分に引き裂かれるヒーローの姿がそこにはあるが、その結論は出さず、会議に出ないことで命が助かったというところで落ち着いてる。
 ハリマオが自分のことを大友道夫であることを認めた。秋江に対してではなく心の中で。あくまでハリマオはハリマオとして戦う。という意思表示と思われる。
<マシンガンは花火で表現してるのが丸わかりなので、使わない方が良いな。>
第12話 魔の城

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 令子に続き秋江までもがキャプテンに捕まってしまった。同じく捕らえられたトウチミンともども助け出そうと活動を開始するハリマオと太郎だが、そこには周到に張り巡らされた罠が待ち受けていた。
 気がつくとヒロインクラスの女性がいつの間にか三人に増えていた。日本のヒーローものだとこのパターンはかなり珍しい。初期のヒーローだからフォーマットが定まっていなかったとも言えるか。
 話はどんどん佳境へと入っていく。これまで完全にだましていたトウチミンがとうとう牙をむいた。だが、ここまで周到に用意していたというのに、あっけなくハリマオに逃げられてしまうのはもったいない感じだ。一方陳とタウジルの間にも不協和音が流れている。
 ハリマオはゲリラなので、アジトも一つところにこだわらない。逃げ回りながら戦いは継続していく事になるが、それも当然としてあっけらかんと逃げていく。この描写も面白い。
<令子の身柄にこだわる陳。これは財宝の地図のありかを彼女が知っているからだが、それを全く語っていないため、令子に対する温情なのか、あるいは単なるエロオヤジのように見えたりする。>
第13話 正義の凱歌

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 ハリマオをおびき寄せるためにキャプテンKKは魔の島で秋江、マイヤー、令子の処刑が行われようとしていた。だが令子を殺されては困る陳秀明はなんとかキャプテンに面会を求める。一方三人を助けるため魔の島に乗り込むハリマオだが…
 第一部のクライマックスで、ついにここでキャプテンとハリマオの決着がつく。ハリマオのライバルを自称するキャプテンだが、これまで彼との戦いは全て負けてるんだよな。最後も当然真っ正面から拳銃撃ち合って敗北。
 三人のヒロイン全員がまとめて捕まってしまい、処刑前の絶体絶命の危機に際してのハリマオの活躍が描かれる話。やっぱりこういうのが燃える。結局最終対決は余人を交えずお互いに至近距離からの拳銃対決だった。
 これまで一枚板のように見えたダウジルと陳の関係も崩壊。利害関係だけでくっついていたもんだから、当然こうなるか。陳の方はダウジルに万次郎の財宝については何も言ってなかったようだ。太郎の扱いについてもなんか中途半端な気がするし、ハリマオの正体も思わせぶりなまま。以降のシリーズで話が出てくるのだろうか?
<十字架に付けられた女性達のいましめを解く松。マイヤーのは手を触れる前に解けてしまったようだが?
 結局最後まで万次郎が隠したという財宝は分からなかったけど、これはこれで良いのかな?>
第14話 密林の謎

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 ソロ河流域の密林に狩りに出かけた青年が殺された。捜索を続ける警察は町でハリマオとドンゴロスの松を呼び止める。これ幸いと警察に入り込み、ハリマオ調査の進捗状況を調べるが…
 第二部「ソロ河の逆襲」の開始。今回は謎の殺人事件とハリマオの調査が複雑に絡み合ってきたことが描かれていく。とりあえず冒頭と言うことで、さほど物語が展開していくわけではない。
 第一部では都市部だけしか出てこなかったが、この話から密林の奥の村も描写されるようになった。何故かアメリカ原産のトーテムポールが出てくるのはご愛敬か?
 前回の話ではトウチミン役だった加藤精三が今回は真面目だが、やや尊大な警察官で登場してる。
<今ではすっかり聞かれることがなくなった表現が聞かれるのもこの時代の番組ならでは。“土地の民”という意味なのだろうが、なんでこれが駄目なんだろうか?
 僧が登場。その格好は何故かアラビア風。仏教と言うよりはイスラム教っぽいぞ。トーテムポールも合わせ、かなり無国籍調。>
VOL.2
<A> <楽>
第15話 本国から来た男

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 何者かに襲われた村人と老母を助け出すハリマオ。だが事情を聞く前にいずこからか飛んできたナイフによって村民は殺されてしまう。その頃駐留軍のオパール長官の元にやってくる人物を見張っていたドンゴロスの松は、尾行に気づかれて撃たれてしまう…
 サーキット登場。ソロ河の村人襲撃の責任者。一部におけるキャプテンKKのような立場にある。そして一部に続き陳秀明が登場。ソロ河工事の人足集めに奔走することになる。
 「この世の地獄」と言われた内容は植民軍による何らかの工事だった。現時点でなんの工事かは語られていないが、東南アジア全域を支配するというから、何かの発掘かと思われる。
 ドンゴロスの松が撃たれたり、ハリマオが銃ではなく主に体を使って戦っていたりと、見所も多い話に仕上がってる。
<ハリマオに事情を話そうとした村民は後ろから飛んできたナイフで殺されてしまう。村民じゃなくてハリマオを狙ってたら一気に悪の勝利だったんだけど。
 現地では大変あがめられている僧侶に拳法をやらせているのはちょっと。現地の人には見せられないな。
 村の祭りというのが太鼓を打ち叩いて踊り回るものだが、東南アジアの祭りには到底見えない。これも現地の人が観たら怒りそうだ。>
第16話 地獄部屋の秘密

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 悪魔祓いの祭りを行っている村にやってきた陳秀明は村人に痺れ薬入りの酒を振る舞い、村人を連れ去ってしまう。一方サーキットの部下に捕らえられてしまったドンゴロスの松とタドン小僧だが…
 第一部では神出鬼没のハリマオに翻弄される駐留軍が中心に描かれたものだが、第二部になると、今度はハリマオの方が受け身になってるのが特徴。少なくともここまでではハリマオは何も出来てない。どうやらこの事態には対処できてないようで情報網とかが貧弱だと思われる。
 罠を張って捕らえた松とタドン小僧を一回は命を救うサーキット。なかなかの余裕だが、それが後半になると変わってくるだろうね。
<木に縛り付けられながら蛇よけに歌を歌う松とタドン小僧。で、タドン小僧の歌は「タドン小僧は、真っ黒け。真っ黒、黒、黒、黒坊主〜」。放送倫理的にかなり…
 工事現場から脱出する二人の青年は吊り橋から川に飛び込む。もちろん人形だが、気を付けをした姿勢のまま垂直に落ちて言ってるよ。>
第17話 正義の挑戦

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 採掘現場から逃げ出したアマンの兄は逃走の途中ラジャーに襲われ、命を落としてしまう。だが死ぬ前に重要な秘密を隠した石をハリマオに渡すのだった。
 次々と人が死に、収容所の様子も悲惨になっていく。話そのものは割と単純で、視聴者にはよく分かっている謎に向かって着実に近づくハリマオの姿が描かれていく。
 陳秀明は工事現場が金の採掘であることに気づくのだが、元々は違う工事だったっぽい。一体何の工事だったのだろうか?
<ラジャーの追跡を逃れようと、松に頼んで変装するハリマオ。ゆっくり変装してるのに終わるまで誰も追ってこない。
 相手が誰かも分からないのに自分の正体をあっさりばらすハリマオ。相手がたまたま味方だから良いけど、スパイだったらどうする?>
第18話 暴かれた秘密

