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まぼろし探偵

まぼろし探偵事典
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 1959'4'1〜1960'3'27

 桑田次郎のマンガを元にしたヒーロー作品。少年新聞記者として活躍する富士進が、吉野博士から与えられたまぼろし号と電波ピストルで悪人を懲らしめる痛快ヒーロー作品。特撮についてはさほど力が入っていないが、まぼろし探偵のヒーロー性を強調することに重点が置かれている。
 本作は吉永小百合のデビュー作としても知られ、子役としてその可愛さを遺憾なく発揮している。
 制作と放映に様々なバージョンがあり、欠番になっているものや、一部ではテレビ放映されなかったものもあり。ここでの話数はwikipediaに記載されているものに準じる。

主な登場人物
富士進
まぼろし探偵
(役)加藤弘。俳優としては本作しか知られていないが、後に実業家に転身。
 日の丸新聞社に勤める少年新聞記者。吉野博士よりまぼろし号と電波ピストルを与えられ、まぼろし探偵として活躍する。父は警視庁警部であり、そこから事件の詳細を知る。
黒星十郎 (役)花咲一平。本作と「怪獣マリンコング」に出演。
 日の丸新聞社のカメラマンで進の相棒。ドジで何かと酷い目に遭うことが多いが、憎めない性格のためみんなに愛されている。
吉野さくら (役)吉永小百合。言わずと知れた邦画界のトップスター。本作がデビュー作となる。
 吉野博士の孫娘で進のガールフレンド。
吉野博士 (役)カワベキミオ。
 世紀の大発明家。まぼろし号と電波銃を富士進少年に与える。まぼろし探偵の良きアドバイザー。国産の有人ロケットを作ることを夢にしている。その他にも片手間で随分色々な発明をこなすスーパーマンみたいな人。ただ、人が良すぎるのが玉に瑕で、せっかくの発明を大概誰かに盗まれる。
富士登 (役)天草四郎、大平透。
 進の父。警視庁警部で、まぼろし探偵とは協力関係にある。まぼろし探偵が進であることは知っておらず、まぼろし探偵には敬語を使っている。前半は天草四郎が、後半は大平透が務める。
スタッフ
上野一雄 脚本
梅田慶公 脚本
小川繁 脚本
木村学司 脚本
近藤竜太郎 監督
星公達郎 監督
百瀬千又 脚本
柳川創造 脚本
山本流行 脚本
吉井実 脚本
米津善吉 脚本
話数 タイトル コメント DVD
第1話 謎の怪電波  東京の各家庭のテレビが突然電波妨害を受けて番組が観られなくなってしまった。原因究明に乗り出す警視庁だが、その正体は杳として知られなかった。進は吉野博士より、これは怪電波によるものと知り、まぼろし探偵として捜査を開始する。
 本作が第一回目の話となる。ただし、すでにまぼろし探偵は周知の存在であり、早速活躍が始まっている。日の丸新聞社は進を相当頼りにしているようだし、進は吉野博士ともツーカーの間柄であること。警視庁に勤める進の父親は、進がまぼろし探偵であることが分からない。そのようなことが短い時間で次々に現れてくる。
 今回は怪電波を使った復讐を阻止する話しとして仕上げられているが、根本的に電波と事件とは直接結びついているのではないのが多少残念なところか。
 完全に”いつもの話”っぽい話になってるが、スピード感にもあふれ、出来はなかなかのもの。
 当時の風俗がかいま見える描写がなかなか秀逸。当時はやっぱりプロ野球、特にジャイアンツは大変な人気であることがわかる。
 出てくる人間が基本的にみんな良い人ばかりなので、その辺がちょっと違和感あり。実に300年もの間復讐を誓ってきた組織の長がまぼろし探偵のたった一言の助言で改心してしまうし。でもこの当時は人間の良心をストレートに信じられる時代だったのかもしれない。
<霧ヶ岳らしい敵の秘密基地はずいぶん安普請…と言うより、黒づくめの男たちがこんなところで行き来してること自体が凄い違和感。
 進少年が父親に電話して、それから新聞社に寄ってすぐに警視庁に。しかし警視庁の面々はその頃には既に長野県にあるという敵アジトに進入している。所轄との連携がこれだけ見事に出来ているととらえるべきなんだろうが、むしろ警視庁が瞬間移動してるように見える。>


廉価
第2話 時限爆弾  マンダレー王国から二人の外国人がやってきた。彼らは来日しているリマール王女を暗殺すべく、密談を繰り返し、爆弾を使って王女を殺害しようとする。その頃日の丸新聞社では、そのリマール王女の取材のため、進少年が名指しされていた…
 外国の暗殺団とまぼろし探偵の戦いが描かれる。偶然そのテロ現場に進やさくらがいたり、偶然デパートで犯人と進が遭遇したりと、話はかなり都合良く進む。
 こういう話の場合、「ローマの休日」がベースとなることが多いが、ここでは完全な進視点で描かれるため、そうはならなかった。物語の時間が短いので仕方ないか。結局まぼろし探偵のやってることも、爆弾を外に投げ捨てるだけで、犯人とはほとんど絡まなかった。
 第1回目の都会の風景と一転し、この話は箱根の田舎町をたっぷり描いている。これも当時の日本を知る良い資料だ。
<リマール王女と話してる時、天皇家の話題が出ていた。現在ではこれも自粛だが、おおらかな時代だったんだな。
 怪しい人間が車に乗って去っていくのを観た進は、その車が去った後、のんびりリマール王女とお茶なんぞを飲んでいて、おもむろに追跡を開始する。そのタイムラグはどうなるんだ?
 暗殺団が王女の部屋に入れた爆弾入りの日本人形は、チクタクと音を立ててる。これまで何度も殺されそうになってたんだから、それくらい気付けよ。>
第3話 透明人間の恐怖  長田博士が開発した生物を透明化させる薬が助手の松村によって奪われた。都内で起こる透明人間による強盗事件を前に、命を取り留めた長田博士は、この薬には副作用があることを明かす…
 特撮作品らしく、透明人間の話が描かれる。特撮を駆使し、いかにも透明人間の仕業に見せようと努力の跡が見える。こう言う手作り特撮はやっぱり良い!
 まぼろし探偵と透明人間の戦いは、結構見応えはあるが、やはりここは富士進少年の父、警視庁の鬼警部と呼ばれる富士登が中心だろう。全体にわたって活躍はしてるものの、肝心なことをまるっきり忘れてる言動は、大人は完璧ではないという好例だろう。いや、とても楽しかった。
 一応ここでまぼろし探偵の誕生話が語られるが、それは全て進の独り言で終わってる。
<まぼろし探偵の仮面をはずしてくつろぐ進。そこら辺で歩いてる人がいるけど、そういうことは気にしてないのだろうか。
 透明人間になった松村がやってることは泥棒だが、銀行から金を盗むのはともかく、食料品店から缶詰一個を盗むとか、妙なせこさを感じる。しかも盗む際、高笑いしてるので、あっという間に犯人特定されてしまう。
 スキトールには副作用があることを告白する長田博士。しかしその助手松村がそのことを知らなかったってのはちょっと無理がある。
 病室にモロ「面会謝絶」と書いてあるのに平気でずかずかと入り込んでいく富士登警部。しかもその直後長田はテレビに出て松村に訴えかけてる?拳銃で撃たれたにしては随分元気だ。
 あと少しで松村が死ぬというのに、その解毒剤を持たずに逮捕する登警部…恐るべき男である。>
第4話 狙われた408号列車  銀行ギャングの猫山が静岡で捕らえられた。警視庁の護送のために新幹線が使われるのだが、猫山の仲間達が猫山救出のため新幹線襲撃を計画していた。
 まぼろし探偵と強盗団との闘いが描かれる話。物語自体がストレートなので、さほど特記すべき事はない。相変わらず進少年の凄まじいまでの勘の良さと、犯人の抜けっぷりであっけなく事件は解決してしまう。
 今回も富士登警部の持ち味が生かされ、殺されかかっているのも知らずに、のんびりと列車旅行を楽しんでる。いい味だしてるよ。
<黒星を発見したギャング団は「ここも危ない」と言いつつ、縛り上げた黒星のために見張りをしっかり残してる。そのビルは危ないんだって言ったばかりじゃん。>
第5話 スペードの女王
第6話 二人のまぼろし探偵  なんとまぼろし探偵が泥棒を働いたという。早速調査に乗り出した富士警部だが、どうしてもそのことが信じられない。だが、次々と強盗事件が起き、警察も、肝心の進少年も焦りを募らせていく…
 特撮の定番の一つ、偽物の話。覆面ヒーローの場合、そっくりな覆面さえつければ、あっと言う間に偽物ができあがる。更にそのヒーローが正体を隠している場合、ますます面倒な話になる。この時代から既に作られてたんだな。
 一応推理ものにはなってるけど、話は単純かつ都合よく進む。30分でまぼろし探偵の活躍も描かねばならないので、仕方ないところか。
<さくらが行きつけの店が強盗に入られた。ところでその看板には「Men's Wear」と書いてあったけど、なんで男物の用品店に出入りしてるんだ?
