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新スター・トレック(1st)

新スター・トレック(1st)事典
スタートレック 宇宙大作戦
新スタートレック(2nd)
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書籍

 

主な登場人物
ジャン=リュック・ピカード (役)パトリック・スチュワート。本職は舞台俳優。本作が代表作になるが、『X-MEN』でのプロフェッサーXでも世界的に有名になる。
 
話数 タイトル コメント DVD
第1話 未知への飛翔
"Encounter at Farpoint"

  監督:コーリイ・アレン
  脚本:D・C・フォンタナ
      ジーン・ロッデンベリー
 連邦政府が作り上げた最初のギャラクシー級宇宙船はかつての探査飛行船の名を冠したU.S.S.エンタープライズ号NCC−1701−Dと名付けられた。その艦長に就任したジャン・リュック・ピカードは最初の任務に出発する。新しいクルーを乗船させるため、既に探検された宇宙の端にあるデネブ4号星へと向かうが、その途中、突然エンタープライズ号の中に「Q」と名乗る男が現れた。

 「スター・トレック宇宙大作戦」から80年後を舞台にした新生スター・トレックの第一回目の話となる。この話だけで一時間半もあって、映画一本分もある。基本的には会話で終始するのも本作っぽくって良し。
 最初から一筋縄ではいかない物語となっている。前半は人類を遥かに超えた宇宙知性体との遭遇と彼によるいかさま裁判が展開する。宇宙の中で中世の裁判っぽいセットが作られて、無理矢理裁判を受けさせられてしまう。クルーが次々と有罪とされてしまう中、ピカードは相手の言質を取って、裁判の延期に持ち込む。
 Qの監視下で目的地であるファーポイントへと向かう。そこで副官のライカーと医療班のクラッシャーと合流するのだが、そこで惑星が攻撃されているのを目撃することになる。その戦いに介入するかどうかと言うのが物語の肝となる。勝手についてきたQは宇宙船を攻撃しろとささやく。だが一方的に惑星に攻撃してきたのは一見宇宙船に見えたが、実はそれ自体が巨大生命体で、自分の同胞が捕らえられているのを取り返しに来ただけだった。惑星の住民は攻撃を受けたから宇宙船を攻撃しろと言うが、ピカードはあくまで状況をしっかり観ていたため、危機は回避された。
 最初から超知性体と超巨大宇宙生物の両方が一緒に出てくる話で、話はとても大きいが、ちょっと盛りすぎたかな?ただ、Qはまだ
 エンタープライズ号のクルーの紹介も兼ねているため、今回はメインキャラの個性を良く出しているし、エンタープライズ号の新ギミックである分離もちゃんと行っている。観た感じ、ピカードが交渉を行い、アクションは副長のライカーが行うよう役割分担が出来てるみたいな印象有り。ややピカードは融通の利かない頑固者っぽく、ライカーは微妙に無謀な感じ。他のクルーも個性的で、アンドロイドや「スター・トレック宇宙大作戦」では宿敵だったクリンゴン人の乗組員までいる。
 物語はともかく、「帰ってきたな」としみじみ思わせてくれる演出がとても嬉しい。
 ゲストとして提督となってるレナード・マッコイが登場。ただし既に137歳のすっかり老人で、非常に気難しくなってた。
<まさに攻撃を受けている都市にいながらのんびり通信してるライカー。肝が据わってるというより、危険に対して鈍感すぎないか?データもいるのに何にもしようとしてない。>
<A> <楽>
第2話 未知からの誘惑
"The Naked Now"

  監督:ポール・リンチ
  脚本:J・マイケル・ビンガム
 恒星の観測を行っていた探査船チオコフスキーが救難信号を送ってきた。その通信を受け取ったエンタープライズ号だが、通信先ではパーティが開かれており、最後にハッチが開放されて内部の人間は全滅した。一体何が起こったのかとチオコフスキーを調査するライカーとジョーディらは、帰艦後に妙な興奮感を覚えるようになっていた。

 ミイラ取りがミイラになるという、元も子もない話で、未知の病原菌に汚染された船に乗り込んだ結果、伝染病を蔓延させてしまう。そもそもこんな危険なことを命じる事自体がおかしいのだが、それをやってしまうのがこの作品の味かな?ちょっといい加減すぎるけど。
 オリジナル版ではカーク艦長が身を張って自ら調査をしていたが、本作では副長であるライカーがその役を担っているのが特徴か。
 この話はスター・トレック宇宙大作戦の7話「魔の宇宙病」の焼き直しで、劇中旧エンタープライズ号でも同様の事件が起こったこと言及あり。
 次々に病原菌に冒され、いつもと異なる行動を取るエンタープライズ号クルーだが、まだ話が早いので、このストーリーは早すぎた感じがある。アンドロイドであるデータまで汚染されてしまった。一応ライカーはギリギリで踏みとどまったが、特にピカードの昔なじみのビバリー・クラッシャーがピカードを性的に誘惑しようとしていたりと、かなりアダルトな描写が観られる。病原菌に冒されたクルーは本音を出すようになるが、それが性的なものに偏るのはオリジナル版にはなかった描写だな。
 汚染されてしまったウェスリーが機関室を乗っ取ってしまうというエピソードまであるが、その説得をしようとするピカードがどうにも自信なげに見える。まだ頼れる艦長と言った感じはない。ピカードも成長していく物語なのだろう。
 危うく恒星爆発に巻き込まれそうになったが、ウェスリーの機転で第2船体を犠牲にすることでギリギリで回避出来た。
第3話 愛なき惑星
"Code of Honor"

  監督:ラス・メイベリー
  脚本:キャサリン・パワーズ
      マイケル・バロン
 惑星スタイラスで起こった疫病の特効薬を求め、エンタープライズ号は惑星リゴン2号星へとやってくる。ワクチンのサンプルを無事受け取ることが出来たが、リゴンの支配者ルタンはヤー大尉の腕っ節に惚れ込んで妻にすると言い始める。ここでしか手に入れられないワクチンのため、ピカード艦長は慎重に交渉を行う。