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 サーキットの一味によりアマンがさらわれてしまった。彼女を追うハリマオは、タドン小僧の活躍でついに秘密工事現場のありかを確認するのだが…
 これまで散々秘密工事現場の事を言及していたし、描写もあったが、ようやくここで発見。ここまでかなり時間がかかってしまった。
 植民軍の中で不協和音がなり始めた。工事の遅れに長官とサーキットの間に責任の押しつけ合いが始まってる。ところで現時点では一体なんの工事なのか全く分からないと言う難点がある。
 ハリマオのライバルキャラとして登場したはずのラジャーがハリマオと戦い、崖から落ちてしまった。あっけない最期…かな?
第19話 決死の爆破

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 ラジャーを倒したハリマオは工事現場を爆破し、強制労働をさせられていた人々を解放。暴動が発生する。一方九死に一生を得たラジャーはサーキットとコバールと合流し、ハリマオのことを報告するが、サーキットはこの失敗をハリマオに押しつけるためコパールを殺害してしまう。
 とりあえず前半の山場。ハリマオ一人の活躍ではなく、多くの人々の自由を求める気持ちが正義を作る。というのが本作のテーマ。今回もハリマオは自らも暴れてはいるが、基本的にアジることがメイン。
 2部になって全く出番なしだった太郎少年がようやく登場。しかしちょっと幼くなってしまったね。
 前回で崖から投げ落とされたラジャーだが、かすり傷程度で復活。ものすごい回復力だ。「快傑ズバット」の早川健並。
 特撮面ではダイナマイトを使った爆発シーンが登場する。火薬の量があまり多くないのか、しょぼいのが残念だが。
<片言の日本語で「ラジャー」と大声で言うと、何故か「大ちゃん」に聞こえてくる。
 マイヤーは太郎達と一緒に住んでるらしい。ハリマオとは離れてるようだが、女所帯の大家族になってるみたい。>
第20話 秘密指令

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 病死とされたコパール長官の死は実はハリマオに殺されたのだという噂が流れる。長官の死の裏には何かがあると考えたハリマオは松と共に真相を探り始めるが…
 ソロ河工事の話が一段落。植民軍では新長官も着任し、ハリマオ側では太郎が合流。新展開となる。
 長官が殺されたことを知った太郎が松に合流。やっぱりなんか幼くなってしまった。滑舌は前よりもはっきりしてるので言葉は分かりやすいけど。当然見立てになるが、違和感なしにみんな太郎を受け入れてる。
 ハリマオは故無くして人を傷つけたりはしないと名言。「正しい人の命が危うい時以外、私の拳銃は火を吹かぬ」だそうである。
<役所にいる時もラジャーは腰布一丁。みんなそれなりの格好をしているので、違和感があり。>
第21話 悪魔の罠

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 秘密工事再開の情報をつかんだハリマオと松は機材を積んだ船に乗り込むのだが、それはサーキットが仕掛けた罠だった。本物の機材は列車で運ばれており、それを知った太郎とタドン小僧が追跡する…
 ハリマオの船侵入が描かれていくが、この作戦は失敗。ハリマオの作戦失敗や罠に引っかかったことはこれまでにも何度かあったが、今度は逃げられない船の中だというのが問題。
 松は変装のために髭を落としているので、瞬間的に誰だかわからなかったりする。
<資材を積んだ列車を止めようと崖から岩を落とす太郎とタドン小僧。協力して石落とせばいいのに別々に落とそうとするから、列車よりも落とすのが遅れてしまってる。>
第22話 包囲網の虎

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 罠によって貨物船に閉じ込められ、火薬庫に火が付けられてしまうハリマオ。間一髪で脱出に成功し、太郎達に合流するが、工事道具を乗せた列車は新しい工事現場に向けて走り続けていた。
 久々にこどもの方が物語の中心となり、ハリマオがそれを助けるといった構図で、ヒーローものの王道を行った感じ。ややご都合主義な感じはするが、颯爽と馬に乗って登場するハリマオの雄志が格好良いので、それで充分。
 ハリマオを殺すために貨物船を一隻無駄にすることになったが、それで死なないんだから丸損だ。
<貨物船から泳いで岸に渡ったハリマオと松。わざわざ敵のうようよいるところを選んで上陸することはないと思う。
 ハリマオはサングラスのまま泳いでるし、上陸した途端二人の服も乾いてる。
 爆破された貨物船は当然ミニチュアだが、木で作ってあるらしく、燃えるとモロに釘が見えてしまう。
 太郎と一緒になって銃撃戦をしていたハリマオだが、太郎が振り向いたら彼方から馬に乗って駆けてくるのが見える。テレポートでもしたか?いや、むしろ早川健か?>
第23話 黒い狙撃者

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 植民軍が掘り出しているのはファイヤー族が守る石油だった。その事を突き止めたハリマオだが、そんな彼を狙う銃口があった…
 新たな鉱物資源としてサーキットが狙ったのは石油。前に掘っていたのは諦めたのだろうか?むしろ労働力の確保の方が急務だったような気がするが、もう数多くの労働者がいるのは無理がある。元の話からかなり逸脱し、新展開になってから話が一話毎につぎはぎになってるとしか思えない。
 ハリマオを狙う新たな刺客が登場。名前はザガと言う女性だった。なんでもピストルの名手らしい。
<ファイヤー族の姿の描写はほとんどアパッチ族。なんでアジアの奥地でこんな不自然な格好?
 神の水とは石油のことらしいが、ファイヤー族が守るそれは澄んだ水のようにしか見えない。>
第24話 呪いの影

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 サーキットは長官に進言し、酋長たちに自由と解放を約束する。その条件としてハリマオ逮捕と石油提供を迫るが、ファイヤー族の酋長をはじめ全員が了承しなかった。そこでラジャーたちはハリマオの部下になりすまし、ファイヤー族の酋長を襲撃するのだった。土民達に疑われ、命を狙われてしまうハリマオだが…
 民族の自由を求めるハリマオが、誤解を受けて彼らから狙われてしまうと言う話。物語としては結構キツイはなしだが、実はこれは実際にはよく起こること。特に民族紛争の歴史はこんなのばっか。
<ジャングルの酋長達が民族衣装そのもので町を闊歩してる。やっぱりネイティブアメリカ人のようだが。それにしてもこの格好は流石にきついな。
 遮蔽物の全くない平原で囲まれるハリマオ。罠にはめるためとはいえ、いつでも殺せるのに逃げてしまうのはいかがなものか。
 ハリマオの隠れ家はジャングルの中に建ってるようだが、電気もちゃんと来てるみたい。電信柱らしいのも確認できる。ここはどこだ?>
第25話 女スパイの正体

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 女拳銃使いのザガはハリマオを殺すべく仲間と偽って近づく。彼女の行動に疑いを持っていたハリマオは騙されたふりをして逆に彼女を捕らえる。一方ファイヤー族の酋長を匿った玲子らを陳が付け狙っていた…
 謎の女ザガの正体は子バール長官の娘だった。コバールが殺されたのはハリマオだと思い込み、暗殺の機会を狙っていたことが分かる。
 この話ではサーキットとハリマオの知恵比べが見所になっているが、やっぱりハリマオが一枚上手で、サーキットの張った罠をことごとくかいくぐっている。
<ザガがハリマオを狙ったのはハリマオが執務中に背後からだった。だけど、これじゃすぐに気づかれるぞ。案の定その通りだが。
 コバールを殺したのは私ではないと力説するハリマオ。直接殺したわけではないけど、ハリマオの存在がその契機になったのは確かなんだけどね。>
第26話 燃え上がる勝利