 まぼろし探偵は神出鬼没だと警察で言っていたが、正体を暴くこと事態はそう難しくないので、単純に職務怠慢なだけと思われる。
 まぼろし探偵を探すためにさくらがやったのは、探偵に依頼することだった。随分金持ちなんだな。それで任せっぱなしにして進に勝ち誇ってる。
 電話でまぼろし探偵の声を聞いた登警部は「間違いなくまぼろし探偵だ」と断言。そんな良い耳をしておいて、それが息子の声であることになんで気付かない?
 いくら変装してるからと言って、白昼堂々家の正面から入ろうとする泥棒がいるもんか。
 今回はまぼろし号も活躍するが、普通に走ってるだけでいかにも外装がはがれそうで危なっかしい。
 探偵事務所に置かれていた挑戦状を見て素直にその場所へと向かうまぼろし探偵。警察に言えば一網打尽なのに。
 探偵事務所の所長は中国服を着てまぼろし探偵と戦うが、その下にはなんと柔道着を着込んでた。すごいファッションセンスだな。>
第7話 オリオン王国の秘密  オリオン王国の王子オリオン王子が世界一周の途中で日本に寄ることになった。その際、王子の護衛に名指しされたのはまぼろし探偵だった。取材に来た際、すっかり気に入られ、その旅に同行することとなった進と黒星だが、なんと二人の目の前で王子はさらわれてしまうのだった。
 2話に続き、王族の護衛にあたるまぼろし探偵の姿が描かれる。富士進の方が王子に同行し、そこで事件に出くわすという同じパターン。早くもマンネリ気味か?
 今回は結構黒星が活躍。オリオン王子の祖父が描いたという絵が上野美術館から盗まれたものであることに気付く。妙なところで記憶力が良いことが分かった。ただ、全部遅いんだが。
 警視庁の鬼警部富士登の趣味は花を作ること。なんでも「いつも犯人の顔ばかり見てるから」だそうだが、部下からは「年寄り趣味」と揶揄されている。
<日本人でない事を強調するためにオリオン王子はカタコトの日本語使ってるけど、顔がモロ日本人だからなあ。
 王族が来たというのに、警備らしい警備がなされてない。こんないい加減で良いのか?国際問題だぞ。
 白昼堂々王子をさらい、更にその家の地下室に王子を閉じこめたというのに、誰もその家を調べようとしない。警視庁は阿呆ばかりか?
 銀子の家の門構えをよく見たら前回登場した金持ちの家と同じ。ひょっとして偽まぼろし探偵が入ろうとしたのはここだった?
 銀子の家に侵入し、あっというまに王子の閉じこめられてる場所を嗅ぎ分けるまぼろし探偵。恐るべき勘の良さだ。>
第8話 進君危うし!  高崎博士の元から特殊レンズの設計図が盗まれた。警視庁の富士登警部は早速捜査に乗り出すが、捕まえた博士の助手花田からは何も成果を得られず、しかも「ブラックマン」を名乗る謎の人物から脅迫電話を受けてしまう。
 今回も国際的な怪盗団とまぼろし探偵との戦いが描かれる。今回は彼をまぼろし探偵とは知らないギャング団から進自身が狙われ、まんまと罠にはまってしまい、人質に取られてしまう。
 進が捕まってしまったため、警視庁が活躍するかと思われたが、実際はあっけなく敵のアジトから脱出した進が全部事件を解決してしまう。ここに出てくる大人はみんな馬鹿ばかりだ。
 同時に富士家の家族愛も描かれる。登は家長として凄く厳格なようでいて、意外に涙もろく、進に指摘されて慌てて威厳を取り繕うとしたりとか、役の天草四郎の演技が良い。
<事件解決したら早速日の丸新聞社に連絡を入れる富士警部。新聞社との癒着じゃないのか?
 出勤後、さくらからの電話でいそいそとデートに出かける進。良いのかそれで?それより声が違うことを知っていながら、何の疑問も持たずにくっついていく進も進だ。
 いかにもヨタ者っぽい人物から「さくらちゃんは車の中で待ってる」と言われ、そのまま車へと向かう進。ずいぶん無防備だな。
 敵組織の名前はブラックマン。そのボスの名はブラック博士。そして立てこもる家の名はホワイト館。モノトーンが好きな犯人だ。
 敵のアジトから脱出してどこかに行った進はちゃんとまぼろし探偵の格好で戻ってくる。ところでその服はどこに置いてあるんだろうね?
 警察に囲まれたと知ったブラックマン達はいきなり機関銃を持ち出す。これどこの国だ?
 銃撃戦を行っているブラックマンの背後に現れるまぼろし探偵。全員まぼろし探偵に飛びかかってくのだが、機関銃の音はずっと聞こえている。誰が撃ってるんだ?
 まぼろし探偵に会った直後、警視庁の香山は「進君は無事だと連絡しろ」と言っている。進のこと見てないじゃん。>
第9話 山火編集長おそわれる  日の丸新聞社編集長の山火が母の誕生日の買い物帰りに何者かに襲われた。山火が家に帰っていないことを知らされた新聞社は大騒ぎとなる。そして新聞社にかかってくる脅迫電話。
 進少年の表の顔である少年新聞記者としての活躍が描かれる話。これまでカメラマンの黒星ばかりが目立っていたが、編集長の山火も今回は個性を見せている。特にまぼろし探偵が助けに来るとわかった途端元気になるところとか。
 いつものことだが、進少年以外の大人は全員間の抜けた奴ばかりなので、たった一人の活躍で全部片が付いてしまう。
<黒星は自己紹介をする際、「日の丸新聞社のスター、黒星だ」と言っている。この人、自分のことをどう考えているんだろう?
 誘拐犯人は素顔を見せて身代金受け渡し場所に現れてる。新聞記者相手にそれは、「正体を察してくれ」と言ってるようなもんだ。更に森屋って本名までばらしてる。
 山火の身代金を持ってこなかったと言って進をなじる森屋の部下は「子供の使いじゃないんだぞ」と言っている。進少年がいる以上、子供の使いだよな。
 案の定進に正体を気取られる訳だが、進少年が訪ねた森屋組の下っ端は随分低姿勢。ここって暴力団組織じゃないのか?
 犯人の一人、レフトの徳は左利きでパンチ力が自慢。それは良いけど、左手だけでっかいボクシンググローブはめてる。怪我をさせないような思い遣りだろうか?それでボコボコにされちゃ話にならないけど。
 部下が全員まぼろし探偵にやられた森屋親分はピストルを出してまぼろし探偵を脅す。この場合脅さずに発砲するのが正しい。
 森屋組に殴り込みをかけた黒星をいすに座ったまま応援する山火。よく見たら椅子に縛られてるわけじゃないので立ち上がることは出来た。逃げるなり加勢するなりしろよ。
 監禁中何も食ってなかった山火は新聞社に戻るなりステーキをもりもり食ってるけど、それよりお母さんの誕生日はどうした?>
第10話 れい迷教?  大金持ちの娘大倉久美子が何者かによって誘拐された。そんな中、新興宗教の「れい迷教」が大流行していた。たまたま新聞社の取材でれい迷教のインタビューを行った進は、この宗教に胡散臭いものを感じ、調べることにするが…
 新興宗教とまぼろし探偵との戦いを描く話。描いてるのがとても胡散臭い宗教団体なのだが、今や宗教ものは番組上のタブー。この当時はちゃんとこう言うのも描けたんだな。 宗教相手って事で、雰囲気的にもやたら気味悪気に描かれている。
 そして相変わらず鋭い勘の進少年と、それにつきあわされて酷い目に遭う黒星。相変わらず凸凹コンビの描写は映える。
<「こんなところに本部があるとは気付くまい」とかれい迷教の教祖は笑ってるけど、車にくっついていった進と黒星は普通にたどり着いたぞ。
 「宗教は自由じゃからな」と嘯き、大笑いしてるれい迷教の教祖。こう言うことをやったら、絶対やばい。その構成員も背中が曲がってるとか、片方の目がアイパッチ姿とか、今じゃコード触れまくり。しかも進少年はその真似までしてる。
 教団の中で縛られてる子供がいると言うのに、関係なく踊り念仏してる信者たち。しかも信者がいる前で国外脱出の相談までしてる。気が付けよ。
 進にくっついてきたばかりにれい迷教に捕まってしまう黒星。その責任を全く感じず普通に家に帰ってる進。酷いな。
 れい迷教本部に進入する際、まぼろし号で飛んで向かうが、前日に歩いてそこに言ってたくらいだから、その必要あったの?
 れい迷教の弱そうな奴は電波ピストルで気絶させ、強そうな奴とは取っ組み合うまぼろし探偵。そんなに自分の強さを見せつけたかったか?>
第11話 日本から逃がすな  吉野博士が画期的な新型ロケットを開発したと言うニュースが日の丸新聞社にはいる。編集長の命令で早速取材に向かう進。だが、その前に世界的なテレビ局員インターナショナルタイムズの取材を受けており、その記者によってロケットの設計図が盗まれていた。
 今度はまぼろし探偵と国際諜報団との対決。そういえばこの作品やたらと外国人が出てくるが、国際的な作品にしたいというスタッフの思いがあるのだろうか?
 ここまであんまり活躍してなかった吉野博士も今回はよく出てくる。気絶させられてロケットの設計図を奪われるだけの情けない役だけど。
<吉野博士は18年間ロケットの開発に没頭していたという。まぼろし号とか電波ピストルは片手間で作ったのか?ロケット技術の応用かな?