 保安部長のターシャ・ヤー大尉を中心にした話。男性優位社会の住民にとって女性が保安部長を行っていることは異質で、その違和感が話の中心になる。これに関してはフェミニズムが未だ進んでいない地球に対する嫌味も含まれたものだろう。相手をアフリカ系っぽくしたのはちょっとやりすぎかな?実際は王様が妻を亡き者にして財産を奪おうとして、腕っ節の強い女性を欲していたというどうしようもないオチだった。
 今回はワクチン絡みで苦労する話になってるが、このパターンはシリーズを通して多く作られている。派手なアクションも少なく、交渉のみで話が展開するのも本作らしさ。
 実働部隊はライカーが担うことが多いが、交渉のみということで、今回はピカードが直接向かっている。意外にピカードは短気なところがあって、やや強硬な態度を示すことが多いようだが、それがマイナスになってる。お陰で今回ライカーは全く活躍出来ず。
 惑星リゴン2号星は男性優位社会だが、土地や財産は女性持ちで、夫となる人物を選ぶ女性の方が実は優位だという惑星だった。王様のルタンは妻とヤー大尉を戦わせて、妻の財産を自分のものにしようと考えた。たとえヤー大尉が負けても失うものは無いため、どう転んでも自分に得になる交渉を挑むのだが、それを逆転させるのが本作の面白さとなっている。戦って死んだルタンの妻を蘇生させることでルタンのもくろみを失わせるというオチだった。
 なんだかんだでウェスリーをコックピットに入れることに同意してしまうピカード。ビバリーに対してはどうしても弱い。
<ヤー大尉が訓練用ホログラムと合気道を行うシーンがあるが、帯の締め方が間違ってる。それにこれ、合気道と言うよりも柔道だね。
 女性だったら強い男に惹かれるとはディアナの言葉だが、人間はどうしようも無く人間であると言う元も子もないオチだ。>
第4話 謎の宇宙生命体
"The Last Outpost"

  監督:リチャード・コーラ
  脚本:ハーバート・ライト
 謎とされる宇宙人フェレンギ星人が惑星ガンマタウリ4号星からエネルギー変換器を強奪したと連絡を受けたエンタープライズ号はフェレンギ艇を追跡する。ところが予想外の反撃を食ってしまい、逆にエンタープライズ号のコントロールを奪われてしまうのだった。ピカードはこの場は降伏を選択するのだが、なんとフェレンギ艇もまた何者かにコントロールを奪われていることが発覚してしまう。

 一応ファースト・コンタクトものの話になるのだろうか?後にシリーズの中で登場してくるフェレンギ星人の初登場の話となる。この時点でほぼ連邦の科学に匹敵する科学力を有することが分かった。
 だが今回の話の中心はフェレンギ星人ではなく、謎の遺跡で動きを止められてしまった宇宙船を再稼働させるために協力しないと行けないという話。その中で互いにナイフを隠しながら握手してるような関係が描かれることになる。冷静な交渉はピカードが、実務はライカーが分担して行っているが、これが基本姿勢となる。実務にはクリンゴン星人のウォーフが同行しているが、全然活躍出来なかった。
 圧倒的な力を持つ相手を前にして、嘘偽りで歓心を買おうとするか、それとも誠意と正しい言葉だけで対するか。フェレンギ星人は前者でライカーは後者だった。その精神で解放を勝ち取る。
 冷静な顔でジョークを連発するデータは、今回古き良きアメリカ人ジョークを連発する。相手が迷惑がっても笑えないジョークをたたみかけるのが笑える。
<エンタープライズ号には子どもが乗っている。ライカーの身内っぽいが、説明が無かった。
 惑星の干渉で転送がおかしくなってしまい、全員バラバラの場所に現れてしまった。よく全員無事だったもんだな。
 息子のウェスリーを気遣っているビバリーだが、扱いがまるで幼児に対するようで過保護すぎる。なんか理由でもあるのだろうか?
 門番は人の心を読むらしいが、なんで言葉で説明させるんだろうか?
 ピカードととビバリーが艦長席でいちゃついてるんだが、誰もなんとも言ってないな。>
第5話 宇宙の果てから来た男
"Where No One Has Gone Before"

  監督:ロブ・ボウマン
  脚本:ダイアン・ドウェイン
       マイケル・リーヴス
 エンタープライズ号のエンジン調整のため、U.S.S.フィアレス号からコジンスキーという技術者がやってきた。彼に見てもらえればエンジン性能が飛躍的に上がると言われているが、それに胡散臭さを感じたライカーはコジンスキーと助手の二人を見張るのだが、彼はエンジンを暴走させてしまい、10億光年の彼方に飛ばされてしまう。そこは思考が形となって現れる危険な空間だった。

 凄く観念的な話で、思考が形を取るという不思議な空間に飛ばされるという話。人類の科学では到達出来ないはずの場所に行ってしまう。古い記憶にあるものが実体化してしまい、エンタープライズ号のクルーが混乱してしまうまるで『禁断の惑星』のような空間が描写される。クルーのそれぞれの過去が少し描かれていく。ウォーフは子どもの頃猪のようなペットを飼っていたとか、ターシャは植民惑星で何者から逃げ回っていたとか。
 ただしこの話では中心はそちらではなく、一人の宇宙人の能力を描く話になってる。
 思考を物質化出来るならば、どんなことも可能で、これがシステム化できれば、銀河系を超えた外宇宙探索も出来るが、そのワープシステムはタウ・アルファ星人の個人の能力に依存するもののため、その人物がいなくなることで使えなくなってしまう。しかし乗組員全員が一つのことを集中して考えることで思考を物質化させたり空間を超えさせたりすることができた。これも後の話の伏線なのかもしれない。
 タウ・アルファ星人の旅人とふれあい、空間を超える思考のことを理解するウェスリーの姿もあって、彼こそが本当にこの宇宙に必要な人物だったことが分かった。今回でウェスリーは少尉代理の役を得てブリッジに出入り自由の身となった。ウェスリーの存在がどんどん重くなっていく。
<最初のワープで270万光年先に行くが、そこには宇宙にオーロラが掛かる不思議な空間だった。宇宙にそんな空間がある事自体おかしいと言えばおかしい。
 どうやって一瞬で10億光年も離れた場所にいることが分かったんだろうか?そもそもどうやって探知したのか全く分からない。>
第6話 姿なき宇宙人
"Lonely Among Us"

  監督:クリフ・ポール
  脚本:D・C・フォンタナ
 連邦加入を願うベータ・レナー系の二つの惑星から使者を受け入れ、惑星パーラメントで行われる調停会議へと向かう。しかしこの二つの種族は長く敵対関係を続けており、お互いに憎み合っていたため、難儀な航海を覚悟するピカードだったが、航海途中で未知のエネルギー雲に遭遇して、そこから乗組員がおかしくなっていく。