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 ファイヤー族の守る石油を奪うため、ファイヤー族、他の部族、ハリマオの三者に疑心暗鬼を植え付けようとするサーキット。部族間戦争を防ぐため、生きていたファイヤー族酋長を連れジャングルへと向かうハリマオ。
 第二部最終回。サーキットの野望が明らかになり、部族間戦争一触即発状態でハリマオが放った妙手が描かれていく。ただし話自体はすごく単純で、秘密兵器としてファイヤー族の酋長がいたというだけ。それだけで何もかもが好転して全て終わってしまった。
<重傷でほとんど動けないはずのファイヤー族の酋長だが、普通に馬に乗ってたりする。
 ファイヤー族は生け贄のため石油の沼に火を放つのだが、火の勢いが思った以上に早すぎたか、若き酋長は素で驚いて逃げてる。
 ファイヤー族の踊りはどっちかというとフラダンスに似てるけど、ちょっと描写が酷い。>
第27話 ハリケーンの来襲

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 マレーシア近海に蔓延る海賊被害。植民地の真珠商人達はこのことを重く見、その対策を協議するが、その中でハリマオが犯人ではないか?という意見が出た。一方海賊の横行を知ったハリマオは、その撲滅のために動き始めていた。
 第3部「アラフラの真珠篇」始まりの話。
 フォーマットとしては、太郎とタドン小僧が話の中心となっていてこども向きのものに戻ってきたようだ。2部ではほとんど登場がなかった太郎が元気に活躍中。キャラが変わって妙に薄味の顔つきになったのが残念だが。
 又しても悪人陳が再登場。ハリマオに恨みを持っているだけに、何かというと、悪い事をハリマオのせいにしてしまう。その小物っぷりがなんとも。底が浅いのであっという間にハリマオに野望を見破られてしまうけど。
<冒頭に海賊が出てくるが、縞シャツにタオルの鉢巻。まさしく海賊そのもののイメージ。分かりやすい。
 最初の会議で商人の一人が「ハリマオは我々のようにまともに働いている人間をいじめることはない」とか発言してる。よく言うよ。
 アラフラの蛸があると言う海図はハリマオの活躍で半分にされてしまう。これがないとアラフラの蛸の在処が分からないらしいが、陳はこれを複写していたので、オリジナルは持ってたんじゃなかった?
 ブラックのアジトは密林の中だが、そのバラックにはドクロ旗が。ばれることを恐れてないのか?
 ハリマオの名前を大声で呼びながらバンコクの町中を駆け回るタドン小僧。一応ハリマオはお尋ね者だから、見つかるとまずいんじゃない?>
VOL.3
<A> <楽>
第28話 どくろの首飾

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 太郎が密航した陳秀明の船はハリケーンに遭い難破してしまう。九死に一生を得た太郎は商船に助けられるが、今度はその商船が海賊に襲われてしまった。一方海賊ブラックの行方を追っていたハリマオだが、こちらも敵の罠にはまってしまう。
 太郎とハリマオに分かれて話は展開。太郎の方は冒険活劇でハリマオの方は地道な捜査と言った風情。メリハリはきっちりついてる。
<商船の船長はサードと言い、おそらく外国人だと思われるのだが、その顔はモロに日本人。
 足を使った捜査活動してるハリマオと松が偶然入った店の中にはアラフラの蛸について話している二人連れの男あり。で、ブラックの居所を聞いたら、そいつは陳秀明の配下だったことが分かる。見事な偶然の連続だが、罠とか考えてなかったのか?
 海賊の仲間の武器を次々とお得意の拳銃で撃ち落とす太郎。銃口がふらふらしてるけど、命中率は凄く良い。>
第29話 南海の襲撃

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 太郎の乗る真珠採取船は海賊“海の狼”の襲撃を受けたものの、太郎の拳銃によって撃退できた。それを知った海賊団のボスであるブラックは、自ら部下を率いて真珠採取船を襲うことを決める。
 今回も太郎とハリマオの二方面で話が展開。この二人をつなぐことになるタドン小僧が今回は活躍。ハリケーンで行方不明となった太郎を一生懸命捜している姿が健気。
 アラフラの蛸の名前の由来は、その真珠が蛸によって守られていたからだそうだ。それを話すサード船長は、太郎を心から信用しているようだ。その際、「私にとって大切なことは、命よりも船長として信頼されている誇りだ」なんて言っているが、当時は素直な美徳をちゃんと言えたんだなあ。
<船長のサードは責任感のある善い男だが、台詞棒読みなのが難点だ。
 コンドル島にはマシンガンを持った男がいるが、単発で撃ってるだけ。使い方を間違ってる。>
第30話 毒蜘蛛の糸

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 真珠採取船をめぐるハリマオと片足ブラックの対決はハリマオの勝利に終わる。だが逃げ帰ったブラックはいち早くバンコクへと戻り、陳と共謀して真珠会社のバンコク支店長を誘拐するのだった。
 第一回目のハリマオの活劇は勿論大勝利。しかしこの勝利はあくまで表面的なもので、決着はついてないどころか、事態は余計に悪化している。肝心のアラフラの蛸を持ったままの太郎も一人で苦労しているようだ。お姉さんのことを思って空を見上げてるとか。それを受けてお姉さんの令子が再登場。
 最後はなんとか太郎とハリマオが合流したが、その合流先を陳とブラックに知られてしまい…
<久々にタドン小僧のテーマソングが流れる。「真っ黒黒黒〜」ってやっぱり今じゃまずいと思う。>
第31話 連れ去られた船長

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 陳一派の襲撃を間一髪でかわしたハリマオ達。だが陳の手はサード船長の上にも伸びていた。サードからアラフラの蛸を託されていた太郎は、その責任を感じ、サードの救出をハリマオに願う。
 陳とブラックの手はアラフラの蛸の元の持ち主サードへ伸びる。この話はサードの救出が中心に描かれることになるが、そこでの松の活躍が格好良い。
 今回はロケが多いらしく、実際にタイの寺院なんかが出てくる。無駄なカットも多いけど、それもフィルムが勿体ないから?
 松に命を助けられた陳の配下は、よく観たら二瓶正也か。真面目な顔をすると二枚目だな。
<サードは部屋の戸を叩いた人物に「船長」と呼びかけてるけど、船長はサード本人じゃないの?>
第32話 怒れる巨象

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 サード船長を救うべくブラックと陳のアジトがあるメナム河上流へと向かうハリマオ。そして別行動を取った太郎は道に迷ってしまい、そこでアラフラの蛸のことを知っている老人と出会う。
 突然現れた老人に折角のアラフラの蛸を持ち逃げされてしまうという話。折角のお宝をほいほい人に見せてしまうからこんな事になるのだが、それ以前にそんな重要なものを持ち歩いてる事自体が非常識というのが分からない少年なのかな。別段脅迫を受けている訳でもないし、陳もアラフラの蛸を太郎が持っている事を知らない訳だし。
 しかし、その老人に奪われたお陰で陳の配下に太郎が捕まっても真珠は出てこないので、話もかなり都合良くできてる。
 一方真珠をめぐり、陳とブラックの間にも不協和音が生じている。やっぱり悪人が二人出てくると、こうならなきゃね
 最後は陳の罠にはまり、絶体絶命の危機に陥った太郎達の前に、象に乗ってハリマオが現れ、陳一派を蹴散らす。いかにもタイらしくって良い感じ。
<密林で迷ってしまった太郎だが、次の瞬間には何事もなくホテルに入っている。それどころか拳銃商とも連絡が付いていた。どういう伝達システムになってたんだ?そもそもわざわざ出かけていって、それで又バンコクに戻ってるようだけど?
 得意げに太郎に拳銃を見せる商人。タイはこう言う国だと誤解を受けそうだ。>
第33話 乱れとぶ鉄腕