 吉野博士によると「人類の平和のため」ロケットを設計したらしいが、その後で「日本人の夢のため」と続き、設計図は外国に持ち出したくない。とまで言う。これのどこが人類の平和なんだ?
 レンタカー持ち出しを調べるために進は新聞記者の身分でレンタカー会社へ。それで情報をポロポロ出す職員。情報機密ってもんははこの会社にはないのか?トヨペットという車種まで言ってるけど。
 犯人のレンタカーを見つけたと警視庁に連絡を入れるまぼろし探偵。なんでまぼろし探偵がそんなことを知ってるのか、登警部は疑問に思わなかったんだろうか?
 外人が住んでいると言うだけでそこが犯人のアジトだと断定する香山刑事と大塚刑事。なんと短絡的な。
 自分の逃走経路のメモまでご丁寧にアパートに残す犯人。何というドジな犯人だ。しかもメモ書きが全部日本語だ。
 今回は進がまぼろし探偵に変身するシーンもある。ベルトを巻いて仮面を付けるだけだけど。その際電波ピストルの試射をしていたが、最後まで電波ピストルは使わなかった。>
第12話 金塊輸送車  長野で30億円の金塊が見つかったと言うニュース。そんな時に上野駅を降り立った警官が、近代美術館近くである男と待ち合わせをしていた。実はこの男は盗賊団の構成員だったのだ。偶然美術館に来ていた進はその行動に不振を覚え彼を追い、彼らの組織が30億円の金塊強奪を企てていることを知るのだった。
 冒頭役3分が全く台詞なしで、音楽だけで展開。かなり挑戦的な作風だ。それ以外にもこの話はずいぶん映画的。撮影は相当のベテランカメラマンだと思われる。それで当時の上野駅および四谷駅の様子をたっぷりと描写。変わってるところと全然変わってないところがあり。
 今回も制作そのものはだいぶ前らしく、富士登は天草四郎が演じてる。
<上野から四谷まで偽警官を付け回す進。すぐ近くをくっついているので、ばれない方がおかしい気がするが。
 強盗団のビルをうろついていたと言うだけで捕まってしまう進。人目もあるだろうに、そんなことしていいんだろうか?しかも一目で富士警部の息子って分かられてる。この強盗団はただ者じゃないな。
 進のペンが道ばたに落ちているのを見たさくらは、すぐにそのビルに入って進を救出。ペンを見ただけでそれが進のものと分かるのもすごいが、行動力が凄すぎる。不法侵入だよ。
 偽警官が現金輸送車に入り込んでいるのに気づかない警視庁の面々。そもそも見知らぬ警官が入り込んでることに気づかないことが問題では?
 強盗団の機関銃の弾を抜き取ったというまぼろし探偵。確かにマガジンがはまってないけど、だったらその時点で気づかないか?>
第13話 怪人黒マント
第14話 青銅の仮面  ある猟師が大菩薩峠で鬼を見たという。ひょっとして特ダネかもとにらんだ山火編集長によって取材に行かされる黒星。びくびくしながら取材に向かう黒星がそこで見たものは…
 伝奇風味たっぷりの話で、大菩薩峠の奥深くに隠れ棲む一族とまぼろし探偵の戦いが描かれる。1話と同じような設定だが、今回の場合隠れ棲む方が完全な被害者であるのが特徴か。まぼろし探偵の活躍は後半ちょっとだけ。
 この当時の喫茶店のコーヒーは60円。物価に時代を感じる。
<猟師の五平が山で会ったという化け物は、どうみても子供がお面をかぶってるようにしか見えないのだが、それで驚く方も驚く方だ。
 化け物の取材に怯える黒星に対し進は「いざとなったらまぼろし探偵が助けに行く」と太鼓判を押す。こんな根拠のない言葉にすぐにうなずく黒星。
 銃など撃ったことのない(と思われる)黒星に猟銃を渡してしまう五平。怖い事するね。
 「一時間ほど食事をしながら買い物に行ってきます」と言う進に対し、何も言わずに行かしてしまう山火編集長。黒星相手とは随分態度が違う。
 財宝を狙う一団はみんな覆面姿。山深いところでえらくミスマッチだ。
 ギャングの一団は大菩薩峠にあるのは「時価数億円の金塊」と言っている。しかし、考えてみると世界は金本位制なのだから、「時価」が付くはずはないと思うのだが?(細かすぎ?)
 タイトルは「青銅の仮面」で、実際に「青銅の仮面をかぶってる」と言及もあるのだが、子供がかぶってる面は普通のお面にしか見えない。
 黒星のお手柄で、このことは大ニュースになるとまぼろし探偵は言ってるのだが、それじゃ隠れ棲んでいた意味がないような?>
第15話 消えた花売り娘  停車駅で花を売る百合子と靴磨きの少年善太は仲良く仕事に精を出していた。そんな二人を新聞に載せようと言う山火編集長の命令で取材に出る進と黒星。だが、彼らの到着直前に百合子は何者かによって連れ去られてしまった。
 連れ去られた少女を連れ戻そうとするまぼろし探偵の姿が描かれる話。話はぐっと庶民的になった感じだが、調査するうちにそれが連続誘拐事件に結びついている。当時実際にこう言うことは結構起こっていたらしいので、現実に即した話って事になるだろうか。
 誘拐された少女たちは香港に売り飛ばされるのだそうだ。リアルだけど、背後考えると18禁ものだぞ。
 紙芝居やってる風景があり。これも当時の風俗かな?
<病気の母のために花を売っているという百合子だが、その格好は真っ白な服でこざっぱりしている。ちょっと現実味が無いな。
 靴磨きの少年と花売り娘を「町を明るくする」と言う理由で新聞記事にしようとする山火。普通こう言うのって、悲しい記事にならないだろうか?
 百合子が車に乗って出かけたという善太の言葉に、「おかしいな」と首を傾げる進。なんでそんなことが分かるんだ?
 白昼堂々誘拐した少女たちを町中に連れ回す誘拐団。いくらなんでもそれじゃばれるだろ?
 誘拐団のアジトを発見した進は、まぼろし探偵に変身して一度手紙を渡しに善太の元に向かう。そんなことをやってるから、その間に少女たちは連れ回されてしまう。すぐにまぼろし探偵になって踏み込めば問題なかった気がするが?
 まぼろし探偵と誘拐団が戦っている間、小舟の中の少女たちはただ固まってみてるだけ。逃げるとかしろよ。
 まぼろし探偵が助けた少女は3人。劇中では千葉や神奈川でも誘拐事件が起きているので、当然残り二人のいたのはは千葉と神奈川だろう。ところでまぼろし探偵、3人に向かって「東京に帰りましょう」とか言ってるぞ。もう少しアフターケアは大切に。>
第16話 怪盗紅バラ男爵  怪盗紅バラ男爵が東京に来たという。エジプトから持ち帰ったという魔法のランプが危ないと警視庁は警戒を強める。ちょうどそのランプの取材へと向かっていた進と黒星。
 世紀の怪盗とまぼろし探偵の対決が描かれる。やっぱりライバルがいてこそ正義のヒーローは映えるってもんだ。今回はアクションは控えめに、知恵較べの様相があり、乱歩っぽく仕上げられていて、ここまでの中では最も完成度が高い(これまでが低すぎたとは言ってはいけない)。
 惜しむらくは、ライバルとして存在感があった紅花男爵があっけなく捕まってしまったことだろうか。この対決は続いてほしかった。
 ここから富士登がこれまでの天草四郎から大平透に変更。急にイメージが変わった。
<2000年前のものだというランプだが、なんかガラス製の普通のランプに見える。2000年前のエジプトって随分モダンだったんだな。案の定あっという間に複製が作られる訳だが。
 黒星からカメラを奪った紅バラ男爵は律儀にもフィルムだけ抜いて返しているのだが、フィルムを瞬間的に抜いてる。当時のカメラではそれ無理。巻き戻すのに時間かかるし。
 やってきた警察を前に勝手に指図し、本人は仁王立ちで何にもしてないまぼろし探偵。なんか偉そうだな。
 盗まれそうになってるランプを床の間に飾ったままの山口。盗ってくれと言っているようなもんだな。
 紅バラ男爵は変装の名人だから、部屋から出るな。と言って自分だけ外に出るまぼろし探偵。こいつが一番怪しいんじゃないか?>
第17話 ニセ札団  黒星がせっかくもらった給料を親切な男に両替してもらったところ、なんとそれは偽札だった。偽札を使ったことが分かり、警察に捕まってしまう。
 偽札団とまぼろし探偵の戦いの話。珍しく人が死んでる(新聞記事だけだが)。
 当時の給料は1万円程度。これも時代かな?
 取材でとしまえんに向かう進と黒星の姿あり。この当時はとしまえんも牧歌的な雰囲気してる。
 今回に限り電波ピストルはバキュンと音を立ててるね。
 偽札団の一員に二瓶達也がいる。まだこの当時はこう言ったちょい役が中心だったようだ。
<給料の残りが2千円しかないとぼやく黒星。この年齢で借金まみれか。
 偽札として残りの金を警察に持っていかれてしまう黒星。「9千円」と言っていたのに、実際に警察に渡したのは1枚だけだった。残りは?