 敵対している二つの種族を調停するのはオリジナルシリーズでもお馴染みだが、この話では未知の生命体とのファースト・コンタクトの方がメインで、二つの種族の話は最後にちょっとオチを付けるためだけに使われる。二つの物語をくっつけた結果、中途半端になった感じ。
 ガス状宇宙人は人の精神を乗っ取ってしまうが、乗っ取れるのは一人だけ。最初はウォーフ、その後ビバリーを経てエンジンに取り憑いてエンタープライズ号を暴走させ、ピカードに取り憑いてエンタープライズ号を元のエネルギー雲へと戻させた。その生命体は単純に元の場所に戻りたいだけだったことが分かった。
 そしてエネルギー体と融合してしまったピカードは人間の姿を捨ててしまったが、最終的にはエネルギー体を戻した上で転送装置によって肉体を再構築した。
 ピカードがおかしくなった時、誰が止めるのかを幹部達が語り合うシーンがあった。ドクターが心神喪失であると判断した場合と、幹部全員の承認を受けた上で副官のライカーが罷免出来るということが分かる。
 会話の中でシャーロック・ホームズの話をしたら、データがそれに興味を持ってホームズのような喋り方になってしまった。パイプまでくわえてる。
 今の宇宙食は完全合成食だと分かったが、今回登場したアンティカ人はそれを「野蛮」と言っていた。捉え方はそれぞれだ。
<敵対している二つの種族を同じ宇宙船に乗せる意味はあるんだろうか?それが最後に大変なことになってしまった。
 ワープ中のエンタープライズ号が方向転換したことを察するアンティカ人とセレー人。どうやって分かった?誰かが説明したのか?
 艦長室からは窓から宇宙が見える。そう言うのってむき出しにして大丈夫なんだろうか?
 ラストシーンで、アンティカ人とセレー人のゴタゴタに巻き込まれそうになった時、ライカーに丸投げしてしまうピカード。いくら九死に一生を得たからと言って、艦長の任務を放棄するとは酷い。>
第7話 神からの警告
"Justice"

  監督:ジェームズ・L・コンウェイ
  脚本:ウォーレイ・ソーン
 気の張る植民星移民輸送を終えたエンタープライズ号は、ルビカン恒星系で地球に似た惑星を発見する。先行して調査を行ったライカーらは、この星の住民は穏やかであると報告する。そこで休暇を兼ねて乗組員の多くを向かわせることになったが、エンタープライズ号に残ったピカードの元に、この星の神を名乗るメッセージが入り、惑星への干渉を禁じると言ってくる。

 オリジナルでも多用されたファーストコンタクトの話。ただし住民ではなくその星の神との対話が主。一見とても素晴らしい住民達の惑星だが、それは作られた閉じられた生態系であることが分かってくる。
 そしてこの星の住民の法は銀河連邦の法とは異なる部分があり、どんな軽犯罪でも死刑となる。それでちょっとした誤解でウェスリーが死刑を求刑されてしまった。そのため今回地上班の中心はライカーではなくウェスリーになってる。
 前半はちょっとしたほのぼの展開だが、後半になると裁判となって相反する法とか正義の話になっていき、とてもシリアス。でもこれこそファーストコンタクトの醍醐味だろう。
 この星の住民の言い分だと、ウェスリーを奪い返すなら、それを止める術はないと言い続けてるので、それに従えば良いだけのことなのだが、銀河連邦法よりも相手の星の法が優先されるらしい。その辺は誤解ってことでなんとかならんかったもんかな?結局は罪を定めるのは冷徹な法だけで行うべきではないと納得させて解放してもらった。しかし、これまで法を厳格に守ることで秩序を保ってきたのだから、こんな詭弁みたいな方法を使うのはすっきりしない。
 ウェスリーが殺されそうになったので母親のビバリーが半狂乱になってる描写があり。過保護とは言わないけど、過敏すぎるように見える。
 ウォーフが女性に抱きつかれてちょっとでれてるのが可愛い。尤もクリンゴン人はクリンゴン以外に欲望を感じないそうだ。
 今回この星の神が登場するが、おそらくは古代文明の生命体だろう。1話に登場したQと関わりがあるのかも。
<初めての惑星でいきなり休暇を楽しもうというのがそもそも大問題なのでは?
 この惑星の住民はみんな良い体をしていて、薄い衣服ばかりなので、ちょっと戸惑う。性的に開放的な星だと分かってるのにウェスリーを連れていくのはなんでだ?>
第8話 復讐のフェレンギ星人
"The Battle"

  監督:ロブ・ボウマン
  脚本:ハーバート・J・ライト
 フェレンギ星人から正式に連邦への通達でエンタープライズ号と交渉したいと言ってきた。ピカードはエンタープライズ号を駆り、指定区域へとやってくるが、そこにはかつてピカードが指揮していた宇宙船スターゲイザーが現れた。

 4話に登場したフェレンギ星人との接触が描かれる。ここでピカードの過去の話にも関わりを持つ。
 今は停戦中だが、少し前まで連邦とフェレンギ星人は敵対関係にあり、ピカードも巡洋艦を指揮していた。過去に起こった戦いが今回の肝。
 今回はピカードがずっと頭痛を起こしていたが、これも伏線で、フェレンギ星人が昔ピカードが指揮していた宇宙船に残っていた人工頭脳に干渉してピカードの記憶を混乱させた。それでスターゲイザーに乗り込んだピカードを混乱させてエンタープライズ号を攻撃させようとした。実際自分自身の記憶も混乱して、とんででもない言動をするようになってしまった。
 今回はピカードが混乱して悪役に回ったため、ライカーが指揮してデータやウェスリーの協力でことを収めた。
<時折精神的な弱さを出すピカードだが、こんな状態だと指揮官として失格なのでは?と思わせることが時折出てくる。
 コクピットに火が出るのは本作の特徴だが、火が出たらそれは艦が破壊されてるということなのでは?>
第9話 死のゲーム
"Hide and Q"

  監督:クリフ・ボール
  脚本:C・J・ホランド
      ジーン・ロッデンベリー
 シグマ3号太陽系近くの植民惑星で大事故が起こり、その救援物質を届ける任務に出たエンタープライズ号。一刻も早く到着しなければならないのだが、その航海の途中で突如巨大なバリアーで行く手を遮られてしまう。そこに現れたのはQで、ライカーに興味を持ったQはゲームを申し出る。

 1話で登場したQが再登場。前回はピカードの思考を探ったが、今回の標的はライカーで、ライカーと乗組員たちをナポレオン時代の舞台に放り込んで、その反応を見ていた。ピカードだけ行かなかったのは、既にピカードの走査は完了していたからか。エンタープライズ号のコクピットに一人だけ残されてどこにも行けずに拗ねてるピカードの様子が良い。
 Qの仕掛けを乗り越えたライカーは一時的にQと同じ能力を得、乗組員の望みをなんでも叶えられるようになるが、それこそがQの目的で、何でも出来るようになった人間の反応を楽しんでいたようだ。ライカーは一瞬その力に溺れそうになったがすぐに正気を取り戻し、他のエンタープライズ号クルーの誰も超常的な力を欲しがらなかった。
 Qが言うところでは、ライカーをQ連続体の一員として迎えたいと言っているが、どこまで本気なのかは不明で、おそらくはライカーの自尊心をくすぐるためのものだろうと思われる。
 あれだけ尊大な立ち居振る舞いをしているQだが、全能の神ではなく、多くの知識集合体の一部らしい。ピカードとした約束を破ろうとして仲間の制裁にあってしまい、焦った姿をしてるのが面白い。
<クリンゴン人の求愛はお互いに殴り合うものだった。この行為自体が生殖行為らしい。ものすごく変だが。>
第10話 夢の人
"Haven"