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 バンコクでムエタイ(タイ式ボクシング)が行われることとなった。その会場には何故か陳の車が横付けされており、不審に思ったハリマオはそのポスターを見ると、そこに描かれている若いボクサーが太郎から真珠を奪った老人にそっくりだと気付くのだった。
 前回登場したアラフラの蛸に執着する老人からアラフラの蛸を取り戻すまでが描かれる。
 ムエタイの会場を舞台にした話が展開。いわゆるキックボクシングが日本で紹介されたのは沢村忠の頃だが、その前にここで出てる事が分かる。試合内容も本物を撮影したらしく、かなりリアリティあり。投げあり、蹴りありの試合展開はかなり見所がある。
 クライマックスは現役ムエタイ選手のチュチュインとハリマオの一騎打ち。だけど、やっぱり本物出した後だと、どうしても見劣りするのは仕方ないところか。
<ハリマオの言葉に怒った陳が叫んだ言葉は「うるしゃい」。妙な訛りがあるね。
 祖父がハリマオに連れ去られたと知らされたチュチュインは果たし状を貼り出すのだが、書かれた言葉は日本語だった。
 チュチュインの決闘状を受けたハリマオは「正しいものは常に勝つ」と嘯く。つまり、勝てば正しくなるんだな。
 それにしてもあれだけ目立つように張り紙出しておいて、見物人がほとんどいないってのも不思議と言えば不思議。やっぱり日本語で書いたから?>
第34話 奪われた真珠

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 正々堂々の死闘の果てハリマオに負けたチュチュインは、ハリマオの正しさを確信する。チュチュインと祖父の助力もあり、支店長も助けられたが、肝心のアラフラの蛸はブラックに奪われてしまうのだった。
 善人の命を大切にするハリマオにとっては、真珠よりも見たことのない人の方が重要。結果としてお宝は一旦は諦めることになる。
 一方、悪人の側は人との約束なんてどうでも良く、陳とブラックは真珠をめぐって裏切りの連続。それが良い対比になってる。
<ハリマオと陳のやりとりをじっと聞いているだけの太郎ら。陳の後ろから脅かすとかあっても良かった気がするけど。
 祖父が死にかけてるのに、にこやかな顔をしてハリマオと握手するチュチュイン。状況を見ろよ。
 陸上にいても常に航海士の格好をしているサード船長。分かりやすいけど、全然リアリティはない。
 アラフラの蛸が本物かどうか見せてみろ。というブラックに対し、えらく遠い場所で真珠を見せるサード。「俺は用心深い」と言いつつ、ブラックは簡単に信じてしまった。
 ハリマオを狙撃するにはぴったりの場所にいるのに、わざわざ姿を見せて徴発する陳。こんな事だからハリマオに負け続けるんだ。結局銃撃戦になるんだし。>
第35話 アンコールワットの対決

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 アラフラの蛸を持ち逃げしたブラックの行方を追うハリマオと陳は、ほぼ同時にブラックがアンコールワットに潜伏していることを突き止める。真珠を売り払おうとするブラックを捉えるべく、ハリマオと陳はアンコールワットへと向かうのだが、太郎達が乗っている飛行機は不時着してしまう。
 ハリマオと陳、ブラックの三つ巴の戦いが描かれる。多数の部下を引き連れる陳とブラックに対し、太郎達と別れたハリマオはたった一人で戦っている。それで終始優位に立っているのが流石だ。
 舞台はカンボジアに。流石にアンコールワットの中で活劇シーンを撮影するのは無理らしくセットだったが、まだこの時代はカンボジアも普通に入国出来たし、アンコールワットでの撮影も可能。良い時代だ。これだけアンコールワットを撮影できたドラマって唯一かもしれない。
<不時着した飛行機から脱出した太郎達は虎の唸り声を聞く。松に言わせれば「虎は味方だ」そうだが、ここはマレーシアではない。>
第36話 香港行き十八番

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 陳、ブラック、ハリマオの激しい銃撃戦の末、アラフラの蛸は陳の部下張が手に入れ、張は陳の指示のもと、すぐさま香港へと部下を送り込む。それを知ったハリマオも香港へと向かうこととなる。
 タイから始まりカンボジア、そして香港へとなかなか国際色豊かに作られた話になってる。更に連絡場所はサイゴンって事は、ヴェトナムも入ってるのか。
 太郎の姉令子と秋江が久々に登場。ただ、令子は歌を歌うためだけに出てるような気がするけど。
 そう言えばハリマオは拳銃を横向きに使っている。映画では2000年代になって流行り始めたスタイルだけど、かなり先行してやってるのが面白い。
<張に木に縛り付けられるタドン小僧。別段押さえつけられていないのに、木にへばりついて悪態付いてる。
 アンコールワットのすぐそばには桟橋があって、大きな川が流れてる。よく分からないけど、地理的に正しいようには思えないけど。植生がモロに日本のものだというのはともかく。
 張は部下に命じ、「胸にバラを挿した人に真珠を渡せ」と指令してる。それだけで分かるものなのか?実際間違えてる訳だが。>
第37話 九竜鬼面館

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 間違ってアラフラの蛸を受け取ってしまった美麗は、兄の子竜と共に陳の配下によって捕らわれてしまう。それを知ったハリマオは彼らを救出すべく活動を開始する。
 舞台は香港へ。基本は今まで通り三つ巴の戦いなのだが、新しいキャラも登場し、アラフラの蛸をめぐる争奪戦は激化。少々強引なところもあるが、これはこれで楽しいから良し。
<香港のバスに乗っていた太郎は代金が14円と言われる。香港で円?
 香港に来てもハリマオはいつもの格好。凄く浮いてないだろうか?
 陳の行方を見失ったハリマオは宝石商を一軒一軒回ることに。ブラックマーケットに流れる真珠がそんな事で見つかるか!…と思ったら本当に見つかってしまうのが流石だ。それで誘拐現場まで目撃するのだから、都合良すぎる。
 子竜宛の陳の手紙は何故か日本語で書かれてる。どっちも中国人って設定なんだが。>
第38話 忍び寄る魔手

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 ハリマオは子竜と美麗を助け出し、アラフラの蛸を託される。だが出し抜かれた陳は、アラフラの蛸を手に入れるために香港にやってきた太郎の姉令子と秋子を誘拐するのだった。
 前回無関係の二人が誘拐されたが、今度は令子と秋子が誘拐。何というかとてもワンパターンな話になってしまった。それより偶然が重なりすぎてる感じだ。
 タドン小僧が令子と秋子を香港案内するシーンあり。タドン小僧自体が香港に来たばかりなのに。というのはともかく、あの格好で観光地を回っていたかと思うと、撮影の大変さを思う。海外観光地をめぐるのも本作の味だ。
 令子はセーラー服姿。と言ってもちゃんとした水兵服のこと。白黒でもこれはまぶしい(別段フェチって訳じゃないけど)。
第39話 さよなら香港