 たばこ屋のお姉ちゃんが一発で偽物だと分かる偽札をばらまいてだれもそれに気づかないってのは物語的に問題あり。
 社内で偽札をつかまされた人間がいるというのに、それを完全スルーして幼稚園の取材になんて行かせる山火編集長。新聞記者としては鼻が利かないな。
 神戸の人殺しが東京で大ニュースに。その程度で全国版のニュースになるって、随分日本は平和だ。
 偽札団親分の車に潜んでアジトを探るまぼろし探偵。そこまでの課程が無く、いきなり追いかけてる。それで尾行と言っても、あの格好で親分の3メートルくらい後ろをくっついて行ってる。よくばれないな。>
第18話 ゆうれい島  漁師の男が聞いたある島からの声「お前たちの命がほしい」。慌てて漁港に知らせるが、古老は「荒霊様の祟りだ」と言うばかり。放っておくわけにもいかない警察が調査を始める。
 幽霊騒ぎを収めるまぼろし探偵の姿が描かれる。これまでとは異なり、最初の話に進や黒星は全く関わっておらず、外部からの調査という形で事件に介入する。日の丸新聞社に連絡を入れれば、まぼろし探偵がやってくる。とは、まるで出前だ。連絡網さえしっかりしてるなら、このパターンはバリエーションが利くので結構良いと思う。
 「幽霊の正体見たり」と言う奴で、密輸団が村人を脅してるだけってオチが単純すぎるのが弱いが。
 伝馬船を使ってるシーンあるが、これも時代を知るには良い描写。
<リュウという商人は中国人という触れ込みだが、言葉に英語が入ってたりして、さらに顔が日本人なので、胡散臭さ満点。と言うか、馬鹿にしてるとしか思えない。
 まぼろし探偵の前に現れる幽霊は、靴を履いて普通に歩いてる。これじゃ一発で扮装って分かりそうなもんだ。
 敵の目をくらませるためにどくろのお面をかぶるまぼろし探偵。めがねの端の方がお面よりも長いんだけど?
 お化けだと思ってたのが密輸団と分かったとき、少年たちは「なんだ。ギャングか」とか言って笑ってる。そっちの方が怖いと思うんだけどな。>
第19話 犯人黒星十郎?  ある日黒星は自分のことを「兄貴」と呼ぶやくざ風の青年と出会う。その事を聞いた当の”兄貴”である黒猫五郎はこれを犯罪に活かそうと考える。最初は小さな犯罪から、徐々に大胆な犯罪に走っていく。
 黒星のそっくりさんが登場の話。犯罪に巻き込まれやすい性格をしてるので、こう言うときは重宝するキャラクター。それに気づかず、自分が本当に犯罪をやってるんじゃないか?と悩む黒星が哀れ。
 しかし、こんな事で登場するまぼろし探偵ってのも、身内びいきが激しいな。
 意外に黒星は子供に人気があって、サインをねだられるシーンとかもある。
<自分が黒星とそっくりだと聞いた五郎は髭だけが違うと言うことで髭を剃ってくる。でもそのことは誰も言わなかったけど?
 せっかく黒星にそっくりな事から、犯罪に走る五郎だが、やってることは飲み屋の請求とか、給料の前借りとかえらくせこい。そしてその次に考えた作戦と言うのが吉野博士からロケットの設計図を盗み出すという…飛躍しすぎだって。
 「基地外」発言が普通に出てくるのもこの当時の作品の醍醐味だろう。
 まぼろし探偵に言われたから。と言うだけの理由で黒星を逮捕する富士警部。日本の警察は大丈夫か?
 偽黒星が吉野博士を呼びだし、「新聞に載せられる範囲で」ロケットのことを聞くのだが、その程度の機密を盗んでも金になるか?
 ロケットの設計図をまんまと奪った偽黒星は、部下に命じてさくらを担ぎ上げ、「わっしょいわっしょい」言いながら練り歩く…ここまでやると、「捕まえて下さい」と言ってるとしか思えない。
 吉野博士に凶行が及ぶことを知っていながらなにもしないまぼろし探偵。性格悪すぎ。
 さくらの目の前で帽子が取れてしまったまぼろし探偵。さくらも髪型と声で進だって分からないかな?>
第20話 暗殺団を倒せ  日の丸新聞社に”まぼろし探偵”を名乗る男から電話がかかり、来日中のアラカン王子が海の底に沈むと予告される。大急ぎでアラカン王子の元へと向かう進と黒星だが、既に王子は大島行きの船に乗っていた。
 既に3度目となる来日中の要人の暗殺事件。とにかく本作はこのパターンが好きだ。大体冒頭から2話のリマール王女のものとほとんど同じ光景が展開されてる。
 今回は船の上が舞台。狭い船での活劇が展開していく。物語がいい加減すぎてあきれるような話になっていて、かなり劣化してる感じはする。
 黒星は機転でまぼろし探偵の衣装を持ってきている。これで暗殺団をだまそうとするが、当たり前だが進はそれを止めようとする。
<アラカン王子の暗殺計画を日の丸新聞社に通報したのは、親分の犬丸が日の丸新聞社に恨みを持っていたからと説明されるが、じゃなんで自分たちの身を危険にしてまでスクープをわざわざ教えるんだろう?
 何故かこの船に乗っているさくら。なんでもアラカン王子のガイド役だそうだが、この人の交友関係が広すぎる。
 まぼろし探偵の扮装をする黒星だが、電波ピストルのまがい物まで持ってる。どうやって作ったんだ?その割にグローブをつけ忘れるなどお茶目な部分もあり。
 そもそも新聞社に予告して暗殺を行うにしては計画が杜撰すぎる暗殺団が一番の問題。せっかく黒星を捕まえたものの、誰でも見られる船尾に放ったらかし。案の定すぐに進に見つかってあっという間に救出されてしまった。
 救出と言っても、進のやったことは黒星を縛ってる縄をほどいただけで、あとは放置。>
第21話 海底魔人  突如茅ヶ崎海岸に現れた三人の怪人。X、Y、Zの三人は東京へと向かう。彼らは海底民族の派遣隊で、その先遣基地を作るべく活動していたのだ。
 今度は海底人間とまぼろし探偵の戦い。不思議な銃で人間を心臓麻痺に出来るほど、科学の進んだ海底人に対し、まぼろし探偵は吉野博士が開発した特殊薬に身を包んで対抗する。特殊効果がないので、全部演技でやってるところが時代を感じる。
 海底人と言ってもノーメイクなので、服さえ着替えれば普通の人。海底人の服と言ってもタイツに「X」とか書いてあるだけ。凄い安普請。
 ここまでの中では最も死人が多数出た話で、10数人は亡くなっているだろう。
 オチが凄く、まぼろし探偵と海底魔人が戦ってるうちに海底地震が起きて海底王国は全滅だそうだ。デウス・エクス・マキナとしてもひどすぎる。
<海底魔人の三人は妙に事情通で、車の運転まで普通に出来てしまう。随分世慣れた存在だ。警視庁のことまで言ってる。
 星山の殺害現場で「誰も何も触らないように」と言明する富士登警部。その直後息子の進は証拠品探しにべたべたとそこら中触りまくってる。息子だからってそんなこと許されるのか?
 今回の進は少々髪が伸びているが、風に吹かれると前髪だけ「あしたのジョー」っぽくなる。
 海底魔人の銃でしおれてしまった花を解析した吉野博士。それはいいんだけど、この花がしおれたのは「今朝」って言ってた。確か既に数日経ってるはずだけど。
 今回まぼろし号が活躍。最初に地上を走り、その後で空を飛んでる。普通逆じゃないのか?
 目の前にいるのが見た目普通の男なのだが、警視庁の刑事が「海底人です」と言われたら、「やっぱりそうか」とか言ってるまぼろし探偵。どこが「やっぱり」なんだよ。適応力ありすぎだろ?>
第22話 白狐の挑戦  吉野博士の金庫から原子力発電の設計図が盗まれた。犯人の顔には狐の面が着けられていたと言う情報が入る。そんな時、心霊学の大家舟木教授を取材する進だが…
 ちょっとだけオカルティックな話が展開。まあ催眠術の話だから、科学的と言えなくもないか。あっと言う間に催眠術にかかり、猿の物真似をする黒星の姿あり。
 相変わらず偶然からあらゆる事を推測できるまぼろし探偵。推理力が高いと言うよりも、ご都合主義にしか見えない。
 登につきあってジョギングをしている進の姿があり。この当時からジョギングが流行していたのか。
<吉野博士は原子力の研究もしているらしい。ロケットの研究はどうなったんだ?
 催眠術にかけられたさくらは狐の面をかぶって吉野博士の設計図を盗む。それを見た黒星が腰を抜かすくらいだから、かえって目立ってる。
 舟木教授のお狐教であれ、まぼろし探偵であれ、あっと言う間に信じてしまう後藤夫人。これじゃだまされるのも当然だ。
 そういえば警視庁の登の部下は後藤一人になってしまった。香川はどうなったのかな?
 白狐と黒狐が相談してるシーンがあるが、その場所はどう見ても舟木教授の研究室。化ける必要あるの?
 黒星が誘拐され、その電話がかかってくると、山火は犯人に怒鳴りつけてる。それやばいんじゃないのか?
 黒星の首を刈るとか言っていた白狐だが、黒星が縛られてるのは普通の公園。背後で車とか走ってるけど、見られても良いの?
