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ヤン・スヴェーラク
Jan Sverak

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鑑賞本数 1 合計点 4 平均点 4.00
書籍
2001 ダーク・ブルー 監督・脚本
1996 コーリャ 愛のプラハ 監督
1994 アキュムレーター1 監督・脚本
1965 2'6 チェコスロヴァキア(当時)のザテクで誕生

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コーリャ 愛のプラハ 1996
1996米アカデミー外国語映画賞
1996ゴールデン・グローブ外国映画賞
1996ヨーロッパ映画作品賞(スヴェラーク)
1996東京国際映画祭東京グランプリ・都知事賞、最優秀脚本賞

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ズディニェク・スヴェラーク
アンドレイ・ハリモン
リブシェ・シャフラーンコヴァ
オンドジェイ・ヴェトヒー
ステラ・ザヴォルコヴァ
イレーナ・リヴァノヴァ
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
コーリャ 愛のプラハ(書籍) エリック・エイブラハム
 1988年。プラハに住む55歳で独身チェリストのフランティ=ロウカ(スヴェラーク)は、かつてチェロの名手と謳われ、チェコ・フィルの首席奏者まで務めたが、女性問題で転落して、今はその日暮らしを送っていた。そんなある日、悪友からチェコの身分証明書が欲しいロシア女ナディズダ(ザーヴォルコヴァ)との偽装結婚を持ちかけた。礼金4万コルナという大金にひかれて承諾するのだが、ナディズダは偽装結婚式の直後、5歳の連れ子コーリャ(ハリモン)を置いて遁走してしまう…
 チェコスロヴァキア出身のスヴェーラク監督が、チェコとスロヴァキアの分裂という歴史的事実をふまえて描き出す静かなドラマ。
 こういった「家族を作る物語」といった物語は実はもの凄いツボであり、ほとんど観る前から「これは絶対高得点作品だ」と踏んでいたが、まさしくそのもの通り。見事にはまった。
 家族を作る物語のパターンで素晴らしいのは、他人として登場する父と子が、
だんだん互いを受け入れ合っていくことによってお互いに成長していくことだろう。結局この物語は成長を描くものなのだ。父親役となるスヴェラークが、自堕落な助平親父として登場するのが良いんだよね。それが強引とはいえ子供を持たされることによって、だんだん責任感が生じてくる過程が丁寧に描かれてくる。それにコーリャ役のハリモンがとにかく可愛い。純粋に無垢なる美しさとでも言うべきか。無垢と言っても天使のような可愛さとは違う。むしろ最初は自分のことしか考えてない身勝手で、泣きわめくばかりなのだが、だんだん自分の置かれた状況を受け入れていき、なついていく。その過程が素晴らしい。特にもらったヴァイオリンを訳も知らずにギーコギーコと弾くシーンとか、こういう状況でもユーモアを決して忘れない演出も良い。重くなりそうな素材を、巧く仕上げてくれてる。
 この丁寧な演出だけでも充分楽しいのだが、本作が作られた時代背景というものを改めて考えてみると、更に興味深い。主人公のフランティは自堕落な人間として描かれているのだが、社会主義国家の中で自堕落な人間を貫くというのは、実はとんでもなく難しいことだったりする。彼が今の状況に陥ったのは、彼なりの国家に対する反逆からそれが始まったのではないだろうか?ただ当然そう言う反逆を国家は許さない。さりとてかつての英雄を無碍にすることが出来ない。そこで生かさず殺さずの状態に押し込められてしまう。社会主義国家ではよくあること。責任感は持っていても、それが国家に対するものであるなら、むしろ彼が出来る限りの自由を行使しようとした結果、こうなってしまったと考えることも出来よう。彼が最終的に責任感を取り戻すのは、コーリャの存在だけではなく、国家が自由を取り戻したことにより、本来彼が持っていたものを取り戻したと考えることも出来る。
 社会状況を鑑みると、面白い妄想が広がってくるものだ。

 ところでショーン=コネリー似(?)の本作の主人公役のスヴェラークは監督の実父で映画の脚本家でもあり。本作の脚本は二人で書いたもの。親子二代の競作として観るのも面白いだろう。最後にちらっと登場した指揮者
ラファエル=クーベリックは本人。かつてチェコ・フィルの英雄と言われていたが、1948年に国外逃亡しスイスに亡命。1990年に帰国して歴史的名演を披露したとのこと。この時のフィルムはそれを使用している。

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