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
      大村順一
 陳のアジト“鬼面館”に単独で乗り込んだハリマオは令子と秋江の交換でアラフラの蛸を渡すのだが、ハリマオの前で陳とブラックが真珠をめぐって争いを始めてしまい…
 第3部「アラフラの真珠篇」最終話。部下とも離れ、絶体絶命の危機に陥ったハリマオが機転で全てを丸く収めるまでが描かれる。
 ここでハリマオの正体が分かる。既に1部で言われていたとおりなのだが、大友海軍中尉だった。初めてサングラスを外した姿を見せてくれた。日本政府の命を受けて潜入していたらしいが、どんな命令だったのかは明らかにされていない。
 第1部からライバルキャラとして登場していた陳もここでブラックと相打ちで死亡。最後はテーマソングとも言える令子の歌で締める。色々な意味で最終回っぽい終わり方だったのだが、あと2部続くのは、やっぱり好評に付き延長だろうか?
<仲間であることを強調する陳とブラックに対し、仲間割れを吹き込むハリマオ。正義の味方にはあるまじき行為だが、悪は滅びるべきって観点であればこれも正しい。
 鬼面館で戦うハリマオ達だが、外側が古びている割に内部はほとんどホテルの部屋みたい。撮影したのがそうなんだろうけど。>
第40話 風雲の砂漠

  監督:田村正造
  脚本:伊上 勝
 一旦日本に帰国していたハリマオだったが、親友である栗原中尉が蒙古で消息を絶ったことを知らされ、海軍の南郷中佐から現地に飛ぶよう指令を受ける。ハリマオは新たに部下となった“空っ風の友”友田曹長を伴い、モンゴルへと向かう。
 第4部「南蒙の虎」篇の開始。前話で東南アジアに一人残ると言っていたはずのハリマオが突然日本にいたり(しかも例の格好で)、舞台がモンゴルに変わったりとやや雰囲気が異なっている。
 今回からハリマオの仲間も一新。“空っ風の友”こと友田と、カサル少年が新しい仲間として登場する。
 一応太郎や令子も帰国して日本で楽しく暮らしているらしい。何故かタドン小僧もいるし、天涯孤独の二人がどんな家庭で暮らしているのかは全く言及なし。あれだけ冒険好きなのに、令子から「学校があるでしょ」の一言で旅を諦めるなど、性格もやや異なってるような?
 今まで日本の描写がなかったので気が付かなかったけど、ハリマオの海軍中尉という肩書きが通用していることから、この作品は太平洋戦争以前の時代と言う事になる。満州国については全く言及なし。歴史的観点からかなり奇妙な設定になってるので、あるいはパラレルワールドで、太平洋戦争で日本が負けなかったら?というイフ物語なのかもしれない。
 大連の日本軍はこれまでの日本人とは異なり、えばりくさった存在で、嫌な雰囲気を醸してるのもこれまでの話とは経路が違っている。
 これまでの経緯からすると微妙なツッコミがたくさん入るのだが、本作単独で見る限りは構わない程度の小さなもの。これまで以上にハードな展開が期待される出来に仕上がってる。
 尚、本作は『人間の條件 第3部望郷篇 第4部戦雲篇』(1959)で御殿場に組まれたセットを流用している。
VOL.4
<A> <楽>
第41話 怪人の招待

  監督:田村正造
  脚本:伊上 勝
 大連で謎の女を追うハリマオは日本軍の駐屯地で銃撃戦となってしまう。紅連と名乗るその女は日本軍によって捕らえられるのだが…
 現在のモンゴルの状況は、前王ウブラ汗の後継者であるチヌク汗という過激な王によって鎖国政策が取られている。それに対し、陸軍は全面戦争か和平かに分かれている。
 それでハリマオの役割は、日蒙戦争を引き起こさぬため、現地潜入と言う事になる。これまでにない大きな任務だ。
 ハリマオにとってもモンゴルは自分のフィールドでないので、かなり動きにくそうだが、それも話をかなり一生懸命作ろうとしているのが分かる。
 一方日本から来た令子と洋子は、友と接触。お互いに知らないので、ハリマオとの実質的な接触はもう少し後になる。
 太平洋戦争以来、日本人は海軍びいきになったが、明らかにこの話は陸軍を単純な過激派に、海軍を穏健派に描いてるのが特徴。構図が分かりやすい。
<モンゴル人たちの掛詞は「エイエイオー」だった。えらく日本じみてるな。
 モンゴル人という触れ込みの人物の何人かは明らかに清朝時代の中国人っぽい格好してる。顔がモンゴロイドなので、モンゴル人はやりやすいな。>
第42話 恐るべき強敵

  監督:田村正造
  脚本:伊上 勝
 蒙古砂漠の入り口で部族の長ハンブと対峙するハリマオ。一方、大連で謎のメッセージを受けた洋子達は、その意味が分からぬまま、大陸の奥深くへと向かうのだが…
 ハリマオの方はライバルが登場。気持ちの良い砂漠の民の長で、気っぷの良い敵キャラ。多少卑怯な手も使いはするが、こんなすがすがしい敵はこれまでにはいなかった。
 そして洋子と令子は、偶然によって蒙古にハリマオが来ていることを知る。どうやら令子はハリマオとは運命で結ばれているかのよう。一旦はここで別れることになるが、又そのうちに出会うのだろう。
 ハリマオと令子の出会いはしごくあっさりしてるが、これも戦いの中で培った友情のようなものなのかな?
<令子の正体を明かしてしまえばハリマオも協力せざるを得ないのだが、肝心なことを言わないからお互いに苦労することになる。
 廃屋で待ち伏せしてカサルを襲うダルガだが、動きが若々しすぎ。ダブルがすぐに分かるシーンだ。>
第43話 身替りの王女

  監督:田村正造
  脚本:伊上 勝
 命を狙われていることを知った令子の機転で洋子と令子は別行動を取ることに。だが王女洋子は砂漠の民モンゴルの狼によって狙われ、身代わりとなった令子はハンブによって狙われていた。その頃、命令無視によって軍の黒田によって牢に入れられてしまったハリマオと友だが…
 令子と洋子が二手に分かれたため、ハリマオを含め、三つの物語が同時進行。それぞれに危機を迎えるため、かなり見所の多い話になってる。
 大友中尉としては、軍の命令に従う事を明言しつつ、ハリマオとしては自分の正義のために戦う。と断言するハリマオはやはり格好良い。
<蒙古入りを果たしたはずのハリマオが何故か軍基地にいる。何で戻ったのか一切説明無し。
 決起逸るハリマオに対し、友は妙にやる気のないそぶりを見せてる。松とは随分違った感じだな。
 令子が何故蒙古入りをするのか何も聞かなかったと大笑いするハリマオ。そんなのでよく情報部なんかやってられたな。>
第44話 死の谷

  監督:田村正造
  脚本:伊上 勝
 モンゴルの狼に捕らえられた洋子とカサルは逃げ出す機会を窺うが、そんな二人に自分の失った両親の事に思いを馳せる紅蓮。
 洋子とカサルが話の中心となった話だが、そんな二人に妙に同情を覚えた馬賊の女の紅蓮。更にそこに日本軍が絡んで不思議なドラマが展開している。
 今回は日本軍とモンゴルの狼の銃撃戦がメイン。細かいところでは色々ツッコミもあるが(どう見ても日本にしか見えないとか)、見所は多い。
 そして日本軍の危機に、颯爽と現れるハリマオ。押っ取り刀のため、ハリマオの方にも余裕が無いみたいだが、それで形勢逆転にまで持っていくのはヒーローとしての決断力。
<日本軍と交戦するモンゴルの狼は、全員仁王立ちで銃を撃ちまくってる。普通身を低くしなければならないものだが。ただそのため、事実絶対的優位の地形にあって損害率も高い。初期の損害度は五分五分と言ったところ。
 日本軍はどうしても撃てない。というカサル。モンゴル人が自国の民より日本の方が大切な理由って何かあるの?>
第45話 追跡の砂漠

