新学期・操行ゼロ
Ze'ro de conduite: Jeunes diables au colle`ge |
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ジャン・ヴィゴ(脚)
ルイ・ルフェーブル
ジルベール・プリュション
ジャン・ダステ
ジェラール・ド・ベダリウ |
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★★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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夏休みが終わり、生徒達が寄宿舎へ帰ってきた。それまですっかりだらけ、汽車の中でも煙草を吹かしていた悪ガキどもだが、規則づくめの学校にげんなりしてしまう。しかも操行に零点をつけられたら日曜の外出も禁止されてしまう。そんな押しつけられた規則に、生徒達は反乱計画を練っていた。
副題は「学校の若き悪魔たち」。フランス映画の名作の一本に数えられているが、内容が反体制のため、あっという間に上映は打ち切りにされてしまい、長く再上映もされなかったという。
基本的には中学生くらいの学生生活を描いた作品なのだが、画面はとてもファンタジックで不思議な話になっている。映画黎明期における挑戦作ともいえるが、同時に本作はとても明確に反体制の作品でもある。
洋の東西に関わらず、体制を象徴するのは学校の存在であろう。それによって嫌な思いをした人の方が多いはず。だいたい人間が大学になって体制破壊を考えるのは学校教育のせいにすることだって出来る。
そしてその学校を社会として描くのは映画の一つの特徴でもある。つまり学校生活とその反抗を描く事によって、社会の押しつけと、そこからの脱却を描こうという訳だ。
その一番初めの作品が本作となる。ここに登場する学校は、第一次世界大戦後のフランスの状況そのものであり、そこに登場する少年達は、フランス国内の庶民の姿とも、革命家の姿とも言える。最後に「規則くたばれ!操行ゼロくたばれ!」と学生が立ち上がる姿が実にアナーキズムに溢れていて良い感じ。
これぞフランス流反骨精神であり、これぞ映画の本質の一つ。映画とは、現実世界に対するアンチテーゼなのだから。
そして何より、本作はファンタジックな描写が抜きんでて凄い。映画史的にも有名になった、こども達が羽根の舞う中を行進するシークェンスは幻想的なだけでなく、撮影技術的にも素晴らしい。 |
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