ウッドストック 愛と平和と音楽の三日間 1970 |
1970米アカデミードキュメンタリー長編賞、音響賞、編集賞
1996アメリカ国立フィルム登録簿登録 |
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ジョー・コッカー
ジミ・ヘンドリックス
サンタナ
ジョーン・バエズ
ジャニス・ジョプリン |
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★★★★☆ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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1969年8月15日から3日間にわたりニューヨーク郊外ベセルの丘で行われた一大ロック・イベントの模様を描くドキュメンタリー。約40万という若者が詰めかけ、アーロ・ガスリー、ジョアン・バエズ、ジミ・ヘンドリックス、ジョー・コッカー、カントリー・ジョー&ザ・フィッシュ、リッチー=ヘヴンス、サンタナ等々、当時を代表するロックグループが三日にわたって歌った世界最大規模のコンサートの模様を描くドキュメンタリー。死者3人、病人5千人、出産2件を記録しながらも駆け抜けた三日間の記録。
未だに語りぐさとなっているウッドストック野外ロック・フェスティバルの模様を収録したドキュメンタリーで、コンサート自体も大成功したが(金銭的には大赤字だったそうだが)、映画も劣らずにドキュメンタリー映画では珍しく大ヒットを記録する(1970年全米興行成績5位)。これを記録に撮ったという事自体が快挙とまで言われている。
このコンサートは青年富豪のジョン=ロバーツの熱意から生まれたイベントで、彼は赤字覚悟で10億円をぽんと投げだし、ベセルで一大イベントが開催された(当初予定されていた会場がウッドストックだったが、地主の拒否で付近の農場に移された)。当初5万人の予想が、なんと40万人もの人が集まったという。このコンサートに参加した若者たちが今やアメリカ社会の中核を担っている(日本における「団塊の世代」よりはちょっと下るが、アメリカでも彼らを「ウッドストック・ジェネレーション」と呼んでるとか)…ここで平和を叫んだ若者たちの何パーセントかは、今のアメリカの戦争の一翼を担っていると思うと、皮肉な話でもある。
本作の大きな特徴は、ドキュメンタリーでありつつも、かなり恣意的に編集されたものであると言うこと。特にステージ以外の場所で撮影されたフィルムは多くは画面を分断して二つ以上の光景を見せており、時として片方のフィルムで描かれている事が裏のフィルムでは否定されている部分まで出ている。こういう作り方をすると、割と編集者自身の思想が投影されやすいので、センスはともかく、ドキュメンタリーにはこういう作り方もあると言うことに感心させられる。
尚、このフィルムの撮影および編集に当たったのは大学生がほとんどで、これに関わることによって映画の世界へと足を踏み入れた人も結構いるそうだ(ほとんどが撮影中クスリやっていて、撮影もヘロヘロだったという話しもあり、だからこそ編集の勉強になったとも)。特にこの映画によって当時大学生だったマーティン・スコセッシ監督が誕生したと言うことでも、意義深い作品である。
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