  監督:リチャード・コンプトン
  脚本:トレイシー・トーメ
 任務と休暇を兼ね、美しい星惑星ベータ・カシウスにある安息所ヘイブンに向かっていたエンタープライズ号。ところが突然艦内にメッセンジャーが転送され、乗組員ディアナの結婚を告げる。そして婚約者とその両親がやってくる。

 これまでカウンセラーとして助言を与えてきたディアナを中心とした話。彼女はベタゾイドと人間のハーフで、精神感応力に優れているのだが、その母親がやってきて引っかき回すという話。その女性ラクサナはなかなか強烈な性格をしていて、出迎えたピカードが混乱してしまう。その辺はコメディとして面白い。
 契約によって人間との結婚が定められていたディアナだが、その相手となるワイアットは特殊な能力があって、自分が結婚する女性のことをあらかじめ知っていた。そしてそれがディアナではなかったことも。それがコミュニケーションの齟齬を生んでしまうのだが、最終的にはお互いのことを理解し合って別れることになった。
 ちなみにライカーは純粋な愛情をディアナに持っていて、ディアナもそれを知っていたことも発覚する(後の劇場版で結婚することになる)。
 人の心を読める存在にとって、常識はだいぶ異なる。結局率直に生きる事にしたのがラクサナであり、人の中で生きることを選択したディアナはある程度心を閉ざすことによって人を受け入れることにしている。これも一種のファースト・コンタクトになるのかな?
 この話にはもう一つの宇宙人タレラ人が登場するが、それはかつて惑星上で生物兵器を使ってしまって星を滅ぼし、更に難民となって宇宙に病原菌をばらまく存在になってしまったという。エンタープライズ号クルーの会話から、これが今の地球に対する皮肉になってるのは確か。滅びるしかないと半分諦めているが、最後の希望として地球人の救世主を待ち望んでいた。それがディアナの婚約者であったワイアットだったというオチ。
 ラクサナ役は「スター・トレック宇宙大作戦」でチャペル役だったマジェル・バレット。強烈なキャラになってしまった。ちなみに準レギュラーとなる。
第11話 宇宙空間の名探偵
"The Big Goodbye"

  監督:ジョセフ・L・スキャンラン
  脚本:トレイシー・トーメ
 交渉のためハラーダ星へと向かうエンタープライズ号。ハラーダ人との交渉のために完璧なスピーチをマスターすべく勉強していたピカードは、すこし息抜きしようと他のクルーを誘いホロデッキでしばし旧世代の探偵気分を味わおうとする。ところがハラーダ人のスキャンを受けたエンタープライズ号に不具合が生じ、ホロデッキに閉じ込められてしまう。

 ピカード達が仮想現実の中に閉じ込められてしまうという話。80年代のSFの特徴は、ゲームの世界に閉じ込められてしまうと言う作品が多いこと。それはそもそも「宇宙大作戦」を再現しようという試みもあるのだから、この話はだいぶメタフィクションっぽいものに仕上がった。実はホロデッキはこれから何度も登場するネタで、これがその一番最初の話となる。
 こう見えてピカードは20世紀のマニアらしく、探偵ものの主人公になってすっかりホロデッキに興奮してしまってた。なんとホロデッキの中でキスされたら、ルージュが唇に付いていた。まんまリアルじゃん。ピカードがすっかり浮かれてしまったため、ライカーとかは苦笑しながら観ていた。
 ホロデッキにピカードが扮する探偵の名はディクソン・ヒルだが、タイトルが"The Big Goodbye"なので、明らかにフィリップ・マーロウを意識したものだろう(「長いお別れ」と「大いなる眠り」を合わせた造語)。危機一髪のところを助けられるが、探偵作品としては中途半端に終わってしまった。
 一方でピカードは気を遣う相手との交渉をしなければならない立場で、ホロデッキに閉じ込められてしまってる間に相手がへそを曲げてしまう。なんとかピカードを取り戻そうと奮闘するライカーとウェスリーの姿もある。
<ホロデッキの中に入った人はその世界の登場人物になるのだが、容姿はそのままのようで、特にデータの場合、その容姿を揶揄されるシーンが多用されていた。普通顔も変わるものでは?
 煙草を吸ってむせるピカードの姿もある。この時代には完全に煙草はなくなっていることの証拠。
 危機一髪となった登場人物達を救うためにホロデッキ内でもちゃんと逃げ道は用意してあったはずなのだが、それが描かれてないままだった。>
第12話 アンドロイドの裏切り
"Datalore"

  監督:ロブ・ボウマン
  脚本:ロバート・リューイン
      ジーン・ロッデンベリー
 オミクロンセータ星系へとやってきたエンタープライズ号。そこにはデータの故郷の植民惑星があり、データのために数時間滞在することにした。ところが開拓民は全滅しており、地下にはもう一体のアンドロイドが未完成のまま残されていた。エンタープライズ号に回収し、修理の上起動したところ、そのアンドロイドはロアと名乗り、この惑星で何があったか語り始める。

 最初からエンタープライズ号の乗組員として存在したデータだが、26年前に“発見された”アンドロイドだったことが分かった。これまで誰が作ったのかさえ不明で、記憶に欠損もある。更に体内構造にもブラックボックスがあるそうだが、26年間の調査と訓練を経てエンタープライズ号のクルーとなったそうだ。それでもよくそんなのを乗せてるもんだな。
 データはスン博士という人物によって作られた経緯が描かれるのだが、それは割とあっさりと流されてしまい、データと同型のアンドロイドが発見されて、それを起動したところ危機に陥るというのがメイン。
 データの同型機のアンドロイドはあまりに人間的だった。ある意味データの完成形とも言えるのだが、その感情のために廃棄されたという。なんか人間の性を感じさせる脚本だった。この辺りの設定はロッデンベリーっぽいと思ったら、ロッデンベリーのオリジナル脚本だった。
 この話は結晶生命体とのファースト・コンタクトでもあった。エンタープライズ号よりも巨大な大きさの結晶構造を持つ生命体で、ここでは一方的に人類に攻撃を仕掛けるだけの存在。ロアは結晶生命体と結託し、生命体を差し出す役割を担っているそうだ。あやうくエンタープライズ号全員の命が取られかねなかったが、ウェスリーの機転で危機を避けられた。これじゃピカードよりもウェスリーの方が有能に描かれてしまってる。
 ロアは転送機で宇宙に放り捨てられてしまったが、なんせ死なない体なので、又どこかで登場しそうな気はする。
 データは自分でも知らないブラックボックス化された記憶があるらしいが、何らかのトリガーで暴走の可能性があるはず。それについてヤーが疑問を投げかけていたが、ピカードはそれを一蹴している。ひょっとしたらそれを前提に乗せているのかもしれない。
<スン博士はアシモフ型陽電子頭脳を研究していて、その完成形がロアやデータだったらしいが、平気で人類を死に追いやるモデルにアシモフの名前を冠するとは皮肉だな。
 ロアが成り代わったデータを完全に信用するように言うピカード。今のデータがちょっと違っていることに気づかないとはなんとも間が抜けている。
 ウォーフとデータが戦うシーンがあるが、一方的にウォーフの方がやられてしまう。なんという弱さだ。>
第13話 奪われた女神達の惑星
"Angel One"

