最後の晩餐 1973 |
1973カンヌ国際映画祭国際映画批評家連盟賞(フェレーリ)・パルム・ドール |
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マルコ・フェレーリ
ラファエル・アスコナ(脚)
マルチェロ・マストロヤンニ
ウーゴ・トニャッツィ
ミシェル・ピッコリ
フィリップ・ノワレ
アンドレア・フェレオル |
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★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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3 |
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パリ郊外の屋敷に次々と食材が運び込まれる。世をはかなんだ四人の男達。料理人のウーゴ(トニャッツィ)、俳優のミシェル(ピッコリ)、裁判官のフィリップ(ピッコリ)、パイロットのマルチェロ(マストロヤンニ)が、最後に食いまくって死のうという、恐るべき計画が立てられたのだ…
伊仏の名優ばかりを集めて作られた作品ながら、一方では彼らのフィルモグラフィに汚点を残したとも言われる恐るべき作品(主演四人は大いに楽しんだと言っているそうだが)。
究極のグルメ映画でありながら究極のアンチ・グルメ映画。本作を一言で言うならそういうことになるだろう。
物語冒頭から次々に運び込まれる食材の数々と言い、楽しげにみんなで料理するシーンといい、最初の20分くらいはまさしくグルメ映画としての体裁を取ってはいる。だけど、それで終わらないのが本作。
とにかく前半ではとにかく食いまくる。何故そんなに食うのか?その理由はほとんど語られないが、とにかく多量の料理を作っては食い続けるだけ。最初はそれで良いのだが、中盤に至ると、やっぱり食い続けている。もう食えないと言っている人がいても、無理矢理詰め込ませるに至って、だんだん観ているのが辛くなってくる。
そして後半に至ると…ちょっと勘弁してほしい。
何というか、少なくとも何か食べながら本作を観るのはお勧めはしないし、それなりに精神状態がしっかりしている時でないと、本作を最後まで観ようとは思わないだろう。
作り手の方が悪ノリで作ったとしか思えない作品だが、嫌悪感を作り出すというのも実はそれはそれで映画としては成り立っている。ただ、それを受け入れられるかどうかは観る側の心情次第。少なくとも私はちょっと受け入れることができなかった。 私としては食事シーンを描いた映画が好きなはずなのに、この悪趣味ぶりにはついて行けない。希有な体験でもある。ある意味に於いては、かの『ソドムの市』(1975)にも比肩する悪趣味映画とも言える。 |