  監督:田村正造
  脚本:伊上 勝
 令子とダルガに合流すべく砂漠に進路を取る洋子とカサル。だがその頃令子の方もハンブの襲撃に遭い、ダルガは重傷を負い、令子はハンブによって捕らわれてしまうのだった。一方洋子が王女であることを知らされたハリマオも又、一路砂漠の道をひた走る。
 紅蓮を仲間というか捕虜にした状態でのハリマオの活躍がメイン。女性が仲間になって共に戦うってのは本作では初めての話だが、紅蓮自身が相当なじゃじゃ馬のため、つかず離れず。と言った感じ。そんな彼女をそのまま受け入れるハリマオも又、なかなか格好良い。こう言ったフランクなところがこのキャラの魅力なんだろう。
 そしてその対照的なライバルキャラとして出ているハンブもこれはこれでかなり魅力的。悪の魅力って感じが良く出ている。
 活劇シーンはこれまでの素手と拳銃から、刀とか槍へと変化。これだと動きが固いため、今ひとつだが、直接戦ってるのはヒーローっぽくて良いかな?
第46話 砂漠の隼

  監督:田村正造
  脚本:伊上 勝
 ハリマオの活躍によりダルガは無事助けられた。だが捕らわれた令子はハンブの元に連れて行かれようとしていた。その事情を知ったハリマオは、令子を助けるため、単身ハンブの元へ向かう。
 今回の事件を通し、紅蓮がはっきりハリマオの味方に付いた。ハリマオという人物描写の特徴として、自分の味方だと信じた人間を徹底的に守る姿勢がある。テレビの都合とは言え、それは破られることがないので、本人の強さと言うよりもその目利きの方が重要だというのが面白いところ。
 今回は馬の使い方が良い。物価は安いとは言え、テレビシリーズでこれだけ多数の馬を運用しているのはめずらしい。ハリマオの部下が松から変更になったのは、馬に乗れるかどうかだったのかもしれないな?
 一方、良い感じにライバルキャラとして仕上がっているハンブも、あれだけの出会いでハリマオの実力をはっきりと認識している。人間関係がかなりすっきりしてる感じだ。
 今回直がハリマオの唄を歌っているけど、「果てない南の」とあるのを「果てない砂漠の」に変えている。
<ハリマオが探していると聞いた途端、絶対ハリマオなら間違いないと太鼓判を押すカサル。そんなに関係深くないはずだけど?と言うか、いかにも視聴者の立場に立ってものをいってるよね。>
第47話 暗黒の国境

  監督:田村正造
  脚本:伊上 勝
 ハンブの奇襲に遭い、パオに閉じ込められてしまうハリマオ一行。絶体絶命の危機を救ったのは、ハリマオを追ってきたカサルだった。洋子と合流したハリマオは彼女をあるべき王女の地位に戻すため、活動を開始する。一方チヌク汗はモンゴルに展開する日本軍を追い出し、モンゴルの覇者になるべく行動を開始していた。
 話はかなり大きくなり、日本軍とモンゴルの部族との全面衝突になりかねない状況に。このままでは完全に国際紛争になってしまう。そんな危ない状況を知りつつ、捕らわれた令子の身を案ずるハリマオの姿が描かれていく。平和のため、日蒙全面戦争を身を挺して防ごうとするハリマオの姿はやけに格好良い。
<パオに火を付け、出てきたハリマオを撃ち殺そうとするハンブ。別段パオに向かって撃っても良かったんじゃないだろうか。
 遮蔽物が何もない草原で旗を守っている日本軍。襲ってくれって言ってるような布陣だな。
 度々「国境」という言葉が出てくるが、これはやっぱり満州と蒙古の国境のことだろうか?
 国境に立つ道標には「蒙古国国境」と日本語で書かれてるけど、住民達には意味分かってるのかな?>
第48話 草原の決闘

  監督:田村正造
  脚本:伊上 勝
 黒田参謀の暴走を抑え、早川参謀との和解にこぎ着けることが出来たハリマオ。後は内乱を収め令子を救うべく、モンゴルの奥深くへと踏み入る。だが、今度は洋子の方がハンブにさらわれてしまう。
 話はいよいよモンゴル内部へ。令子の救出はあっけなく成功するのだが、逆に王女である洋子の方が捕らわれてしまった。一方ハンブはチヌク汗に対して反逆を企ててるとか、紅蓮には出生の秘密があるとか、物語が結構錯綜してる。
 非常に単純ではあるが、軍内部の軋轢を収めるハリマオの姿があり。好戦的な部分と抑える部分が軍の内部には常に存在し、その拮抗状態が軍を作り上げる。徹底して抑えの立場を取るハリマオの正しさが強調される事となった。ヒーローとは常にこうあるべき。
 一方、悪のヒーローとしてのハンブの存在感が良い。悪人には違いないのだが、気持ちがはっきりしていて、自分の欲を一切隠さずに暴露するあたりはとても気持ちが良い。ハリマオの強さも正確に見抜いているし。
 洞窟を描写するため、わざわざ声にエコーを掛けたり、明るい中、手探りで洞窟を探っている描写などもあり。工夫の跡は見られる。分かりにくいけど。
<この物語でやっぱり問題はカサル。行動も設定もどう見ても日本人にしか思えない言動ばかり。やっぱり本来太郎がやるべき役柄だったのでは?>
第49話 奇襲計画

  監督:田村正造
  脚本:伊上 勝
 モンゴルの平和を願うハリマオは、仲間それぞれに指令を与え始める。一方、チヌク汗とハンブは武力でモンゴルを統一しようと着々と準備を重ねていた…
 アウェイだけあって、これまでのハリマオは目の前の事件に対処するしかほとんど出来てなかったのが、この辺りから余裕を持って物事に向き直り始めた。前回で日本軍の全面的なバックアップ(と言うより黙認)が得られるようになったのが大きい。今回はハリマオの謎の行動が多くなってるけど、これも伏線か。
 一方モンゴル内部もきな臭くなってきた。チヌク汗とハンブは反抗するアキチ汗を暗殺することを相談しているが、一方でハンブはチヌク汗そのものを亡き者にして自分が王になろうと画策中。
<概ね問題無いのだが、紅蓮があまりにしおらしく、その紅蓮を慰めるハリマオの台詞が歯が浮くようなものなので、その辺がちょっときつい。考えてみたら、女性と真っ正面から向かい合うシーンは少なかったからな。
 騎馬隊の戦いもやっぱり慣れの問題か、全然派手さが無し。それ以前の問題のような?>
第50話 狼の正体

  監督:田村正造
  脚本:伊上 勝
 モンゴルの狼によって襲撃されたアキチ汗を救ったハリマオ。だが兄である狼を紅蓮の涙が救う。アキチ汗と狼という二人の仲間を得る事が出来たハリマオは、更に蒙古の奥深くへと潜入を開始する。
 物語は完全に蒙古内部の争いへと展開。王位に手が届こうとするチヌル汗は得意の絶頂にあるが、それに対して裏切りを計っているハンブ。良い感じに話が進んでる。こども向きだけに、丸ごと口で説明してる点は残念だけど。
 しかし、悪のヒーローとしてのハンブは格好良いよな。「鬼」「悪魔」と呼ばれても、自分の野望を果たそうとしてる。この人の面白いところは、権力を握ってから何をする。と言う目的がないことだろうか。王になることそのものが目的だから、気持ちが真っ直ぐな分、魅力を増しているのかも。頭も良いので、ちょっとした企みだとすぐに見抜いてしまうし。ただ、それ以上なのがハリマオと言う奴だが。ハンブの方はちょっと詰めが足りないか。
 道化師姿のハリマオの姿もあり。それなりに似合ってるのは、役者としての上手さか?
<狼に変装してやってきた男をハリマオと断定して閉じ込めてしまうハンブ。実はそれは直だったのだが、正体くらい見極めようね。>
第51話 正邪の死闘