 舟木を連行してる際、黒星は「人に猿の格好なんかさせやがって」とか私怨を晴らしてる。>
第23話 海王星から来た少年  突如東京上空に現れた空飛ぶ円盤。それを目撃した黒星。それを記事にすべく吉野博士から話を聞きに行った進だが、吉野博士も謎の飛行物体がレーダーに感知されたことを裏打ちする。その頃、各地の病院では次々に風邪の予防薬のワクチンの盗難事件が相次いでいた。
 宇宙人を名乗る少年とまぼろし探偵の交流を描く。
 宇宙人=侵略者の構図はこの当時からあったらしい。日本では戦争の記憶と結びついているようだ。
 この話の制作は少々前らしく、富士登警部は天草四郎がやっている(オープニングソングも前のものが使用されている)。こっちの方がしっくりくる感じ。
 オチとしては、それは本物の円盤で、海王星から来たのだという。単純に流感が流行っているので、その予防薬をもらいに来ただけだという。簡単なオチだな。
 珍しい吉永小百合の歌が聴ける。「まぼろし探偵」のテーマソングをみんなで歌ってるだけだけど。
<日本には二つの血液型があったという例がある。と言っていた医師がいたが、血液型は3つだけで組み合わせは4つしかないので、二つ合わさることはないのでは?
 助けた少年の持っていた不思議な金属をちゃっかり自分のものにしてしまった。火事場泥棒みたいだぞ。
 進が助けた少年は書き置きを残すのだが、そこには「カイオウセイカラキタショウネン」と署名がある。えらい又親切な書き置きだこと。
 何でも海王星に風邪が流行ったのは地球から来たロケットのお陰だという。確かロケット工学の権威吉田博士もまだロケットを大気圏外まで飛ばしてなかった気がするけど?
 宇宙人の服装というのが白い服に頬かむりをしてるだけ。とても安普請なコスチュームだ。
 まぼろし探偵が「これは海王星から来た少年です」と言ったら、全部信じてしまう警察。随分簡単に信じるものだな。>
第24話 ウランの秘密(前編)  丹沢の村に住み、薪取りをしている少年次郎に、育ての親から東京に行くように言われた。実は今は亡き次郎の本当の親は原子物理学者であり、その助手の木下に地図を渡すよう頼まれたのだ。だが、その地図をめぐり、暗躍する影が…
 原子力について語られる話。特撮と原子力はそもそも『ゴジラ』の頃から相性が良く、好意的にも否定的にも描かれるのだが、ここでは比較的好意的に描かれているのが特徴的。科学が人を不幸にするのではない。と言う陽性な設定となる。
 それで犬も歩けば…じゃないけど、出かける度に何かしら事件を引っ張ってくることになる。このパターンは褒められないんだけどね。
<バイク二人乗りでどこかの公園にやってきた黒星と進。「なんか事件がないか?」とぼやきつつ、「そうだ。野球の取材に行こう」とか言ってる。新聞ってそんないい加減で良いのか?
 次郎少年からウランの地図を奪った犬山に対し、「地図は2枚無いと意味がない」と怒る鬼塚。それが分かってるなら最初から言えよ。
 鞄をひったくられた次郎少年に「警視庁を頼りにしろ」とは言いながら、警察に行けとは決して言わない進。そっちの方がまず先だろ?
 見ず知らずの進にウランの地図を託する次郎。田舎出の人は危機感が無くて…ここまでくると無理があるだろうに。
 ウランを奪うために暗躍する組織。それで鉱脈の場所を知ってる次郎の養父を何とかしようなんて思わないのか?>
第25話 ウランの秘密(後編)  地図を狙い次郎を襲う鬼塚ら。だが既に進に渡されていた地図は見つからず、仕方なく残された一枚の地図を頼りにウラン鉱脈を探すことに。一方次郎の養父の助けを借りて山に入るまぼろし探偵…
 前回が東京のみで話が展開していたが、今回は全編山の中。時間はたっぷりあるので、山の中での徘徊に時間を取り、その分割と退屈。
 一応謎らしいものもある。前回次郎が探していて見つからなかった木下教授というのが、ウラン探しの鬼塚と同一人物というもの。本名明かしていたら何の苦労もなく地図を手に出来ていたのに。
<ウラン鉱脈を探すのに、放射能測定器らしきものを持っていない鬼塚達。これで分かるものなんだろうか?>
第26話 Xマン? (前編)  100億円の武田信玄の財宝が眠るとされる西丹沢の温泉に山師が調査にやってきた。たまたま湯治に来ていた黒星は、妙な雰囲気を持つ男を見かけ、なんとなく後をつけたのだが…
 犬も歩けば。と言う奴で黒星が行くところ必ず事件が起きる。そう言う体質に生まれたのか、新聞記者には必要な才能かも?旅行に出てもやっぱり事件にぶつかる。
 一応新興宗教の話になるのだろう。何度もこの作品では使っている。更に武田家の財宝も残党の話も既に使用済み。
 黒星役の??のヌードシーンあり。温泉に入ってるだけだけど、その肉体を惜しげもなく…書いてて空しくなってきた。
<最初に出てくる男はいかにも胡散臭く、詐欺師ですと看板を背負ってるようなキャラなのだが、それで騙される人もいるのか?
 Xマンがやってることは、信玄の隠し財宝を探しに来た人をどこかに閉じこめること…今一つ理由がわからない。
 今回まぼろし探偵の変身シーンあり。進君が一つ一つ服を確かめるようにして着込んでる。ところでまぼろし号が置いてあるガレージってどこ?
 そして現れるXマン。覆面タイツにマント姿で中年太りだと、ものすごく情けなく見えるぞ。>
第27話 Xマン? (後編)  中川館に突如現れた黒づくめの男を追った黒星は、その男に逆に捕まってしまった。遅れてやってきたまぼろし探偵は、黒星の失踪を知り…
 前後編の後編。郭公の鳴く鄙びた温泉での活劇が描かれる。覆面姿のXマンだが、そんな姿が物語に全く意味がないところに本作の味わいがある。物語り自体に必然性とか意味とか全くないので、なぜこれを前後編にしたのか自体がよく分からない。
<Xマンに捕まった黒星は思わず「まぼろし探偵さん、助けてください」と叫んでる。そんな都合良く来るものか…来るんだけど。
 中川館に聞き込みに来たまぼろし探偵。なんか普通に挨拶して、旅館の仲居さんも普通に出迎えてる。
 何の脈絡もなく吊り橋の上で格闘を始める男たち。ただこういうシーンが撮りたかっただけだろうか?
 「どうしてもお前たちを生かしてはおかん」と凄んだXマンは、しゃがんで下を見ながらマッチを擦る。情けない姿だ。そもそもこんな姿だって事自体が…
 なぜかXマンの名前を知ってるまぼろし探偵。更に武田家の財宝とかも言ってるけど、どこでその名前を聞いた?
 小さな滝の上でまぼろし探偵とXマンの戦いだが、Xマンはちらちらと滝の方を見ながら。
 滝から落ちてXマンは死んだと悲しむまぼろし探偵。しかし、落ちたXマンはきょろきょろ辺りを見てるんだけど、それでどうやって「死んだ」なんて判断できるんだろう?モロ生きてるよ。>
第28話 まだら蜘蛛の復讐(前編)  元検事の宮脇の娘の誘拐事件が起こった。偶然その現場に居合わせた黒星はすぐさま日の丸新聞社に報告。進は怨恨の線で調査を開始する。
 話は誘拐事件に。割とありきたりな刑事ドラマっぽい感じ。前半部分のこの話では話もほとんど進展しない。
 警視庁に事件を探るためまぼろし探偵の事を口にするシーンがある。富士警部に言わせると、進とは出来が違うので、爪の垢でも飲ませてもらえ。とのこと。でもこれって警察がいかに無能かを得々として喋ってるようにしか聞こえない。
<事件を知っていながら犯人の言うとおり全く警察に通報しない山火編集長。立場的にそれってまずいんじゃないか。
 宮脇が車ででるのを確認した後、警視庁で聞き込みをして、新聞社で暗号解読をして、着替えてから身代金受け渡し現場に行ったまぼろし探偵だが、到着は宮脇とほとんど変わってない。ずいぶん遠い場所なんだろうか?>
第29話 まだら蜘蛛の復讐(後編)  身代金受け渡し現場に着いた宮脇と、その後をつけてきたまぼろし探偵。さらにその後ろを日の丸新聞社の山火と黒星。だがそれは宮脇に対する罠であり、宮脇は捕らえられてしまうのだった。
 誘拐犯人とまぼろし探偵の戦いをメインに、日の丸新聞社の山火も含めてのごたごたした話。そういえば山火が事件現場に行くのは初めてじゃないかな?
 いつものごとくひどい目に遭う黒星だが、今回は身のこなしや頓知を働かし、まぼろし探偵をサポート。さすがにこんなに事件が連発すると、そのくらいは出来るようになるのか…それ以上に誘拐団が間抜けなだけという話もあるが。
<宮脇と誘拐犯に気づかれぬように尾行しているはずのまぼろし探偵は、彼らの5メートルくらい後ろを隠れもせず堂々と歩いている。
 スピード違反で白バイに捕まった山火は「私は日の丸新聞社の者だ」と言っただけで警察官から信用を得てしまう。そんなに新聞社って信用あるものか?