  監督:マイケル・ローデス
  脚本:パトリック・バリー
 7年前に大破した貨物船オーディン号の脱出ポッドの行方を追うエンタープライズ号は、連邦未加盟の女性上位惑星である惑星エンジェル1号へと到着した。だがその元首であるビアタ議長はエンタープライズ号を歓迎しようとしなかった。それでも脱出ポッドがこの惑星に到達したことだけは分かるのだが、折しもロミュラン艦隊が星系に近づいてきた。

 女性上位惑星との交流で、本作ではこう言う惑星が良く出てくる。折しもダイバーシティへと向かう時代に沿った話とも言える。まさに男女逆転した80年代の地球社会のような星が舞台なのでリアリティがあって「スター・トレック宇宙大作戦」の時代とはちょっと違った雰囲気になってる。男性にも権利を持たせようとするアナーキストをどう扱うかという話。ライカーの説得によって男性女性という性差ではなく、役割をきちんと果たし、社会のために働く人ことが重要だという結論になってる。現実の地球とは逆の形になってるのが面白い。
 今回は交渉者としてカウンセラーが活躍するのかと思ったら、結果としてはライカー一人が活躍していた。ライカーはこの星ならではの男性着衣を着込むのだが、体の大部分が裸というセクシーなもので、それで議長のビアタと交流を深めている。
 そしてピカードが罹患してしまったため、ラフォージが艦長代行をしているが、危機の連続にあたふたしていた。致死性はないものの猛烈な感染力を持つ伝染病に艦としてなりたたなくなってしまった。ウィルスに冒された艦内に惑星に出た人たちを戻すかどうかギリギリの選択が緊張感ある。
 ところで本作では初めてロミュランの名前が出た。「スター・トレック宇宙大作戦」ではお馴染みの名前だが、このシリーズでも関わってくるようだ。
<病気にかかっても「大丈夫」を連呼して休息を拒否するピカード。感染症なのに艦長とは思えない行為なんだが。
 ライカーは大変毛深いので、胸を露わにするとあんまり注目したくない光景が展開している。>
第14話 盗まれたエンタープライズ
"11001001"

  監督:ポール・リンチ
  脚本:モーリス・ハーレイ
      ロバート・リューイン
 エンタープライズ号は航行途中で検査のためターサス3号星にある宇宙基地に停泊する。メンテナンス要員としてバイナー星人が乗り込んでくるが、彼らの焦った行動を見たライカーはなにか不穏なものを感じ取っていた。

 エンタープライズ号が乗っ取られてしまうと言う話。バイナリー星人の母星のマザーコンピューターが破壊されるため、そのデータを保存するためにエンタープライズ号を奪った。具体的には偽の情報でエンタープライズ号が爆破されることを警告し、乗組員を外に出したところで奪うというものだった。ピカードとライカーだけが艦内に残されてしまい、ピカードがエンタープライズ号を操縦するシーンもある。
 バイナリー星人には悪意はなく、星を救ったらすぐに返すつもりだったそうだ。ストレートに助けを求めていればそれで良かったというだけの話なんだが、断られるリスクを冒したくなかったと説明されている。
 一応エンタープライズ号クルーの休暇の様子がある。ピカードはくつろいで読書。データは絵画。ヤーとウォーフはスポーツと、それぞれ。ライカーは自分が休暇を取るとトラブルが起きると言ってエンタープライズ号に残ったが、残ってもトラブルが起きている。ライカーは古き良きアメリカが好きで、ホロデッキで1950年代のジャズバーを再現して楽しんでいた。トランペットも趣味らしい。
 ライカーはホロデッキの中で理想的な女性を作ってもらったが、すっかり惚れ込んでしまった様子。ところがバイナー星人を救うためにそのデータが消えてしまったというオチがつく。ちなみにピカードも当時のアメリカに憧れがあるらしく、話が盛り上がっていた。
 ピカードのルーツにフランス人も入っていることが言及された。
<面白いタイトルで、ストーリーが進むとこれがコンピューター言語だと分かるのだが、量子コンピューターの概念はまだこの時にはなかったことが分かる。
 ジョーディがデータに絵を教えているのを見たライカーは、「花を見たことのない男がアンドロイドに絵を教えている」とジョークを言っているが、ちょっときつすぎるものでは?
 バイナー星人は母星のマザーコンピューターのデータを一時エンタープライズ号に保存しようとしているが、そんな高速通信が可能なのか?そもそも母星から相当な距離があるから、タイムラグはどうなる?>
第15話 大いなる償い
"Too Short a Season"
"Datalore"

  監督:ロブ・ボウマン
  脚本:マイケル・マイケリアン
      D・C・フォンタナ
 モーダン4号星で反体制テロリストが惑星連邦の重鎮を人質に取った。モーダン星総督であるカーナスによれば、テロリストは交渉相手として45年前にモーダン星で人質交渉に当たったというマーク・ジェームソン提督を指名した。そこで既に病に冒されていたマークは最後の奉仕と薬で体を若返らせて交渉に向かう。

 今回はエンタープライズ号を離れ、突然現れた連邦の提督を中心にした話となる。昔から連邦で働いていた人物で、その際にしてしまった過ちの償いを描く。
 その償いとは、ある星の内戦を長引かせてしまったことで恨みを買ってしまったことで、その結果、命を賭けて交渉を行い、実際そこで命を落としてしまうと言うもの。死人は出るもののストーリーはあっけないもので、なんとなくこのシリーズっぽくはない感じだ。
 自分より上の位の提督の勝手な言い分に何も言えないピカードの態度がサラリーマン風で、色々苦労があることが推測される。部下に対して責任を感じたか、今回は上陸班はいつものライカーではなくピカード自身が同行した。ちゃんとアクションもこなしてる。
 ジェームソン提督は自分の命を賭けるのは良いが、それで妻をないがしろにしてる感じがあって、あんまり観てて気分が良くない。
<ジェームソン提督が若返っていることを写真を使って説明するピカード。しかしそれって合成し放題なんだが、よくそれで証拠にしたもんだ>
第16話 死に急ぐ惑星アルデア
"When the Bough Breaks"