  監督:田村正造
  脚本:伊上 勝
 チヌグ汗の即位の儀式が始まろうとしていた。芸人として潜り込んだハリマオは、囚われの身となったウブラ汗を救い出すことに成功する。だが洋子を取り戻し、チヌグの即位を阻止せねばならないのだが、そのためにもう一歩決め手が見つからなかった。
 話は部族間の大抗争へと発展。話が大きくなっている分、ハリマオ一人が活躍すれば全て解決する訳にはいかなくなった。そのため手回しと待機が重要になっていくのだが、その辺が話の膨らみとなっている。まあ、そもそも栗原中尉を助ける。と言う目的から随分ずれてる気もするんだけど。
 舞台がモンゴルだけにモンゴル相撲のシーンもあり。相撲と言うよりは空手と柔道を混ぜ合わせたような競技だけど。こう言う事になると、必ずハリマオが挑戦することになるが、今回もご多分に漏れずで、やっぱり強さを見せつけている。
第52話 アジアのあけぼの

  監督:田村正造
  脚本:伊上 勝
 即位直前のチヌグ汗とハンブの前に正体を現し、集まった全ての汗達に正義を訴えるハリマオ。だが頼みの騎馬軍団は未だに到着せず、残された僅かな仲間だけでハリマオはハンブらに立ち向かっていく。
 第4部の最終回。このパラフレーズではいつもとは違うハリマオの姿が特徴的だったが、実際的にこちらの方が物語的には好感を持てる仕上がりだった。
 今回は最終回だけあってアクション中心。これまで今ひとつ個性を出してなかったハリマオの部下の友田も、今回は槍をもっての大立ち回り。勿論最後はハリマオとハンブの対決で、これまで抑えていた分が一気に出た感じ。
 多数の人間が出てる割には個性が薄かったのは難点だったが、悪のヒーローとしてのハンブのキャラが立っていたのでそれで良しとするか。紅連ももうちょっと使い方があったと思うんだけどね。
<洋子は生まれてすぐに捨てられたため、名前が無いらしい。ウブラ汗は洋子のことを「娘」としか言っていない。
 ラスト。蒙古の勝ち鬨が上がる。何故か「エイエイオー」だけど。>
第53話 黒い襲撃者

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
 ビルマ(現ミャンマー)にある日本の秘密研究所がテロリストによって襲われ、新兵器の真空光線の設計図が盗まれてしまう。設計図を取り戻すため、軍はハリマオを雇い、設計図の奪還を依頼する。
 第5部「風雲のパゴダ編」開始の話。再び舞台は東南アジアへと変わり、ハリマオの姿も元のスタイルへと戻っている。どっちかというと軍の命令と言うよりも傭兵的な役割、むしろ用心棒として雇われてる感じだが、やっぱりこっちの方が本来のハリマオらしくはあるか。
<珍しく特撮で戦車の模型が登場する。戦車の造形そのものは悪くないんだが、動くと流石に模型と分かってしまう。
 今回はビルマの原住民と称した男達が多数登場するが、どう見ても東南アジア系じゃなくてアフリカ系。やっぱり日本国内で雇うとそうなってしまうのか?後は完全に日本人顔してるけど。
 真空光線を「世界の平和のため」とか言っている科学者がいたが、破壊兵器を平和のために使うってのは、やっぱり抑止力として?既に冷戦構造が確立していたから言える台詞だな。
 研究所を襲ったテロリストは銃を乱射してるのだが、味方が部屋の中にいてもお構いなし。誰も死なないのが奇跡のようなものだ。>
VOL.5
<A> <楽>
第54話 赤とかげの謎

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
 赤トカゲ団に真空光線の設計図を盗まれた研究所は、もう一度この設計を行うためには南条博士が必要と言われ、博士を迎えに行くこととなったハリマオ。だが、既に赤トカゲ団の手は南条博士の上に伸ばされていた…
 数多くのキャラが登場し、人によってはあっという間に退場。今は伏線を巻いている状態か。その中で5話に登場したマイヤーが再登場。相変わらず天真爛漫だが、ちょっと度が過ぎる描写あり。それで発覚したのは、ムルキがタドン小僧の兄だったと言う事。日本にいるタドン小僧もその連絡を受け、ビルマへと向かうことになる。
<波打ち際に倒れているオスカとムルキ。それを見ながらマイヤーはのんびりと歌ってる。死んでるとか思わなかったのだろうか?しかもその身体放っておいてるし。
 真空光線はどの国に渡っても危険だ。と盛り上がるハリマオ。日本が保有するのは良いのか?
 ムルキとタドン小僧が兄弟だと分かるのだが、顔が全く似てない…と言うより、明らかに民族が違うぞ。>
第55話 追われる男

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
 襲われていた村雨五郎という青年を助けたハリマオは、彼が南条博士の甥であり助手であることを知る。彼らを襲った原住民は、ハリマオが赤トカゲ団の一員だと決めつけるが、ハリマオは敢えて捕らえられ、彼らの集落へと足を踏み入れるのだった。
 謎の赤トカゲ団が、現地の住民にも恐れられている組織であることが発覚。ハリマオの戦うべき相手がはっきりした。都合良く重要人物が出てくるので、話としてはかなり単純だけど。
 前回ハリマオを追ってきた五郎が誤解を解いてハリマオの仲間になることと、タドン小僧がビルマにやってくることで、役者が揃ってきた。
 一方では、科学の発展は容易に破壊へと向かう事を暗示しており、科学への警鐘も軽く含んでいる。
 川辺での銃撃戦が描かれるが、小石だらけの場所で平気で転がってるシーンあり。ダブル使わずにここまでやるか。役者って大変だなあ。
<ムルキを捕らえた際、ハリマオは「この男の心に訴えろ」と言うのだが、五郎がやってるのは単なる拷問。どこが心だ?>
第56話 新らしい敵

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
 赤トカゲ団に真空光線の設計図を渡そうとするムルキだが、彼の前に現れたのはGF連合国の諜報員バンスーだった。ムルキを追い、それを目撃したハリマオ。
 ハリマオは南条を殺したと思われるアール商社へと変装して潜入。社交辞令の中に本音を入り混ぜた虚々実々の取引が展開。
 赤トカゲ団とハリマオの戦いだけではなく、GF連合国なる国の諜報員が登場。三つ巴の争いへと変化している。流石に追いかけてるものが兵器だけに、話が大きくなっているようだ。話もかなりややこしくなって来た。
 一方現地へとやってきたタドン小僧はマイヤーと共に町を彷徨ってるが、犬も歩けば棒に当たるの譬えの如く、あっという間に(劇中では2日と言ってるけど)手がかりを得てしまう。
<ハリマオは荷物の中にわざわざ「Harimau」と書いたカードを入れている。勿論それは見つけられることを前提とした罠の一つなんだが、わざとらしすぎる。>
第57話 悪躍するスパイ

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
 捕られた五郎は、南条博士を殺したドンが赤トカゲ団の一員であることを知らされる。危うく抹殺されそうになったところを間一髪ハリマオによって助けられたが、一方、兄を捜すタドン小僧も又、事件に遭遇していた。
 ハリマオとタドン小僧の両面から話が展開中。だんだん二人の話が重なり合いつつあるのだが、今回はただ話のつなぎといった感じが強い。やや物語に締まりが無くなってきたけど、それが元々のこの作品の特徴だったのかも?
 危機には颯爽と現れ善人を助けるハリマオの姿は相変わらずだが、やっぱり相棒がいないと今ひとつ締まりがないな。
第58話 アジトの急襲