 それで白バイにまたがって去っていった山火に対し、車を乗り捨てて徒歩でついていく黒星。何のための車だよ。
 宮脇でさえその姿を見て初めてまだら蜘蛛の事を知ったのに、その姿を一目見たまぼろし探偵は「出たなまだら蜘蛛」とか言っていた。>
第30話 クラーク東郷(前編)
第31話 クラーク東郷(後編)
第32話 ミイラ武者の復讐(前編)  ある寺に一人の僧侶知念が鎌倉の本念寺帰ってきた。彼が寺へ持ち帰った笛を吹くと、寺にアンチされていたミイラ化した武者像が突然動き出す。実はこのミイラ像はかつての平家の落ち武者であり、僧侶はそれを復活させて東京へと向かわせる。その頃、博物館から笛が盗まれたことを知った日の丸新聞社では、進と
 いきなりオカルティックな話が展開。ミイラが動くってなかなかホラーっぽいけど、ミイラが妙にマッチョなので、どっちかというとターミネーターっぽい話に仕上がってる。いや、随分先取りしてると言っても良いのか?流石相手がミイラだけにまぼろし探偵の電波ピストルも全く通用しない。
 今のところその目的とかは全く分かってないけど、特定の人物を殺すためだと言うことは分かった。
 こういう時に真っ先に事件にぶち当たるのが黒星。目の前でミイラに足利博士を殺されてパニックになってる。この作品で簡単に人死にが出るのは大変珍しくはあるけど。
<ミイラって、矢筒とか刀とかを持っているけど、これって定期的に交換されてるものなのだろうか?
 ミイラを動かすためにはミイラの近くで笛を吹いている必要があるのだが、そうなると犯人丸わかりなのでは?
 まぼろし探偵はおろか電波ピストルまで知ってる恩念。どんだけ凄い知識持ってるんだか。>
第33話 ミイラ武者の復讐(後編)  足利博士を殺したミイラを駈る僧侶達は、次に北條博士を狙う。電波ピストルも効かないミイラに対し、まぼろし探偵はどう戦うのか…
 ミイラ編の後編。電波ピストルも通用しないミイラとまぼろし探偵の戦いがメイン。そのままではさしものまぼろし探偵でも全く敵わず、ミイラ破りの笛でやっと勝利をもぎ取った。
 本然寺の僧侶が狙っていたのは北条家の末裔。それは源頼実の恨みによるものだとか。このミイラも頼実本人らしい。それにしても800年もかけて復讐するとは、執念と言うよりも妄執だな。説得力全く無い。
 こういう時になんでも首を突っ込んで酷い目に遭うのが黒星の役割。誰にも相談せずに鎌倉まで行ってあっという間に捕まえられてしまった。
<東京に残り、北條家を探る願然だが、障子に映る姿は禿頭なのに、実際は笠をかぶってる。
 ミイラを動かしているのは笛だって事が分かってるのに、それを吹いている人間をどうにかしようとせず、真っ正面からミイラに向かっていくまぼろし探偵。その前に徹夜で文献調べてたのはなんのため?
 よみがえりの笛はまぼろし探偵の提案で博物館に戻された。その際、「絶対ミイラが蘇らないため」ミイラ破りの笛と一緒に保管する事になった。これじゃ一緒に盗まれるだけでは?>
第34話 ダイヤの秘密(前編)  取材と休暇のため箱根の宮ノ下という町にやってきた進と黒星。だが迎えにくるはずのさくらは来ておらず、その代わりさくらの従姉の房子が駅に来て、さくらからの謎のメッセージを携えていた。彼女によればさくらは突然行方不明になったという…
 田舎町を舞台に謎の外国人との知恵比べが行われる話。推理小説よろしく謎が謎を呼ぶ話になっていて、なかなか緊張感がある。
 謎めいたキーワードばかりが出てくるが、なんと一回もまぼろし探偵が
 インドのダライ・ラマの話も出ていて、本作では珍しく時事性もあり。
 ここでさくら役の吉永小百合の歌声が聴ける。なかなか貴重なショットあり。
<全部日本人が演じているため、外国人が出ると胡散臭いものだが、今回の胡散臭さはトップレベル。インド人とか中国人とかが当時どんな目で見られていたかがよく分かる。>
第35話 ダイヤの秘密(後編)  ピーカルにさらわれたさくらを救うため、そしてまぼろしの青ダイヤを取り戻すためにピエールを追って山に入ったまぼろし探偵。待ち伏せするピカール配下の二人の中国人を退け、山の奥深くまで進入するが…
 前回一切登場しなかったまぼろし探偵だが、今回は最初から登場。そのため今回は活劇シーンが多い。しかし、いつにも増してやってることがちぐはぐ。
<崖の上からピーカルに突き落とされそうになったさくらの顔はどう観ても笑ってる。滑稽さを押し殺そうとしてるようでもある。
 まぼろし探偵によって縛られた二人の中国人は、何でだか胸をもみしだいてるように見える…まさか恋人同士だったとか?
 たなぼたでダイヤを手に入れた中国人は、旅館に戻って温泉に入ってる。真っ先に逃げるという選択肢は無かったらしい。おかげであっと言う間にピーカルに捕らえられてしまう。
 まぼろし探偵は中国人の車に忍び込んでいたのだが、仲間割れで殺しあいしてるのを黙って見ていたようだ。正義とは悪を許さないらしいな。
 まぼろし探偵とピーカルの戦いを見守るだけの黒星たち。遠巻きにするなら分かるけど、手を伸ばせば触れるような距離で応援するなよ。
 格闘戦の末、倒れたピーカル。でもダイヤを取り戻したまぼろし探偵は彼をそのまま残して旅館に戻っていく。放っておいていいのか?>
第36話 国際密輸団(前編)  国際的な密輸団が貨物船に乗ってきた。それを知った警視庁の富士警部は彼らの密輸現場を取り押さえようと刑事を派遣する。その取引先に一人の青年が現れ、警視庁は同席していたその兄を逮捕するのだが…
 これまでの話とは一転。前半部分は大人しか出てこず、雰囲気もかなり陰鬱な感じ。まぼろし探偵も出てこない。しかも薬物中毒の人間まで出てくるので、かなり重い雰囲気。
 後半になるといつもの感じだが、無実の罪で捕まった父を救ってくれるように頼むとか、ちょっと無理がある話が展開。強引にまぼろし探偵を登場させようとしてるようだ。前後編なので、今回はまぼろし探偵はちょっと出ただけ。
 富士警部も久々に登場したが、いきなり声が渋くなってる。と言うか、ようやくここで「ああ、やっぱり大平透だ」と分かるようになったと言うべきか。
<密輸人とおぼしき男をつける二人の刑事(一人は大塚刑事)。いかにも尾行してます。ってな雰囲気だが、それじゃばれるだろ。
 密輸された真珠をろくろく確かめもせず札束を運び人に渡す黒岩社長。悪人は信用第一?
 密輸品取引に子飼いのサブを使う黒岩。でも、その隣の席に座ってじろじろ見ていたら意味がないんじゃないか?しかも警察は全くのノーマーク。分からないもんか?>
第37話 国際密輸団(後編)  国際密輸団に拉致されてしまった三郎。三村家を見張っていたまぼろし探偵は彼らをつけ、そのアジトを探り出した。だが通報した密輸団は警察の手をすり抜け、香港に向かう用意を進めていた。
 前回の続きだが、三郎の話はあっけなく終わり、後は密輸団と警察の描写が続く。ドラマ性を深めようとしたのかもしれないけど、間延びしてしまって少々バランスが悪い。一応最後はまぼろし探偵で締めてるとはいえ、結構退屈な話になってしまった。そもそも一話で出来る話を二話に延ばしてしまったのが問題。
<運転手に化けて首尾良く国際密輸団のアジトを探り出したまぼろし探偵。車の中でマスクだけを着用し直すのだが、かなり間の抜けた描写だ。
 警察に張り込みまでされているというのに、三郎の兄和夫を殺そうなどと考える密輸団。さっさと逃げろよ。>
第38話 謎の仮面博士(前編)  世界科学者平和会議に出席した吉野博士を取材するため取材に来た黒星。原子力に冠する画期的な発明をしたのだが、その発明を巡って暗躍する国際スパイ団の目を逃れるため、議長のジョンソンは孤島に研究施設を用意したが、その直後吉野博士が失踪してしまう。
 時折出てくる吉野博士の研究品を巡ってのやりとりが描かれる。まあ大体の場合どんな発明かは出てこないのだが。安普請だ。吉野博士自身も人が良すぎるため、簡単に騙されてしまう節もあり。こう言うのを研究馬鹿というのだろう。
 今回初めて吉野博士の名前が判明。センゾウと言うそうだが、字は分からない。
<吉野博士が発明したのはボタン一つで世界を破滅させるほどのエネルギー。直前まで地球と月を11時間で往復するロケットを研究していたらしいが、一体いつそんな研究をしてるんだろう?時間の流れがこいつだけ違うんじゃないのか?