  監督:キム・マナーズ
  脚本:ハンナ・ルイーズ・シアラー
 イプシロン・マイノス星系で探索任務に当たっていたエンタープライズ号は、伝説の惑星アルデアを発見する。電磁スクリーンで隠されたその星は、老いた自分たちの星の希望として子どもを欲していたため、エンタープライズ号を招く。高度な科学力を駆使し、エンタープライズ号の中にいる子ども達を七人奪い去れてしまう。

 高度な科学力を持つ孤高の存在とのコンタクト。この新スタートレックではこの手の話が結構多く、本作でも何話目かと言った感じ。
 アルデアは子どもが生まれなくなってしまったため、子どもを送り込んで欲しいというのが彼らの望みだが、それを拒否したため、交渉は決裂。無理矢理転送装置を使ってエンタープライズ号内の子どもを拉致してしまう。
 さらった子どもの中にはウェスリーもいたため、色々機転を利かせてアルデア人の裏を欠くことが出来た。簡単に言えば自分の命を使って脅迫するというものだが。おそらくエンタープライズ号の中では一番優秀なクルーだろう。どんなに文明が進んでも、重要なのは機転というのはこのシリーズの特徴でもある。
 文明が進んだ星の場合、その子孫は何も努力しなくても高度な科学力を手に入れることが出来る。そのためコンピューター関連の知識を何も持たなくなってしまう。これは結構皮肉な話でもある。結局コンピューターになんでも依存したため、コンピューターに対処できないことに対処出来なくなってしまうという話。
 オゾン層の破壊によって遺伝子が汚染されるという時事ネタも組み込まれている。
 アルデア人の要求に対して、ライカーは子どもを渡すことは絶対に出来ないと言っていたが、もう少し時間を使えば、大変優秀でアルデアに行きたいという子はたくさん出ると思うぞ。
 スタートレックシリーズの最大特徴は転送装置にあるが、更に高度な転送装置が存在する時、対処が出来ないというのが面白い。最終的にアルデアも連邦と協力することになったため、転送装置はますます発達していくことだろう。
<ハリーという子は小学生くらいだが、既に微積分を勉強している。この時代の子どもの知能は凄いものだ。
 さらった子どもは七人だけ。これだけでは文明をつなぐには少なすぎるな。>
第17話 神に似た人々
"Home Soil"

  監督:コーリイ・アレン
  脚本:ロバート・サバロフ
 開拓中の惑星ベラーラ3号星の開拓に遅れが生じているために進捗状況の調査を命じられたエンタープライズ号は、通信で長官のマンドルと交渉するが、マンドルは調査を歓迎していなかった。それでも調査隊を組織してベラーラへと降り立つが、そこは人間は誰もいなかった。

 これも定番のファースト・コンタクトで、無機生物との対話となる。元々の現住生物だったが、人類がテラフォーミングによって生存が危ぶまれている。問題として、その生物は高度な知的生命体であり、宇宙船を遠隔操作出来るほどのパワーを持っているという点。先に来ていた開拓者たちはそのことを知っており、説得中だったが、それをエンタープライズ号が引き受けることになった。言葉を使うことが出来ない生物の意思疎通のためにあらゆる光線を見ることが出来るラフォージが活躍してる。そしてたとえ相手が無機物であってもカウンセラーがちゃんと仕事してる。価値観が全く違うのだから、そこを合わせるところから始めるという基本をきちんと行っている。些か単純だけど
 最終的には彼らが生きていける惑星に送り、300年間お互いに干渉しない事を約束して終わる。
 テラフォーミングの方法について細かく説明するシーンがある。小学生の頃本で読んで憧れてたもんだ。
<人類を裏切った訳ではないと言うマンドル長官は、「私は命を作ってるんだから人を殺すはずがない」と言っていたが、それは当たり前だと思う。>
第18話 宇宙戦士への道
"Coming of Age"

  監督:マイケル・ヴェジャー
  脚本:サンディ・フリーズ
 ウェスリーはエンタープライズ号の航海途中にあるレルバ7号星で行われる宇宙艦隊アカデミーの入学試験を受けることとなった。レルバ7号星に寄港中のエンタープライズ号には監察官が入り艦内に不正が行われている可能性を示唆され、監察官としてレミック少佐が派遣されるが、何かれなく嗅ぎ回るため、乗組員達は不満を募らせる。

 ウェスリーとピカード二人に対する試験が描かれる。ウェスリーの方は宇宙艦隊アカデミーの入学試験を受けるので分かりやすい。最高峰の天才達四人の内一人だけしか入学できない試験に挑む。最後のサイコテストで命に関わる状況に陥った時に決断がくだせるかというもので、後になってこの状況はウェスリーの父親の死と同じだったことが分かった。
 一方艦内に不快な言動をする人物を迎え入れたことで部下から不信感をもたれてしまうピカード。実はこれこそがピカードに対しての試験であり、これで部下に真相を隠したまま信頼を保てるかの試験。それは極秘のアカデミー長官昇進試験だった。結果としてピカードは試験には合格したが、本人に提督になる気は全く無しで、エンタープライズ号艦長を続ける事となる。
 不快な人物によって引っかき回されるエンタープライズ号にはちょっとストレスがたまるが、実際の社会生活ではこう言うのは普通。ただこれまでのストーリーのいくつかでピカードの判断ミスがあったことを指摘しているので、脚本家は相当読み込んでいることが分かる。
 ウェスリーの試験で異文化や異星人に対する対応も顧慮に入れている。種族によって臨機応変に対応を変えねばならないという試験だが、この辺はスタートレックらしさで良いね。
<宇宙艦隊アカデミーは相当狭い門だが、連峰にも鳴り響くほどの天才達を落とすのはおかしいのでは?だいたい消耗率が高すぎるのだから、アカデミー入学は相当な数がいないといけないはず。
 ピカードの判断ミスを責めるレミックだが、あの程度で叱られるんだったらこれがカーク船長だったら一発で試験に落ちるよな。>
第19話 さまよえるクリンゴン戦士
"Heart of Glory"

  監督:ロブ・ボウマン
  脚本:モーリス・ハ−レイ
 中立地帯で戦闘があったと報告を受けたエンタープライズ号は調査に向かったが、そこには攻撃を受けて動けなくなった輸送船があった。そこにいた生き残りコリスとコンメルは二人ともクリンゴン人だった。