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
 赤トカゲ団と戦うハリマオ。丁度そこには兄を探しに来ていたタドン小僧がいた。何とか設計図を取り返そうとするハリマオ。一方設計図の売り先を探す赤トカゲ団の首領。
 ハリマオの方は相変わらずだが、赤トカゲ団の方は徐々にその悪さが現れてきた。原住民に対しては独立運動を謳っているが、その実際は金をつり上げるため大国を天秤に掛けているようだ。
 それで兄を追うタドン小僧は、行く先々でハリマオと接触。実際に顔を合わせないすれ違いばかりなのは歯がゆいところ。最後に出会うことになるが、なんか親戚に会ったように、普段と変わりがないのだが。
<銃撃戦が目の前で行われているのに平気な顔をしてるタドン小僧一行。危険が当たり前になってるんじゃないか?
 オスカの前でハリマオのことを喋るタドン小僧。オスカは一度ハリマオに出会ってるはずなんだが、なんの反応もなかった。>
第59話 白昼の拳銃戦

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
 赤トカゲ団のアジトが発覚し、GF連合のバンスーはハリマオに先駆け突入していた。オスカに案内され、その後でアジトへと入り込んだハリマオだが、そこで見たものは…
 設計図を巡って赤トカゲ団、GF連合、ハリマオの三つ巴の争いとなった。今のところ赤トカゲ団首領が全体の一歩先を行っており、GF連合のバンスーやハリマオを手玉に取っている感じ。更になんか別の組織まで動いてる感じで、話はどんどん複雑になっている。
 まあ、どんな危機に陥っても、ハリマオだけは必ず無傷で生還する訳だが。
 一方、GF連合に囚われの身となったムルキを助けるため、タドン小僧が頑張ってる。
<待ち構えるGF連合のスパイ達の機関銃での銃撃戦が行われるが、咄嗟にそこら辺の荷物を盾にして防ぐハリマオ。中に鉄板でも入ってたの?>
第60話 狙撃隊の待ち伏せ

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
 折角出会えた兄のムルキが、やはり赤トカゲ団に戻った事を知り、悔し涙を流すタドン小僧。真空光線を巡る攻防戦はますます激しさを増し、ハリマオは仲間達に注意を呼びかける。
 
 謎の組織だったQI同盟も暗躍を始め、ついには赤トカゲ団のアジトにまで入り込んでくるが、首領は余裕綽々。偶然で危機は回避されたが、なんか他に隠し球でも持っているんだろうか?
 そんな首領を助けたムルキだが、ハリマオの言葉に心は揺れ動いているよう。この人がおそらくキーパーソンとなるのだろう。
 そんなムルキに「死を前にして敵も味方もない」と、赤トカゲ団の一員の命を救うハリマオ。格好良いじゃないか。
<サン博士の身柄を取り戻しに単身適地に向かう五郎。何の策も無かったようだが、ハリマオがいなかったら殺されていたぞ。>
第61話 失われた設計図

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
 傷ついた仲間を助けたハリマオと、仲間を見殺しにする赤トカゲ団。その双方を見たムルキの心は揺れる。一方サン博士を救い出したハリマオ達はしばしの休息を取っていたのだが…
 タドン小僧の兄であるムルキの心情に分け入った話。赤トカゲ団に不信を持ったムルキは真空光線の設計図を盗み出し、タドン小僧の元へと向かう。もうちょっと引くかと思ったのだが、割とあっけなく寝返ってくれた…なんかこれって思いっきり死亡フラグ立ってる気がする。
<タドン小僧とムルキはどちらも相手の名前を言おうとしない。「兄さん」「弟」で全部会話が終わってしまう。
 相変わらず天真爛漫のマイヤー。今身を寄せているポールが危険かどうかなんて事は全く考えず、ぺらぺらと重要事項を喋りまくる。
 裏切ったムルキを殺すためにアジトの爆薬に火を付けるガロン副長。派手すぎるな。>
第62話 逆襲!赤とかげ

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
 真空光線の設計図をもってサン博士の元に向かったタドン小僧と、それを知りタドン小僧を追う赤トカゲ団。更にその事を知ったハリマオも又その村へと向かう。
 設計図を巡りハリマオを含め四つの組織がくんずれほずれつ。それでハリマオ以外は味方になったり敵になったりしてる。やや複雑な物語に仕上げられてる。
 この中では唯一組織を持たないのがハリマオだが、住民はみんな仲間になるので、どこに行っても一つの組織を作ってしまえるのがハリマオの強さか。結局一番強いのは地元民の結束である。と言う事で一貫している。
<ハリマオに対する陰謀を盗み聞いたタドン小僧だが、それは放って置いてサン博士の村へと急いでいる。一体何の伏線だったんだ?>
第63話 消えたハリマオ

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
 捕らえた赤トカゲ団に案内させ、首領の元へと向かうハリマオ。だが捕らえられたガロンは村から逃げ出し無線連絡していた。危険な罠とは知らず、赤トカゲ団のアジトへと足を踏み入れるハリマオ…
 前回が村を守って完勝だったが、そうなると当然次は危機がやってくる。パターンに則った話が展開していく。ハリマオが危険だって事は村の面々は知っているのだが、何も出来ない。そう言った歯がゆい展開もあり。
 でも、こう言う時、敵味方が入り乱れているから、その混乱に乗じて逃げ出してる。
<首領ともみ合っているハリマオに向かって機関銃を乱射するガロン。首領に当たるって。
 とんでもない高さから落ちたハリマオは瀕死の重傷を受けていたが、次の瞬間にはピンピンして笑ってる。こいつ本当に人間か?>
第64話 恐怖の鞄

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
 殺し屋に変装して赤トカゲ団の内部に潜入したハリマオ。そこで五郎とムルキ、タドン小僧を殺したように見せかけ首領の信用を得ていく。
 真似事とは言え、ハリマオが悪人っぽく振る舞う話。これはこれで結構にあっていたりするから面白い。ただ、どんどん出世していくので、やっかみも激しく、それがばれる原因となってしまう。有能すぎるのも困りものだ。
<勿論真似だが、五郎とムルキとタドン小僧が海に落ちるのは、まるで水上ラインダンス見てるかのよう。
 赤トカゲ団のアジトの中で平気で「ハリマオさん」と呼んでるオスカ。それでばれない辺りはやっぱりいい加減な組織だ。>
第65話 正義の合唱

  監督:船床定男
  脚本:伊上 勝
 ハリマオが内部に入り込んだことを知った赤トカゲ団首領は設計図の入った鞄の中身を時限爆弾にすり替えていた。それを知らずその鞄を持ち出していったハリマオを追うマイヤー達…
 「風雲のパゴダ篇」最終話でハリマオの最終回。
 今回ついに赤トカゲ団首領の姿が現れる。その姿はなんとポール支店長。まあ、消去法で考えたらこの人しかいない訳だが。
 最後の活劇シーンは見所が多い。時々本当にパンチが当たってるし、味方全員が妙に強いので格闘シーンはなかなか楽しい。
 そして最後、絶体絶命の危機にあって、最も強かったのは、突然現れたサン博士だった。非暴力で、しかし一歩も引かない意志の力こそが本当の勇気であることを示そうとしたのかもしれない。
<鞄に時限爆弾を入れたのは良いけど、爆発まで随分時間がかかる。いつまでも持っているとも限らないだろうに。
 ラストはハリマオの歌の大合唱。それは良いけど、なんでそんな歌をみんな知ってるんだ?>