 富士警部を「耄碌してる」とか言ってる黒星。この世界の警察は本当に役に立たないので、あながち嘘じゃない。
 吉野博士の情報を求めて国際科学者管理委員会を訪ねる進達は、そこで吉野博士の鞄と手紙を見つけてしまう。どんだけいい加減な管理してるんだか。>
第39話 謎の仮面博士(後編)  さらわれた吉野博士を追うまぼろし探偵は、黒星と協力して紅ドクロ団の行方を追う。だが紅ドクロ団は既に某国とウラン8号X光線の譲渡式を行おうとしていた…
 前回でまぼろし探偵が相当の危機に陥ったように見えるのだが、後編になった途端あっという間に解決。別段特殊な装備も無い割に紅ドクロ団が妙に強いのがメリハリ部分か?
 警察と黒星が捜査を進める内、ちゃっかり情報だけ手に入れて先回りして全部自分一人で事件を解決してしまう。さすがまぼろし探偵だ。
<紅ドクロ団を追うまぼろし探偵は、ボートで逃げた一味を手こぎボートで追いかける。こういう時こそまぼろし号の出番って気はするんだが。当の紅ドクロ団も、銃を使ってオールを一本折っただけで、後は放って置いてる。
 紅ドクロ団は危険を冒してまで吉野博士の家に行き、実印を奪おうとする。どの局面で実印が必要なのか理解できないが。
 ジョンソンを仮面の偽博士と見破るまぼろし探偵。だけど、別に隠して多用に見えないんだけど。>
第40話 七色真珠(前編)  進と黒星は日本に亡命してきたアナトリア王女の取材に湯河原温泉まで出かけた。だがそんな二人は、旅館に行く途中で路上に撃たれた男を発見し、更に何者かの狙撃を受けてしまう。
 本作では結構外国から日本に来た人を守る話が多いが、パターンは全部同じで、高貴で可憐な女性がいて、それを追ってやってくる悪人を返り討ちにすると言うもの。この話は前後編なので、多少それがグレードアップしてるが、それだけ。
<進と黒星を追っかけてくる外国人がいるが、トルコ帽姿できょろきょろしてる。尾行と言うより、「気づいてくれ」と言ってるようなもんだ。
 瀕死の外国人を見つけた進は、その男がシメノンという名前だと知るが、まだ生きている状態で狙撃されて逃げ出し、あまつさえ出迎えたタイロンに「死にました」と報告してる。人としてそれで良いのだろうか?
 パスカルのしゃべり方は外国語訛りなのだが、その訛りは山陽あたりの訛りに聞こえるぞ。
 アナトリア王女の状況を聞いた黒星は「よし。僕も頑張るぞ。その前にひとっ風呂浴びてこよう」…って浴びちゃまずいだろ。そもそも仕事で来てるってのに。
 王女を追ってきたパスカル達は堂々とお茶してる。見られたらどうするんだろう?
 やってきたさくらにまぼろし探偵が出現したことを報告し、更に進がどこかに行ってしまったとか言ってる黒星。これでまぼろし探偵の正体に気づかない人間も凄いもんだな。>
第41話 七色真珠(後編)  真珠の交換に出かけたまぼろし探偵は、待ち伏せに遭ってしまい、最後の真珠を奪われてしまった。身柄も拘束されてしまったまぼろし探偵はついに海に突き落とされてしまう。
 これまであくまでまぼろし探偵は余裕を持って敵と渡り合っていたまぼろし探偵が、死んでしまった?と言う演出を付けた初めての話。「月光仮面」あたりだと当たり前に出てくる話だが、この番組ではて珍しい。
 まぼろし探偵はパスカルによって簀巻きにされて海に叩き込まれたのだが、その後のシーンで本当に突き落とされたことが分かった。よく生きてるよ。
 今回黒星が大活躍。まぼろし探偵の加勢に現れ、棒振り回してパスカル達を追い払ってる。
 今回に限ってだが、人殺しまでしてる敵を全員逃がして警察任せにしている。悪い者は懲らしめるというまぼろし探偵の構図からは随分逸脱してるな。
 極めて下世話な話だが、さくら役の吉永小百合のしゃがむ姿があるが、腰の肉付きがとても素晴らしい。この時代はこういうふっくら系の女性像が好まれたんだな。
<パスカル一味は抵抗しようとしたまぼろし探偵に対し、「そうは問屋がおろさない」とか言ってる。どこの外国人だ?
 まぼろし探偵が殺されたシーンを見て泣き濡れる黒星。早速編集長に電話入れてるけど、それより警察だろ?
 まぼろし探偵に渡したはずの赤色真珠を進が持っている事に誰も突っ込まない。これで進とまぼろし探偵の関係に気づかないものか?
 まぼろし探偵から奪った赤色真珠が偽物だと知ったパスカルは王女誘拐を命じる。普通に旅館の中に入って二人がかりで担いで外に出てるんだけど、これで誰にもばれないと言うのが凄い。>
第42話 謎のジョーカー(前編)  江崎家の庭で一人の男が死んだ。。江崎の電話で現場に急行した警視庁の富士警部はその手にはトランプのジョーカーが握られていた。特ダネの臭いを嗅いだ進は独自の調査を開始するのだが…
 冷酷な殺し屋とまぼろし探偵との戦いを描いた話。恨みによって人殺しをするため、話しはかなり重くなってる。
 今回黒星は足に怪我をしているため、足を引きずっている。なんかの事件?と思ったら、スキーで怪我をしただけとのこと。
<現場の遺留品であるジョーカーのカードを素手で触ってる進。それを何の注意もしない香山刑事。たるんでるぞ。
 末期の泉山がまぼろし探偵に伝えたのは「かかきじま」。さらにかつ舌が悪いので、よくこれで「柿島」って名前が聞き取れたな。
 柿島はどうやら右の脚が悪いようだが、場面によっては左足をかばってたりもする。悪いのどっちやねん?>
第43話 謎のジョーカー(後編)  ジョーカーのサブこと柿島は次々に復讐を果たし、残されたのはただ一人幸田のみとなった。次は間違いなく自分が狙われていることを感じた幸田は逆襲に転じるのだが…
 ジョーカーのサブの凶行の理由付けがなされていく。10年前に行った宝石泥棒で、サブだけが崖から落とされた事で今回の連続殺人に至ったのだが、問題は何故サブだけがそんな目に遭わされたのか、そして何で10年間も何もしなかったのか、根本的なところで何にも解決してないし、更に最後はサブの自殺で終わるため、大変後味の悪い話になってしまった。
 それにしてもべらべらと事件のことをまぼろし探偵に話した後で、自分を追いかけてくるからと、まぼろし探偵を殺そうとしたり、しかも遺書がしっかり残されていたとか、何をしたいんだかよく分からない。
<まぼろし探偵を狙撃するためにサブが選んだ場所は神宮外苑だったり、白昼堂々町中で拳銃を出している。殺しのプロという割にお粗末だ。>
第44話 妖鬼現わる(前編)  高笑いを残しつつ次々に女性をさらう謎の人物。警視庁は躍起になって連続誘拐犯を追うが、何の手がかりも得られなかった。その頃日の丸新聞社では異常心理学の前川博士という人物に進と黒星がインタビューをしていた。
 科学的な猟奇事件を解くまぼろし探偵の活躍を描く話。脳に関する人体実験を繰り返し、正気を失わせてしまうと言う恐るべき犯人…なのだが、相変わらず簡単に尻尾を出すので、別段息詰まると言うほどではない。
 今回は珍しく黒星がとてもやる気あり、事件解決のために積極的に動き、意見も言っている。ただその動機は「進君をあっと言わせてやる」というのは少々情けないけど。
<冒頭に現れる仮面の紳士は白髪鬼であると思われる。タイトルにも白髪鬼には「?」と役者が描かれていないのだが、その後に現れた前川博士って、あんまりにもそのまんまなので、少なくとも視聴者で犯人側から無い人はおるまい。
 脳をいじられた女性に対し、富士警部と前川博士は「白痴」。山火編集長と進は「夢遊病者」。黒星は「馬鹿」「頭がおかしい」と言っている。現代のテレビでは使えない台詞が次々。
 前川博士の肩書きは異常心理学だそうだ。なんと胡散臭い学問だろう?
 誘拐現場に残されていた白髪を手がかりに捜査を進める黒星。それって脚で稼ぐのは無理じゃないか?>
第45話 妖鬼現わる(後編)  行方不明者がどうなったのかを探っていた黒星は白髪鬼によって捕らえられてしまう。そのまま脳改造をされてしまう黒星。遅れてやってきたまぼろし探偵はその光景を目の当たりにする。
 黒星が張り切ると碌な事にならない事を見事に表した話で、本当に脳改造までされてしまった。
 前回に続き、放送自粛コードに触れまくっている話のため、そのまま現代で放送するにはやばすぎる内容。
 今回まぼろし探偵はなかなか尻尾を出さない前川の後をつけ回し、最後にピストル出したところを捕まえてる。アジトまで分かってるんだから、そこから探るとかしないのかな?
 白髪鬼の実験の成果は、薬でおかしくなってしまった人間の髪の毛を白くすることだった。これで自分の身代わりを作ったことが分かった。
<見事に脳改造を受けてしまった黒星はあらぬ方向を向いて「わはははは」とか言って笑ってる。描写がやばすぎるぞ。
 ところで富士警部の部下の香川だが、かつての同僚だった大塚刑事に向かってえらく高圧的なしゃべり方をしてる。しばらく見ないうちに出世したのかな?