 「スター・トレック宇宙大作戦」では敵として登場していたクリンゴン人がこの作品では最初から連邦の一員として登場していた。そこに違和感があったが、その理由の一端が明かされる。かつて同盟関係にあったロミュランとの戦いの末に敗北を喫し、連邦に助けを求めて不可侵条約を結んだことが分かった。
 ようやくウォーフの中心回。ウォーフはとても存在感があるキャラなのだが、これまで情けない役ばかりだった。本作で一気にキャラ造形が深まった感じ。ウォーフはロミュランの攻撃を受けて滅ぼされた星の出身で、そこで連邦に救われて成長した。クリンゴンの血が時として騒ぐが、基本的にはそれらを落ち着かせているとのこと。
 今回登場したのはクリンゴン人の犯罪者だが、彼らの方が「宇宙大作戦」のものに近い感じ。今も独立の気概を持った者たちはいるし、戦闘民族としての誇りを持ってるので、戦いで死ぬことを名誉としているとか、潔い人種として描かれている。そんな彼らの目は地球人と共にいるウォーフは裏切り者に映る。一方彼らの生き様を目にしたウォーフは眠っていたクリンゴン人の本能が呼び覚まされていくが、クリンゴンの戦士として最も重要なのは実際の戦いではなく自分の心との戦いだと言って彼らの誘いをきっぱり断っている。
 難破船調査のためにラフォージが向かっていて、その視覚をエンタープライズ号に転送しているが、見ているものがとても不思議で、ピカードも興奮していた。ラフォージによれば、あらゆる情報が視覚に入ってくるのでそれを自然と取捨選択しているのだとか。脳の訓練の賜物。
<コリン曰く、フェレンギ星人によって襲われたそうだが、フェレンギって謎の民族のはず。
 クリンゴン人三人が同時に画面に出てくると凄まじい画面の濃さ。>
第20話 生き返った死の宇宙商人
"The Arsenal of Freedom"

  監督:レス・ランドウ
  脚本:リチャード・マニング
      ハンス・バイムラー
 エンタープライズ号は消息を絶ったU.S.S.ドレイク号を捜索するためロレンズ星系へとやってきた。ドレイク号の最後のメッセージで惑星ミノスの住民が絶滅したと報告されたため、最初にミノスの調査を行うこととなったが、最初の上陸班のライカーが何者かによってカプセルに捕らえられてしまう。

 機械の反乱が起こって星の住民を皆殺しにしてしまい、今や生物がくるのを待ってる星という話で、割とシリーズでは多く存在するバリエーション。学習によってどんどん強くなる機械というのは、後のボーグに通じるところがあって、あるいはこれがルーツになるのかもしれない。その兵器は50センチくらいの球体型だが、学習と伝達によってどんどん形態を変え、強力になるという。ディープラーニング兵器となるが、これってターミネーターだな。
 今回は最初の上陸班だったライカーが捕らえられていまい、ピカードまで降下する羽目になるため、大変強力な敵だったことが分かる。ただベバリーと共に降下したら、いきなり撃たれてしまったので、ほとんど降りた意味がなかった上に、怪我をしたベバリーを介抱して終わっていた。最後は戦いではなく、そんなところに現れたセールスマンに対して兵器を買うと騙して攻撃を止めさせた。
 見えない敵が攻撃してくるのに対してエンタープライズ号に残されたラフォージが活躍していた。他のクルーからあんまり信用されていないため、大役に焦って失敗してる姿がリアル。ただ、エンタープライズ号を機械の攻撃から守るために敢えて分離させて乗組員の大部分を星系外に避難させたり、見えない敵と戦う際、惑星の成層圏に突入し、摩擦で光ったところを狙い撃ちにした。最後はちゃんと見せ場を作っているところが流石。
 最初にしていた軽口でライカーは他の船なら艦長にもなれたが、本人の希望でエンタープライズ号の副長になったという。
<ライスが偽物と悟ったライカーは咄嗟に自分の乗ってる船の名はロリポップ号だという。よりによってその名前か。
 ライカーはピカードを守るために実行部隊になってるのだから、ライカーが戻れなくなったらピカードが出るってのはおかしい。
 機関長はローガンだったが、前はアーガイルって言ってたはず。
 惑星ミノスは高度に機械化された惑星のはずだが、密林に覆われてるのはちょっと変な感じ。カモフラージュという訳でもないようだし。>
第21話 禁断の秘薬
"Symbiosis"

  監督:ウィン・フェルプス
  脚本:ロバート・リューイン
      リチャード・マニング
      ハンス・バイムラー
 デロス星系の太陽フレアを観測していたエンタープライズ号に貨物船からの救難信号が入る。ここは同じ星系のブレッカとオルナラという二つの惑星の緩衝地帯で、取引の途中でトラブルに巻き込まれたという。それぞれの星から来た四人は取引を巡って喧嘩を始めてしまう。

 二つの惑星間のトラブルに巻き込まれてしまう話。やや文明的に劣った側の惑星が進んだ惑星に搾取されてしまうのだが、その際麻薬を売りつけられ、長く搾取構造が続いていたという。
 モティーフとしてはアヘン戦争のように思えるが、中国人に対する差別と言うわけでもなかろう。
 文明が進んでいる側としては、麻薬だけが交易材料のため、これが売れなくなると死活問題なので、なんとかごまかして売ろうとしていた。
 そこでピカードの下した判断は、頼まれていた貨物船の修理を行わないことで二つの惑星の交易を停止してしまうというものだった。そうすることで麻薬の禁断症状は出るものの、麻薬から脱却できるというものだった。
 麻薬問題について真面目に話しているシーンがあり、ウェズリーは正義漢から絶対に麻薬はいけないと言うが、ヤーは麻薬は怖くてもこれがなくては生きていけない人もいると諭すが、ウェズリーには理解出来ない。その辺の矛盾を描くのは珍しいな。
<最終的にピカード艦長は宇宙船を動けなくすることで二つの惑星の交易を出来なくさせるのだが、一応この星系は連邦に加盟しているため、他の星から船を買えば意味がなくなってしまう。
 最後にピカードはベバリーに向かって、良かれと思って文明に鑑賞した結果で良かったことは無かったからという。重みのある言葉だが、それってかつてカーク船長がやってきたことの全否定では?>
第22話 悲しみの星に消えたターシャ
"Skin of Evil"

  監督:ジョセフ・L・スキャンラン
  脚本:ジョセフ・ステファノ
      ハンナ・ルイーズ・シアラー
 会議のためにエンタープライズ号が離れていたカウンセラーのトロイが戻ってくる途中に乗船していたシャトルがコントロールを失って無人惑星に不時着した。救出のために急行するエンタープライズ号だが、彼らの前に現れたのは黒いタール状の生命体だった。

