| キンキーブーツ 2005 |
| 2006ゴールデン・グローブ男優賞(イジェフォー) |
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| ジョエル・エドガートン |
| キウェテル・イジョフォー |
| サラ=ジェーン・ポッツ |
| ジェミマ・ルーパー |
| リンダ・バセット |
| ニック・フロスト |
| ユアン・フーパー |
| ロバート・パフ |
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| ★★★ |
| 物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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4 |
2 |
4 |
3 |
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父親の突然の死により、ノーサンプトンにある老舗の紳士靴製造工場ブルックスの四代目社長となったチャーリー(エドガートン)。工場のみんなから慕われた父だったが、実は経営は火の車で、ブルックス社は倒産寸前であることを知る。伝統の灯を消したくないという思いはあるものの、優柔不断でそれを言い出せないチャーリー。工場の起死回生に頭を悩ませる彼は、ドラッグクイーンのローラ(イジョフォー)と偶然出会い、彼から靴の悩みを聞いて、ドラッグクイーン用のセクシーなブーツを新商品として開発しようと思いつく。
イギリス発のコメディ作品。優柔不断で貧乏な主人公が、起死回生の一手としてとんでもないことをやらかすという、系列としては『フル・モンティ』(1997)に近い話。ただし本作の場合は実話が元(舞台となっているブルックス社は実際に存在し、撮影にも用いられているとのこと)。
イギリス流のこういったシニカルなコメディは大好き。本作の場合は特に設定部分がなかなか凝っていて、主人公のチャーリーは崖っぷちに立たされているのではなく、ちょっと視点を変えれば逃げ出す事も出来た。と言う点が特徴的。実際チャーリーの婚約者ローレンは常にその道を用意し続けている。これがもしアメリカで作られていたら、チャーリーは完全にヒーロー的な描かれ方をされて然り。しかし、あくまで彼を駄目男として描く所がイギリス流だね。あくまでそこにこだわった所は良いぞ。
勿論ドラッグ・クィーンの存在が上手くメリハリになってる。ローラは傍若無人に振る舞い、自分の生き方を誇っているように見えながら、実はとてもナイーブ。とても傷つきやすい存在というのも良いね。あれだけ目立った動きしながら、実は周囲の人間にとても気を使っている一面も見えて、実に良い役やってる。こういうマイノリティの人間は、周囲の圧力に対して自分を強く見せるしか自衛の方法がない。だけどそれには当然無理が生じるため、自分自身をすり減らして生きていくしかないのだ。そのギリギリの生き方をよく表していた。
ただ惜しむらくは、設定の良さを物語に昇華させきれなかった所。前半で期待させておいて、中盤の中だるみと、最後のハレの部分が演出不足だったこと。全般的に物語の動きがもっさりしすぎたのは演出不足のためかと思われるし、ローラ以外のドラッグ・クィーンが何を考えているのかという部分を出す事が出来なかった。それがクリア出来れば佳作と成り得たのだけどね。
実話は1999年の貨幣統合によるイギリスの大不況は、老舗と呼ばれる店を直撃したことに始まる。質はともかく、安い商品が外国からどっと流入し、それによって、伝統ある産業が次々に潰れてしまった。その中で生き残りを賭けたブルック社の社長スティーブ=ペイトマンという人物が、ニッチ産業へと目を向け、その一環としてキンキーブーツも作ったことが元だと言うこと。劇中にもあったが、工場で働いている人達は気味悪がっていたようだが、ペイトマンは自ら広告塔としてヒールを履いて見せ、更には見本市まで自らそれを履いて出向いたそうな。結果的にこれがテレビで放映されたことで有名となり、映画化にまでなったとのこと。ミラノでチャーリーがキンキーブーツを履いているのはそれが元だったらしい。
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