 脳改造までされていながら、まぼろし探偵によってあっという間に正気に戻る黒星。どうやって戻したんだ?
 進が来ているのに重要な電話を隠しもせずに受ける警部と香川。警視庁が緊張感なさ過ぎる。
 廃棄ナンバーを車のナンバープレートに使い、警察の手を逃れる前川。大塚は「相当な知能犯」と言っていたが、その位当たり前だろ?>
第46話 スパイ? (前編)  代議士の秘書である大崎が何者かによってさらわれた。その後、次々に殺人事件が起こる。殺人事件を追う警視庁に、進はこの二つの事件の関連を疑う…
 スパイ団とまぼろし探偵の戦いが描かれる。ところがこのスパイ団、何をやろうとしてるのかよく分からない。政治家の秘書を誘拐するが、それで仲間になることを強要しては、逃げたら殺してるし、吉野博士の研究を盗もうとしたりと、何をやろうとしてるのか全く分からない。後半になったら分かるのか?進は分かってるみたいだけど。
 そう言えばこれまで全く登場してなかった富士警部の部下香山刑事が久々に登場してる。
 東京タワー見物をしてる進とさくらの姿あり。そんな時代なんだな。ただ、それでさくらが「田舎ものみたいでしょ?」とか言って笑ってるのは差別表現にあたるのでは?
 今回“狂人”なる役回りの男が登場し、鬼丸の牢の中でへらへら笑っては「俺がスパイだ」とか叫んでるシーンあるけど、これも放送コードにひっかかりそうな?
<殺人事件で血だらけになって倒れてる男に、警察よりも先に来ていた進と黒星。そんな進を笑いながら迎える富士警部。自分の子供がこんなところにいることに苦言を呈すとかないのか?
 ナイフの達人として登場する鬼丸。しかしナイフに鈴を付けてるので、あっという間に犯人が割れてしまった。>
第47話 スパイ? (後編)  スパイ団の狙いは吉野博士の発明品にあった。まぼろし探偵の指示により助手の木村に化けた黒星が囮となり、スパイ団を特定することに成功する。だが、捕まっていた捕虜の一人に逃げられてしまい…
 前回まぼろし探偵が犯人の狙いを特定していたが、それと代議士の秘書を誘拐する関連性がよく分からない。折角捕まえておいた男にも逃げられ、それでも任務を遂行しようとする穴だらけの計画も酷い…あ、そうか。タイトルにクエスチョンマークが付いてるのは、きっとそんなドジなスパイ団に疑問符を付けてるんだ。
<黒星が囮になってスパイ基地に潜入したことを知っていた富士警部。それで笑いながら電話してるけど、一般人を巻き込んでおいてえらい余裕だな。
 大学に潜入した黒星はたまたま通りかかった学生にメッセージを託す。しかし、学生と言うには歳食いすぎてるよな。学生服が痛々しい。>
第48話 じゃまものは倒せ(前編)  来日中のカラヤン大使の暗殺をもくろむ国際暗殺団。だがその作戦はことごとくまぼろし探偵に阻止されてしまった。暗殺団はまぼろし探偵をまず殺すことにしたが…
 何かと多い外国人の暗殺騒ぎ。ただこの話は前後編なので、多少時間をもって、大使自身ではなくまぼろし探偵に照準を合わせた暗殺者との戦いが描かれる。
 次々とまぼろし探偵を狙った暗殺未遂が続くが、ことごとく勘の良さで切り抜けていく。それなりに緊迫感はあるが、ご都合主義で勘が良すぎる。コメディなのか?
 やっぱりこういう事件だと被害に遭うのは黒星の方で、なんとまぼろし探偵に間違えられて殺されそうになってしまう。この人はいつも苦労してるのだが、全くめげない。意外な大人物なのかもしれない。
<狙撃銃まで用意して、ちゃんと照準も合わせているにも関わらず、思い切り外れたところを撃ってしまう秋山。しかも黒星を助けるためにせっかく現れたまぼろし探偵まで逃がしてしまう。腕が悪すぎる。
 それで「銃なんか駄目だ」とかぼやいてるけど、それは単に自分の腕が悪いだけ。
 まぼろし探偵に渡された時限爆弾は何故か二回爆発音が聞こえる。不思議な爆弾だな。>
第49話 じゃまものは倒せ(後編)  まぼろし探偵が死んだものとして祝杯を挙げる国際暗殺団。だが事前に危機を知ったまぼろし探偵は危うく爆弾を回避。暗殺団の先手を打つこととした。
 外国からの大使を守るまぼろし探偵の活躍を描く後編。自分の命が狙われている事を知り、先に罠を仕掛けることになる。一方、暗殺団の方は何でも後手後手に回ってしまうが、偶然のチャンスをつかんで逆にまぼろし探偵に罠を仕掛けるなど、見させてくれる。
<爆弾がカラヤン大使を狙った暗殺団によるものとあっという間に感づくまぼろし探偵。他にもいろいろ事件はあるだろうに、これだけに特定した理由は?
 カラヤン大使にはいつもまぼろし探偵がくっついているらしいが、進は普通に出社してたよね?
 黒星を呼び出したまぼろし探偵が黒星にしかできない。ということで与えた任務は大使の身代わり。それって可哀想過ぎないか?それより変装なんて一発で分かりそうなもんだが、全員だまされてるよ。
 せっかくまぼろし探偵をおびき出しておきながら、じっくり殺そうとしたおかげで逃げられてしまった。せっかくだましたんだから、最後まで卑怯に殺してしまえば問題なかったのに。
 とりあえず結果オーライで暗殺団を一網打尽に出来たまぼろし探偵は「すべて私の筋書き通り」と勝ち誇ってる。逆に罠にかけられて殺されそうになったのも予定通りなのか?>
第50話 黒星故郷へ帰る(前編)  黒星の叔父黒星八郎が上京してきた。八郎は十郎に故郷で講演してくれるよう頼むのだった。久々の故郷に帰ることとなった黒星だが…
 黒星の故郷での出来事が綴られる話。それで黒星の故郷が伊香保であることがわかった。常にトラブルにぶつかるだけあって、こんな平和な町にも事件の方がやってくる。相当馬鹿な強盗なんだが。
<家宝とか言う黒ダイヤを普通のタンスの中に置いておく旅館の主人。今までよく盗まれなかったよ。
 ダイヤを盗んだ二人組のギャングは逃げもせず旅館でくつろいでる。何でそう考えるのか思考経路がわからない。
 そのギャングは旅館のバーで言いたい放題言ってるけど、聞かれたらやばいと思うのだが。>
第51話 黒星故郷へ帰る(後編)  黒星の危機を知り、旅館へとやってきたまぼろし探偵は早速調査を開始。同じ旅館に宿泊している二人組が犯人だと当たりをつけ、それを黒星に告げる。だが伊香保の警察は彼らを逃がしてしまう。だが肝心な黒ダイヤは子供達の手に…
 黒星の活躍を描く後編。主体性があんまりないので、折角犯人を目の前にしても言いくるめられてしまう。実際そんな薄弱な根拠で犯人を特定できるはずはないのだが。
<付け髭鬘で黒星の前に現れる進。見え見えの変装だし、声も大して変わってないのに、誰もそれに気付かない。
 二人の強盗は逃亡する際その辺にあった車に飛び乗って逃げる。警察官の前で立派な強盗現行犯なのだが、他の警察に連絡することもなく、パトカーを使うこともなく、普通の車で追いかけている。
 結局黒星の講演はどうなったんだろう?朝起きてから犯人追いかけ、次のシーンにはさようならと言われてたけど。>
第52話 仙人沼のせむし男(前編)  山火編集長から、莫大な財宝を何処に持っていると言われている犬神家の葬儀の事を聞く。その後日の丸新聞社に来ている投書を整理している内に、東村山に化け物が出るという投書を見つけた進は黒星を誘い、取材に出かける。
 お化け探しの旅とその顛末が描かれる話。前編の本話は、単に沼を守る男が出てくるだけで話が終わった。
<せむし男は弓矢を使い沼に近づいた人間を追い払っているが、飛んできた矢は全然別な方向から飛んできている。瞬間移動でも出来るんだろうか?
 現れたせむし男は確かに背中に大きな瘤があるが、普通の人が座布団か何かを背負ってるようにしか見えない。この辺リアリティを上げるとまずいのはわかるけど。>
第53話 仙人沼のせむし男(後編)  高取山でせむし男と戦うまぼろし探偵。その場にやってきた日影と松田はふたりもろとも処分しようとする。そのため重傷を負ってしまったせむし男だが…
 犬神家の財宝をめぐる話の後編。定石通りせむし男が美矢子の兄犬神明であったことが分かった。物語としては、後は悪漢とまぼろし探偵が戦うくらい。
<まぼろし探偵に脅迫電話をかける日影。進に伝言を頼むのは良いけど、新聞社に電話かけて「警察に知らせるな」もないもんだ。
 そもそも犯人が日影であることが分かっているのになんにもしてないまぼろし探偵もたるんでるぞ。
 事件があるときに新聞社にいない進に怒り、「首にしてやる」といきまく山火編集長。今までも散々同じ事が起こってるはずなのにね。
 うまくまぼろし探偵から銀の鍵を奪った日影だが、まぼろし探偵を放置したまま高取山に向かってる。ついてこいって言ってるようなもんだ。>