 本シリーズ定番とも言える人類の常識を越える異星人とのファースト・コンタクトの話だが、なんとレギュラーメンバーであるターシャ・ヤーが死んでしまうと言う衝撃的な話となった。
 なんでもヤー役のデニーズ・クロズビーの仕事の都合だそうだが(本人がもうやりたがらなかったとも)、折角馴れてきたところで勿体ない。
 結局ヤーの死で終わってしまって、話自体が今ひとつと言った感じ。メインストーリーはカウンセラーと悪意の固まりのアルマスの会話なのだが、その生命体は単に悪意しかない存在でほとんど交渉にもならず、結局騙しと力技でアルマスを置いてけぼりにするだけだった。
 ヤーの死によって、ウォーフが保安部長に昇進した。オープニングでウォーフとちょっと良い感じになっていたので、もう少し話を続けて欲しかったところ。
 あとウェズリーが普通に仕官と同じ働きをしていた。もう子ども扱いは終わったのかな?
<アルマスはタール状の時は良いんだけど、人間のような姿になるととても安っぽく見える。ほとんど黒いゴミ袋をかぶった人間。
 衝撃波程度で保安要員が死んでしまうのはもろすぎるので、もう少しヤーが死んだ理由を細かく説明して欲しかったところ。>
第23話 時のはざまに
"We'll Always Have Paris"

  監督:ロバート・ベッカー
  脚本:デボラ・ディーン・デイヴィス
     ハンナ・ルイーズ・シアラー
 エンタープライズ号の中で突然不可解なタイムループが発生する。そんな時に、かつて時間の研究のために宇宙で消息を絶ったポール・マンハイム博士から救難信号が入る。この二つの事件には関連があると睨んだピカード艦長は、救難信号の発せられた宙域にエンタープライズ号を向かわせる。

 ピカード艦長が昔の恋人と再会する話で、それに時のループを関連して描いた話。メインはピカードの古い恋愛に決着を付ける話だが、宇宙全体の危機まで描く壮大な話になってる。ここで起こったタイムリープは時間を操作することが出来るというもので、これによってで新しい次元の扉を開く事が出来るらしい。しかし現時点でそれを行うと宇宙が崩壊するという。
 今回はピカードの精神にストレスを与える話なので、その心の動揺をいち早くカウンセラーに指摘されてタジタジとなったり、昔のホログラムを観て感傷的になったりと、あまり描写されないものが出ている。ピカードにとっては今でも彼女が好きで、それで悩んでもいたが、彼女と会話することで、自分の感情に決着を付けることが出来た。ピカードにとっては、宇宙に出ると言うことは恋愛とは相容れないという事で、かなりストイックな思いを持っていることも分かる。
 それに伴ってベバリーが妙に苛々してるのも面白い。
 時間の流れが変わったときにもデータは冷静に状況把握をしており、ピカードも信用して任せている。今回はデータが大活躍で、チームワークが深まってきた感もある。
 11話で登場した、過去の時代に今の自分が行くというホロデッキが再登場してるが、これは使い勝手の良いアイテムだ。
<時間の旅が主題だが、既に数10年前となる「宇宙大作戦」でもこのネタはやってる。その研究の続きなんだろうか?
 宇宙が崩壊する可能性のある危険な研究を行っているマンハイムに対して全面的に連邦がバックアップすることを約束するピカード。安請け合いしすぎだろ。>
第24話 恐るべき陰謀
"Conspiracy"

  監督:クリフ・ボール
  脚本:トレイシー・トーメ
 美しい星海洋惑星パシフィカに向かうエンタープライズ号だが、突然ピカード宛ての緊急通信が入り、そこでかつての戦友のウォーカー大佐から、宇宙の危機が迫っていると告げられる。会って話すというウォーカーの言葉に、進路を変えて艦隊へと向かうことになるが…

 宇宙の危機という大問題について描かれる事になるが、具体的には連邦内部の反乱の芽を摘む話になってる。
 ピカードは旧友のキールからエンタープライズ号にも反乱の芽があることを示唆され、ライカーとデータとカウンセラーの三人以外の人間に伏せて調査を行うが、それが不信感をもたれてしまう。
 オチとしては、人間ではなく寄生虫に寄生されたことで思考が凶暴になってしまったというオチ。ピカードも寄生されそうになったが、ライカーの機転で免れた。しかし話はこれで終わったようにも思えず、この話は後に引くことになるの可能性がある。ただ、ちょっと話自体が滅入るもので、あんまり続編は観たくない気もする。
 この作品では初めて地球が出てくるが、連邦の中枢部ということが分かった。
 18話で登場したレミック査察官が再登場する。18話のラストでエンタープライズ号への転属を希望しており、今は随分社交的な人物になっていた。そして同じく18話のクイン提督も再登場しているが、二人とも寄生虫によって支配されていた。かつては引退まで考えていたはずのクインがなんとウォーフを圧倒する体力を持ってしまった。
<寄生虫で人を支配するって、『スター・トレック2』かな?
 地球での食事のシーンはなんと生きてる虫を手づかみで食べるというものだった。虫が駄目だとこれはきつい。また寄生虫本体の宿主とされたレミックの死もホラーテイスト。結構気持ち悪い描写が多い。>
第25話 突然の訪問者
"The Neutral Zone"

  監督:ジェームズ・L・コンウェイ
  脚本:モーリス・ハーレイ
 ピカード艦長が会議のために不在状態のエンタープライズ号は、宇宙を漂う古い宇宙船を発見した。艦長帰還まで時間があるため、その宇宙船に興味を示したデータが調査を行ったところ、冷凍睡眠カプセルに三人の生存者がおり、エンタープライズ号に連れ帰り蘇生させた。そんな時に帰還したピカードは、連邦とロミュラン帝国の間に緊張が高まっていることを告げる。

 第1期最終話。ここではっきりロミュランが登場してくる。これまでロミュランとは国交断絶状態だったそうだが、本作で最初に接触することとなり、以降の話はこの二つの連合国を中心に展開していくことになる。この話では連邦の基地が破壊されたことがロミュランの仕業と思われ、それを調査するという話。その際ライカーは戦闘態勢を取ることを進言するが、ピカードはあくまで調査である事を強調し、武装を許さなかった。
 ただ、この二つの連合国家は、お互いに攻撃し合っていると思い込んでいたが、最後に別な存在が二つの連合に不和をもたらそうとしていることを匂わせ、一応協調を取ることで合意した。
 最初に助けた古い宇宙船は20世紀の地球製だそうで、病気で死んだ人間を凍らせて未来の技術で病気の治療と蘇生を頼むというものだった。昔のSFではよくあった設定だ。これが今ひとつ本編の物語には関わってなかったのがちょっと残念だが、未来に来た現代人の戸惑いが結構面白い。この時代は人は完全に自分を律することを覚えており、財産や地位などに執着していないということを強調した。ちょっと遅くなってしまった感があるが、現代の価値観を持つ人々を登場させることで世界観をはっきりさせたという意味はあった。20世紀の価値観ではセクハラやら、株価を気にするとか、そこら辺がなくなった世界ってSFっぽさがある。
<ロミュランとは50年間国交断絶だったそうだが、13話で名前は出てきていて、既に連邦に干渉していたと言っていたので、ちょっと矛盾がある。>
第26話
第27話
第28話
第29話
第30話
第31話
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第34話
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第39話
第40話
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